P.R.ねるそんさんが投稿した福笑ゐ(福島/郡山)の口コミ詳細

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『旅ランナーのラーメン道』時々うどん道

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福笑ゐ郡山/海鮮、海鮮丼、創作料理

1

  • 夜の点数:4.0

    • ¥6,000~¥7,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2025/05 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

レバーも器もメニューも“選ばせ上手”な福笑ゐで、僕らは笑った

 郡山での最後の夜。
僕と後輩Hは駅前をふらつき、夜風に押されるようにして小林ビル2階の小さな行燈へ吸い込まれた。
店の名は「福笑ゐ」。
郡山駅から徒歩3分、階段を上がると途端に木の香と出汁の湯気が鼻をくすぐる。

 扉を開けると9席のカウンターが真っ直ぐ伸び、美男美女のご夫婦(らしき)二人が静かに笑っていた。
あとから黒エプロンの女性が増えて三人態勢。
誰が女将で誰がアルバイトか、僕らには永遠の三体問題だ。

 席に着くや否や、手書きのメニューが滑走路のごとく広がる。
達筆というより疾走書。
鯖の背をイナズマで描いたような「海鮮ユッケ」や、「ホタテバターポテサラ」の文字が踊る。
Hが「字、読めます?」と囁くので、「文豪の鑑定眼を信じろ」と胸を張る。

 まずはアサヒ熟撰と、お通しをいただくと僕らの旅の緊張も融ける。
続いて炙り明太子、白胡椒コロッケ。
コロッケは白雪のような衣に胡椒の弾丸が潜み、一口で舌が“胡椒弾き語りライブ”。
Hが涙目になり「パンチありすぎッス」と呟くのを見て、僕は心で拍手喝采。

 日本酒は地元中心。
さらに「お猪口もどうぞお好みで」ときた。
ガラスの薄造り、焼き物のガッシリ型、ファンシーな柄まで十人十色。
ここで器フェチのスイッチが入り、僕はガラスを、Hは陶器を選ぶ。

 低温調理の鶏レバーは舌の上で「とろ火のジャズ」。
新玉スライスがシャラリとシンバル。
僕の脳内では深夜ラジオが始まり、郡山の夜景がスタジオライト。

 ここで女将(仮)がにこりと笑って皿を置く。
中身はマグロと沢庵を巻いた“まぐたく”ロール。
シャリの間を泳ぐマグロが沢庵の黄色に照らされ、深海探査艇のようだ。

 締めは梅水晶。鮫軟骨のコリコリと梅の酸味が、次に来る郡山ロスを一瞬でデフラグ。

 気づけばカウンターは女性客で満席。
野郎二人は異物混入みたいに埋もれているが、不思議と肩身は狭くない。
人も料理も酒も、可愛い器も、全部が「わっはっは」と笑っている。
なるほど“福笑い”とはうまい命名だ。

 店を出ると、郡山の空にネオンが散り、酔いが万華鏡。
僕はHの肩をぽんと叩き、「また来よう」と言った。
Hは白胡椒で麻痺した舌で「次はガラスのお猪口ください」と返す。

 こうして僕らの郡山ラストナイトは、白胡椒と福笑いで締めくくられた。
明日からの現実という名の苦丁茶も、きっと甘く感じる――そんな気がした。

2025/06/23 更新

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