12回
2018/03 訪問
中華そば(醤油)
引越しの前日。といっても身体と最低限の家具だけの引越しで大半は翌月に持ち越し。3月末は繁忙期で業者に80万提示されて、さすがにそんな大金は出ずに諦めたのだ。そんなわけで正確にはこの日以降も僕は荷造りのために旧宅に帰っていた。
いつが引越しであろうと、何度行っておいても名残惜しいこちら。この日は11回目の訪問になる。
この日に注文したのはやはり「中華そば」なのだが、この日から醤油と塩の選択肢ができていた。僕はもちろん「中華そば(醤油)」にした。息子は「中華そば(塩)」にしていた。
チャーシューが2枚乗っている。いくら常連とはいえ「さすがにこれはやりすぎです」と言ったが、店主からの餞別ということでありがたく頂いた。本当に温かい人だ。
相変わらず美味しいラーメンだった。動物系の出汁がベースとなり強めの魚介。全体的にインパクトがあるが重くなく後味は心地良く爽快感すら感じられる。
柔らかめではあるがモチッとした良い食感の太麺はスープとの相性は絶妙。食べ終わったあとの満腹感は心地の良いものだ。「もうお腹いっぱいで気持ち悪い」といったタイプの満腹感はこの店で感じたことがない。
息子の「中華そば(塩)」も一口貰った。言われなきゃ塩ラーメンだとはわからない見た目ではあったが、これも「中華そば(醤油)」と同じく美味しかった。
これが最後というわけではない。実は引っ越したあとに一度だけ訪問した。それが最後であり次回のレビューになる。
ラーメンのレビューしか書かないことにしているのでまるでラーメンしか食べていないと思われがちだが、実はラーメン以外の方が食べていたりする。前日は『イルキャンティ』、この日の夜は『藤』で焼肉と最後の幡ヶ谷・笹塚を堪能して翌日引っ越した。
2021/01/08 更新
2018/02 訪問
中華そば
この日も例によって息子の自転車の練習で近辺をぐるぐる回り、その帰りにこちらを訪れた。これが10回目の訪問となる。
毎度毎度で恐縮だが、この日も「中華そば」を注文した。
動物系と魚介系の旨味が詰まった醤油スープ。パンチはあるがいくらでも飲み続けていられる優しさも兼ね備えている。
麺は太く硬すぎず柔らかすぎず、モチモチとした食感で食べ応えもあるし食べていて楽しい。それでいてスープとの相性も完璧だ。
十分コシもあり食べ応えがあるわけだが、これが仮にもっとギュッと締まってもっとコシの強い麺だったらどうだろうと想像してみる。例えば僕がこの『名前のない中華そば屋』と同じくらいに思い入れのある高田馬場(今は成増)『べんてん』と同じ麺だったとしたらどうだろうか。うーん、やっぱり違う。このスープにはこの麺が合っているのだ。あるいは低下水の細麺ストレートで合わせたらどうだろうか。うーん、やはり違う。
スープと麺の相性というのは「スープが濃いから麺のコシが強い方が良い」とか、そういうシンプルな方程式で説明できるとも限らない。
この店の良さは挙げればキリがないほどあるわけだが、最終的に「完食後の幸福感」がそれだ。
ほかのタイプの麺で合わせてもまた違った美味しさを見出すことはできるだろう。だが、その「完食後の幸福感」、要は満腹感と「美味しいもの食べた」感を到達点と考えるとき、このスープにはこの麺でなくてはならないのだと思うのだ。
2021/01/08 更新
2018/01 訪問
中華そば
何度も食べたくなるラーメンがここにはある。これが9回目の訪問となるわけで実際に何度も食べている。
3日前御茶ノ水で『なおじ』を食べた大学の友人とこの日も会って話をすることに。新しいことをやろうということでこの時期密に打ち合わせをしていたのだ。例によってまずはラーメンを食べる。
「中華そば」を注文した。
まったく変わらず美味しい。動物の出汁も魚介の出汁も、そして醤油が強めの状態でバランスしていてひと口でググッと惹きつけられる。何度食べても飽きないし美味しいと思えるから不思議だ。
麺は太くモチモチとした食感で、この程良い硬さが絶妙だ。満腹感も満足感も両方得られるのが良い。それでいてチャーシュー、卵、メンマなど細部にまで手を抜かず丁寧に作られている。
卵は、普段は半分だが今回はサービスで1個乗せてくれたようだ。チャーシューも多く乗っている気がする。店主はこれについて何も言わない。恐縮だ。
2021/01/08 更新
2018/01 訪問
中華そば
これが8回目の訪問となる。閉店してしまっていることを知っているのでレビューを書けば書くだけ寂しい気持ちになってくる。
毎回書いているから今回は手短にしようと思う。
注文したのは「中華そば」。この店は「つけ麺」もあるが僕は「中華そば」を薦める。実際は「つけ麺」もかなり美味しい。山岸氏の最後のお弟子さんということもあり、ここに来たら「つけ麺」を食べたくなるのは自然だと思う。
こちらの「つけ麺」は修行先のそれとは別物だ。なので東池袋『大勝軒』の「もりそば」と比較はできない。人それぞれ好みはあると思うが、それぞれ美味しいと思う。
だが「中華そば」はもう確実に東池袋『大勝軒』以上のものだ。こちらも別物といえばその通りなのだが、もう突き抜けている。
例えば東池袋『大勝軒』の愛弟子である駒込『ごとう』は、つけ麺(「もりそば」)よりもラーメンの美味しさが光っており、僕の中で「ラーメンに関しては山岸氏を超えた」と勝手に思っているのだが、この『名前のない中華そば屋』の「中華そば」はもうその次元の話ではない。突き抜けてかなり遠いところまで行っている。本当に美味しいのだ。
また長くなりそうなのでこの辺で終わりにする。
2021/01/08 更新
2017/12 訪問
中華そば
例によって息子の自転車の練習の流れで訪れた。5度目の訪問だ。この時期は頻度もなかなかで8日間で3度目の訪問となる。
店の前に行列もある。店主は本当にいつも忙しそうにしていて心配になるほどだ。
前金で支払いをするのが基本だが麺が茹で上がったりとか色々で店主も同時に全部はできれないのでこの日は後払いで対応。臨機応変だ。なるべくお釣りのやり取りがないよう小銭を多めに持ってくるのも良い。僕はそうしていた。
やはりここは「中華そば」。
何度食べても美味しい。量が多く味も濃いのでガッツリしているが細部に至るまでひたすら丁寧な作りだ。モチモチとした麺の食感、スープとの絡み、麺とスープの一体感もあり、最後まで飽きることはないし物足りないと感じることもない。
ここのラーメンには満腹感と「美味しいもの食べた」という幸福感がある。
何度も同じことを言っているが、なくなってしまったことが残念でならない。もし可能ならもう一度食べたい。再開を願っている。うちのバンドも再開しなきゃな。ま、求められているかは知らないが。
2021/01/08 更新
2017/11 訪問
中華そば
前日に息子と訪れたのだが、妻が羨ましがり連日で訪れた。息子も僕も毎日でも食べたいところなので賛成した。というわけで家族揃ってこちらのリピーターとなっている。それまでリピートしていた中華料理店『大上海』に取って代わる存在となっている。
それまでは近くの小学校で一般開放しているプールとセットだったが、ここのところは息子の自転車の練習とこの『名前のない中華そば屋』への訪問がセットになっていた。
この日も「中華そば」を注文した。
かなりのリピート率なので味についてのレビューは何度も書いている気でいたが、過去の訪問のレビューを読み返してみたらあまりちゃんと書いていなかったことがわかったのでここで改めたい。
スープはサラッとしていながら味わいは濃厚。舌触りとしてはザラッとしており動物と魚介はバランスが良くコクのある醤油とのバランスも完璧だと思う。
ストレートの太麺は、ギュッと締まった強い麺というよりはある程度柔らかめでモチモチしており、これがスープと絶妙な相性で最後まで気持ち良く食べられる工夫のようにも感じられる。
量が多いので多少ガサツでも満腹感重視の男性客は気にもしないかもしれないが、チャーシューや卵、メンマなどのトッピングも丁寧に作り込まれていて一切の妥協がない。それでいて一切気取る気配がない。この量にこのクオリティそしてその労力。1,000円取っても良いんじゃないかな、と思う。そうでないともたないとさえ思う。
復活を密かに祈っている。
2021/01/08 更新
2017/11 訪問
中華そば
この日の訪問で5回目となる。前回は「つけ麺」を食べてみた。それもまたかなり美味しかったのだが、この店ではやはり「中華そば」が良い。息子と訪れた。息子の買いたての自転車の練習にこの店への訪問が組み込まれているのだ。
13時前の入店。店内で少し待つ。相変わらず繁盛している。繁盛しているというのはとても良いことだ。だが、僕としてはどこか心配にもなる。この店は店主1人で回しており、麺を茹でる様もチャーシューを切ったり盛り付けたり、ひとつひとつの所作がとにかく丁寧で、かつエアコンの調子が悪いのか夏場はひたすら暑い。前払のお会計も店主が対応し何から何まで店主が行っている。なので店主の身体がとにかく心配になるのだ。何となくかつて新大久保にあった名店『めとき』を思い出す。
何度も恐縮だが、やはりここの「中華そば」は美味しい。すべてが丁寧に作られていて、尚かつお腹いっぱいになる。満腹感とともにここまで幸せな気持ちにさせてくれるラーメンもない。
こんな美味しいお店が家の近くにあってリピートできるということが幸せすぎる。だが残念なことにもう閉店してしまった。店主の身体次第ではあるが是非復活してほしいと願っている。その再開の地がどこであろうと必ず食べに行くだろう。
2021/01/08 更新
2017/10 訪問
つけ麺
4度目の訪問だ。昼営業のみなので必然的に土日が多くなる。この日は土曜日だ。息子と訪れた。
既に家族揃っての訪問もあり食べきれない2人の残りも食べきる大食いっぷりを見せつけたため店主もさすがに覚えてくれていたようで、息子にも気さくに話しかけてくれる。息子の方も「「名前のない」に行きたい」と提案するほどで、この店を気に入っている様子。
相変わらず繁盛していた。店内のカウンターの後ろで待つ。
「中華そば」に飽きたわけではないが、せっかく2週続けて来ているので違うメニューも食べてみたい。違うメニューといってもここでは「中華そば」と「つけ麺」のみ。この日は「つけ麺」にした。
魚介と動物のベースのつけだれは東池袋『大勝軒』を思わせる酸味もあり深みのある味わいだ。やはりこの「つけ麺」も「中華そば」と同じく、修行先を継承しつつもさらに高みを目指して進化したといった雰囲気がある。粘度のある濃厚魚介豚骨といった感じではなくサラッとしたタイプだが風味は強くインパクトもある。そして丁寧な作り。
麺も美味しい。よく締まった中太麺でチュルチュルとした表面とムギュッとした強い食感は、これ以上美味しい麺はあるのかと聞きたいくらい完璧な麺だと思う。かなり食べ応えのあるつけ麺だ。この東池袋『大勝軒』らしさが残りつつ質を高めていったようなつけ麺はどこか川越『頑者』を思い出させる。
麺単体でも美味しいのだが、この麺の素晴らしさはつけだれと合わさったときに本当に輝く。それは「つけ麺」だけでなく「中華そば」でも言えることだ。
僕は「中華そば」の方が好きだが、それでもこの「つけ麺」でさえも、やはり東池袋『大勝軒』系ではトップレベルではないだろうか。
もう一度食べたいのだが、復活の情報は聞こえてこない。
2021/01/08 更新
2017/10 訪問
中華そば
それまで幡ヶ谷『大上海』に入り浸っていたが、それがこちらに取って代わられたようだ。これが3回目の訪問だ。既にリピート率が非常に高い。
いつだって繁盛している。この日も少し待った。回転はあまり良いとは言えない。それもそのはず、店主1人で店を回している上に1杯の量も多い。作るのにも時間がかかれば食べるのにも時間がかかる。美味しいラーメンが食べられるのだ。何も文句はない。それよりも、1人で店を回す店主の身体が心配になる。
「中華そば」を注文した。
何度も書いているしこれからも書くことになりそうだが、こちらは東池袋『大勝軒』のお弟子さんのお店。どう考えても東池袋『大勝軒』系で一番美味しい。共感してくれる人は少なくないと思う。
インパクトもある。麺も食べ応えがある。バランスも良い。量も多くお腹いっぱいになる。クオリティも高い。美味い。どれかが欠けていたって人気店はたくさんあるのに、ここはそのどれも満たしてくれる。
とても残念な話だが、この店はもうない。2019年に閉店してしまったのだ。ラーメン店に限っていえば僕が最もリピートした店だ。残念でならない。
2021/01/08 更新
2017/09 訪問
中華そば
2度目。先月末に来て以来。思ったよりも早い再訪になった。ここは久々にヒットした「リピートする店」だ。
(注意:以下、麺が太いとか多いとか、スープの濃さだとかコクがどうだとか、そういったことについては記載していない。)
昨今ラーメン屋のクオリティはかなり高い。乱暴な言い方をすれば、新しい店は大体どこも美味しい。が、何故か、大半は「また来たい」と思わせてくれない。
ラーメンはものすごいスピートで進化した。2000年初頭、都内のラーメンランキング上位は博多系の豚骨だった時代で、塩ラーメンなんかはまだまだキワモノだった(※例えば西日暮里の『神名備』の「神名備そば」(今はメニューにない)は、「黄金のスープ」だと珍しがられていた。)。恵比寿の『AFURI』が走りだったか、淡麗系の塩ラーメンが次々に台頭し、皆質の高さを競い、メディアも喜んで取り上げた。そして女性も入りやすい雰囲気が当たり前になった。
だが、その進化と引き換えに、アマチュアがプロになるときのような、食べる側にとってもラーメンという楽しみが平坦なものになってしまった。
この時代、ラーメン巡りをしていた連中は、ある人はつまらなくなったと感じ、またある人は壁にぶち当たったことだろう。
「美味しいラーメンって、いったい何だ?」
ラーメンの進化を歓迎しない連中は老舗に留まり、ラーメンの進化に翻弄された連中はひたすら質を求めていった。前者は「ビートルズより凄いバンドはいない」と言って意固地になり、後者はレッドツェッペリンを経て北欧のメタルに走っていった、かのよう。
このお店は修行元の東池袋『大勝軒』の多くを継いでいるが同時にクオリティもかなり高い。過去の財産を承継しつつ高みを目指すとでも言ったら良いか。伝統的かつ高品質で、オルタナティヴとはいえない程度の斬新さを秘めていて王道を進み90年代に突き抜けたオアシスのような、そんなお店。だから、この店は王道なのだと思う、たぶん。
懐古するわけではない。が、ラーメン屋の不思議なパワーにわくわくしたあの頃の気持ちを思い出させてくれる。それでいて味のブレもなく、上質で、接客も良く、店内も清潔だ。
ここの「中華そば」は美味しい。本当に美味しい。だか、それ以上の褒め言葉がある。
「この店は本当に良い店だ」
追伸:もちろん『大勝軒』出身で、改良できるところを改良して質を高めているような、そんな店はたくさんあるのだか、そんな中でもこの店はひと際光っている。僕は早くもリピーターになった。
2021/01/08 更新
2017/08 訪問
中華そば
近所に引っ越してきたこともあり、ここは気になっていた新しいお店。もりそば(つけ麺)で有名な『大勝軒』の東池袋本店で修行された強面ではあるが優しい店主が1人で切盛りしている。
カウンターのみで座席もゆったり配置しているので、隣の客が左利きでも腕がぶつかったりはしない。このスペースは連席希望の客のためか、その空きスペースに新たに椅子を置いて連席希望の客に対応していた。そういったところからも良い意味でお客さんをよく見ている。また、注文時に前金を支払うスタイルだ(混雑時は臨機応変)。
チャーシューはかなり分厚くそして柔らかい。麺は茹で前300g超なので小食の人はチャーシューを最後に残すと苦しい思いをするだろう。あまり食べられない人は注文時に小盛りにしてもらうよう声をかけると良い。
トラディショナルではあるが(本家より?)クオリティはかなり高く、リピートしたくなる味。
東池袋の『大勝軒』出身の店はたくさんあるが、その中でも私は1番好きだと明言しておく。おそらくまたすぐに来るだろう。
※レビュー時点で既に12回リピートしている。
2021/01/08 更新
12回目の訪問。閉店してしまったため結果的にこれが最後の訪問となった。
この日は午前中にとあるイベントが笹塚で催され、家族で参加するために訪れた。ここまで来たならばこの『名前のない中華そば屋』を訪問しない理由がない。
それまで月1回以上のペースで来ていたが引越しもあり前回訪問時から3ヶ月空いてしまった。とても暑い日で厨房の店主が心配なほどだった。
「中華そば(醤油)」を注文した。
この日も変わらず美味しいラーメンだった。動物系と魚介系が互いに強くインパクトもあり、そして最後まで気持ち良く食べられる優しさと温かみもある。
麺は程良いコシのある太麺で、モチッとした食感。スープとの相性も良いし、麺単体でも十分に食べ応えがある。
閉店してしまったことが非常に残念だ。閉店して残念に思う店はたくさんあるが、その残念の度合いの強さはこの店が1番かもしれない。
とても良い店だった。もちろん復活してほしいとは思うが、続けられない事情があったのだろう。店主には本当にお疲れ様でしたと、短い間ではあったが感動をありがとうと伝えたい。