P.R.ねるそんさんが投稿したグリル末松(兵庫/三宮)の口コミ詳細

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『旅ランナーのラーメン道』時々うどん道

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グリル末松三ノ宮(JR)、三宮(神戸新交通)、三宮(神戸市営)/洋食、オムライス、ヨーロッパ料理

1

  • 夜の点数:4.0

    • ¥3,000~¥3,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2025/08 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥3,000~¥3,999
    / 1人

僕とカツと卵の小宇宙 — グリル末松奇譚

僕が三ノ宮の雑踏を抜け、一軒家風情の「グリル末松」に足を踏み入れたのは、まるで異世界への扉を開くかのようだった。
予約は取れた。「ラッキーの神様がまだ僕の味覚に味方している」と胸が高鳴る。

店内は決して大きくなく、1階のカウンター席がせいぜい6席、2階の座敷に畳の席が3つほど──なんだか僕の心臓と同じくらいのサイズだ。
だからこそ妙に親しみを感じる。
カウンターに腰を下ろすと、厨房の気配がダイレクトに伝わってくる。

僕の目の前にまずやってきたのは、看板らしいオーラを漂わせる「ビーフカツレツ」だ。
肉はしっとりして、口にするとほんのりレアの衝撃。
「さくっ」「じゅわっ」という音が口中で共鳴し、自分の人生が映画のワンシーンになったかのような錯覚を覚える。
デミグラスソースは濃厚でありながら、後味に芯の通った苦みがあり──それは「大人ってのはこういうことか」と教えてくれる啓示のようでもある。

続いて「オムライス」の到着。見た目からして芸術だ。
薄焼き卵はまるで絹のヴェール、中のケチャップライスはぎっしり詰まって、デミグラスソースはしっとりした光を宿している。
初恋の甘さに少しだけ混じる苦味。そのバランスは、僕の心の奥にある甘酸っぱい記憶をくすぐる。

気づくと、僕のフォークは自主的に動き、皿の上はあっという間に白い世界へと戻っていく。
まるで「もう少し待ってくれ」という僕の心の声を、料理があざ笑うかのように。

食べ終えてカウンター越しに店の奥を眺めたとき、ふと僕は思う──ここは神戸の洋食の小宇宙だ、と。
狭さこそが親密さを生んでいる。
大げさに聞こえるかもしれないが、あの「さくっ」「じゅわっ」「とろっ」の三重奏は、たとえば科学者が発明に成功した時のような、ほんのちょっとした感動の爆発だった。

僕は立ち上がり、外の光の中に出た。
背後にはすでに行列ができていたが、胸の中には満足の余韻しかなかった。
思わず、誰かに「君にもきっとこの感動が伝わるさ」と声をかけたくなる。

そして僕は、微笑みながらつぶやいたのだった。

「神戸の洋食の真髄、ここにあり。」

2025/08/26 更新

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