2回
2025/09 訪問
一日のはじまりを丁寧に。銀花の朝膳が“旅の余韻”をそっと包む。
前夜の会席に続き、朝の食事もまた見事。
“銀花朝事”と書かれた可愛らしい献立図からして、もう心を掴まれる。
まず運ばれてきたのは、木の香り漂う和朝食膳。
炊きたての白ごはんは粒が立ち、つややかで上品な甘み。
小鉢には地元食材を使ったお惣菜が並び、どれも優しい味つけ。
特に“岩もずく”“山菜おひたし”“但馬牛しぐれ煮”は、それぞれがしっかりと個性を持っていて、ごはんが進む。
焼き物は穴子の一夜干し。脂がのっていながらもしつこさがなく、香ばしくふっくら。
焼き加減も絶妙で、旅館の技を感じる。
そして印象的だったのが、名物の豆乳鍋。
やさしい出汁と豆乳のまろやかさが朝の身体に沁み渡る。
豆腐や野菜が温かく、味も見た目も心まであたたまる一品。
デザートは杏仁豆腐と大学いも。
ほんのり甘く、朝の締めにぴったりな軽やかさ。
全体を通して、派手さよりも「やさしさ」と「整い」が感じられる構成。
目覚めの時間を丁寧に包み込むような、“静かな贅沢”の朝ごはんだった。
この後に入る風呂も最高。
2025/10/26 更新
静寂に包まれた空間で、木の香りと温もりに迎えられる銀花旅館。
夕食はひとつひとつの皿に「旬」が詰め込まれた、まさに“美しい日本”を感じる会席。
前菜は秋の実りを散りばめた八寸。
城崎の昔話仕立て。
稲穂や柿、銀杏、秋刀魚寿司など、
器の中に小さな里山の風景が広がる。盛り付けも見事で、思わず息を呑むほど。
土瓶蒸しは香り高く、松茸と鱧の旨味が凝縮された逸品。湯気とともに広がる出汁の香りが、体の芯まで染み渡る。
お造りは氷を敷いた器に盛られ、鮮度抜群。
特に本マグロと甘海老はとろけるようでレベルの高さに驚き。
メインの但馬牛梅しゃぶは、見惚れるほどの霜降り。
口に入れた瞬間とろける柔らかさで、上品な甘みが広がり、南高梅の風味が心地よい。
地元野菜との相性も抜群で、これだけでも旅の価値があると感じるほど。
天ぷらは太刀魚や舞茸など、どれも素材の味を生かした仕上げ。
そして締めのご飯は炊きたての「松茸ご飯」。
香りと出汁の旨味がやさしく、まさに秋の集大成。
最後のデザートは栗豆乳ぷりん、豊岡葡萄のタルト、柿のコンポート。
見た目も味も軽やかで、余韻を残す素晴らしい締めくくりだった。
全体を通して、季節感・演出・味のすべてにおいて完成度が高い。
派手さはないが、静かな贅沢をじっくり楽しめる、まさに“大人の会席”。
最高でした。ご馳走様でした。