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昼の点数:4.0
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 3.5
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[ 料理・味4.0
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| サービス4.0
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| 雰囲気4.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク3.5 ]
晴れた日のうどん
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2025/07/15 更新
日曜日、僕は彼女と一緒に「瀬戸晴れ」に行った。
讃岐うどんである。
だがこの店はただの讃岐ではない。
食べるとうどんに恋をする、という怪しい噂まである。
そんなバカなと思いながら、僕らはまず牟礼町役場へ向かい、参議院選挙の期日前投票を済ませた。
政治的義務の後の炭水化物は、罪悪感を一層やわらげる。
店に着いたのは午前十一時過ぎ。
天気は晴れ、文字通りの「瀬戸晴れ」。
そしてすでに、前には十五人ほどの列。
「案外、短いわね」
と彼女は言ったが、その言葉には油断があった。
うどんを待つ時間は、並ぶ時間だけではない。
讃岐うどんは、打ちたて・茹でたてが信条。
店内に入っても、次なる待機が君臨する。
「どうする?」と僕。
「並ぶわ。お腹より、気持ちがうどんを食べたいの」
なんだその詩的な表現は。と思いながらも、僕も負けじと並ぶ。
待ち時間の間に、脳内では“うどんシミュレーター”がフル稼働し、僕の口の中はすでに冷たいぶっかけうどんを迎える準備を整えていた。
天ぷらは迷いに迷って、いかなご天と、貝柱入りのかき揚げを注文。
なんといっても揚げたてである。
彼女は定番のかけうどん。地味だが確実な女だ。
カウンター越しに受け取ったそれは、宝石だった。
小麦という名の鉱山から採掘された、むにゅっとした光を放つ麺。
天ぷらは、薄衣ながらカリッとし、いかなごの細かい骨がさりげなく抵抗し、舌に「海の証拠」を刻む。
貝柱のかき揚げに至っては、歯を通すごとに「これは衣か? いや、具だ!」と錯乱しそうになるほどの密度で、油の香りはどこまでも上品だった。
出汁のキレ。
カエシの控えめな塩分。
全体の調和。
それはまるで、政治的バランスの取れた理想の国会のようだった。…いや、これは比喩が過ぎるか。
食後、僕は箸を置きながらつぶやいた。
「選挙の一票より、この一杯のほうが、重みがあったかもしれないな」
彼女はあきれて言った。
「だったら、うどんで政治を変えれば?」
外へ出ると、まだ十五人ほどの列が続いていた。
僕は思う。あのうどんのように、待ってよかったと思える何かが、この世界にもっと増えればいいのに、と。
晴れた空の下、胃の中でうどんが静かに満ちていた。