2回
2021/02 訪問
凛としたご主人の立ち振る舞いに優しげな瞳
『鮨 はしぐち』さんへ、天からのお声がけをいただき、今回伺ってまいりました。
私個人では伺うことも叶わない予約困難なお店です。
もうドキドキしながらお店へ向かいます。
日中の強い雨も嘘のように晴れ上がり、少し蒸しばむそんな陽気です。
10分前にお店前に到着、そのまま待っていると天女様がお越しになりご一緒させていただきます。
入り口の「銅の網戸」で室内の換気をされています。
この日のご一緒様がまたなんとも凄い方々、さらにドキドキしてしまいます。
写真撮影はできませんので、簡単に取ったメモをもとに記憶が新鮮なうちにレビューを書きます。
まずはご一同様と、瓶ビールで乾杯です。
※ お刺身から ※
こちらの山葵がとてもフレッシュさがあり、鼻にツンと抜ける辛味のある風味の強さ、最近この感じを出されるお店が少なくなったような気がします。
気持ち的に新鮮な感覚もあり、ちょっと嬉しくなりましたこの辛さが。
◇ 鮃
透明感のある身がきらり輝きを放っています。
上品であっさりとした味わい、やわらかい中にも噛むと甘みがほんのり感じられます。
◇ 中トロ
切り方の名前が分かりませんが、細長く切った感じでとてもやわらかな歯触りにされているように感じます。
上品でさっぱりとした脂が秀逸です。
◇ あおやぎ
なかなか立派な大きさです。
今が旬、足の身が肉厚で赤みがかり風味が強く、甘みがありとてもいい味わいです。
◇ 天然ホタテ
天然ものは貝柱が発達して大きくなりますから、食べ応えも養殖ものとは比較にならなく、食感の良さもあります。
山葵のツンとくる辛味で、貝柱の甘みが際立ちとても美味しいです。
◇ サヨリ
サヨリを刺身でいただけるのですね!
ご主人が丁寧に捌く手際に見惚れてしまいます。
サヨリも旬です、半透明に銀色が美しく、食感もあってとても美味です。
◇ ホタテの磯辺焼き
焼きたて熱々な天然物の立派なホタテの貝柱、醤油は比較的少量で貝の甘さが素晴らしく、海苔の風味との重なりで磯の香りをいただきました。
◇ 車海老
大きさからすると、こちらも天然物なのでしょうか。
茹で上げてから身を三等分にしてもまだ一つが大きいのです。
あっ、私は握りよりもこの食べ方が好きなんだと初めて気が付きました‼︎
わっ、凄く甘みがあって身の弾力の良さがダイレクトに感じられ、シャリがない方が好きです。
車海老はシャリと一緒に食べると、口の中が満たされてしまうのがちょっと好きではないと感じてました。
小ぶりな車海老を好むのもそんな理由から。
この車海老、凄く美味しくてびっくりです。
◇ わかめと刺身のつまを海苔で巻いて
この趣向が素敵です。
つまを残される方も多いと思いますが、これならば抵抗無くいただいてしまいます。
全てを無駄にしない、そんな考え方があるのでしょうか。
海苔のパリッとさを実感しました。
※ 握り ※
シャリは白酢、握る所作を拝見していましたが、握る手数がほんとに少なく、握るのではなく軽くまとめたとそんな表現が私には浮かびました。
白木におくと、スゥーと沈むのです。
口にすると、そのはらけ方が自然にほぐれる塩梅。
味付けも種とのバランスが良く、種の味がさらに際立つ美味しさに昇華するのです。
私の今までいただいてきたお鮨屋さんとは、比べられない極みをいただいているとしか表現が追いつきません!
◆ 鯛の昆布締め
水分が程よく抜け、その分昆布の旨味が薄らと感じられます。
◆ 赤身漬け
白酢のシャリが負けてません、バランスが良く落ち着いた旨味が感じられます。
◆ スミイカ
山葵の美味しさに見事に引き出されたスミイカの甘みに目を閉じて味わうだけです。
◆ コハダ
しっかりと酢で締めた感じですが、不思議とこのシャリのほのかな甘みと合わさるとしっくりとくる味わいなのです。
◆ 赤貝
色身からすると閖上なのかな?
甘みと旨味の濃さが一味も二味も違います。
◆ 中トロ
シャリのはらけ具合と中トロのやわらかさが、見事なバランスなのです。
◆ 大トロ
筋も強いのですが、脂ののりと旨味の濃さが何よりのご褒美です。
◆ 〆鯖
ふふふ、もう何も語りません、語れません、この味わいの良さは表現できません私には‼︎
◆ 小柱
先程のあおやぎも味が濃くて美味しかったのですが、小柱も小さいながらも味は秀逸、江戸前寿司は良いですね。
山葵が効く〜!
◆ 蛤
こちらも山葵を効かせて貝の旨味が素晴らしく引き立っています。
◆ ウニ
このとろりとした濃厚な旨味の集合体には笑が止まりません。
◆ 酢〆のイカ
これは初めていただきました‼︎
スイカ(笑) 駄菓子じゃないですからね皆様。
真っ白さがさらに輝く白さに、歯の入るやわらかな食感が独特なイカ、美味しいです。
◆ 穴子
ふんわりしてつめの味もほんのりとした甘み、江戸前の仕事がしっかりとされた味わいです。
※ 追加 ※
◆ かっぱ巻き
胡瓜の名前が分かりませんが、小さな胡瓜を一本巻いたかっぱ巻きは他では見かけた事がありません。
これが〝本当のかっぱ巻き〟そう呼びます私なら。
◆ 干瓢巻き
江戸前の締めには干瓢巻きが良いですね。
いただいてまだ間が空いてませんので、刺身も握りもまだ記憶に、はっきりしたものも、おぼろげなものもありますが、感想としてはさらっと書けました。
普段写真を如何に見ながら思い出していたのかが、はっきり分かりました(笑)
途中何度も写真を撮りたくなる美しい刺身や握りがありました。
目の前にご主人が置いて下さると同時に食べる、この大切なことも改めて感じました。
「写真なんか撮らずに、さっさと食いねぇ!」
江戸っ子の方ならそう言うだろうなと妄想したり。
その日の魚介をカウンターの保冷室に入れ見せる光景も余り目にしなくなりました。
何処となく、忘れてはいけない、継承されてきた大切なものをたくさん目にした思いです。
寿司の文化は日本の伝統文化、新しさも必要かとは思いますが、こちらのような素敵な凛とした趣のある風情は、今後も大切に受け継がれてもらいたいと切に願います。
お招きいただき、ありがとうございました。
素敵なご夫婦の営まれるお店、とても良い空気が流れている様に感じました。
予約が取れないのも必然かなと。
素晴らしかったです。
ごちそうさまでした。
2021/02/17 更新
食べ友様からお招きいただき、『鮨はしぐち』さんの入口をくぐることができました。
いつも素晴らしいお店にお招きいただき、感謝に堪えません。
もうひと方との3人の席です。
その方とは随分前に名古屋でご一緒しましたが、その時とまったくイメージも体格も変化してません!
それに比べて、あたくしの緩んだお腹の醜いこと。
今宵はアルコール無しですが、ベルギーのノンアルコールビールをいただきます。
ビア・デザミー0.0、減圧蒸留という製法でビールからアルコール分を除去したノンアルビールは、本来の香りや味わいそのままに美味しくいただけるのです。
お刺身からいただきます。
ワカメに茗荷と大根の細切りはお刺身のつまとして、途中でこれを海苔で巻いていただく楽しみがあります。
◎ マコガレイを肝醤油で
食感が素晴らしく肝醤油の旨味がさっぱりとしたマコガレイに抜群、美味しい。
◎ マコガレイのえんがわはわさび醤油で
えんがわらしい脂にはわさび醤油が合うのです。
◎ みる貝
噛めば噛むほど甘みが感じられます。
◎ あおやぎ
バカガイは場替えの意味、潮の満ち引きに敏感で一晩で住処を移動する特性から名付けられた貝、決して馬鹿貝では無いのです。
これも甘みがあります。
◎ 鯵のたたき
脂がのっていて、生姜がまぁ合いますこと。
◎ 蒸し鮑 肝付き
優しい甘みのある汁に肝の苦味が見事です。
柔らかですが噛む楽しさもあり美味。
◎ 車海老
頭の部分のミソがめちゃ甘いです!
◎ 白イカのウニソース和え
なんて贅沢な美味しさ!
◎ つまを海苔巻きで
そのまま食べても美味しいつまを、パリッとした海苔で巻いていただくのはこちらでのお楽しみなのです。
※ 握り ※
◉ マコガレイの昆布締め
シャリとの抜群なコンビネーション、マコガレイに昆布の旨味が添加された美味しさに目が飛び出そうです。
◉ 赤身漬け
色艶が淡い感じは夏のマグロらしく、味わいさっぱりです。
◉ 白イカ
包丁の入れように驚きますが、イカそうめんを握りにしているようなイメージ、甘いのですね〜。
◉ コハダ
江戸前の技ですね、酢の締め方がしっかりとしてますがこの加減がシャリと絶妙です。
◉ 鯵の酢締め
脂ののった鯵を締めることでまろやかで身の柔らかさが際立ちます。
◉ 赤貝
色からして産地はあそこかなと、甘みがあり独特な味わいがず抜けています。
◉ 赤貝の紐の握り
紐を握りでとは、他のお店では赤貝の下に忍ばせたりしてますが、紐だけの味が楽しめのはとっても良いです。
◉ 中トロ
鮮やかなオレンジ色なのですが、夏のマグロはこんな色鮮やかなのだとご主人から伺いました。
脂ののりはそれ程ではありませんが、上品な脂がこの時期の中トロの特徴なのではないでしょうか。
◉ 大トロ
こちらも脂は落ち着いています。
筋がまったく気になりませんでした。
◉ 鰯の酢締め
この脂ののりは締めても健在ですが、まろやかな旨味もありとても良い味です。
◉ ウニ
間違いありません、美味しいです。
◉ 穴子
焼いた身のほんわりとした柔らかさにコクのあるツメ、幸せです。
◉ たまご
写真が撮れないのが残念です、薄いたまご焼きを芸術的な握りにされ見ても楽しめる握りです。
おぼろがアクセントです。
◉ かっぱ巻きをお裾分けいただきました
小さな胡瓜をそのままに、この食感の良さは鮨はしぐちさんならではなのです。
白酢のシャリにほんのりと甘みがあり、口の中でホロホロと崩れる食感がとても心地良いのです。
タネの味わいと寄り添うシャリといった塩梅は、ベテランの腕の見せどころ、決して個性を強調することなく、でもタネによってそれぞれにそこにちゃんと存在しています。
お店もとても静かに時が流れ、会話にもリラックスして楽しめるこの素敵な雰囲気は、私が伺ったお鮨屋さんでも群を抜いています。
お酒を飲まないでのお鮨にも私的には違和感はないものの、やっぱりあればなぁと(笑)
やはりこちらはちょっと特別感のあるお店、マイレビ様に心より感謝致します。
美味しかったです。
ごちそうさまでした。