3回
2024/08 訪問
大吟醸のような鶏清湯
「地鶏そば」1,100円
もはや押しも押されもせぬ超人気店になり、行列が絶えず尻込みする「近くて遠い店」になってしまっていた。ダメ元で平日14時ごろ前を通ったら、猛暑のせいか奇跡的に待ち列が無く、何年かぶりの再訪ができた。
定番の「地鶏そば」は、とにかく佇まいが“美しい”。すべての仕事が丁寧にされていることが丼の“顔”に出ている。
驚くべきは、やはりスープだ。鶏のうまみがありながら、スッと飲後感が軽い。エグ味や雑味を一切感じない“大吟醸酒”のような仕上がり。厳選された地鶏を丁寧に処理し、うまみだけを引き出す技術があるのだろう。“愛知県一の鶏清湯”と称されるのも納得だ。
加水率多めの麺は柔らかく、繊細なスープによく合うなめらかな中細麺。具材も、デフォルトで3種類のチャーシューが載っていて、バランス的にはこれで十分。さらっとあしらわれた三つ葉が品の良さを象徴する。
最近、予約ができるようになったが、わかりにくいので確認した。①店内の券売機で予約券(500円)を購入 ②その場でチケットを渡し名前を伝えて券をキープ ③公式XのDMで前日10時までにメニューとともに予約 という流れだそうだ。酷暑の中ぜひ活用して、また訪れたいと思う。百名店やビブグルマンなどの称号に驕ることなく、飛ぶ鶏のように高みを目指す、愛知ラーメン界を代表する銘店である。
2024/08/09 更新
「地鶏の生揚げ醤油そば」1,300円
もはや語る必要もないほどの名店になり、県外からも多くのラーメン好きを引き寄せ続ける飛鶏(あすか)。その名の通り鶏のうまみを極限にまで引き出した一杯は、もはや芸術の域に達している。
佇まいの美しさに、まず溜め息がでる。丁寧に整えられた麺線に、寸分の隙もなく具材がそっと置かれ、何より鶏油がキラキラと煌めいている液面は、まるで国宝のような崇高さすら感じるほどだ。
絶妙な火加減で仕上げられたチャーシューは、レアながら、柔らかさと歯切れが両立した素晴らしい出来で、早く食べないとどんどん色が変わっていってしまう。ゆっくりと堪能しながら味わいたいところだが、最高の一瞬を逃してしまうのではという畏れと、早く食べたいという自身の欲望から、次々と箸を繰ってしまう。
大吟醸のようなスープは、“生揚げ醤油”という火入れしていない醤油の芳醇な香りと、地鶏の丁寧な処理からエグ味の一切ない透き通ったうまみとが融合した唯一無二の味。
そこに自家製麺のモチモチとしたコシのある麺、細く整えられたシャキシャキとしたメンマなど、非の打ち所がない素材たちが競演し、気がついたらあっという間に完食完飲していた。その刹那の短く感じることったら驚くべきほど。
ラーメンの求道者のような店主が、一切手を抜くことなく一杯を紡ぎ出す。その精神が隅々まで行き届いたまさに“魂のこもったラーメン”である。優れた芸術作品のように、美しさとおいしさは感動をも呼び起こす。この食体験をありがとう、そして心からご馳走さまと声をかけたくなる。あー、今日も本当においしかった。