3回
2025/07 訪問
麻布台のくつろぎフレンチ・待ちに待った桃スープの季節が到来!
⑥香川県産飯山町の白桃とセロリのスープ
①小かぶのムース 根室紫うに トマトのジュレ
②野菜のエチュベ コリアンダーの香り 自家製からすみ
③昆布森産トキシラズの軽い燻製 アボカドきゅうり 青唐辛子とパクチー ミントのコンディモン
④噴火湾産毛蟹とジロール茸のリゾット
⑤竹岡産太刀魚とフォアグラのパイヤッソン アンチョビソース
⑦ロゼール産子羊のロースト 焼き茄子 タイムの香り
⑧宮崎マンゴーとパッションフルーツ ココナッツソース
⑨スフレショコラ ジャラハニーアイス
スフレショコラの味変用フルーツソース。チェリーだったかな、ラズベリーだったかな、記憶が曖昧。甘酸っぱい味が加わり濃厚チョコ味を飽きずにサクサク食べ切れるヤツ。
なんでこの角度で撮った、私?ラベル見えてないし笑
スモークサーモンの一番のお友達、プイィ・フュメで天国展開。
2025/07/24 更新
2024/12 訪問
これからもずっと麻布台へ通う理由ができた「冬のパトゥ」をいただきました
夏にいただいた「桃とセロリのスープ」が人生の中でも指折り数えられるほど衝撃的に美味しかった、こちらのお店。
そして今度は冬のメニューを楽しみに、また同じメンバー(社内で以前同じ部署で働いた旧知の先輩、後輩、私の女3人)で結集し、12月某日忘年会的にお邪魔させていただきました。
予約させていただいたのは、
・「コース /16,500円」×3名
・グラスで泡から白、赤へ各自適当に
年末の平日ド真ん中だったのでそれぞれまだ明日の予定もあって、ボトルでぐいぐい行ける感じではなかったのですが、それぞれのペースでグラスでお願いするスタイルにて。
メニューは以下のようなラインナップ。
・京都田鶴農園のかぶのムース トマトジュレ
・根室産バフンウニとボタン海老のタルタル 焼きなす レフォールのソース
・噴火湾産毛蟹と吉良有機農園の菊芋のスープ仕立て
・根室産鱈の白子ムニエル フランス産きのこのリゾット フレッシュ黒トリュフ
・徳島産白甘鯛のうろこ焼き キャベツのブレゼ ホワイトバルサミコのソース
・旭川産蝦夷子鹿のロースト ソースポワヴラード
・愛媛産マドンナのソルベ
・ジャスミンティーのブランマンジェ ラフランスのコンポート
最初の「トマトのジュレ」から驚きがありました。普通トマトと聞けば赤いものが出てくると思いきや、透明というか白いというか、でも味覚的に間違いなくトマトの酸味と甘みがフレッシュに閉じ込められていて、
この形状にするためにいったいどれほどの手間と技術を使われているのだろうと震えるようなひと皿めから始まり、
夏にもいただいて、この後の素敵な展開を間違いなく確信できて印象的だった「ウニと焼きなす レフォールソース」を今回はメヒカリをボタンエビに入れ替えたむっちり甘みのある冬メニューの構成でいただき、歓喜。
3皿めのスープは甘くとろり濃厚で冬らしく、明けていく新年が良き年であるよう予感と祈りが込められているかのような菊芋の白と毛蟹の赤のプレゼンテーション。
夏の「桃とセロリのスープ」の突き抜けたサッパリ感とは全然違う方向性で、ほっこりとした素朴な美味しさのじんわり滋味深く温かい味わいのスープをいただきました。
そして散り敷かれた枯葉の如くトリュフで埋め尽くされた下からたくさんの種類のきのこがお楽しみ箱的に次々顔を出す、食感と香りもさまざまに楽しいキノコのリゾット。クリーミーな白子がきのこの個性を中和しつつ引き立てる役目を果たします。
続く「甘鯛のうろこ焼き」は本日の山口シェフの真骨頂とも言うべきひと皿。これまでどこでも食べたことないほど軽やかに香ばしくカリッカリに焼かれたポテチのように旨いうろこ。甘鯛の甘みを引き出す絶妙な火の通り加減。そこにホワイトバルサミコのクリーミーな酸味が絡んでくる。
見事としか言いようがなく、3人とも黙る、唸る、ワイン飲む、食べる、言葉を探す、けれどもいくら探しても「美味しい…」しか出てこない状況でした。
こんな天才的うろこ焼きをマスターすることは一生無理として「ホワイトバルサミコのソース」だけでも弟子入りしてなんとかして学びたいものだと思いました。このソースが作れたら一生豊かに、何でもそれを和えて食べて幸せに暮らせそうですし。
帰りに少しだけシェフから教わった秘伝技は「実は付け合わせのキャベツのブレゼの茹で汁をソースを解くのに使っている」、という秘密でした。にゃるほどお。
いや、ていうか、しかし。まずキャベツのブレゼが上手く作れないとダメじゃん!道のり遥か遠し……
メインの蝦夷鹿も大変良いもので、私はあまり大型ジビエが得意ではないのですが、子鹿だからなのか、筋っぽさはまるでなく肉質はふわっとしていて、鹿特有の野性の匂いや重さもなく、まるでしっかりした仔牛のステーキのように鉄分を豊かに含む肉感。
そして鹿には定番のポワヴラードソースなのですが、スパイシーさプラス何かの魔法が使われているかの如くふわりと薫るフルーティーな香り、そして甘く、赤ワインビネガーのコクだけ残したようなまろやかな酸味も感じられる一言で言って「すごいソース」でした!
もしかしたらこのソースと相まって鹿肉が格段に美味しく感じられた可能性もあります。何が入っているのか、未熟な私の舌では感じわけられないフランス料理のソースの奥深さを噛み締め、大満足のまま、デザートへ。
甘鯛、蝦夷鹿の二段コンボで優しく殴り倒されて意識朦朧としており、すっかり一皿めのデザートは写真を撮り逃してしまいました…!が、紅まどんなのサッパリするソルベで意識を立て直し、
ブランマンジェと洋梨コンポートの色合いは最初のトマトと蕪のムースに戻ってきたような白と透明の色彩。豊かなジャスミンティー風味で締める感じ。デザートまで完璧な流れ。
そう言えば冬らしさを表現されておられるのか、敢えて色味を抑えた白い色彩の皿が多かったように感じました。中で蝦夷鹿の鉄分たっぷり赤身は主役の貫禄で見事でした。
こちらがメインを張る「蝦夷子鹿のロースト ソースポワヴラード」。主役として堂々と映える圧巻の赤身肉!旭川よ、ありがとう!
こちらまずは最初のひと皿め。上に乗っているキラキラしたジュレがトマト味だなんて信じられない!
美しいふた皿め。焼きなす、ボタンエビ、ウニの三段重ね。お正月っぽいというか…いや、ひな祭りの菱餅っぽい色合いというか。山口シェフのレフォールのソース最高!
日の丸の如くおめでたく、ほっこり温かい日本のフレンチを体現する菊芋と毛蟹を使った優しいスープ。
トリュフの下にはいろいろなフランスのきのこ各種と白子が隠れていて食べていてめちゃくちゃ楽しいリゾットです。
このうろこの見事な焼かれ具合。「うろこだけを別に揚げ焼きにするような感覚」とシェフは仰いましたが、そんなこと出来るのは天才だけ!
こちらはふた皿目の締めのデザート。一皿目のデザート「紅まどんなのソルベ」はすっかりポーッとなっていて撮り忘れました。
最初の前菜と、白と透明感のある黄色という同色で韻を踏むように締めるデザート。複雑な風味が交錯して見事。
2025/01/02 更新
2024/06 訪問
麻布台・衝撃的な美味しさの「桃とセロリの冷たいスープ」!!
有名人も頻々と行き交う話題の「麻布台ヒルズ」から道を挟んだトイメンに静かに品よく佇む、テーブルのみ8席の小さな正統派フレンチのお店です。
以前、多忙部署で3年間くらい机を並べ、深夜残業メシを一緒して励まし合いながら当時を乗り切った「先輩女子(3つ上)」と「後輩女子(3つ下)」と私の女三人で「久しぶりにご飯にでも行こう」ということになり、こちらを予約しました。初訪問です。
こちらのお店は、いつも拝見させていただいているフレンチ好き某パンダアイコン先輩レビュアー様が度々書いておられる愛あふれる推しレビューを拝見していて、いつかお伺いしたいと大事に保存していたリストから、後輩女子の「どっかお店のリクエストあります?」に応えて取り出しました。
時期は特に考えずのリクエストでしたが、結果的にお店のスペシャリテであり、ファンが「いつ始まるのか?」と毎年心待ちにする「冷たい桃のスープ」をいただくことが出来たことは千載一遇の幸せでした。
一緒に働いた部署はすでに解散し、今は三人それぞれ別々な仕事に従事していて会うのが本当に3年ぶりくらいだったため、女三人それぞれの空白を埋める話が止まらず、かしましく、賑やかしくしており…(※一応テーブル内限りの音量)、
だったのですが、「桃とセロリの冷たいスープ」を口に入れた瞬間から三人ともシーン……からの
「こ、これは……!」「う、美味いですね!」「マジで美味しい、何ですか?これ」と感嘆の言葉が次々あふれます。桃とセロリがこれほどまでお互いを引き立て合う関係性とは今回こちらのお料理をいただくまで知りませんでしたし、この美味しさは鮮烈で衝撃的でした。
ということで本日予約させていただいたのは、
・「15,000円/1人のコースメニュー」
・飲み物はグラスシャンパンで始めてシャブリをボトルでいただくなど。
コースの内容は以下のラインナップです。
・根セロリムースとコンソメジュレ フォアグラ
・余市産ムラサキウニと銚子産めひかりの藁薫 焼きなす レフォールのソース
・噴火湾産毛蟹のポシェ フランス産アスペルジュソバージュのリゾット
・香川県産桃とセロリの冷たいスープ
・竹岡産太刀魚とじゃがいものパイヤッソン ホワイトバルサミコのソース
・アイルランド牛サーロインのロースト
・デコポンのジュレとソルベ
・山形産さくらんぼ「紅秀峰」のクラフティ
(※おしゃべりに花が咲いていたため写真はところどころお留守になっていて全皿は撮れておらず…)
オーナーシェフの山口義照さんは、皆さまがレビューに書かれている通り間違いなく「酸味づかいの達人」で、どの皿もどこかしら爽やかな酸味要素が仕込まれていました。
それはハッとする新鮮さだったり、食欲を増進させる妙薬であったり、食べ疲れを癒す微風だったりと変幻自在に顔を出し、今のような暑い季節には特にとても楽しめるコースになっています。
私はふた皿めに出て来た、お寿司屋さんでもなかなかお目にかかれないほど新鮮で甘いウニと薫香を纏い旨みを引き出された魚とナスに絡むレフォールソースの中に潜んだスキッとした酸味が特に印象に残っています。このあと何が来てもきっと美味しいに違いないと確信できるひと皿でした。
こうして最後までコースを食べ切って超お腹がいっぱいなはずなのに、なんだかまだまだ食べられてしまいそうな気がするほど食べ疲れせず、さわやかで、美味しく楽しい晩餐になりました。
あまり酸味について力説すると「酸っぱいお料理なの?」と誤解されてしまいそうで困るのですが、そうではなくて、自在な出し入れのある名人技を実際にご自身の舌と風味で存分に堪能していただけると、ここに縷々書こうと足掻いている言葉の意味がきっとと分かっていただけるかと。
「根セロリムースとコンソメジュレ フォアグラ」序章感満載の冷たく旨みたっぷりのジュレでした
「余市産ムラサキウニと銚子産めひかりの藁薫 焼きなす レフォールのソース」とても印象に残る構築的な味わい
「香川県産桃とセロリの冷たいスープ」これだけごくごく飲みたい美味さ
「デコポンのジュレとソルベ」ストレートな柑橘系酸味の集大成
「山形産さくらんぼ「紅秀峰」のクラフティ」焼き立ての熱々、そしてプリップリのさくらんぼ。最後は優しい甘酸っぱさの余韻を残して幕を下ろす感じ
麻布台ヒルズ正面2階エスカレーターからお店を臨む
2024/06/26 更新
昨年のいま頃、こちらで初めていただいて激しい衝撃を受けた「白桃とセロリのスープ」!
冷たい桃の甘さとセロリの爽やかな苦味がこれほど好相性で、これほど味覚と嗅覚を揺さぶってくるとは考えたこともなかった…と感激しつつ何度もその後まで思い出しては反芻したものでした。
そこで昨年も一緒したメンバーで、またホームページから予約を入れて訪問。しかし3週間程前の時点で7月の予約はかなりいっぱいで、自在に行きたい日を選ぶというより、空きが発見出来たのでその日に全員予定を合わせて行きましょう、という感じ。
皆さま、7月は桃スープ狙いで早めから席の予約を入れておられるのですよね、きっと。マダムにお伺いしたところ、桃の市場次第ではあるけど9月くらいまではお出しできるのでは、とのことでしたので、まだの方も今から予約間に合います、多分!
いただいたものは
・「シェフのおまかせコース 20,000円」
・冷えた泡で始まり白ワイン、赤ワインとグラスで各自適当に。
コースの構成は
①小かぶのムース 根室紫うに トマトのジュレ
②野菜のエチュベ コリアンダーの香り 自家製からすみ
③昆布森産トキシラズの軽い燻製 アボカドきゅうり 青唐辛子とパクチー ミントのコンディモン
④噴火湾産毛蟹とジロール茸のリゾット
⑤竹岡産太刀魚とフォアグラのパイヤッソン アンチョビソース
⑥香川県産飯山町の白桃とセロリのスープ
⑦ロゼール産子羊のロースト 焼き茄子 タイムの香り
⑧宮崎マンゴーとパッションフルーツ ココナッツソース
⑨スフレショコラ ジャラハニーアイス
⑩コーヒー
①透明なのに口に入れるとトマトの豊かな風味に満たされるジュレは冬にもいただきましたが、夏本番のトマトなのでウニと絡まってより強くて濃い風味。最初の一皿からノックダウン気味です。
②自家製カラスミは、どれほどお手間をかけてこの日に用意してくださったことか。品が良いのに濃厚でエチュベにアクセントをつけ引き立てます。
③「コンディモン」というのはあまり聞き慣れないかもしれませんが、フランス語で薬味というかドレッシングというか、肉や魚にかける、ハーブや野菜をオリーブオイルやビネガーで和えたような感じの自家製ソースを指すそう。
こちらでは、パクチー・青唐辛子・ミントというスッキリ強い薬味にアボカド・きゅうりという中和的な野菜を入れて、トキシラズをさらに燻製した濃い鮭身にぶつけています。夏らしく素晴らしいコンチェルトです。(独奏する鮭と個性的なコンディモン楽団が絡み合うイメージ)
④山口シェフの手にかかった蟹とジロール茸のリゾットなんて、「美味しい、旨い」意外あり得ません!イノシン酸、グルタミン酸祭り的な旨味爆発です。
⑤パイヤッソンは大好物。家で見よう見まねで作ることがあるのですが、ジャガイモの千切りをカリカリに焼いてチーズを絡めて鳥の巣のように……はなかなかならず笑。
何を入れて作っておられるのか、どうやって綺麗に固めておられるのか、調理場を覗いてワザを盗みたいです。まあ見ても全く出来ないでしょうが…。
こちらではフォアグラのねっとりとパイヤッソンのカリカリを組み合わせる楽しい演出。
⑥はお待ちかねのスペシャリテ。もう言葉はありません。至福!いつまでもシェフにお元気でいて欲しいし、自分も元気で毎年いただきたいです。こうしてこの世で「失いたくないもの」をまた持ってしまった…!
⑦メインの子羊は脂滴る堂々たる焼き上がり。ロゼな肉色も官能的。フィンガーボウルを出してくださるので、豪快に骨周りの美味しいところは手掴みで齧り付きます!野性が目覚めるメインのお料理でした。
⑧桃スープとメインの肉で殴り倒されて、毎回この最初のデザートのあたりは記憶が朧げなのです。下手すると写真が残っていない可能性もあるところ、ちゃんと撮っていてえらい、私。さっぱりした柑橘に癒されて徐々に記憶を取り戻していったのでしょう。
⑨ふかふかの熱々の焼き立てスフレに蜂蜜の冷たいアイスクリーム!そんなの控えめに言っても最高!しかありません〜。ご馳走様でした。幸せな時間でした。タイムリープしてもう一回コース最初から繰り返してもOKですよ、マジで。
そして、シェフとマダムの控えめながら暖かさの溢れたおもてなしに癒され、久々に会う友との会話も穏やかに弾み、世は更けて行ったのでした。余韻含め好きなレストランの全ての要素が満たされています。これからも同じメンバーでずっと通いたいお店です。