3回
2020/10 訪問
死ぬまでにあと何回食べれるのだろうか
成生です。また来ることが出来ました。2ヶ月連続という奇跡。私は日頃の行いが良いので運良く予約が取れました。神様、ありがとう。
前回いたく感動したので今回も期待大。中々お店に行く前からこんなにワクワクする事はありません。
最初のビールと共に供されるのは落花生のスープ。胃を温めてこれから来る料理を迎え撃つ体制を整えます。望むところ。
まずはお刺身から。クエです。前回同様、低い温度の油で通してから頂きます。
うげーめっちゃ美味い。今年は散々色んな寿司や魚を頂いていますが、ここの魚は本当に美味しい。照寿司で食べたクエとは全くの別物。クエってこんな美味しいんだ。
続いてはなんと伊勢海老。相変わらずすごい食材が淡々と出てきます。ぷりぷりの身は噛むと甘みがどんどん出てきます。これだけ大振りの身を頂けるのは伊勢海老ならでは。永遠に咀嚼していたい。
早速天ぷらへ。まずはオクラ。ねっとりというよりサクッとしておりオクラとしての確かな味を感じることが出来ます。
太刀魚は天汁へダイレクトイン。じゅ、という音が更に食欲を駆り立てます。身はホクホクで柔らかく、太刀魚の香りがふわっと香ります。太刀魚って寿司屋でもたまに食べますが、この方が美味しい。
3番センター、キス。この輝きよ。キスを天ぷらにした江戸っ子に感謝したいほど有難い。
隣には80歳過ぎぐらいのおばあちゃんがいらっしゃったのですが、美味しい〜とえらく感動してらっしゃいました。その恩年でも天ぷらが食べられるのが素晴らしいし、それぐらい軽いのも成生の天ぷらの特徴です。
こちらは蓮根。なんじゃこら。じゃがいもの様な香りがするのですが、蓮根らしく糸を引きます。そして蓮根の味が濃い。2ヶ月前ぐらいに行ったのですが、今でも味を思い出せる程。
おお、また君と出会えるなんて。前回も頂いた鯵です。まずこの色。見ての通り外はカラッと揚がってるのですが、中身は生でありほんのり冷たい。そしてこの身の厚さよ。青魚特有の脂の香りと鉄分。火の入れ方も完璧であり、天ぷらと刺身のハイブリッドです。
隣のおばあちゃんも「冥土の土産だわ〜」なんて仰っていました。いやいやこんな食べれるならまだまだと言いつつも、私もその歳になっても天ぷらか食べれる様になりたい。
これ、丸ナスなんです。ひたすらに軽く、中から極上の液体が流れ出てきます。全国の天ぷら屋にこうやってナスを出して欲しい。
甘鯛の登場。パリパリ、ふわふわ、ジューシー。分かりますか、そうですか分かりませんか。とにかく美味いという事です。
口直しのサラダ。冗談みたいだけどこのサラダもめちゃくちゃ美味しいんですよね。使われてるハーブの香りが素晴らしく、また全て違っていてとにかくフレッシュ。素材がいかに良いかよく分かります。
ああ、メゴチ。私の大好きなメゴチ。なぜ君はそんなに軽やかで、でも香りがしっかりとあって身も旨いんだ。君と出会えて良かった。
サツマイモ。前回もそうだったんですが、味のコントラストがすごい。皮は焦げる程に揚げられキャラメルの様な香ばしさ、中はサツマイモ自体の甘さが優しく、確かに感じられます。にい留もサツマイモの天ぷらが絶品ですが、似てる様で全然違う。似てるのはどっちもエグいぐらい美味しいという事です。
おばあちゃんが死ぬ前までにまた来れるかしら、と大将に仰っており、大将も苦笑い。なんでもそういうお方が時々居て特別に席を空けるそうですが、皆ぴんぴんしていらっしゃると。分かるなあ、この天ぷら食べれるならまだ死にたくないって思うもんなあ。
名前を失念しましたが特大のキノコ。キノコの香りが極限まで引き出されており、森の中にいるよう。そう、ここの天ぷらを食べると何故かその情景が浮かび上がるのです。
春子鯛も天汁にダイレクト。なんでここの鯛はどれも香りが強く、淡白なはずの身がここまで濃いのか。美味過ぎて私が冥土にイキそうになってきました。
銀杏。ああ、秋だなあ。仄かな苦味と香り。これと日本酒だけで2時間ぐらい飲めそうです。
締めの穴子。心の底から美味しい、そしてもう終わっちゃうのかという寂しさが胸に込み上げて来ます。
と思ってたら今日は1人1匹でした。やったー!と心の中で歓喜。なんなら骨煎餅も頂けます。あと5本ぐらい食べれるマジで。
締めには天丼をオーダー。漬物と味噌汁もホッとする様な美味しさ。天丼もつゆの味がしっかりしていますが、やはり軽やか。あと5杯は食べれるマジで。
最後に葛餅とお茶で御馳走様でした。
美味しかった。やっぱり美味しかった。前回感動したのは間違いありませんでした。隣のおばあちゃんじゃないですが、生きてて良かったと思うレベル。これでビールと日本酒1.5合で3万しないんですよ。やっぱり4万も5万も天ぷらで取るなんておかしい。
とにかく素材が良い。魚も野菜もどれも香りが良く、食べれば食べる程食欲が湧く様な不思議な感覚に陥ります。油は軽く、それでいてしっかりと旨味も素材に足されており、ただ揚げているだけとは信じがたい。前回も思いましたが、これは調理ではなく料理です。
隣のおばあちゃんが良い例で、しっかりと味があるのにいくらでも食べれるんですよね。揚げ物なんて私の歳でも普通に食べたら胃がもたれるぐらいなのに、ここの天ぷらは全くそれが無い。どころか、明日にでも食べたくなります。なんならもう一回転出来る気がします。
来年2月頃には移転されるそうです。席数は変わらず絞ったままとの事で、また予約が全然取れない日々が続くかと思うと暗い気持ちになりますが、それでも諦めず機会を伺います。死ぬまでにあと10回は行きたい。御馳走様でした。
2020/12/09 更新
2020/09 訪問
感動を通り越したもの
天婦羅には数多の名店がありますが、その中でも特に予約の取れない名店として有名なこちら。奇跡的に予約が取れたので新幹線で日帰りで行ってきました。東京からも名古屋からも1時間ぐらいで行けちゃいます。
お店は新静岡駅から徒歩10分程。隣の隣ぐらいに高校があり、丁度下校の時間だったのか高校生がいっぱい居ました。自分の高校生の時を考えるとまさか天婦羅を食べに日帰りで静岡に来る様になるとは。大人になったものだな、なんて隔世の感を抱きながら入店です。
まずはビール。と同時に落花生のスープ。胃を温める為とのこと。優しい落花生の香りであり、見た目の通りクリーミー。確かに胃が温まりお腹が鳴りそう。
つまみはハタのお刺身から。切り身を低い温度の油で油通ししています。ハタの身の旨味が油で引き立ち、むちゃんこ美味しい。脂が乗り、身の締まりも抜群です。
続いても刺身。アカイカです。これも同じく油通ししたもの。これも引くほど美味しい。コリコリとした食感とイカの香りが濃厚。寿司屋を蹂躙する程の美味しさの時点で今宵の勝利を確信しました。
余りに刺身が美味しく、ビールを秒で飲んだのでワインへ移行。ソムリエールらしき女性がお料理に合わせてグラスワインを出してくれます。まずは余市のピノグリ。日本のワインでピノグリとは珍しいですが中々美味しい。穏やかな酸味が魚とよく合います。
つまみもそこそこに天婦羅へ。トップバッターは連子鯛。なんじゃこれすんごい美味いぞ。熱々の天婦羅を鬼おろしの入った天汁に入れて頂くのですが、油がどこまでも軽く、また魚の味が強い。淡白な鯛をフレンチなどでは鱗を揚げ焼きにし、ソースをかける事で補完しますが、こちらはそもそもの鯛の味がむちゃんこ濃く美味しい。
オクラは大井川で取れたもの。ホクホクとオクラの香りが漂い、晩夏を感じさせます。
次のワインはシャブリ。シャブリ特有の穏やかな酸味が揚げ物とよく合います。やばい、序盤にして早くも幸せの溜息出てきた。
早くも天婦羅界の4番、キスの登場です。もはや枕にしたい程の軽やかさであり、キス特有の香りが口内に広がります。キスの天婦羅でこれほど軽やかなものは初めて。端的に言って死ぬほど美味しいです。さっきから美味しいしか言ってないな。
丸茄子。トロッとクリーミーな液体状の熱々の茄子が溢れてきます。さっきから火傷しそうなぐらい熱々なのですが、口の中が火傷だらけになっても悔いは無いほど極上の液体。
うわーこの見た目なんでしょうか。これ鯵なんです。テンション爆上げ。周りはサクッと揚げられているものの、中は生であり、まだ仄かに冷たさすら感じる程。刺身と天婦羅のいいところ取りであり、当然の様に青魚特有の香りが爆発していて半端じゃない。ポーションもめちゃんこ大きく、食べ応えも抜群と、言う事無しです。
戻ります。浜名湖の海老。ここで海老。中は半生で甘味が強い。ここでも地物を使う所に矜恃が垣間見えます。
続いては甘鯛。これも抜群に美味しいですねえ。鱗がパリパリになる様に揚げられ、一方中は羽毛布団の様にふわふわです。甘鯛特有の甘い香りも良く、ポテンシャルを余す所なく発揮しています。
お口直しにサラダが出てきました。沢山のハーブの下には鮑が入っています。鮑が主題かと思いきや、ハーブの香りが鮮やかかつ爽やかで立派なお口直しでした。
ここで海老のお頭。左の小さいのは肝だそうです。バリバリというよりはパリフワという感じでこれも羽毛の様に柔らかい。海老の頭一つとっても天婦羅とは色々な揚げ方があるんだなあと感じます。
写真は失念しましたが、今度はモンラッシェ。やっぱり天婦羅には樽の効いたシャルドネが1番。なんと贅沢なのか。
出ました、メゴチ。キスが4番ならメゴチはエースというぐらい個人的には大好きなネタ。天婦羅以外で滅多に頂かない魚ですが、とにかく香りが高い。身の旨味も強く、下手したらキスより美味しいかも。ああ、幸せ。
これカボチャなんですよ。周りが焦げているのですが、これがキャラメルの様な、ほろ苦く甘い香りで、むちゃんこ美味しい。甘いのですが砂糖の様な甘さではなく、本来のかぼちゃとしての甘味なのでクドさが全くありません。
こちらは万願寺唐辛子。かぼちゃの甘味から一点、仄かな辛味が心地良い。とは言え苦味というベクトルは同じであり、一連の流れを感じました。
見た目ではよく分かりませんが、イカの中に海老の子供を詰めたものです。フレッシュなのにねっとりと濃厚という嬉しい矛盾。さっきから色んな香りで満たされて幸せの溜息が止まらない。
パンに見えるこちらはじゃがいも。なんと1時間も揚げていたそうです。蒸したじゃがいもの様なホクホク感と、かぼちゃ同様素材自身の甘味を感じます。食べているだけなのに青い空に広大なじゃがいも畑が情景に浮かぶ様な天婦羅でした。
太刀魚。やっぱり美味しいなあ太刀魚。天汁にダイレクトに入れてくれるのでじゅわっとした音がするのも良い。正に五感を使った料理です。
姫子鯛。何かのお祝いかというぐらい何種類もの鯛が出てきます。こちらはまるでカサゴのようにしっかりとした香り。身はこれまでの鯛同様ふわふわであり幾らでも食べれそう。しかしこれだけ似た様な食材続けても全く飽きないというのはどんな魔法を使ってるんでしょうか。
締めは天丼、天バラ、天茶から選ぶ形。私は天バラをオーダー。お腹はいっぱいなのに、もう終わっちゃうのかと寂しい。
漬物です。普通に美味しい。
天バラです。小海老がゴロゴロと入っています。まずはそのままで。半分程頂いた後に出汁をかけて頂きます。お腹いっぱいだけどまだまだ食べたいよお。あと5杯ぐらい食べれそうです。
お茶とイチヂク。イチヂクの上には生胡椒が乗っておりさっぱり。お茶も自ら立てており、地元としての誇りを最後まで維持しています。
最後の最後は葛餅。お茶は先程のものの二番煎じで、より苦味を感じます。葛餅は目の前で作っており、最後の最後まで抜かり無し。
という事でコースを頂いてビール一杯とワインをグラスで3杯頂いて30000円弱でした。
ひたすらに感動的なお料理でした。地物の魚を中心にこれでもかと品数は多いのですが、油がとにかく軽く、いつまでも食べれる様な錯覚を味わいました。揚げ物でこれは奇跡に近い。
とにかく魚の香りが良く、天婦羅とは調理では無く料理だと漸く理解した様な気がします。というかそもそもの魚が本当に美味しい。淡白な魚が多いのですが、どれも柔らかく、香りがよく、何を食べているかはっきりと分かり、天婦羅である必然性を感じました。
それでいてこのお値段。にい留も確かにとても美味しく感動しましたが、往復の新幹線代を考えてもこちらの方が安い。というか値段を超えた圧倒的な美味しさがあります。
そんなに今まで天婦羅のお店に伺った事はありませんが、天婦羅でここまで感動したのは初めてです。もう明日にでも行きたい。毎日食べたい。何故か分からないですが、それぐらいここの天婦羅を食べたい欲求が湧いてきます。こんな事は初めてです。
次いつ行けるか分かりませんが、その日を夢見ることにします。本当に美味しかった。御馳走様でした。
2020/10/29 更新
また成生です。昨年秋に2回伺った以来。相変わらず行いが良い私に神様は優しい。このお店を予約出来た瞬間から行くまでワクワクが続きます。小学校の遠足の様に前日の夜なんかはソワソワして眠れません。
ビールを飲みながらのトップバッターは新わかめ。出汁に入れただけとの事ですが、まず出汁がそもそも美味しい。わかめの海の香りとサクサクとした食感も今後に期待を持たせてくれます。
クエ。いつも通り極低温の脂で通してから頂きます。仄かに温かく、身の弾力は強く、咀嚼の度に旨味が出てきます。脂がものすごい乗っているという訳では無い故に、余計に白身としての旨さを感じます。
続いての刺身は御前崎の平目。7kgとかいう怪物クラスです。まずカットが大きく、食べ応えがマックスで、何より信じ難い程の旨味の強さ。なんなんやこれは。奥は縁側を脂通しして炙ったもの。縁側って割と下品な脂になりがちなのですが、気品する感じる脂の香りでこちらも旨味がエグい。今まで頂いた平目の中でダントツです。
いつもは日本酒にするのですが、今回は来る前からワインで通そうと決めていたのでソムリエールにお任せします。まずはサンセール。よく見るセバスチャンフォーです。2018年。サンセールらしくすっきりとして余韻が綺麗。こういうエレガントなワインが私は好きなのです。
さて、天ぷらに。まずはお馴染み太刀魚。今回は紫蘇と一緒に揚げられています。これこれ、この香り。そして身がホクホクで柔らかい。紫蘇の香りも強すぎずいい。いつも食べていて、いつも覚えているのに、やっぱり来る度に美味しいなあと心の底から幸せの溜息が出ます。
ブロッコリー。なんやこれ。口に入れた瞬間の香り、咀嚼すると溢れる仄かな苦味、そして軽さ。パーフェクト。ブロッコリーってこんな美味しくなるんだと野菜としての可能性を感じる程のものでした。
きたー蓮根。噛んだ瞬間はじゃがいもの様な香りなのですが、微かに糸をひき、徐々に蓮根の味が出てきます。いい意味で土臭く、食欲がそそられる。もっともっと。
気付くと全員のお客さんがじーっと大将の揚げる姿を見てます。そう、次来る食材が何か気になってしょうがない。そして早く食べたい。そんな一体感が小さな店内に充満しています。
4番ファースト、キス。饒舌に尽くし難いほど美味い。口に入れた瞬間の香り、咀嚼すると溢れ出る旨味、そして脂の軽い余韻。キスって必ず天ぷら屋で出てきますがここのキスより美味しいキスを食べた事がありません。
プィイフュメ。キスにはブルゴーニュですよね。樽の香りがしっかりしながら柔らかく、なるほどキスにドンピシャです。外人にこの組み合わせさせたら卒倒するんじゃなかろうか。
アオリイカ。サックリなのにネットリという相反する食感と甘さ。仄かな甘さにこのイカ本来の味わいを感じます。
こちらはごぼう。スニッカーズ級の特大サイズです。箸で持って口に入れる直前から土の香りが漂い、口の中に入れている間ずっーとごぼうの幸せな香りが充満。さっきから幸せの溜息出ちゃって止まらないんですけど。
人参。なんやこれ。笑っちゃうぐらい甘い。しかも中がほぼ液体になっています。お客さんみんなが「これ人参?」と顔を見合わせる程。天ぷらとは揚げているだけではなく蒸しているという言葉を体現する様な天ぷらでした。
出ました、白甘鯛。ふわっとした香り、パリパリの皮目の食感、確かな旨味。ここに来ると鯛って縁起物だけでなくちゃんと美味しいものだという事を思い知らされます。
私の飲むペースが少し早かったのかワインを飲み干してしまいどうしようかと考えていると、ソムリエールが次は蛤が来るからとムルソーを少しだけ頂きました。ああ、官能的な香り。バターのニュアンス。強烈かつエレガントな余韻。ノックアウト。
果たして駿河湾の蛤。見ての通り中は生です。なんとジューシーなのか。蛤の香りが柔らかく、永遠に咀嚼したくなります。ムルソーともぴったりすぎて、もはやこの蛤だけで2-3杯空けられそうです。
サラダには蛸が入っています。全てがフレッシュで濃い。私は野菜と言えば夏の北海道が至高と考えていますが負けずとも劣らないフレッシュさでした。冬の静岡でこれだから凄い。
次に合わせてシチリアのオレンジワイン。薬草の様な香りとベリーの柔らかなニュアンスです。不思議。
小鯵。その小さい身に凝縮された味の濃さといったら。個人的には以前も頂いた分厚い半生の天ぷらが好きなのですが、こちらも甲乙つけがたい。オレンジワインも単体だと微妙ですが、合わせるとぐっと良くなりました。
こちらは白魚を紫蘇で巻いたもの。何でも大井川河口で白魚が取れるそうです。また詳しくなってしまった。白魚らしい柔らかで甘い香り。同じ油で揚げているはずなのに何故次から次へと違う香りのものが出てくるのか。
来ました、サツマイモ。早く食べたくてブレブレです。もう甘い。とにかく甘い。それも砂糖のような甘さではなくさつまいも本来の甘味です。なんなんだろう。どうしたらこんなに甘くなるんだろう。
やっと君が来たね。エース、メゴチです。ああ、この香りを嗅ぐ度にメゴチが好きになる。メゴチの香りというアロマがあったら欲しい。いや、お腹が鳴って辛いかもしれないのでやっぱ無し。
ローヌのロゼを。ロゼにしてはもったりとしており、なるほど終盤にロゼを持ってきた意味が分かります。
これ新玉ねぎなんです。うがーむちゃんこ美味しい。玉ねぎの香ばしさ、そしてこれ以上無い甘さ、液体化した身。全てが完璧。玉ねぎの天ぷらでフライドオニオンを想像した貴方、これは全くの別物です。100倍は美味しい。
なんと白甘鯛再び。こんな高級で美味しいものがまた出てくるなんて。まるで星野監督の様な采配です。こちらは白甘鯛の骨で取った出汁に入れて頂きます。先程とは個体が違うらしく、旨味の凝縮感がまるで違います。香りも濃く、一口に白甘鯛と言ってもこんなに違うのかと衝撃的でした。
まだ終わりません。赤座海老。これでなんと半身というとんでもない特大サイズ。口に入れると海老の香りが爆発。少しかけられた味噌も強すぎず良いアクセント。私はカセントで食べた赤座海老がトップオブシュリンプだと思っていたのですが、この瞬間並びました。
ご飯物にいく前の最後はカサゴ。大将が自ら言う通り、身がふわふわに膨らんでいます。そして食感もまさにそれであり、羽毛布団の様。そして口に入れた香り、味。絶品とはこのこと。これまで散々美味しいもの食べてかなりお腹いっぱいなのですが、死ぬほど美味い。なんなら1番美味しい。
さあフィナーレへ。今回は天茶にしました。これまで天バラ、天丼は頂きましたが、これが一番美味しいかも知れません。何と軽いのか。そしてお茶の香りが良い。あと5杯は食べれます。お腹いっぱいだけど。
漬物もホッとする美味しさ。しかしほんと手抜かないな。
お茶が美味い。水出しは余韻に柑橘の香りがします。最後まで地元推しを貫く所が良いですね。
続いてお湯出しはまろやかな苦味。こうしていつまでもお茶を飲んでこの店に居座りたい。
レモン。これがうんまい。酸味がはっきりしますが余韻がまろやかであり、みかんの酸味が強いものみたいですが、すごくさっぱりします。
以上、散々食べて飲んで3万ちょっと。こんな美味しいものがこの値段だもんなあ。もう他の天ぷら屋で食べても満足出来ない体になってしまいました。
過去2回を上回る素晴らしい食事でした。凄すぎるんですよね。何から何まで果てしなく美味しい。香り、食感、旨味、何から何まで高い期待をゆうに超えてきます。もう他の店と全然レベルが違う。
いつも魚がとにかく美味しいのですが、今回に関しては野菜も素晴らしかった。いや、いつも美味しいのですが、今回は意外性というか予想を超えるものが多かった印象です。何故あんなにもブロッコリーは軽いのに鮮烈なのか、人参は何故あんなに甘くトロトロなのか、さつまいもに至っては砂糖を使うより甘い、なのにいつまでも食べれる。どんな魔法を使ってるんでしょうか。
このお店に来ると天ぷらという料理の奥深さを感じます。ただ油で揚げてるだけではない何かをしてるのだなと。毎回感動を覚えます。
にしても今回ボリュームが多くていつにも増して圧倒感がありました。でも、最後にカサゴが出た時、瞬間的にテンションが上がる。お腹いっぱいでお店を出たのに、静岡駅に着く頃にはもう食べたい。明日にでもまた来たい。そう思うのです。そんなのこの店ぐらいです。
感動。次はいつ来れるのだろう。指折り待つには辛いけど、その分行けた時嬉しい。永遠に届かないけど、ほんの瞬間手が届く様な、そんな幸せがここにはあります。