P.R.ねるそんさんが投稿した元祖串かつ だるま 新世界総本店(大阪/恵美須町)の口コミ詳細

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元祖串かつ だるま 新世界総本店動物園前、新今宮駅前、恵美須町/串揚げ、居酒屋、日本料理

1

  • 昼の点数:4.0

    • ¥2,000~¥2,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2025/09 訪問

  • 昼の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥2,000~¥2,999
    / 1人

新世界で串かつに刺さる僕

――僕と彼女は、新世界にやってきた。
まるで探検隊だ。だが目当てはジャングルの秘宝でもなく、地底湖の怪魚でもない。
「元祖串かつ だるま 新世界総本店」である。串かつである。

三連休の人波はまるで通天閣の麓にできた人間の万里の長城。
僕らはその末端に取り込まれ、律儀に一時間半、行列に立ち尽くした。
日傘がなければ、僕の顔は大阪のたこ焼きと同じ焼き色になっていただろう。
彼女は「これが修行よ」と笑った。
串かつを食うのに修行がいるのか。

ようやく店内に吸い込まれ、僕らは「新世界セット」を頼んだ。
1760円。どて焼きと串九本の堂々たる布陣である。
まるで戦国大名が九人の槍衆を従えているようだ。

まずはどて焼き。
牛すじが甘辛い味噌で煮込まれ、舌の上でふわりと溶ける。
僕は思わず「殿、これは名将の采配にございます」と口走った。
彼女はすかさず「下々はありがたく頂戴しなさい」と、殿様口調で返してくる。
ふたりの芝居はエアコンの風より涼しかった。

串の中では、もちを塩で食べた瞬間、僕の心は跳ねた。
油にまみれた餅が、塩ひとつで清少納言のように気品を帯びるのだ。
エビは逆にソースをまとって海老蔵並みの迫力で襲いかかる。
衣のさくさくが、口の中で万博の花火のように弾けた。

「やっぱり、どて焼きが一番ね」
彼女は最後に断言した。僕も黙ってうなずく。
串かつの軍勢も餅もエビも、すべてはどて焼きの影武者だったのかもしれない。

外に出ると、まだ長蛇の列が続いていた。
僕らは日傘をくるりと回し、行列の人々に「串かつ修行は報われますよ」と心の中でエールを送った。

こうして僕と彼女の新世界探訪は幕を閉じた。
胃袋には油の輝き、心には大阪人のしたたかで陽気な魂が、しっかりと刺さっていた。

――串かつは、人生である。いや、人生が、串かつなのだ。

2025/09/20 更新

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