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グリル末松三ノ宮(JR)、三宮(神戸新交通)、三宮(神戸市営)/洋食、オムライス、ヨーロッパ料理
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夜の点数:4.0
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¥3,000~¥3,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク 3.5
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[ 料理・味4.0
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| サービス4.0
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| 雰囲気4.0
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク3.5 ]
僕とカツと卵の小宇宙 — グリル末松奇譚
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2025/08/26 更新
僕が三ノ宮の雑踏を抜け、一軒家風情の「グリル末松」に足を踏み入れたのは、まるで異世界への扉を開くかのようだった。
予約は取れた。「ラッキーの神様がまだ僕の味覚に味方している」と胸が高鳴る。
店内は決して大きくなく、1階のカウンター席がせいぜい6席、2階の座敷に畳の席が3つほど──なんだか僕の心臓と同じくらいのサイズだ。
だからこそ妙に親しみを感じる。
カウンターに腰を下ろすと、厨房の気配がダイレクトに伝わってくる。
僕の目の前にまずやってきたのは、看板らしいオーラを漂わせる「ビーフカツレツ」だ。
肉はしっとりして、口にするとほんのりレアの衝撃。
「さくっ」「じゅわっ」という音が口中で共鳴し、自分の人生が映画のワンシーンになったかのような錯覚を覚える。
デミグラスソースは濃厚でありながら、後味に芯の通った苦みがあり──それは「大人ってのはこういうことか」と教えてくれる啓示のようでもある。
続いて「オムライス」の到着。見た目からして芸術だ。
薄焼き卵はまるで絹のヴェール、中のケチャップライスはぎっしり詰まって、デミグラスソースはしっとりした光を宿している。
初恋の甘さに少しだけ混じる苦味。そのバランスは、僕の心の奥にある甘酸っぱい記憶をくすぐる。
気づくと、僕のフォークは自主的に動き、皿の上はあっという間に白い世界へと戻っていく。
まるで「もう少し待ってくれ」という僕の心の声を、料理があざ笑うかのように。
食べ終えてカウンター越しに店の奥を眺めたとき、ふと僕は思う──ここは神戸の洋食の小宇宙だ、と。
狭さこそが親密さを生んでいる。
大げさに聞こえるかもしれないが、あの「さくっ」「じゅわっ」「とろっ」の三重奏は、たとえば科学者が発明に成功した時のような、ほんのちょっとした感動の爆発だった。
僕は立ち上がり、外の光の中に出た。
背後にはすでに行列ができていたが、胸の中には満足の余韻しかなかった。
思わず、誰かに「君にもきっとこの感動が伝わるさ」と声をかけたくなる。
そして僕は、微笑みながらつぶやいたのだった。
「神戸の洋食の真髄、ここにあり。」