11回
2023/11 訪問
メリハリあるコースに舌鼓
2023年11月の夜です.
この日は神楽坂で和食. ミシュラン三つ星を取り続ける虎白さんに来ました. 一斉スタートではないので開始時間がある程度選べるのが便利なところです.
料理自体は日本料理ベースですけど洋の食材をうまく取り入れたりする虎白流というべき料理です. コースの組み立てもメリハリがあって最後までしっかり楽しめます.
さてこの日のコースは以下の通りでした.
◇雲子
ほんのり醤油を塗った白子のフリット. 表面がカリッとしていてたまらなく香ばしい.
◇香箱蟹の飯蒸し
香箱蟹は飯蒸しでトリュフソースを掛けて. 香箱蟹の方が味が濃いのでトリュフソースに負けないのだとか. 確かにトリュフソースも美味いけど蟹の内子外子の旨味もしっかりしています.
◇お椀
・松葉蟹の真薯
椀種は茹でてから焼いた松葉蟹の真薯. いつものように蟹しか使っていないのに旨味と甘味に溢れたお椀でした.
◇鰆
サッと炭火で炙った鰆の脂と旨さはこの季節ならでは. 上品な脂がたまらん.
◇焼き松葉蟹
シンプルですけどプリッとした弾力と甘味があります. 蟹の醍醐味ですね.
◇河豚
200℃で油通ししてからタレを塗って表面を炙ってます. これを手づかみで齧り付くのが楽しい. ぎゅっと詰まった身は齧り付きがいがあります. 付け合わせは揚げた下仁田葱と出汁酢につけた菊花.
◇鮟肝
鮟肝はただ出すのではなく裏漉しして焼き焦がした茄子と蓮根を合わせて柚子ジュレと和芥子を合わせてます. これは想像外の美味しさの逸品.
◇聖護院蕪の摺流し
上には半生ばちこ. ここはシンプルに蕪の味で舌を休めます.
◇唐墨
日本酒を飲んでいたら唐墨を出してくれました. ちょうどいい塩梅の柔らかさと塩味です.
◇虎白麺
すっぽん出汁の麺でした.
◇土鍋ご飯
この日の土鍋ご飯は鯛でした. 焼いてほぐして酒で炒った鯛の身を大量にご飯に混ぜ込んでます. 鯛の味も香りも抜群.
◇甘味
お酒
・ビール
・みむろ杉 木桶菩提酛 奈良
・Omine 3grain 山口
・紀土 特別純米酒 和歌山
・伯楽星 純米大吟醸 宮城
この日も高級食材をふんだんに使っていますが、その使い方も旨いし、コース内での抑揚もしっかりついて食べ飽きない構成です. こういうところが素晴らしい.
そしてご主人の細かい心配りも流石です. コースの進み具合はバラバラですけど、客の細部まで観察してるなといつも驚きます. 厨房が安定してるからなんでしょうね. お店の総合力ですね. また来ます.
ごちそうさまでした.
2023/12/11 更新
2023/07 訪問
鮎ドボン
2023年7月の夜です.
神楽坂に来ました. 週末はお祭りらしくメインの通りには提灯もかかって普段より賑やかです. いつも通りのお祭り何年振りなんでしょうね.
さて横道に入って目指す虎白さんに来ました. 昨年は夏の虎白さんを逃したのでこの季節にくるのは2年ぶりでしょうか. 楽しみです.
カウンター席について小泉さんに挨拶をして料理が運ばれてきます.
◇鮑に肝ソースと土佐酢ジュレ
いきなり先制パンチを浴びた感じの美味しさ. 鮑と肝という鉄板の組み合わせですね. 黄韮のシャキシャキ感がアクセント.
◇鮎ドボン
この時期の虎白さんのスペシャリテ熱々に揚げた鮎がトリュフ入りホワイトソースに飛び込んでます. 内臓の苦味、香ばしさとトリュフの香りの取り合わせ. 味もいいですけど魅せ方が虎白らしい.
◇お椀
・帆立真薯
例によって帆立だけを使った真薯です. 出汁醤油を塗って焼いてあるので帆立の甘味旨味が凝縮されているのに加えて軽く香ばしさもあります.
◇お造り
・太刀魚
・蒸し雲丹
皮を炙った薄切り太刀魚を山葵や茗荷、虎白ジュレ、さらに蒸し雲丹も付けて好きなように食べられます. この蒸し雲丹は単独で食べても酒のアテにピッタリ.
◇賀茂茄子
賀茂茄子を出汁で炊いて揚げて焼いてと火を通しています. 中はすっかりトロトロになって出汁がジュッと滲み出してきて旨いですね、これは. 合わせる蕗味噌も茄子とピッタリ.
◇玉蜀黍
ガラス容器の上の蓮の葉と蓴菜を中に落としていただきます. 中の透明ジュレは玉蜀黍の甘味たっぷり. 玉蜀黍は影も形もないのになぜか玉蜀黍味、不思議な調理です.
◇白甘鯛
炭火焼きした白甘鯛を生姜餡と一緒にいただきます. 魚の火入れは抜群ですね. 最高の白甘鯛でした. 餡の中の冬瓜もシャキシャキで旨い.
◇虎白麺
トリュフソースにトリュフを削り入れた贅沢な麺. 皿が前に置かれた瞬間からトリュフの薫りが素晴らしい.
◇炊き込みご飯
この日は泥障烏賊と梅の炊き込みご飯でした. 烏賊入りの炊き込みご飯は初めてですが味も食感も烏賊の存在感がすごいですね. 梅の酸味も程よく効いています.
◇甘味
シェリー酒クリームにメロンのグラニテ. 上には黒蜜. メロンはさっぱりして口直しにぴったり. 黒蜜はどうだろう.
◇蕨餅
お馴染みのココナッツ蕨餅.
お酒
・お料理のビール
・鍋島 Summer moon 佐賀
・十四代 中取り純米吟醸 赤磐雄町
相変わらず季節感溢れる料理でした. 高級食材を重ねた皿も、お椀のように引き算の料理もどちらも旨いのはさすがです. 人員も豊富で接客レベルも高いので安心して食事を楽しめますね.
次回も楽しみです.
ごちそうさまでした.
2023/08/02 更新
2023/04 訪問
完全ノックアウト
2023年4月の夜です.
この日は久しぶりの友人と神楽坂の虎白で夕食. 虎白さんが仕込んだ春の食材が我々を迎え撃ってくれるだろうと期待大での訪問です.
すっかり人手が戻った神楽坂を下って路地のお店に入ります. いつものようにカウンター席についでご主人にご挨拶. この日も期待通りに高級食材に一手間かけて美味しさを引き出した料理のオンパレードでした.
この日の一通りは以下の通りです.
◇雲丹に蛤出汁のジュレ
雲丹も美味しいけど刻んだ蕗の苦味とシャキシャキ食感がフレッシュ.
◇蒸して揚げた鮑の飯蒸しの昆布出汁かけ
蒸して揚げるという工程で鮑の旨みがしっかり引き出されています. 鮑に負けない濃さの昆布出汁が効いて旨いお茶漬けみたいな感じなんだけど昆布と鮑が合わさって旨いですよ、これは.
◇お椀 車海老真薯
虎白さんのお椀といえば椀種はつなぎを使わず素材だけを使って旨みを引き出した真薯. この日は車海老でしたけど真薯にする前に火を通して甘味旨味を充分に引き出しています.
◇太刀魚と鮟肝
お造りは太刀魚. これに鮟肝が付いてきます. 太刀魚だけで食べたり鮟肝巻いたり、虎白ジュレもつけたりして旨味に旨味を重ねてこりゃ旨い.
◇白甘鯛
衣は松笠風に仕上がった甘鯛です. 揚げて蒸して焼いたってどうやったのかわからんですけど確かに香ばしい. 付け合わせは春蕪.
◇桜鱒
焼物第二弾は桜鱒. かなりレアに火入れしてあって中は刺身みたいな食感ですが、タレと相まって旨いですね. 上の黄韮もさっぱりしていて鱒と相性よしです.
◇牛タン
虎白さんが花山椒と合わせたのは炊いだけど牛タンでした. 淡白な牛タンに筍と花山椒という春爛漫な感じです.
◇虎白麺
虎白麺は帆立出汁に帆立のほぐし身. こちらにも花山椒を合わせてちょっとピリッとした感じが楽しめます.
◇蕗の薹ご飯
土鍋ご飯は蕗の薹ご飯. この日のベストはこれというほどの美味しさ. 蕗の薹を衣をつけて揚げて出汁醤油にくぐらせてから混ぜ込んだそうで、蕗の薹の苦味に香ばしさと出汁醤油の味がプラスされていくらでもお代わりできちゃうご飯でした.
◇メロンのシャーベット
◇ココナッツわらび餅
お酒
・黒龍 純米大吟醸 福井
・十勝 純米吟醸 北海道
この日も期待通りに虎白流和食にノックアウトされました. また季節変えて来ます.
ごちそうさまでした.
2023/05/02 更新
2023/01 訪問
冬の食材に心を鷲掴みされた
2023年1月の夜です.
この日は神楽坂の虎白で夕食ということで人手が増えてきた神楽坂のメインストリートから路地に入ります.
和洋の食材を巧みに使うだけでなく要所要所に高級食材を使って虎白ならではの料理を展開していきます. 訪問のたびにこの高級食材を使った料理にノックアウトされるのですが、この日も冬の高級食材の味わいにしっかり引き込まれました.
この日もカウンター、テーブル席と満席. それを時間差スタートでタイミングを見計らって料理を出して行くオペレーションもまた見事. 待たされると言うことが一切なくいいテンポで料理が出てきます.
この日の一通りは以下の通り.
◇帆立の黒トリュフソース
火入れした帆立に濃厚トリュフソースの組み合わせ. 薫りがよいトリュフソースは帆立と相性いいみたいで絡めて食べると抜群に美味しい.
◇松葉蟹の飯蒸し
目の前で炭火焼きしてくれた松葉蟹の脚に餅米とキャビアを添えて. 蟹の質は文句なしでほぐして食べると強い甘味旨味が出て米とのぴったりです. 蟹とキャビアの相性も間違いなしですね.
◇松葉蟹真薯のお椀
この日の椀種もつなぎを使わない真薯. この日は蟹でしたけどなんでこんなに美味いんだという真薯です. 椀種だけじゃなくて出汁もまた美味くて完成度の高いお椀です.
◇お造り ふく
厚切りのふくと皮に合わせたのは河豚白子です. 鮟肝を合わせるのはよく見ますが白子とは恐れいります. 炊いた白子をちょっと崩して刺身、皮と一緒に食べると反則技の美味しさです.
◇真魚鰹と海老芋
真魚鰹の火入れも抜群で美味いんですけど海老芋の唐墨パウダーかけもホクホクです. 魚、芋、唐墨と酒が進む組み合わせ.
◇鮟肝 聖護院蕪 蕗
聖護院蕪の摺流しの下には鮟肝ペースト. 濃厚な鮟肝の味に冷たい摺流しが負けるんじゃないかと思いきや、蕪の甘味がしっかり活きてます. むしろこの組み合わせはとても美味い. どうやって見つけたのか.
◇真鴨
真鴨の身に鴨肉団子、堀河牛蒡を出汁で炊いてます. 鴨肉の脂が出汁に浸み出し、それが鴨肉団子に浸み込んでなんとも言えない美味しさ. 鴨だけでなく出汁の美味しさを実感する一皿.
◇虎白麺
海老出汁に赤座海老の天ぷらがのってます. この出汁に旨味がでていてあっという間の完食.
◇土鍋ご飯
〆のご飯はトラフグご飯です. トラフグを唐揚げにして混ぜ込んだという贅沢ご飯です. 唐揚げを混ぜ込んだのに全く脂っこさがなくて旨味だけがご飯に染み込んでいます. コースの終わりですけどスルッとお腹に収まる美味しさで、お代わりを繰り返して残りはおにぎりで翌朝の朝食となりました.
◇胡麻ソースに苺のコンフィチュール
◇ココナッツ蕨餅
甘味は食事と比べて独特だなあと思うのは私だけではないと思う.
この日もカウンター席で料理とおもてなしを堪能できた2時間でした. また季節を変えてきます.
ごちそうさまでした.
2023/02/12 更新
2022/10 訪問
最高のホスピタリティと最高の料理
2022年10月の夜です.
今夜は虎白さんで夕食です. 6月の予約は外せない用事と重なり泣く泣くキャンセルしたので半年ぶりとなりました. 暗くなった神楽坂を路地に入ってお店の戸を開けました.
いつものようにカウンター席に腰を下ろしてご主人に挨拶. さて秋の食材が揃う季節ですので楽しみにしていましたが、やはり期待に応えてくれる2時間となりました.
この日のコースは以下の通りです.
◇松茸春巻
季節の松茸はいきなり春巻になって登場. カリカリの皮にかじりつくとワンテンポ遅れて松茸の薫りが広がるんですけどこの時の幸福感がたまりません. 当然中の松茸の餡も旨い.
◇飯蒸し 白トリュフ
飯蒸しはストレートにトリュフソースで. こっちの茸も薫りがすごいですね. 松茸、白トリュフと続くとはいきなりクラクラしちゃいます.
◇お椀 鼈飛頭龍
椀種は鼈. 鼈自体の旨味もいいのですが生姜のアクセントがいい味出してます. 出汁にも鼈の旨味と生姜の香りが移ってきてそれも美味しい. 丁寧な仕事が感じられるお椀でした.
◇お造り(鯛 甘海老)
お造りは明石の鯛と甘海老. 鯛はさすがの弾力ですね. 鯛にかかってるのはいつもの虎白ジュレですけどこの鯛にかけちゃうのは鯛の旨味が隠れてもったいない気がします.
◇鰆利休焼き かぐら南蛮 栗おやき
焼物は鰆. 脂がのってきた旨い鰆に胡麻ダレを塗って焼いてますけどこの香ばしさが食欲をそそります. ふっくら焼いてあって脂も旨味も染み出してきます. 付け合わせの神楽南蛮のピリッとした辛味もいいし、栗のおやきも旨い. 秋ですねぇ.
◇牛タンに香茸
香茸って初めて食べたかも. 炊いた牛タンはホロリと柔らかくシャキッとした香茸の食感と対照的. ほのかに漂う柚子の香りがアクセント.
◇松茸土瓶蒸し
久しぶりに食べた松茸土瓶蒸し. 虎白さんが作るのですから期待度大の状態で蓋を開けました. モワッと立ち上る松茸に出汁の薫りがたまりません. シャキッとした松茸に鱧、さらにトロトロになった蕪の組み合わせ. 出汁も干し貝柱に鶏の組み合わせでしっかりした味わい.
◇虎白麺 いくら
プルプルいくらが口の中で潰れるとその味が麺に絡みついて旨い.
◇舞茸ご飯
土鍋ご飯は天然舞茸ご飯. バターを使っているんじゃないかと思わせる重厚な旨味です. 今まで食べた中でナンバーワン舞茸でした. 残りを持ち帰って翌日食べましたが冷えても旨い.
◇ピオーネ 巨峰 氷
◇ココナッツワラビ餅
いつものように高級な食材を使ったお皿のオンパレードですけどその味を活かすために丁寧な仕事を積み重ねているなと実感したコースでした.
お店の活気も変わらずでカウンター内でのご主人と若い方のやりとりを聞いても指導が行き届いているんだなと思います.
次は来年来ます.
ごちそうさまでした.
2022/11/15 更新
2022/03 訪問
春の虎白
2022年3月の夜です.
この日はまだまんぼうの真っ最中だったせいか、神楽坂の夜は金曜日だというのに人影もそれほど多くありません.
そんな中ですが虎白さんはカウンター席・テーブル席ともに満席. 流石の人気ぶりです. この日は3月初旬で春の陽気が近づいてきていましたのでどんな料理が出てくるのか楽しみでした.
この日の一通りは以下の通りです.
◇泥障烏賊と蕗の薹の天ぷら
泥障烏賊の天ぷらには唐墨パウダーをかけて. 泥障烏賊は火が入って甘く美味しく塩の代わりの唐墨パウダーの風味がたまらない. 塩をかけた天ぷら蕗の薹の苦味はこの時期ならでは.
◇虎河豚白子の飯蒸し
トロッとした濃厚な白子の飯蒸しに松葉蟹の身と蟹の出汁をかけたもの. 白子だけでも美味しいのに蟹の出汁が効いてたまらん.
◇お椀
虎白さんの真薯はメインの具材以外の混ぜ物がないので素材の旨味・甘さ・風味がそのまま味わえます. この日の車海老真薯も海老だけで構成されていて口に入れると海老だけの甘さが口に広がります. 食べ進むと吸い地に海老の味が広がってくるのも楽しい.
◇お造り
虎河豚 鮟肝和え 虎白ジュレ
河豚の弾力はそのままに、淡白な味を濃厚あん肝とジュレで味付けした感じ. 淡白な味をそのまま楽しむのもいいけどこれも虎白流.
◇鰤 黄身辛子醤油
塩〆で旨味が凝縮された鰤を黄身辛子醤油で. 名残の鰤の味を堪能しました.
◇海老芋トリュフソース
この海老芋も美味しい. 海老芋単体でも十分美味しいですがそこにトリュフソースの塩気と香りが合わせてうまくまとめてくるのが虎白流ですね.
◇聖護院蕪の摺流しとキャビア
シンプルだけどコースの後半に出てきても違和感ない完成度の摺流し. 蕪だけの摺り流しにちょっとキャビアで味をつけています.
◇虎白麺
ご飯の前の炭水化物ですがこれも麺だけのシンプルなものですが出汁の味が良くてツルッと入ります.
◇唐墨
残ったお酒のアテに切って出してくれました. しかも結構分厚く. 思い切って齧り付きます.
◇のど黒ご飯
この日のご飯はのど黒ご飯. 身の旨味が米に染み込んで美味しくお代わり2回しました. 流石に全部は食べきれないので残りは翌日の朝ごはんに.
◇苺ミルクとココナッツのアイス 道明寺粉
お酒
・勝駒
・十四代
やはりお椀の真薯は虎白さんが一番だなという期待通りの味でした. それ以外も虎白さんらしい料理で春を楽しませてもらいました. そういえば筍が出なかったけれど3月初旬はまだちょっと早かったかな.
次は初夏の予定. 楽しみにしています.
ごちそうさまでした.
2022/04/04 更新
2021/12 訪問
冬の虎白
2021年12月の夜です.
神楽坂にやってきました. 神楽坂も人手が増えて忘年会らしき集団もちらほら見えます. そんな喧騒の中、横丁に入って4ヶ月ぶりの虎白にきました.
いつものようにカウンター席につきご主人に挨拶したのちビールで喉を潤わせました. カウンター席は先客がいませんでしたがテーブル席の方では佳境に入った席もあるみたい.
この日楽しんだ冬の味覚は以下の通りです.
◇白子揚げ
さっと揚げた白子にキャビアをのせて. 揚げて外はカリッとさせて中はとろりとした食感は維持. このトロトロ感はたまらない.
◇香箱蟹の飯蒸し
身と味噌、外子、内子全てを使用. 香箱蟹の旨味全てを吸収した餡の威力は絶大.
◇お椀
椀種は松葉蟹の蟹真薯. いつもの通りつなぎを一切使わない真薯は純粋な蟹の旨味、甘さを楽しめます. この日の蟹は福井県産の献上品質の越前かにでした.
◇お造り
厚切りにした虎河豚です. 上から裏漉しした鮟肝に虎白ジュレの組み合わせ. 厚切りにした河豚のくにくにした弾力がフレッシュでした.
◇焼物
鰆です. 中がぎりぎり生という状態の火入れでしっとりとさせています. 旬の鰆の脂がほんのり融け出してうんまい.
◇揚物
この日は海老芋です.出汁で炊いて味を含ませてから揚げて、さらに潰して蒸したもの. 上から黒トリュフソース.
◇焼物その2
真鴨がやってきました. 皮目のパリッとした感じと脂が融けた感じ、さらに噛み締めた時に出るこの鴨の旨味は網捕りかな. ソースは玉ねぎですが1時間蒸して辛味を飛ばしてからすりおろしたとか. 味付けは柚子胡椒.
◇蒸物
白甘鯛に聖護院かぶらのすりながし. 白甘鯛の美味しさは言うことなしです. すりながしの味付けは塩だけということでここも虎白流ですね. 蕪の甘みが存分に引き出されてます.
◇虎白麺
先ほどの献上かにの甲羅でとった出汁に蟹の身を具にしています. この出汁は文句なしで美味しい.
◇土鍋ご飯
虎河豚の唐揚げを混ぜ込んだご飯でした. これは反則級の美味しさですね. 当然お代わりして残りは翌朝の朝ごはんになりました.
◇甘味
黒蜜の寒天にラム酒ソース. そえたのは松の実と胡桃.
◇お酒
生ビール
日本酒(半合ずつ)
・みむろ杉 無濾過生原酒 純米吟醸
・飛露喜 大吟醸
やはり虎白らしさが溢れ出たコースでした. トリュフとかキャビアとか高級食材を使う一方、椀種やすりながしにはほぼ調味料を加えず素材の味のみで美味しさを引き出すところはさすが虎白さん.
またカウンター、テーブル席とあれだけ席数があって一斉スタートじゃないのにテンポ良く料理だ出てくるのもすごいですね. オペレーション能力も素晴らしい.
季節を変えてまた伺います.
ごちそうさまでした.
2021/12/30 更新
2021/08 訪問
夏の虎白
2021年8月の夜です.
春に続いて神楽坂の虎白に来ました. 高級食材を惜しげもなく使いますが、それだけではない調理で楽しませてくれる名店です.
そして何より一斉スタートでないので無理矢理自分のスケジュールを合わせなくてもいいのが助かります. カウンターにテーブル席があって客も多いのに、バラバラのスタートを可能にするのはお店の能力の裏付けでしょう.
前回の訪問で予約を取った時に、夏の食材を準備して待ってます、と言われたので楽しみにしてきました. この日も時間差でほぼ満席となりました.
この日頂いたコースは以下の通りです.
◇鱧の焼き霜造り
鱧の皮に直接炭を当てて焼き霜に. それに塩出汁をかけてます. 焼き霜にしたことで香ばしい薫りが立っていきなり食欲中枢を刺激します. 炭を当てるのは一瞬なので身は生で美味しい.
◇揚げ鮎
まずビジュアルが面白い. 揚げ鮎が頭を突っ込むのはトリュフソース. 鮎自体のサイズはしっかりしているので身の味と内臓の苦味がはっきりしています. そこに合わせるトリュフソースも風味が強く鮎に負けない存在感. この時期なのに香りが強いトリュフでした. ビジュアルに負けない美味しさです.
◇鮑の飯蒸し
鮑のいい薫りが漂います. 鮑ともち米の間には肝ソースがあってこれまた鮑のの風味を増してうんまい.
◇お椀
椀種は煮穴子の真薯. 煮穴子以外の味付けをしていないのにとても美味しい. 全部穴子の旨味. 出汁の味は控えめで穴子の味が活きてます.
◇太刀魚と紫雲丹
お造りは焼いても美味しい太刀魚をお造りで. 雲丹はみょうばん不使用. これらを虎白特製ジュレで頂きました. 虎白さんのお造りは特製ジュレで食べるものみたい. 醤油で食べても美味しそうですがここは虎白流で.
◇琵琶鱒の焼き物
刺身でも食べられる琵琶鱒を焼き物で. 刺身でも食べられるからか中はかなりレアな焼き加減. これを実山椒で頂きます. これはこれで美味しいのですが焼き物ならしっかり火を通して食べるのが私の好み. 添えてあるのは芋茎.
◇じゅんさい
目の前に提供されたときには葉の上にじゅんさいだけ。これは清涼感あるビジュアルだけど???と思ったら、葉を傾けて下の器にじゅんさいを移して食べるよう教えられました. 下には玉蜀黍のジュレとキャビア. この玉蜀黍のジュレがとても美味しい. 玉蜀黍を蒸して一晩寝かせてジュレにするそうですがものすごい甘さで圧倒されそう.
◇甘鯛の松笠焼き
松笠焼きにした甘鯛は身がふっくらしてうんまい. パリパリしたウロコの食感もまたよくこの火入れはとても好みでした.
◇虎白麺
出汁はスッポンの味にあふれていて旨い. というかこれだけスッポンの味が出たスープに麺だから美味しくないはずがないですね.
◇鮑ご飯
炊き込みご飯の具は鮑. 贅沢なことですがシンプルに鮑のみでその薫りと旨味に圧倒されました. 当然おかわりして残りはおにぎりにして持ち帰りました.
◇甘味
巨峰にピオーネジュレとクリームチーズ
鮎なんてビジュアルに目を奪われましたが、しっかりと作り込んでるなという印象です. 通常の調理ではなく虎白独自の料理を目指している感じです.
また季節を変えて来たいと思います.
ごちそうさまでした.
2021/09/12 更新
2021/04 訪問
春爛漫の虎白
2021年4月の夜です.
神楽坂の虎白に来ました. 前回の訪問時に予約を取った日を楽しみに待っていましたが遂に来ました.
前回は秋の味でしたが今回は春. 春の食材を虎白さんがどう調理するのか楽しみです.
今回は夜ということで前回とは違い賑わっていました.
この日頂いたコースは以下の通りです.
◇春蕪の摺流しとキャビア
蕪の甘さにキャビアがいい塩梅の塩味を足して最初からお酒が進みます.
◇稚鮎とそら豆
はしりの稚鮎はサクッとしていながら身は柔らかい. 内臓の苦味とそら豆がよく合います.
◇桜海老の飯蒸しと唐墨
旬の桜海老. 噛み締めると海老の香ばしい味と薫りが鼻に抜けていきます. もっちりした餅米が合います.
◇お椀 白甘鯛の真薯
調味料を加えず甘鯛の味だけで勝負した真薯. 白甘鯛の優しい旨味が口に広がります. 出汁との組み合わせもぴったりで前半1番の料理でした.
◇金目鯛とバフン雲丹 ジュレ
お造りです. 素材もいいですが、上にかかった特製ジュレが旨い. 匙をもらって最後まで余すことなく掬って食べました.
◇生鮑 肝ソース
生の鮑とは珍しい. これ以上厚いと固いというギリギリの厚さにカットされた鮑はコリコリした食感が素晴らしい. 鮑自体の味もいいですが肝ソースと食べると至福の時です.
◇焼いた牡丹海老とタラの芽
こちらは焼いた牡丹海老. 鮨屋でよく出る食材ですが焼きはなかなかありません. 焼いてもプリッとした感じはそのままで海老の旨味が濃縮された感じがします.
◇シャトーブリアンと花山椒
ローストしたシャトーブリアンに花山椒というこの季節だけの組み合わせ. 旨味たっぷりの牛肉に香り豊かでピリッとした痺れる花山椒はたまりません.
◇蛍烏賊と春筍、こごみを白味噌仕立ての出汁で
蛍烏賊の苦味が白味噌の甘さとぴったり. 春筍はえぐみもなくてシャキシャキ.
◇河豚皮出汁麺
前の白味噌と変わって出汁は控えめで麺がスルスル入ります. 河豚皮は歯応えがあってアクセントになってます.
◇桜鱒とふきの炊き込みご飯 花山椒
土鍋ご飯は桜鱒と蕗. 花山椒を掛けますかと聞かれてもちろん、と即答. 鍋からはピリッとした花山椒の香りが漂ってきます. ふっくらした桜鱒の味はこの季節ならではですね. 蕗のほのかな苦味もあり良かった.
◇抹茶葛餅 クリームチーズソースで
葛餅は抹茶味に仕立ててますがクリームチーズの濃いめのソースが合います. 面白い組み合わせでした. 砕いたナッツは食感のアクセント.
◇玉露
筍、稚鮎、花山椒など一通りの春の食材を楽しみました.
要所要所に繊細な仕事を感じるコースでしたが、前回に引き続きお椀は特に素晴らしかったですね.
また来たいです.
ごちそうさまでした.
2021/04/30 更新
2020/10 訪問
伝統に加わった創意工夫
2020年10月の昼です.
神楽坂のミシュラン三ツ星の虎白に初訪問です.
前日に運よくOMAKASEのキャンセル情報を見つけて予約を取ることができました. 普段はキャンセル情報がメールに来ても気がついたときには埋まっていますからね、自分の反射神経に感謝です.
和食ながらキャビアやトリュフなどの食材をたっぷり使うというイメージがあるお店ですがそれだけでは面白くありません. どんな料理が出てくるのかとても楽しみです.
飯田橋から神楽坂を少し登った路地にあるお店は黒塀に囲まれており、入り口には金魚の泳ぐ池. 心躍るアプローチです.
この日はカウンター4席のみ. ゆったりとした雰囲気で料理が始まりました.
この日いただいたコースは以下の通りです.
◇キャビア出汁
いきなり贅沢な品. 薄く引いた鰹出汁が絶妙でキャビアの味とぴったりあっています.
◇シャトーブリアンとまる焦がし茄子と生姜餡 山椒の葉
上はシャトーブリアンをローストビーフのようにさっと火を通したもの. これも旨い. スッと歯が通るだけでなく噛み締めた時の肉の旨味はさすが. 香ばしい焦がし茄子と生姜餡も肉とぴったり.
◇岩手久慈産の松茸の飯蒸し 地鶏と干し貝柱の出汁
土瓶蒸しの味をイメージしたという一皿. 確かに地鶏と貝柱の出汁がかかった飯蒸しの香りは土瓶蒸しの蓋を開けた時のよう. 口に入れた時の松茸の香りも素晴らしくとにかく幸せな一品でした.
◇お椀 車海老真薯にめかぶ 生と表面をさっと炙って香ばしくした海老
椀種は車海老だけを使った真薯. とても上品で自然な甘さでこれも上品な出汁とぴったり. 香ばしさを出すために炙った海老も使っているとか.
◇鮃
お造りは鮟肝裏ごしソースと虎白ジュレで. このソースとジュレは思わず鮃で余すことなく絡めとったくらい美味しい.
◇クエ
クエは山葵おろしと七味で. プリプリした歯応えと透明感がある味だ.
◇鼈蒸し焼きと新牛蒡 蕪
鼈は捌いて1日寝かせたもの. 出汁を張った器に牛蒡と蕪と一緒にシンプルですが鼈の味が引き立つ美味しさ
◇白甘鯛の低温蒸と松茸
白甘鯛と松茸はこの季節定番の組み合わせ. でもふっくらと火が通った甘鯛は柔らかくそのしっとりとした旨味があります. それにいっぱいの松茸を載せちゃうから笑いが思わずこぼれちゃう.
◇いくら紹興酒漬け
ここで箸休め. 野菜や果実を使った漬け汁の甘さが優しい.
◇虎白麺 白トリュフ トリュフソース ちょこっとバター
京都に特注したという麺をトリュフソースで. 上には白トリュフとうずらの卵. これは見ただけで美味しいやつだとわかってしまう反則技でしょう. トリュフの香りが食べても口に残る濃厚さ.
◇車海老味噌
残った酒の肴に出していただきました. がコクがある海老味噌はただただ酒が進む. 結局お酒もお替わり.
◇舞茸ご飯 南魚沼こしひかり
〆の土鍋ご飯は舞茸ご飯. 九頭竜の舞茸を炙って蒸らしの段階で鍋に入れたそう. おかげで舞茸はシャキッとして香ばしさも素晴らしい. 米も粒の一つ一つが立っていて実に美味しいお米でした.
◇丹羽栗アイス ラム酒ゼリー
栗はアイスだけでなく削ってふわっとかかっています. 栗とラム酒も相性いいですね. マロングラッセにも使うぐらいだし.
初っ端からキャビアが出てきて本領発揮というところだったのでしょうか. 高級食材に目を奪われそうでしたが繋ぎを使わない真薯のお椀や土瓶蒸しをイメージしたという飯蒸しといった食材の組み合わせや使い方の妙も素晴らしいなという感想. 食べてみて大胆というより繊細という方が合うと思いました.
ご主人の人当たりも柔らかく、逐一味の確認にやってくるお弟子さんに「いいね」「美味しい」と必ず声をかけているのも印象的でした.
なかなか来ることができないお店でしたがチャンスを掴んでよかったです.
ごちそうさまでした.
2020/11/14 更新
2024年4月の夜です.
この日は5ヶ月ぶりに虎白さんで夕食. 戸を開けるとカウンター席もテーブル席も満席です. 5月からすぐ裏の路地に移転されるそうで、カウンター席は広々、テーブル席はなくなり個室になるとか.
まあこれだけの席数を揃えておきながら、それぞれの客の都合に合わせて一斉スタートではないし、一度伝えた苦手食材は確認しなくても把握してるし、来店間隔が短いと食材を替えてくれるとか、一目見て利き手に合わせてくれるとか、味だけでなくサービス面でも私の中でモンスター級のお店です. そんなお店を取り仕切る小泉さんに挨拶してこの日の料理がスタート.
◇先付
・メークインのマッシュポテト
・稚鮎
一年熟成のメークインを出汁で炊いで裏漉ししたものにカリカリに揚げた稚鮎を砕いてキャビアとトッピングしたもの. このマッシュポテトが適度に旨味があります. 味がまだ弱いという稚鮎はじっくり揚げて味を引き出したとか.
◇お凌ぎ
・白甘鯛の飯蒸し
飯蒸しに白甘鯛の頭と中骨、あらから取った出汁をかけてます. 白甘鯛の身も旨いんだけどこの出汁の香りと旨味がまたたまらん.
◇お椀
・帆立真薯
虎白さん名物の素材以外何も加えない真薯のお椀. 今回は帆立でした. 焼いて旨味を引き出して真薯にしています. 甘味と香りと旨味が素晴らしい真薯でした.
◇向付
・太刀魚
炭を直接当てて皮目の香ばしさを出しています. 太刀魚の美味しさは言うまでもないけど、添えられた白海老のタタキが日本酒を誘います.
◇焼物
・筍
出汁で炊いてちょっと揚げてから焼いた筍. 質を手間暇でカバーしてるのでしょうけど、この手数が味に活きてます. 筍に香ばしさが加わって美味しい.
◇強肴
・カイピーエン
・シャトーブリアン
和食でカイピーエンが出てくるとは思わなかったけど、見事にまとめるのが虎白さん. シャトーブリアンに蓮根と花山椒をのせて巻いてガブリと食らいつきました. 旨味が重なってるけどくどくなく文句ない美味しさ.
◇炊合
・鮑
・独活
・新和布
揚げた鮑の香ばしさに加えて和布の香りが素晴らしい. 和布はコリコリした食感で鮑の弾力との対比が面白い.
◇虎白麺
・蛤
この蛤出汁はいくらでも飲めそうな味わい.
◇土鍋ご飯
・蕗の薹
・花山椒
蓋を開けた時の蕗の薹の薫りがたまらない. 口にすると蕗の薹の苦味と花山椒の香りが広がります. 1,2膳じゃ足りないので3回お代わりして後はおにぎりに.
◇甘味
苺アイスにラム酒のジュレ.
これは普通に美味しかった.
変わらず美味しい料理でした. 次回は夏で新店舗なのでそれもまた楽しみ.
ごちそうさまでした.