1回
2020/11 訪問
繊細さと美味しさが同居した圧倒的な完成度のコース
2020/11/11 更新
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今日は妻とディナー。最近個人的にすごく良いことがあったので、思い切って銀座で食べてみることにする。
仕事仲間から聞いていて気になっていたお店。今日は料理長のおすすめコースを頼むことにする。
ハイボールは折角なのでマッカラン12年のダブルカスクを頂く。シェリーが効いた優しいハイボールで和食を邪魔せずに引き立てる。
一品目は車海老東寺揚げ 山椒塩。非常に繊細に薄く味付けがされており、エビの素材感がとても美味しい。薄く味つけられている分、添えられたノンアルコールの日本酒の出汁割りが日本酒のボディ感と濃いめの出汁の味が混ざり、最高のコントラスト。
二品目はフカヒレとズワイガニの中華風茶碗蒸し。まず見た目が本当に美しいと感じた。茶碗蒸し自体は薄めの優しい味で、フカヒレとズワイガニにはしっかり味がついているので、これらの素材の味がはっきりと出てくる。
三品目はお造り。中トロと羽太、縞鯵の三種盛り。中トロは一般的なお店と比べるとスタートの口当たりは柔らかいのだが、噛んでいるうちに旨味がグッとくる。羽太は繊細な白身の味な分、食感がコリコリしているのが強く感じられ楽しい。縞鯵は前の二つの中間のイメージ。旨味がかなり出てくるが味にありがちの臭さが全く本当に美味しい。
四品目は増田牛のステーキ。群馬の和牛のようだ。鉄板で自分で焼く上に三切れあるので、いろいろな焼き方で増田牛を楽しむことができる。
この増田牛。脂身が少ない部分だったが、赤身が信じられないほど美味しく、他の和牛と一線を画する。何事も脂を好む男であるので、これほど赤身に感動したのは本当に人生で初めて。レアがおすすめ。
五品目はラタトゥイユとポッコンチーニチーズ。ステーキの後にサッパリとした冷製で、肉とトマト、粉チーズの旨味もしっかり。
ポッコンチーニチーズは薄くて少し食感が強いモッツァレラチーズと言った感じで、チーズの旨味と程よい塩味が非常に美味しい。添えてある野菜に包んで食べると、よりサッパリ感が出て、美味しく感じた。
六品目は黒鮑のソテー 肝バターソース。繊細な鮑の味わいと食感の中に肝の苦みが素晴らしいアクセント。また付け合わせ山芋が非常に良い味を出している。鮑を噛んでいる間にバター、肝の味が出てきて、本当に絶妙だ。
七品目は雲丹のクリームパスタ。繊細な味わいだが濃厚なクリームパスタに雲丹の旨味、塩味のバランスが凄い。美味しすぎる。パスタも勿論ちょうど良い茹で加減で小さいながらも食べ応えをしっかりと感じることができた。このようなお店であるが、しっかり混ぜれば混ぜるほど、味が混ざって美味しくなった。
八品目はデザート。ガトーショコラと栗のシュークリーム、葡萄のシャーベット。ガトーショコラは甘さ控えめな口当たりから始まり、最後に濃厚なショコラがくる。栗のシュークリームは栗感が強い甘口のスイーツ。葡萄のシャーベットは予想に反して酸味はほぼなく、まったりした優しい甘さ。複雑な味わいは赤ワインのように感じる。３つの組み合わせは絶妙でコーヒーとも勿論最高に合う。
全体として、優しい味わいの中に、高級食材を入れることで、それらの食材の美味しさを際立たせるアプローチが絶妙。一品一品は主張し過ぎない優しい味なのだが、コース全体で考えた時の総合力は信じられないほどに高い。
また、よくある贅の極みといったようなコース料理と違い、最初から最後までとても繊細で分量にも気が遣われており、最後まで極めて美味しく、食後もすっきりと過ごすことが出来た。この点においては他の高級料理と比べても圧倒的だと言える。
全てにおいて素晴らしいクオリティで、どんな方でも堂々と連れていけるお店と感じる。機会を見つけて、何とかして再訪したいと感じた。