A270さんが投稿したルシェーヌ (長楽館)(京都/東山)の口コミ詳細

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週末、ふたりでほろよいになれるレストランガイド

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ルシェーヌ (長楽館)東山、祇園四条、三条京阪/フレンチ

1

  • 夜の点数:3.9

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 3.7
      • |雰囲気 3.9
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク 3.6
1回目

2025/05 訪問

  • 夜の点数:3.9

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.9
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク3.6
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

余白に宿る旋律——八坂、春宵のフレンチソナタ

八坂神社そば、明治の洋館「長楽館」で味わう春のフレンチ。ルイ16世様式の空間で、京都の旬が音楽のように響き合うひとときを。

ーーー

八坂さんといえば長楽館。幼いころから、「素敵なお店やろなあ」とぼんやり思っていたお店に、ついにやって来ました。京都を離れて二十余年。今になって、いい街やなあとしみじみ思う今日この頃。

ディナーのため階下に向かうと、まずはバーでアミューズと食前酒が供されます。こちらのバーはマデイラ酒を中心とした取り揃えで、食前酒もマデイラを使ったカクテル。アミューズの新玉ねぎのキッシュロレーヌは、フレッシュなオニオンスープを凝縮したような香ばしい甘みの塊。直球の潔さに身を任せて、いざディナーのお部屋に向かいます。

レストランLe Cheneは、長楽館全体の中では少し特異なルイ16世様式のお部屋とのこと。ところどころの装飾に古典的な要素は見受けられますが、全体の柔らかな色合いが堅さを感じさせない作りです。

窓辺のお席からは、まだ夕暮れの陽が微かに滲む中、宴の始まりです。

●蛍烏賊と菜の花
菜の花のピューレ、菜の花のチュイル、そして刻み込んだ菜の花を合わせたタブレ。菜の花のハーモニーに、蛍烏賊の旨味と柑橘が浮かぶ一皿。蛍烏賊の強い味わいに、ほのかな菜の花の苦味が多方向から攻めてきます。凝っているのに懐かしいようなシンプルさもある、導入にピッタリの一皿。

●ブールノワゼット・スナケ
スペシャリテの一品。焦がしバターにパン粉を合わせ、椎茸と白身魚のファルシに載せたお料理。シンプルな作りで、スペインのマッシュルームのタパスにも構造は似ています。しかし、ブールノワゼットが有無を言わせぬコクをもたらし、禁断の旨味といっていいでしょう。ここに樽感のあるシャルドネと来れば、永遠に呑めるコンビネーション。

●朝どれ筍
可愛らしい、小さな筍を模したお皿がお目見え。筍の間に地元産の豚を挟んで揚げたものと、浅蜊と筍のソース。浅蜊と筍に合わせ、Hitenの日本酒と共にいただきます。筍の二面性を感じながら日本酒を味わっていると、フランスと日本の間に心地よく揺蕩う時間を感じることができます。

●魚料理
定番のブールブランソース。一見何の変哲もない料理ですが、清見オレンジを極限まで溶かし込んだブールブランソースと、ソテーされた甘夏のコントラストがこのお料理の見せ場。白身魚はある意味、脇役なのです。普通なら、二種の柑橘を一度には並べないでしょう。でも、敢えて、今一番の旬をぜんぶ感じてほしい。そんな心をしっかり受け止めました。

●お口直しのソルベ
ここで再び、もはや当店のシンボルと化したマデイラの登場。マデイラのソルベ、マデイラソースでいただきます。細やかなソルベにマデイラのコクが染み渡ります。

●京都丹波牛
丹波牛のロースト、ベアルネーズソースとジュドビュッフ。名前だけなら普通のお皿ですが、ガルニが途轍もない一皿。三時間掛けて探し回るという野菜の数々が、まるで宝石箱のように美しく輝きます。そう。お肉以上の存在感を誇るお野菜たち。先入観取っ払って、どちらが主役か考えずに、無心で向き合いたい一皿。

●フロマージュ
北海道産のブルーチーズ、ブルーベリージャム、ヘーゼルナッツとピスタチオ。ピリッとスパイシー感ありつつ、どこか穏やかなブルーチーズに、優しくナッツが寄り添います。

●アヴァンデセール 蕗の薹
シューに包まれた蕗の薹のクリーム。山菜の苦味と甘みはこうも相性がいいのです。もっとたくさん食べたくなるシュークリーム。

●苺とショコラ
玉子の殻状の、薄氷のようなショコラに、苺が何層にも包まれたデセール。どこか懐かしい苺パフェのようなに、口いっぱいに弾ける苺のジュースを頬張ります。巧妙多層な構造なのに、味わいはストレート。思わず童心に帰るお皿です。

●ミニャルディーズ よもぎのマドレーヌ、ムラング、黒七味のクロカンテ

最後まで、京都の味わいをスパイスに。黒七味は、最中の皮に包まれたプレゼンテーション。お茶は、コーヒー含む八種類から選べます。人気の薔薇とジャスミンのフレーバーは、しっかり上品な薔薇が香ります。ディナーの余韻に浸りながら、最後の一滴までおいしくいただきました。

ワインはペアリング6種をお願いしましたが、それぞれがおいしいことももちろん、流れのよさが何より印象的。お皿とワイン、お皿からお皿へと、流れる音楽のように美しく紡がれ、いつの間にか終盤へ。決してあっけないというわけでなく、ピアノ・ソナタを四章まで聴き終えるように、シェフの演奏を楽しむディナーでした。


古典的な空間から想像していたのとは遥かに異なり、ここには新しく軽やかなリズムが刻まれています。そう、京都とは昔から「新しいもん好き」の街であり、温故知新から革新を起こしてきた土地柄。そんなことを思い出すディナーでもありました。この館に、この料理。そのことに意味がある。そんな気がします。
また帰ってきたい、そうひっそり心に誓いました。

2025/05/03 更新

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