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雑多な空気感に身を委ねたその先、赤い暖簾が迎えてくれたのは「ラーメン信月」。札幌の地下街にひっそりと佇みながらも、確かな人気と実力で百名店の称号を得た、名実ともに“街の誇り”のような存在です。カウンターに腰を下ろした瞬間から、周囲の常連たちの熱量と、厨房から香り立つ湯気に包まれ、期待と空腹が高鳴っていくのを感じました。 今回注文したのは、しおラーメンと半チャーハンのセット。まず目を惹いたのは、どこか懐かしさを感じさせる龍柄の丼に注がれた塩ラーメンの美しい佇まい。黄金色に透き通ったスープの上には、鮮やかななると、香ばしく炙られたチャーシュー、しゃっきりとしたメンマ、そして堂々と鎮座する海苔の一枚。見た目の派手さはないものの、気品を感じさせる構成です。 スープを口に含んだ瞬間、驚くほど柔らかく、そしてじんわりと体に染み渡る出汁の旨味。鶏の輪郭と野菜の甘みが穏やかに広がり、後味には塩の凛としたキレが静かに尾を引きます。この“押しつけがましくない美味しさ”こそが、信月が信月たる所以なのだと改めて納得しました。 そして麺はというと、これがまた見事。黄色みを帯びたちぢれ麺は、昔ながらの札幌ラーメンの伝統を感じさせながらも、もっちりとした弾力とスープの絡み具合が秀逸。ズルッとすすると、どこかノスタルジックで、しかし今ここでしか味わえない確かさに満ちています。 さらに、セットでついてきた半チャーハン。この一皿が、予想以上に記憶に残るものとなりました。見た目こそ素朴ながら、炒めの香ばしさと米のほぐれ具合が絶妙で、レンゲを運ぶ手が止まりません。具材はチャーシューの刻み、卵、ネギ、ナルトの細切れなど、定番ながらもそれぞれが自己主張しすぎず、調和のとれたまとまりを見せています。特にナルトのピンクと緑が時折視界に現れるたび、どこかほっこりとした気持ちにさせてくれるのです。 味付けはしっかりめながら、後を引かず、食後の重さも残さない絶妙な塩加減。炒め油のコクが全体を包み込みつつも、しつこさは皆無で、ラーメンと合わせても互いの良さを引き立て合う関係に仕上がっています。 このチャーハンの完成度があまりにも高く、翌日のお昼にはラーメンを頼まず、チャーハン単品を求めて再訪してしまいました。店内に入り、何も言わずとも「あ、昨日も来てましたね」と声をかけてくれたスタッフの温かさもまた、味の一部になっていた気がします。 付け合わせにいただいたスープも忘れてはなりません。具材はネギのみというシンプルさながら、ラーメンとはまた異なるあっさりとした塩味で、チャーハンとの相性は言うまでもなく抜群。ほんのりと香る魚介と脂のニュアンスが、味覚に新たなリズムを与えてくれます。横に添えられた紅生姜がまた、いいリセット役として作用し、味の流れをより立体的にしてくれました。 信月の魅力は、決して奇をてらった派手さではなく、日常に寄り添う味の“完成度”にあります。ふとしたときに思い出し、何度も通いたくなるような、そんな優しさと確かさに満ちた一軒です。塩ラーメンの静謐な味わいと、チャーハンの力強い美味しさ。それぞれが互いを引き立て、支え合う関係にあるような、実に誠実な一食でした。これからもきっと、札幌に来た際にはふらりと足が向いてしまう、そんな存在であると確信しています。
2025/04訪問
1回
「北こぶし知床 ホテル&リゾート」は、知床という世界遺産の大自然の中で、最高級のリラックスと癒しを体験できるラグジュアリーホテルです。家族と共に訪れたこの夏の旅は、まさに北海道の魅力を存分に味わえる、夢のようなひと時でした。オホーツク海を望む絶景をバックに、最高品質の北海道食材を使った美食の数々が、五感すべてを満たしてくれます。 このホテルでの食事は、ただ食べるだけではありません。まるで芸術作品のように美しく盛り付けられた料理の一皿一皿には、シェフの情熱と技が凝縮され、知床の自然や風土が表現されています。例えば、知床産のジューシーな肉料理は、肉の旨味を引き立てる特製のソースと合わせて提供され、口の中で豊かな風味が広がります。写真にある美しく彩られた前菜やメインディッシュは、見た目にも楽しめるだけでなく、一口ごとに違う北海道の味わいが堪能できました。使われている器も、一つひとつが洗練された美しさで、料理を引き立てる要素のひとつです。 さらに、デザートには北海道の新鮮な乳製品と季節の果物が使われ、甘さの中に広がる自然な酸味が絶妙なバランスを生み出していました。特に、ガラスの器に盛られた繊細なデザートは、光を通して輝き、まるで宝石のよう。北海道の美しい夏を表現したこのデザートは、見た目と味わいの両方で私たちを魅了してくれました。 レストランのインテリアも見逃せません。温かみのある木材が使われた内装は、知床の大自然との調和を感じさせ、食事のひと時をより一層特別なものにしてくれます。窓から望むオホーツク海の青さは、時間の経過とともに色を変え、その美しさに思わず息を呑んでしまいます。スタッフの方々のサービスも、常に温かく、細やかな気遣いが感じられ、まるで家族のような安心感がありました。 このホテルは、ただの宿泊施設ではありません。知床の美しさ、北海道の豊かな食文化、そして訪れる人々へのおもてなしの心を全て詰め込んだ、究極のリゾートです。この夏の旅は、私たち家族にとって一生忘れられない思い出となり、また訪れたいという気持ちでいっぱいです。ここで過ごす時間は、まるで北海道の自然に包まれた別世界で、心も体も癒される至福のひとときでした。
2024/08訪問
1回
ニセコの澄んだ空気と大地の恵みが交差する地に佇む名店、「いし豆」。北海道・ニセコという風光明媚な観光地において、季節ごとに表情を変える山々と同じように、そばの香りと味わいに奥行きを持たせ続けてきた、まさに“蕎麦界の聖地”とも言うべき存在です。百名店にも名を連ねるその実力は、訪れる前から噂には聞いておりましたが、実際にこの舌で味わい、その空気に触れたことで、単なる“名店”という言葉では語り尽くせない、圧倒的な完成度を体感することとなりました。 まず、運ばれてきたのは「せいろ蕎麦」。写真の通り、角張った木箱にきっちりと整えられたその姿は、まるで“蕎麦”という一つの作品を額装したかのような美意識を感じさせます。一般的なざる蕎麦とは一線を画し、こちらの蕎麦は色味が淡く、ほんのりと緑がかった蕎麦の実の皮の風合いが目にも清々しい。箸でつまみ上げた瞬間、そのしなやかさと張りにまず驚かされます。茹でた後に締められた水の質も良く、一本一本が凛と立っている印象。 口に含むと、まず第一に感じるのは、雑味のない清らかな香り。蕎麦粉の選定と挽き加減、そして加水率と打ちの技術の高さが、ダイレクトに伝わってきます。噛めば噛むほどじわじわと湧き上がってくる甘味、舌の上でほどけるような優しいコシ。これほどまでに“優しく、なおかつ芯がある”蕎麦には、滅多に出会えません。余計な主張をしない、しかし一歩引いてもしっかり存在感を放つ。まるで職人の人格そのものが投影されているような一皿でした。 次にいただいたのは「鴨せいろ」。こちらは温かい出汁にスライスされた鴨肉が浮かび、香り立つ湯気と共に、食欲をそそる一品です。まず驚いたのがつゆの深み。濃い口醤油のエッジを効かせながらも、鴨の脂がじわっと染み出し、甘味と旨味が絡まりあった豊潤な味わい。口に含むと鴨の脂が一層広がり、喉を通った後にも残る余韻の長さに、思わず目を閉じてしまうほどでした。 蕎麦をこの鴨出汁にくぐらせると、まるで料理が“語り始める”かのような調和が生まれます。蕎麦の香りがつゆに溶けず、互いを高め合う。そして鴨肉は程よい厚みがあり、柔らかく、それでいて歯ごたえをしっかり残す絶妙な火入れ。脂の甘さと肉の旨味、皮目の香ばしさが三位一体となって、つゆの中で躍動していました。 薬味には刻みネギとほんの少しの山葵が添えられていましたが、どちらもアクセントとして極めて機能的。特に山葵の辛味は鼻に抜けるというよりも、つゆの甘味を引き締める“横顔”のような存在で、食べ進めるにつれて、その必要性を実感しました。 食後に供された蕎麦湯もまた秀逸でした。さらりとしたタイプではなく、少しとろみのある濃厚な仕立てで、最後の一滴にまで職人の思想が感じられるような完成度。鴨出汁と混ぜて啜ると、もはやこれは“蕎麦の締め”ではなく、“もう一杯の料理”とすら言えるほどの余韻と満足感がありました。 この「いし豆」という店がなぜ百名店に名を連ね続けるのか、その理由は一皿ごとの完成度だけではありません。空間全体が“蕎麦を味わう”という行為のために設計されているのです。温もりある木のテーブル、静かに流れるBGM、無駄のない動きで立ち回る店主とスタッフ。どこを切り取っても、丁寧さと誠実さが染み込んでいます。 ニセコという地は、ウィンタースポーツや温泉のイメージが強いかもしれませんが、この「いし豆」の蕎麦を食すことを目的に訪れる価値は、十分にあると断言できます。季節によって蕎麦粉の産地や挽き方を変えているとのことで、再訪の楽しみが尽きません。春は山菜とともに、夏は冷やかけで、秋はきのこと、冬は熱々の鴨南蛮で──この一軒で四季を感じ、時間の流れすらも味わえる。それこそが、“名店”と呼ばれる理由であり、この地に根付く文化の美しさだと思います。 ぜひ、日常の慌ただしさを忘れ、静かに流れる蕎麦の時間に身を委ねてみてください。「いし豆」は、そのすべてを受け入れ、包み込んでくれる場所です。静謐の中に漂う芯の強さ──それは蕎麦であり、空間であり、そして店主の生き様そのものなのです。
2025/04訪問
1回
札幌の地において、いまや飽和とも言えるラーメン激戦区の中で、確かな個性と実力で頭角を現す「麺や 貴一」。この日はふと寒さに身を縮めながら、自然と身体が欲した一杯の熱。そんな直感に導かれるようにして暖簾をくぐったのですが、結果として、ただ空腹を満たすだけでなく、味覚の奥深くにまで響く体験となりました。 写真をご覧いただければ分かる通り、まず視覚からして満足度が高い。スープの色味は濃厚でクリーミー。まるで泡立てたカプチーノのような滑らかな表面に、中央のシャキシャキねぎが美しいアクセントを加えています。そして上品に配置されたチャーシュー、艶やかな海苔、端には赤味噌のような辛味ペーストが一匙──この一杯の中に詰め込まれた、緻密な構成美にただただ感心しました。 スープは濃厚な白味噌ベースを彷彿とさせるコク深さ。それでいて、過剰に味が尖ることもなく、まるでポタージュのようなやさしい口当たり。ひとくち含んだ瞬間、舌全体にまったりとした旨味が広がり、骨の髄まで煮込まれたような動物系の出汁と、野菜の自然な甘さが後を追うように膨らんできます。このクリーミーさの中に、たしかな芯を感じる塩梅が実に巧妙です。 途中でレンゲの端に控えていた辛味噌を少しずつ溶かすと、味がガラリと変化し、スパイスの刺激と味噌の深みが重層的に重なってきます。スープが単調にならないよう、計算されたアクセント。食べ進めるごとに驚きが増していく構成は、飽きとは無縁。最後のひとくちまで常に新鮮で、満足感が右肩上がりに増していくような感覚です。 麺は札幌ラーメンならではの中太ちぢれ麺。しっかりとしたコシがあり、噛むたびにモチモチとした弾力が心地よい。スープをしっかりと持ち上げる力もあり、丼の中で一体感を生み出していました。このスープとの相性は見事というしかありません。決して麺が負けることなく、むしろ両者が手を取り合って引き立て合う理想の関係です。 チャーシューもまた絶品。脂のノリ具合がちょうどよく、箸で簡単にほぐれるほどの柔らかさ。炙りの香ばしさがしっかりと香り立ち、肉の旨みをより引き立ててくれています。脂の甘さとスープのコクが溶け合う瞬間の幸福感は、一度体験すれば忘れられないレベルです。 もやしのシャキシャキ感とねぎの清涼感、メンマのコリっとした歯ごたえが随所で良いリズムを刻んでおり、濃厚なスープの中で確かな箸休めとなっています。のりはしっかりとした厚みがあり、スープに溶け込ませると程よく味が移って、噛むたびに海苔の香りが鼻に抜けていく。すべての具材が無理なく、自然にそこに存在している感覚があり、一つとして浮いた要素がない。全てがこの一杯のためにある、そんな完成度でした。 ラーメン激戦区・札幌において、「麺や 貴一」の一杯は決して派手さや奇抜さで勝負しているわけではありません。むしろ“王道のその先”を目指したような、滋味深さと緻密な設計が感じられます。こだわり抜かれたバランス、計算された余白、丁寧に仕込まれたスープと具材──どれもが真摯に向き合って作られており、そこには“作り手の誠実さ”が滲んでいました。 札幌でまた一軒、心からおすすめできるラーメン店に出会ってしまった。そんな確かな確信とともに、丼の底をじっと見つめながら静かに感謝の気持ちが湧き上がる。次はどのメニューを頼もうか、また辛味を全体に溶かしてみるのか、味玉を追加してみるのか──そうした期待がすでに膨らんでいる時点で、この店の魅力はもうしっかりと私の中に根を下ろしていました。
2025/08訪問
1回
雪印パーラー 新千歳空港店は、北海道の玄関口である新千歳空港に位置するアイスクリームの名店です。このお店は、北海道ならではの新鮮な乳製品をふんだんに使用した濃厚でクリーミーなアイスクリームを提供しており、空港内にあるにもかかわらず地元の人や観光客から絶大な支持を集めています。 今年の夏、家内と訪れた際にいただいたアイスクリームは、ひと口食べただけでその濃厚さと滑らかな口溶けに驚かされました。口に含むとミルクの風味がふわっと広がり、チョコレートの深い味わいが重なって絶妙なバランスを生み出しています。これが北海道の大自然と、雪印の技術が生んだ味なのだと感動しました。北海道産の新鮮なミルクが使用されていることから、素材そのものの純粋な美味しさが伝わってきます。 雪印パーラーのアイスクリームは、**「新鮮な搾りたてミルクを食べているような感覚」**とでも言いましょうか。その豊かな風味が口いっぱいに広がり、一瞬で夏の暑さを忘れさせてくれます。また、チョコレートのフレーバーは程よい甘さと深いコクがあり、大人から子供まで楽しめる上品な味に仕上がっています。 新千歳空港店の特徴として、観光や出張の合間に気軽に立ち寄れる点が挙げられます。空港内でありながら店内は広く、くつろげるスペースが設けられているため、出発前や到着後のひとときにリラックスしながらアイスクリームを楽しむことができます。また、北海道の厳選素材を使ったアイスクリームやソフトクリームは、空港でしか味わえない特別な一品として、旅の思い出にも最適です。 メニューのバリエーションも豊富で、バニラやチョコレート、ストロベリーといった定番のフレーバーから、北海道ならではのメロンやかぼちゃ、ハスカップなどのご当地フレーバーまで揃っています。季節限定のメニューもあり、何度訪れても新しい味わいに出会えるのが魅力です。特に人気の「スノーロイヤルスペシャル」は、雪印パーラーが誇る最高級アイスクリームで、濃厚なコクとクリーミーさが際立っています。 さらに、雪印パーラーでは北海道産の乳製品の美味しさを最大限に引き出す製法にこだわりを持っています。北海道の豊かな自然が育んだミルクの味わいをそのまま活かすために、余計な添加物を極力使わず、ミルク本来の風味を引き出す製造プロセスを採用。これにより、自然な甘さと濃厚なクリーム感が楽しめるアイスクリームが出来上がるのです。 私たちがいただいたチョコレートアイスの上には、サクサクとしたワッフルコーンがトッピングされており、食感のアクセントとしても楽しめました。このワッフルコーンもまた、雪印パーラーの細部へのこだわりが感じられるポイントです。濃厚なアイスと相性抜群で、アイスクリームを最後まで飽きずに楽しむことができました。 北海道を訪れる際、そして新千歳空港を利用する際には、ぜひ一度雪印パーラーに立ち寄ってみてください。ここでしか味わえない**「北海道の美味しさが詰まったアイスクリーム」**が待っています。旅の疲れを癒し、北海道の大自然を感じさせてくれる味わいに、きっと満足できるはずです。 雪印パーラー 新千歳空港店は、私たち夫婦にとっても忘れられない場所となりました。濃厚で美味しいアイスクリームを味わいながら、北海道旅行の締めくくりとして最高の思い出が作れたことに感謝しています。また北海道に訪れた際には必ず立ち寄りたいと思わせてくれる、そんな特別なお店です。
2024/09訪問
1回
光が柔らかく照らす個室の空間に、まるで一枚の絵画のように配された料理たち。その一皿一皿に、焼肉という枠を超えた“作品”としての完成度と、おもてなしの魂が宿っている――そんな強烈な印象を残してくれたのが「すすきの焼肉きらく」でした。 冒頭、供されたのは繊細な演出が光るコースの序章。色鮮やかなユッケ風のタレと卵黄がセットされた器に、芸術的な霜降りの和牛が美しく畳まれて並ぶ。その横に添えられた小ぶりなライスボールは、一見シンプルながら、牛肉を巻きつけることで一気に完成する“至福の一口”。この構成だけで、既に「ただの焼肉屋ではない」という確信に至ります。 さらにサラダには、シャキッとしたリーフに香ばしい韓国海苔、糸唐辛子と白髪ねぎがあしらわれており、見た目も食感も抜かりなし。こうした脇役にすら美意識が宿るのがこの店の真骨頂。 その後の展開も圧巻でした。極上の赤身肉が鉄板で絶妙に焼き上げられ、艶めくタレと卵黄と共に供される。口に含めば、濃厚でありながらしつこさのない脂がじゅわっと広がり、甘くとろける旨みが舌を包みます。焼き手の職人技が、肉そのもののポテンシャルを最大限に引き出しているのが伝わってきます。 中盤には、シトラスの香りをまとわせたレモンの薄切りが美しく並べられたプレートが登場。これは肉の合間の口直しとしての存在ながら、その見た目も清涼感も、もはや主役級のインパクト。口にすれば爽やかな酸味が舌をリセットしてくれ、次なる肉をさらに待ち遠しくさせます。 タンはシャキッとした食感を残しながらも、細やかに施された味付けと焼きの妙で、ただの歯ごたえだけで終わらない奥行きのある旨みを持ち合わせていました。そして、ホルモンの焼き加減もまた秀逸。外は香ばしく、中はぷるんとしたジューシーな食感で、臭みなど一切感じさせません。 中でも特筆すべきは、トロけるような肉寿司。ウニとキャビアが贅沢にあしらわれたその一貫は、ビジュアルからして圧倒的。まさに“肉のジュエリー”。一口で溶ける、という表現すら野暮に感じるほどに、余韻だけが長く残り、幸福感に満たされます。 そして、終盤を飾るのは冷製素麺。透き通る出汁に浮かぶのは輪切りのすだち。視覚にも味覚にも涼やかな余韻を残してくれます。焼肉で火照った口内を優しく冷まし、余韻を引き締めるフィナーレとして完璧。 さらに感動したのは、味のリクエストへの柔軟な対応。当方の希望で、全てを塩味に統一してくださり、その塩加減も一品一品で絶妙に変化をつけてある心配りには、もはや感嘆しかありません。こうした対応が、ただの高級店ではなく「また訪れたい」と感じさせる理由なのでしょう。 当日予約という無茶にも関わらず、スタッフの方々は終始丁寧に対応してくださり、個室の居心地の良さとクラシカルな店内の雰囲気も相まって、心地よい時間が流れました。最後には、好みのミンティアを選べるという粋な計らいまであり、この店の細部に至るまでの心配りの徹底ぶりには脱帽。 「焼肉きらく」は、ただ高級な食材を揃えているだけの店ではありません。そこには確かな技術とセンス、そして何より“もてなしの美学”が詰まっているのです。すすきので極上の焼肉体験を求めるなら、この店は間違いなくリスト入りすべき一軒です。次回はぜひ違う季節にも訪れ、その時々の旬肉と演出を味わってみたいと思わせてくれる、記憶に残る焼肉店でした。
2025/04訪問
1回
札幌ラーメンの象徴とも言える「さっぽろ純連 北31条店」。百名店として名を連ねるこの名店にて、味噌ラーメンを堪能しました。写真をご覧いただきたい、その一杯の堂々たる佇まい。丼の中央には、ふわりと盛られた刻みネギの純白と淡い緑が彩りを添え、その下に力強く、かつ繊細な味噌スープがたたえられています。表面には純連ならではの艶やかな油膜が覆い、スープの熱と旨味をしっかりと閉じ込めています。この「油のヴェール」が見た目にも重厚さを演出し、食欲を刺激します。 まずスープをひと口。芳醇な味噌の香りが鼻腔をくすぐり、舌に乗せた瞬間、動物系スープのコクと甘み、そして絶妙に溶け込んだ野菜の旨味が広がります。これほどまでに深みのあるスープは、単にレシピ通りに作られたものではありません。長年の経験と試行錯誤、職人の感覚によって完成された味。重厚でありながら、飲み進めても重たさは感じさせず、むしろ奥行きと後味のキレを楽しむことができます。 次に目を引くのは、トッピングのチャーシュー。写真でも確認できるとおり、程よい厚みでカットされた肉は、赤身と脂身のバランスが絶妙。箸を入れるとほろりと崩れ、噛むごとに肉の旨味とスープの風味が調和します。決して脇役ではなく、スープと麺を引き立てる重要な存在です。 さらに、シャキシャキとしたもやしとメンマが隠れています。もやしは強火で炒められており、野菜特有の甘みと香ばしさをスープにプラス。メンマはコリっとした歯応えと、ほんのりとした甘辛い味付けが施されており、食感と味にアクセントを与えています。 麺は、札幌ラーメンの真骨頂である中太縮れ麺。卵の風味が感じられる黄色い麺は、スープの濃厚さにしっかりと負けず、もちっとした弾力とプリプリとした食感を兼ね備えています。麺をすすると、味噌スープが縮れ麺の溝に絡みつき、噛むたびに旨味が爆発するような感覚を覚えます。この麺とスープの一体感は、まさに「純連の味噌ラーメン」でしか味わえない幸福のバランスです。 また、表面を覆う油膜は単なる「熱を保つ工夫」ではありません。食べ進めるにつれて、スープの温度は下がらず、最後の一口まで熱々。そして時間と共に少しずつ油が溶け出し、スープの味に深みを加える。この「時間による味の変化」もまた、純連ラーメンの大きな魅力の一つです。 店内は、札幌の老舗らしい温かみのある雰囲気。カウンター席の木の温もりが心地よく、ラーメンを食べるという行為そのものが特別な体験になる空間設計です。スタッフの方の接客も丁寧で、地元客にも観光客にも分け隔てなく温かく迎え入れてくれるのが印象的でした。 「さっぽろ純連 北31条店」の味噌ラーメンは、単なる料理を超えた「札幌の文化」と言っても過言ではありません。一口ごとに感じる技と情熱、そして変わらぬ味への誇り。これほどまでに完成度が高いラーメンに出会えたことに、心からの感謝を感じます。 札幌を訪れるたびに、この味を再確認したくなる──そんな唯一無二の一杯でした。次回は、塩や醤油にも挑戦し、純連のさらなる奥深さを探ってみたいと思います。
2025/05訪問
1回
「うに むらかみ 函館本店」は、食べログTOP5000にランクインする名店であり、函館の海鮮文化を体現したような、絶品のうに料理を提供するお店です。店内は清潔感がありつつも、どこか温かみのある雰囲気で、観光客のみならず地元の方々にも愛されています。一歩足を踏み入れると、北海道の新鮮な海の幸を存分に堪能できる期待感が漂い、視覚的にも味覚的にも楽しめる素晴らしい体験が始まります。 まず、圧倒されるのが「うにイクラ丼」。器を覆い尽くすほどの新鮮なうにと輝くようなイクラが美しいコントラストを成しており、視覚からその豪華さが伝わってきます。一口食べると、うには口の中でとろけるような濃厚さを放ち、そこにイクラのプチプチとした食感と程よい塩気が絶妙に絡み合い、食べるごとに感動が押し寄せます。また、ご飯とのバランスも計算され尽くしており、決して重たくならず、最後の一口まで飽きさせない構成です。 続いて提供されたのは、見た目にも鮮やかな「グリーンアスパラガス」。北海道産の新鮮なアスパラガスはその太さとみずみずしさが特筆すべきポイントであり、マヨネーズや特製スパイスをつけることで、素材本来の甘みが引き立ちます。口に入れた瞬間、シャキシャキとした食感が楽しめ、うにの濃厚さとはまた違った爽やかなアクセントを提供してくれます。 さらに、「北あかりポテトのバター焼き」も特筆すべき一品です。シンプルながらも素材の良さを最大限に活かした料理で、ホクホクの食感とバターの香ばしい香りが口の中に広がります。添えられた塩辛が絶妙な塩加減で、これもまた北海道の味覚を存分に楽しませてくれました。 また、「うに食べ比べセット」は、この店の真髄ともいえる一皿です。それぞれ異なる産地や種類のうにを一度に味わえるこの贅沢なプレートは、味の違いを楽しむだけでなく、北海道の豊かな海産物の奥深さを感じさせてくれる内容です。甘みが際立つもの、濃厚でクリーミーなもの、それぞれに個性があり、食べるたびに新しい驚きと喜びがありました。 「うに むらかみ 函館本店」は、単なる食事の場を超え、北海道の海の幸を堪能し、記憶に残る体験を提供してくれる名店です。一つ一つの料理には手間と心が込められており、そのクオリティの高さは訪れる価値を十分に証明しています。函館を訪れる際には、この店を外すことはできません。
2025/03訪問
1回
北海道の「みさき」で堪能したウニ丼は、これまでの人生の中でも間違いなくトップクラスの一品でした。道内の新鮮な海の幸がふんだんに使われ、贅沢さと満足感が両立した料理に感動せずにはいられませんでした。ウニ好きにはたまらない、まさに夢のような食事体験です。 生ウニ丼は、まずその美しい見た目に目を奪われます。ウニの鮮やかな黄色がご飯の上にたっぷりと盛り付けられ、そこに大葉の緑がアクセントとして加わっています。一口運ぶと、濃厚でクリーミーなウニの旨味が口いっぱいに広がり、その新鮮さがすぐに伝わってきます。舌触りは滑らかで、とろけるような食感が絶妙。ウニそのものの甘みと、ほのかな塩気がバランスよく調和し、ご飯との相性も抜群です。まるで海そのものを味わっているかのような感覚に陥りました。 一方、家内が選んだ赤ウニ丼もまた格別でした。赤ウニ特有の濃厚なコクと甘さが際立ち、生ウニとはまた違った深みのある味わいを楽しむことができました。鮮やかな赤い色が視覚的にも食欲をそそり、一口食べるたびにその美味しさに感嘆しました。家内も大満足の様子で、「これはまた絶対に来たい」と何度も言っていました。 付け合わせの味噌汁もまた秀逸で、ウニ丼の旨味を引き立てながらも、後味をさっぱりと仕上げてくれる絶妙な一杯でした。さらに、ウニそのものをその場で手に取って見られる体験も特別感があり、観光地としての魅力を存分に感じました。新鮮なウニの香りや質感に触れることで、料理が提供されるまでの過程にも思いを馳せることができました。 また、店内の雰囲気も非常に良く、落ち着いた空間でゆっくりと食事を楽しむことができました。スタッフの方々の対応も丁寧で、観光客にも地元の方にも優しい配慮が感じられました。さらに、店内から眺める北海道の広大な景色が、食事の時間をより特別なものにしてくれました。 この「みさき」での食事体験は、ただ美味しいだけでなく、北海道という土地が持つ魅力を改めて実感させてくれるものでした。ウニ丼一つとっても、地元の新鮮な素材を最大限に生かし、訪れる人々を笑顔にする力があると感じました。現地でしか味わえない特別な美味しさを、家内と一緒に共有できたことが何よりの喜びです。 北海道に来る機会があれば、ぜひまた訪れたいと思います。次回は他のメニューも試してみたいですし、家族や友人を誘ってさらに多くの人とこの感動を共有したいです。「みさき」で過ごしたひとときは、間違いなく北海道旅行のハイライトでした。
2025/01訪問
1回
すっつしらす会館さんで頂いた「生しらす丼」は、まさにこの地ならではの贅沢そのものでした。まず丼を前にして圧倒されたのは、その透明感。まるで海そのものをすくい上げてきたかのような、透き通った生しらすがたっぷりと山盛りに盛られています。光を受けてきらきらと輝き、目でも楽しませてくれるこの美しさは、鮮度の高さを物語っています。 中央にはうずらの卵がそっと添えられ、周囲には刻み海苔とたっぷりの青ねぎ、そして大葉がふんわりと。さらにおろし生姜も添えられ、食べる前から食欲をそそる香りがふわりと漂ってきます。醤油をほんの少し垂らして、豪快にかき込めば、生しらす特有のとろりとした口当たりと、ほのかな苦み、そしてほんのりとした甘みが口いっぱいに広がります。噛むごとに細やかな魚体がプチプチとはじける感触が心地よく、まさに生ならではの魅力がダイレクトに伝わってきます。 本日の生しらすは寿都産とのことで、これがまた素晴らしい。生臭さは皆無、ただただピュアでクリアな味わい。これだけ大量に盛られているのに、全くもたれることがないのは、素材の良さと取り扱いの丁寧さゆえでしょう。付け合わせに出された小鉢や味噌汁も、素朴ながらしみじみと美味しく、丼の味わいをさらに引き立ててくれました。 店の外観は、漁師小屋を思わせる素朴で味のある佇まい。潮風にさらされてきた年月を感じさせる木の引き戸、そこに掛けられた紺色の暖簾がなんとも風情を醸し出しています。外壁には大きな「生しらす丼」のポスターが掲げられ、今が旬であることを力強くアピール。この潔いシンプルさが、逆に期待を膨らませてくれます。 店内に入ると、すぐ目に飛び込んでくるのが「本日のしらす情報」。生しらすは寿都産、釜揚げしらすは和歌山産と掲示されており、その日の一番いいものだけを出すというお店の誠実さが伝わってきます。手書きのボードに温かみがあり、漁師町ならではの人情を感じさせます。 メニューを見ると、「生しらす丼」「釜揚げしらす丼」「ハーフ&ハーフ丼」など、しらすを主役に据えた丼メニューがずらり。特に目を引いたのは、数量限定の「生しらす&生うに丼」。生うにと生しらす、海の宝石を一度に堪能できる夢のような一品で、次回はぜひそちらにも挑戦したいと思いました。 また、単品で「生かき」「蒸しかき」もあり、こちらも非常に気になります。日本海の恵みをこの一軒でたっぷり味わえるという贅沢。地元食材を愛し、それを最高の形で提供してくれる姿勢に、心から感銘を受けました。 価格も非常に良心的で、この内容で2,000円(税込)は破格と言っていいでしょう。都心で同じレベルの生しらす丼を食べようと思ったら、倍以上は覚悟しなければなりません。さらに、ご飯大盛り無料というサービスも嬉しいポイント。しらすをたっぷり載せて、大盛りごはんに絡めながら頬張る幸せといったら、筆舌に尽くしがたいものがあります。 すっつしらす会館は「生しらす丼」を愛するすべての人に訪れてほしい一軒です。派手な演出も、無駄な装飾もありません。ただ、ひたすら真っ直ぐに、寿都の海からの恵みをありのまま届ける。それがこんなにも胸を打つのだということを、あらためて思い知らされました。 潮の香りを頬に受けながら、旬の生しらすをかき込む。この瞬間の贅沢を知ってしまったら、もう簡単には忘れられそうにありません。次回訪れるときは、また違う季節のしらすにも出会えるかもしれない。その期待を胸に、必ず再訪したいと心から思いました。
2025/04訪問
1回
一口すすった瞬間、思わず目を見開いてしまいました。札幌にある「スパイス&ラーメン橙」——その名の通り、ただのラーメンではありません。スパイスの奔流が五感を一気に目覚めさせる、全く新しいスタイルのスープカレーラーメンがそこにはありました。私がいただいたのは、肉厚で艷やかな燻製鴨がどっさりとトッピングされた一杯。見た目のインパクトからして並外れており、まずビジュアルの段階で完全にノックアウトされてしまいました。 この燻製鴨がまた絶品。皮目に軽くブラックペッパーが振られ、香り高く、しっとりと柔らか。ジューシーさの中にスモーキーな余韻が広がり、口に運ぶたびに幸福感が押し寄せてきます。その下には、オクラや人参、カボチャ、蓮根といった野菜たちが彩り豊かに敷かれており、どれも素揚げで香ばしく、スープの辛味と甘味をうまくつないでいます。これほど具材一つひとつが主張しながらも、全体として調和しているラーメンには、なかなか出会えません。 スープはまさに「旨辛の宝石箱」。一口目は、まろやかなココナッツのような甘みが舌を撫で、後からじわじわとスパイスの刺激が攻めてきます。クミンやコリアンダー、カルダモン、ターメリック……複雑に絡み合った香辛料が重層的に香り、飲むたびに異なる表情を見せてくれる奥深い仕立て。辛すぎず、しかし決して甘くもなく、万人に好まれそうでいて、スパイス好きにとってはクセになる絶妙なバランスです。ベースには鶏の旨味がしっかりと溶け込んでいて、ラーメンというよりも高級スパイススープを飲んでいるような感覚さえ覚えました。 麺は中太のちぢれ麺で、スープの絡みが非常に良好。表面はつるりとしながらも噛むとしっかりとした弾力があり、このスープとの相性は文句なしです。時間が経ってもダレることなく、最後まで美味しくいただけるのは技術の証。スープに埋もれない存在感を放っており、全体のバランスにおいても非常に優れています。 そして特筆すべきは、セットで提供されるターメリックライス。鮮やかな黄金色のご飯は、しっとりと炊き上げられており、スープをかけていただくと極上の締めに早変わり。さらに驚いたのが、添えられた一個の揚げ餃子。正直、これは予想外の組み合わせでしたが、これがまた妙に合うのです。パリッと揚がった皮の香ばしさと、具材のジューシーさがスープとライスをうまく橋渡ししており、一皿の中に小さなドラマを感じました。 店内は木を基調とした温かみのある内装で、スパイスの香りがほんのり漂い、居心地の良さが光ります。カウンター席も広めで、一人でも気軽に入れる雰囲気。スタッフの方々の接客も温かく、丁寧にスープの辛さ調整やトッピングの説明をしてくださり、初訪問でも安心して注文することができました。地元の方はもちろん、観光客にとっても札幌の新たな名物になり得るポテンシャルを感じます。 スープカレー文化の根付く札幌で、「ラーメン」という形を借りてスパイスの新しい可能性を提示している「橙」。ここには単なるラーメン屋の枠を越えた創造性と、確固たる美意識がありました。食のジャンルを飛び越え、ラーメンとスパイス料理、スープカレーと創作料理を融合させたその発想力と完成度には脱帽です。ラーメン好きもスパイス好きも、どちらも満足できる稀有な一杯。間違いなく、札幌を訪れるたびに立ち寄りたくなるお店のひとつになりました。
2025/09訪問
1回
札幌の中心地、すすきの「第4グリーンビル」1階に店を構える味の名人「天鳳」。地下の隠れ家ではなく、街の喧騒とともに立ち並ぶ名店が集う路面の一角に、静かにその暖簾はかかっています。黒地に力強く描かれた「天鳳」の文字。その暖簾をくぐった先に広がるのは、まさに“札幌味噌ラーメンの真髄”とも呼べるような一杯との出会いでした。今回注文したのは、看板メニューのひとつ「バターコーンラーメン」。札幌といえば、と問われれば迷いなく名を挙げたくなるような、王道かつ究極の味噌ラーメンです。 白磁に龍が舞う昔ながらの器にたっぷりと注がれたスープは、赤味噌をベースとした濃厚な色合い。その上に浮かぶのは、山のように盛られた甘みたっぷりのコーン、そして正方形に切り出された大ぶりのバター。中央でゆっくりととろけていく様は、まるで主役の登場を待つ舞台のよう。バターがスープに溶け込むにつれ、ふわりと立ちのぼる乳脂の香りが鼻腔をくすぐり、食欲をぐいぐいと引き寄せてくれます。 レンゲをそっと沈め、スープをひと口。味噌の風味がドンと広がったかと思えば、バターのコクとコーンの甘みがふわりと追いかけてきて、その複雑な層に感動すら覚えます。塩辛さや尖りは一切なく、しっかりと出汁の旨味と味噌の深さが感じられる、手間ひまかけた味の設計。全体としてのバランス感がとにかく秀逸で、どこか家庭的でありながらも、プロの技術が光る一杯です。 麺は中太のちぢれ麺。スープをしっかりと絡め取りながらも、コシのある食感で最後までへたれずに存在感を放ちます。噛みしめるたびにスープと共に味噌とバターの風味が絡み合い、コーンのぷちぷちとした甘みと麺のモチモチ感が口の中で一体となっていく。まさに札幌味噌ラーメンの“理想像”を体現していると感じました。 具材の構成にも無駄がなく、計算され尽くしています。甘く、優しい食感のコーンは想像以上に豊かに盛られており、食べ進めるごとに変化を与えてくれる。とろけるバターが味噌スープの温度に徐々に溶け込み、後半になるほどクリーミーでコクのある味わいへと変貌を遂げていく過程がまた楽しい。メンマのコリコリとした歯応え、シャキッとしたネギの清涼感、そして半熟卵の濃厚な黄身もアクセントとして光っています。 気がつけば、スープまですっかり飲み干していました。札幌味噌ラーメンの定番にして、これほどまでに完成されたバランスの一杯には、なかなか出会えません。塩梅、油分、甘み、香り……そのすべてが一杯の中で調和を保ち、気取りなく、しかし確実に心を揺さぶってくるのです。 店内の雰囲気も実に心地よく、カウンター越しに感じる店主の手際の良さとリズム、漂う味噌と炒め野菜の香ばしい湯気が、五感を満たしてくれます。ああ、これは“日常のご褒美”だなと、自然と頬が緩む幸福感がそこにはありました。 「天鳳」のバターコーン味噌ラーメンは、ただの定番ではありません。伝統を守りながらも常に丁寧に、そして実直に向き合っているからこそ生まれる“札幌の味”がここにあります。観光客として訪れた人間にとっても、地元民の胃袋を支える名店としても、この味は記憶に深く刻まれることでしょう。寒い季節はもちろん、どんな時期に訪れても、きっと変わらず、あの一杯が待っていてくれる――そう思える安心感と実力を兼ね備えた名店です。
2025/04訪問
1回
小樽の「北一ホール」に足を運びました。この場所は、単なるカフェという言葉では到底表現しきれない、まるで時が止まったかのような幻想的な空間です。写真に映る一杯のカップとプリンの組み合わせ。その背景には、ぼんやりと灯るランプの温かな光と、ぼかされたアンティーク調のインテリアが写り込み、見る者にまるで映画のワンシーンに迷い込んだような錯覚を与えます。 訪れたのはちょうどピアノの生演奏が始まる時間。入り口をくぐった瞬間、ガラス越しに聞こえる柔らかな旋律と、ホールを満たすランプの光が迎えてくれました。約167個もの石油ランプが灯されているというホール内は、まるで明治時代にタイムスリップしたかのよう。電灯では決して生まれない、オレンジがかった優しい灯りが、天井からテーブルまで柔らかく照らし出し、訪れるすべての人を包み込みます。 いただいたのは「北一特製ロイヤルミルクティー」と「モスカート・ダスティを使用したワインプリン」。まずミルクティーは、口に含んだ瞬間に紅茶葉の豊かな香りがふわりと広がり、濃厚なミルクがその香りを優しく包み込みます。甘さは控えめで、むしろ茶葉本来の風味を最大限に引き出す絶妙なバランス。このミルクティーは、単なる飲み物ではなく「体験」そのものと呼ぶにふさわしい完成度でした。 そしてワインプリン。一見するとクラシカルな見た目のプリンですが、スプーンを入れるとその滑らかさに驚かされます。一口食べれば、芳醇なモスカート・ダスティの風味が広がり、アルコールの角は一切感じさせず、ワインの果実味だけが上品に舌の上に残ります。甘さと酸味のバランスも秀逸で、ミルクティーとの相性は言うまでもなく抜群。このプリンだけを目当てに再訪したくなるほどの完成度でした。 また、スタッフの対応も印象的でした。ホールの荘厳な雰囲気に負けない品の良さと、細やかな心配りが行き届いており、訪れる客一人一人に対して誠実に接していることが伝わってきます。こうした心遣いが、空間全体の心地良さにさらに深みを加えています。 店内の空気は常に静謐で、ピアノの旋律とランプの灯りが織りなす非日常的な世界に、時間の流れさえ忘れてしまうほど。カップを手にしたまま、ふと目を閉じれば、遠い時代の物語が聞こえてくるような錯覚にとらわれます。この静寂と音楽と光が織りなす世界観は、他のどのカフェにも代えがたい特別なものです。 「北一ホール」は、小樽という街が持つ歴史と文化、そして美意識のすべてが結晶化した場所だと感じました。単なる観光地ではなく、心を豊かにしてくれる場所。再びこの地を訪れるときも、必ずこのホールの椅子に腰を下ろし、ミルクティーとプリンの幸福なペアを楽しみたいと思います。この体験は、決して忘れることのない旅の一頁となりました。
2025/07訪問
1回
食べログ ラーメン HOKKAIDO 百名店 2025 選出店
すすきの(市営)、豊水すすきの、すすきの(市電)/ラーメン
札幌らーめんの名店「輝風 すすきの店」に訪問。札幌ラーメンといえば、濃厚な味噌スープに太めのちぢれ麺、そして香ばしい炒め野菜が特徴だが、この店は一味違う。百名店に選ばれるほどの実力を持ちつつも、伝統に甘んじることなく独自のスタイルを追求している。その一杯には、他では味わえない特別な魅力が詰まっている。 席についてメニューを眺めると、味噌、醤油、塩といった札幌ラーメンの基本が揃うが、今回は店の看板である「特製味噌ラーメン」を注文することにした。注文後、店内に広がる香ばしい味噌の香りに包まれながら、期待に胸を膨らませる。 しばらくして運ばれてきたラーメンを目の前にすると、その迫力に圧倒される。まず目を引くのは、分厚くカットされたチャーシュー。その下にたっぷりと盛られたネギとメンマ、そして半熟の味玉が美しく配置されている。さらに、スープの表面には香ばしい油が浮かび、黄金色の輝きを放っている。中央に添えられた生姜のすりおろしが、またこの一杯の個性を際立たせている。 まずはスープをひと口。レンゲを沈めると、濃厚な味噌スープが持ち上がり、一口飲めばその奥深い旨味に驚かされる。豚骨と鶏ガラをじっくりと炊き出したスープに、数種類の味噌をブレンドしたというスープは、まろやかでありながら力強いコクがある。さらに、表面に浮かぶ香味油が、スープ全体に芳醇な風味をもたらしている。濃厚ではあるが決して重たすぎず、飲み進めるごとに旨味が増していくような感覚がある。 次に麺を持ち上げる。札幌ラーメンらしく、太めのちぢれ麺が使われている。しっかりとしたコシがあり、噛むたびに小麦の風味が広がる。そして何より、スープとの絡みが抜群。ちぢれた部分にスープがしっかりと絡みつき、一口ごとにスープの旨味がダイレクトに伝わってくる。もちもちとした弾力と歯切れの良さを兼ね備えた麺は、この濃厚なスープに完璧にマッチしている。 続いて、存在感抜群のチャーシューを味わう。しっかりと炙られたチャーシューは、外側が香ばしく、中はとろけるような柔らかさ。脂身の部分が甘く、噛むたびに豚肉の旨味がジュワッと広がる。炙られたことで、香ばしさが加わり、スープとの相性も抜群。このチャーシューだけでもご飯が欲しくなるほどの完成度の高さを感じる。 ネギはシャキシャキとした食感が心地よく、スープと一緒に食べることで味に爽やかなアクセントを加えてくれる。メンマはしっかりとした歯応えがあり、甘辛い味付けが絶妙。どの具材もそれぞれが個性を持ちながら、一杯のラーメンとしてまとまりのある味わいを作り出している。 そして、このラーメンの最大の特徴とも言えるのが、生姜のすりおろし。これをスープに溶かすことで、一気に味が変化する。濃厚な味噌スープに生姜のさっぱりとした辛みが加わり、後味が引き締まる。途中で加えることで、味の変化を楽しむことができ、最後まで飽きることなく食べ進められる。このひと工夫が、輝風のラーメンを唯一無二のものにしている。 そして、半熟の味玉。箸で割ると、中からとろりとした黄身が流れ出す。スープに浸して食べると、黄身の濃厚なコクがスープの味噌と融合し、より深みのある味わいへと変化する。しっかりと味が染み込んでおり、単体で食べても満足感があるが、やはりスープと合わせることでその魅力が最大限に引き出される。 最後に、スープを飲み干す。最初は濃厚だったスープが、途中で生姜を加えたことでさっぱりとした後味に変化し、気がつけば丼の底が見えていた。濃厚ながらも後を引かないスープのバランスの良さが、このラーメンの完成度の高さを物語っている。 「札幌らーめん輝風 すすきの店」は、単なる札幌味噌ラーメンではなく、独自の工夫を凝らした一杯を提供する名店だった。スープ、麺、具材、そして生姜というアクセントのバランスが絶妙で、食べるごとに新しい発見がある。これこそが、多くのラーメン好きに支持される理由なのだろう。 次回訪れる際は、別のメニューにも挑戦してみたいが、この特製味噌ラーメンの完成度を考えると、また同じものを頼んでしまいそうだ。それほどまでに、心に残る一杯だった。
2025/04訪問
1回
函館の老舗「元祖インドカレー 小いけ」に訪問。地元の人々に長年愛され、観光客からも絶大な支持を受ける名店。ここで味わうカレーは、いわゆる「インドカレー」とは一線を画す、日本独自の進化を遂げた絶妙な一皿。今回は「カツカレー」を注文し、その歴史ある味を堪能することにした。 運ばれてきたカレーは、まさに「王道のカツカレー」のビジュアル。揚げたてのカツが大きく広がり、その上からたっぷりのカレーがかかっている。まず目を引くのは、カレーの色。サラサラとした質感ながら、しっかりとしたコクがありそうな深いブラウン。一般的なドロッとしたカレーとは異なり、スパイスの風味を存分に感じさせる軽やかな見た目が特徴的。 スプーンでカレーをすくい、ひと口。まず感じるのは、独特のスパイスの香りと深みのある味わい。辛さは控えめで、どこか懐かしさを感じさせる優しい口当たり。しかし、その奥に広がるスパイスの層が非常に豊かで、一口ごとに新しい味が広がっていく。サラサラとしたカレーは、ご飯との絡みが抜群で、一緒に食べることで絶妙なバランスを生み出している。 次にカツに注目する。見ての通り、衣はサクサク。スプーンで軽く押すと、衣が心地よく崩れる感触が伝わってくる。口に入れると、カツの肉厚なジューシーさと、衣の香ばしさが一気に広がる。カレーとの相性も抜群で、衣がスパイスの効いたルーを程よく吸い込みながらも、決してベチャッとならない絶妙な食感を維持している。カレーがカツを引き立て、カツがカレーにコクを加える、まさに相乗効果の生まれる一皿。 そして、ご飯。ほどよい硬さに炊き上げられており、カレーのルーがしっかりと染み込む絶妙なバランス。ルーのサラサラ感があるからこそ、ご飯との組み合わせが重要になるが、小いけのカレーはまさにそれを計算し尽くしたかのような完成度。カツのジューシーさ、カレーのスパイス感、ご飯の甘みが一体となり、シンプルながら奥深い味わいを生み出している。 また、カレーの中に時折顔を出すジャガイモや玉ねぎも見逃せない。大きめにカットされたジャガイモはホクホクとした食感が残っており、カレーの旨味をしっかり吸収している。玉ねぎはトロトロに溶け込んでいて、甘みとコクをプラス。こうした細部へのこだわりが、老舗ならではの貫禄を感じさせる。 卓上の調味料を少し加えてみる。ウスターソースをひと垂らしすると、カレーのスパイスに甘みと酸味が加わり、より一層味の深みが増す。辛さを強調したい場合は、別添えのスパイスを加えることで、ピリッとした刺激がアクセントとなり、また違った表情を見せてくれる。こうしたアレンジの幅が広いのも、小いけのカレーの魅力の一つだ。 食べ進めるにつれ、「これが函館のソウルフード」と呼ばれる理由がはっきりとわかってくる。派手な味ではなく、どこか懐かしさを感じさせる優しい味わい。しかし、ただの家庭的なカレーとは違い、スパイスの使い方や食感のバランスに職人技が光る。決して派手さはないが、一口食べるごとにその完成度の高さを実感する。 最後の一口を食べ終えた時、心の底から満足感が湧き上がる。カツカレーというシンプルなメニューながら、ここまで計算し尽くされたバランスの良さは、まさに老舗ならではの味。どこか懐かしく、しかししっかりと「プロの味」を感じさせる、そんな唯一無二のカレーだった。 函館に訪れたら、必ず食べておくべき一皿。長年愛され続けている理由が、一口ごとに伝わってくる。次回は別のトッピングも試してみたいが、このカツカレーの完成度を考えると、やはりまた同じものを頼んでしまいそうだ。それほどまでに、クセになる味だった。
2025/04訪問
1回
食べログ ラーメン HOKKAIDO 百名店 2025 選出店
すすきの(市営)、すすきの(市電)、狸小路/ラーメン
元祖札幌ラーメン「もぐら」は、百名店にも選ばれるほどの名店で、その評判に違わぬ美味しさが際立っています。まず目を引くのは、トッピングに堂々と鎮座するバター。この一片がスープに溶け込むことで生まれるコクとまろやかさは、まさに絶品。一口すするごとにバターの香りが広がり、味噌ラーメンとの相性が抜群であることを改めて感じさせられます。 スープは濃厚ながらも後味がすっきりとしており、飲み進める手が止まりません。その秘密は、厳選された味噌と出汁の絶妙なブレンドにあるのでしょう。味噌の香ばしさと出汁の深い旨味が融合し、体の芯から温まる一杯となっています。特に寒い日には、この一杯が心も体も温めてくれる最高の一品になること間違いありません。 そして、このラーメンをさらに引き立てているのがたっぷりと乗ったコーンです。バターとコーンの組み合わせは王道ながらも、その甘さと香りが口の中で広がる瞬間は何度味わっても感動的です。また、コーンの食感がスープとのコントラストを生み出し、食べ進める楽しさを与えてくれます。 チャーシューもまた絶品。厚めにカットされたチャーシューは、柔らかくジューシーで、噛むたびに肉の旨味が溢れ出します。スープとの相性も良く、ラーメン全体をより豪華に仕立ててくれています。そして、ネギのシャキシャキ感が全体のバランスを引き締め、重さを感じさせない仕上がりに。これらの要素が一体となり、食べ進めるたびに新たな発見と喜びをもたらしてくれます。 店内はアットホームな雰囲気で、店員さんの温かい接客が心地よく、居心地の良い空間を提供してくれます。カウンター席が中心で、目の前で調理されるラーメンを待つ間も、その香りと音に食欲を刺激され、期待感が高まります。お客さん一人一人に丁寧に向き合う姿勢は、リピーターが多い理由の一つかもしれません。 さらに、このお店の特筆すべき点は、そのアクセスの良さと地元の食材へのこだわりです。札幌ラーメンの真髄を追求しつつ、地元の食材を活かした一杯を提供している点が、この店を特別な存在にしています。また、観光客だけでなく地元の人々にも愛されているお店であることが伺えます。 「もぐら」のラーメンは、ただの食事ではありません。一杯の中に詰め込まれた職人の情熱と、食材が奏でるハーモニーを堪能できる、まさに感動の一皿です。このラーメンを食べるために訪れる価値があると断言できます。一度でもこの味を体験すれば、その魅力の虜になることでしょう。札幌に行く機会があれば、ぜひ訪れてみてください。間違いなく、その味とサービスに感動すること請け合いです。
2025/03訪問
1回
小樽にある「バー ドゥオモ ロッソ」を訪れました。このバーは、小樽の夜景を楽しみながら優雅な時間を過ごせる、まさに大人の隠れ家的なスポットでした。非日常を感じさせる赤を基調とした空間は、特別なひとときを求める人にぴったりの場所でした。 店内に入ると、まず目に飛び込んできたのは、赤いドーム型の天井。柔らかい間接照明が空間全体を照らし出し、落ち着きと上品さを醸し出しています。赤い天井とカウンターに並ぶボトルが織り成すコントラストが美しく、見ているだけで心が躍ります。小樽の街並みを一望できる窓際の席に案内され、そこからの景色はまさに絶景でした。歴史ある街の夜景が穏やかな海とともに広がり、その幻想的な景色はまさに特別な時間を演出してくれました。 最初にいただいたのはグラスシャンパン。グラスに注がれるシャンパンのきらめく泡が、まるで小樽の夜景と共鳴しているかのようでした。シャンパンの爽やかな酸味と華やかな香りが口いっぱいに広がり、乾杯とともに幸せな気分がさらに高まりました。これに合わせて提供されたミックスナッツも程よい塩味が効いており、お酒の味を引き立てる絶妙なコンビネーションでした。 家内は彩り鮮やかなカクテルを注文しましたが、これもまた見た目に美しく、味も素晴らしい一杯でした。バーテンダーの方が丁寧に仕上げたカクテルは、フルーティーで爽やかな味わいで、家内も「こんなに飲みやすいカクテルは初めて」と大絶賛していました。 また、このバーの魅力は、お酒だけでなくその空間そのものにあります。赤い天井と洗練されたインテリアが醸し出す雰囲気は、どこを切り取っても絵になる美しさがあります。音楽も控えめで心地よく、街の喧騒を忘れてゆっくりとした時間を過ごすことができました。小樽の歴史的な街並みと融合するこのバーの雰囲気は、特別な日にぴったりです。 スタッフの方々の接客もまた素晴らしく、私たちのペースに合わせて程よい距離感で接してくださるのが印象的でした。お酒についての質問にも親身に応じてくださり、おすすめを提案してくれるなど、リラックスして楽しめる心地よさがありました。 「バー ドゥオモ ロッソ」で過ごした時間は、家内との思い出に残るひとときとなりました。次回訪れる際には、異なるお酒や季節限定のメニューを試してみたいと思います。また、座る席によって見える景色が変わるとのことなので、次回は別の眺めを楽しむことも楽しみの一つです。 小樽を訪れる際には、ぜひこのバーを訪れてみてください。非日常を感じさせる空間と洗練されたお酒、そして小樽の美しい夜景が揃った「バー ドゥオモ ロッソ」は、忘れられない特別な時間を約束してくれることでしょう。
2025/01訪問
1回
先日、家内とともに「レストラン&バー SKY J」へ伺いました。このお店は、JRタワーホテル日航札幌の最上階に位置し、札幌の美しい街並みを一望できる特別な場所です。日常を忘れさせてくれるようなラグジュアリーな空間で、家内との特別な時間を過ごすことができました。 まず、店内の雰囲気についてです。大きな窓から見える夜景はまさに圧巻で、札幌の街並みがキラキラと輝いていました。テーブルに座ると、まるで街の上空を漂っているかのような錯覚に陥ります。照明も暖かく落ち着いたもので、店全体が静かで洗練された雰囲気に包まれていました。このような素晴らしい環境の中で食事を楽しむことができるのは、贅沢そのものでした。 まず提供されたのは、美しく盛り付けられた前菜プレート。6つの異なる前菜が小さな仕切りに分けて提供され、それぞれが独立した魅力を持っています。一品一品に季節の素材がふんだんに使われ、シンプルながらも手間暇を感じさせる料理ばかりでした。特に感動したのは、軽くスモークされた生ハムと、鮮やかなグリーンソースが添えられた野菜のテリーヌ。スモークの香りと素材そのものの甘さが口の中で絶妙に調和し、次の料理への期待が高まりました。 次にいただいたのは、メインディッシュのポークグリル。表面は香ばしく焼き上げられ、中は驚くほど柔らかくジューシー。肉自体の旨味を引き出すために控えめな味付けが施されており、添えられたソースとの相性が抜群でした。ソースは甘酸っぱいトマトベースのものと、濃厚なデミグラス風味の2種類で、それぞれが異なる表情を楽しませてくれました。また、付け合わせの季節野菜も彩りが美しく、食感も楽しいものでした。 続いてのパスタは、絶妙なアルデンテに仕上げられたスパゲッティ。トマトソースをベースに、上には黒オリーブのクランブルが散りばめられており、見た目にも美しい一皿です。一口食べると、濃厚なトマトの酸味とオリーブの塩気が絶妙に絡み合い、さらにフレッシュなバジルの香りが後味を引き締めてくれます。軽めのパスタでありながら、満足感のある一品でした。 料理に合わせたワインも大変素晴らしい選択でした。この日はボルドーの赤ワインをいただきましたが、肉料理との相性が特に際立っていました。滑らかな口当たりと豊かな果実味が料理を引き立てるだけでなく、食事全体を格上げしてくれるような存在感を持っていました。スタッフの方が料理に合うワインを丁寧に提案してくださったことも、大変ありがたかったです。 最後に提供されたデザートプレートは、食事の締めくくりにふさわしい華やかさと美味しさを兼ね備えていました。季節のフルーツを使ったタルトと濃厚なチョコレートムースは、甘さが絶妙で、最後まで飽きることなく楽しむことができました。 「レストラン&バー SKY J」での食事は、料理の美味しさだけでなく、札幌の街を見渡す壮大な景色、そしてスタッフの丁寧なサービスが相まって、特別な時間を演出してくれました。家内とともに過ごしたこの夜は、日常の喧騒から解放され、リラックスしながら素晴らしい料理を堪能する贅沢なひとときでした。 今後、札幌を訪れる際にはぜひ再訪したいと思います。また、季節ごとのメニューの変化を楽しむために、定期的に通いたくなるような魅力が詰まったお店です。このような素晴らしい体験を提供してくださったお店の皆様に感謝の気持ちを伝えたいと思います。次回はランチタイムの利用も考えていますので、新しい景色と料理を楽しみにしております。
2025/01訪問
1回
訪れたのは、地元で評判の「パティスリーしらさき」。この日は「イチゴパイ」、「コーヒーロール」、そして「はしっこシフォン」を購入しました。それぞれが個性的で魅力的なスイーツで、期待以上の美味しさに感動しました。 まず、「イチゴパイ」は、箱を開けた瞬間からイチゴの甘酸っぱい香りが漂い、食欲をそそります。サクサクのパイ生地と、とろりと滑らかなカスタードクリームが絶妙に調和し、イチゴの新鮮な酸味がアクセントになっています。特に、生地の層が繊細で、一口食べるごとに幸せな気持ちになれる一品です。 次に、「コーヒーロール」は、コーヒーの香ばしさが特徴的。ふんわりとした生地に包まれた濃厚なコーヒークリームは、甘さ控えめでほろ苦い大人の味わいです。食後のデザートや、ティータイムのお供にぴったりで、コーヒーとの相性も抜群。一口ごとに広がる深い風味がやみつきになります。 そして「はしっこシフォン(チョコ)」。端の部分を活用したこの商品は、手頃な価格ながらクオリティは抜群。ふわふわで軽やかな生地に、濃厚なチョコレートの香りが漂い、一口食べるとカカオの豊かな風味が口いっぱいに広がります。端特有の食感の変化が楽しめる点もユニークで、ついつい手が伸びてしまうスイーツでした。 どの商品も素材の良さが際立っており、全体的に甘さが控えめで、最後まで飽きずに楽しめるのが特徴的でした。スイーツ好きの方はもちろん、甘いものが得意でない方にもおすすめです。スタッフの方の対応も丁寧で、商品選びのアドバイスや説明が的確だった点も印象的でした。 地元にこんな素晴らしいパティスリーがあるのは幸せだと感じました。また新しい商品を試しに行きたいと思わせる、魅力溢れるお店でした。
2025/01訪問
1回
余市の地に静かに佇む名店「SAGRA」。食べログ百名店としての確かな実力に加え、Silver受賞の栄誉も併せ持つこのレストランで、至福のランチコースを堪能させていただきました。料理の一皿一皿に、シェフの感性と余市の風土、そして時間の積み重ねが凝縮されており、その全てが「記憶に残る食体験」として立ち上がってくる、そんな時間でした。 テーブルに最初に並んだのは、目にも楽しい小鉢と前菜の構成。長方形のプレートには、黒豆、鴨の燻製、酒粕に漬けた根菜、イクラ、白子を軽く炙ったものなど、ひとつひとつが独立した世界観を持ち、まるで美術館で展示品を眺めるような感覚に。どの品にも共通していたのは「余白の美」。無理に盛り込まず、素材と余白、味と香りの呼吸を大切にしている印象を受けました。 次に供されたのは、温かみのある白い陶器にふわりと盛られた「だし巻き卵の雲丹のせ」。その見た目にまず息を呑み、箸を入れれば中から滲み出す出汁と雲丹の濃厚な甘みが混ざり合い、五感に訴えかけてきます。雲丹の質が驚くほど高く、潮の香りが舌の上でじんわりと広がりながら、卵の柔らかさと溶け合っていく。この一皿だけで、海と大地、職人の手仕事の美しさを同時に味わえる、そんな完成度です。 焼き物には、分厚く切られた銀鱈の西京焼きが登場。美しく焦げ目のついた表面は香ばしさを存分に感じさせながら、中はふっくらとした脂の乗り。西京味噌の控えめな甘さと塩加減が完璧なバランスを生み、ひと口ごとに心がほどけていく感覚がありました。写真で見てもその艶と厚みに圧倒されますが、実際の味わいはその数倍に迫る説得力を持っていました。 続く煮物椀は、ししとうとミニトマトの炊き合わせ。見た目は素朴ながら、ししとうのピリリとしたアクセントに対し、トマトの酸味と甘さがまろやかに包み込み、ひと口で夏の余韻と秋の香りを思わせる複層的な味わい。黒い器とのコントラストがまた素晴らしく、色彩の演出もさることながら、出汁の浸透具合に職人の技が光ります。 主食は潔く白米と味噌汁、そして雲丹丼。炊き立てのご飯の美味しさに驚かされ、味噌汁には角のない優しい旨味が溶け込んでいて、五臓六腑に染み渡る味わいでした。そして主役とも言える雲丹丼は、これまでの料理の集大成とも言える一杯。これでもかというほど贅沢に乗せられた生雲丹は、口に運ぶと一瞬で溶けてなくなり、鼻から抜ける磯の香りとともに至高の余韻を残します。素材の質、炊き加減、器との相性すべてが完璧でした。 最後の甘味には、木の台に美しく並べられたデザート。クレームダンジュのような軽いムースに、ドライフルーツのような果実のアクセントを効かせた一品。まるで空気を食べているような軽やかさがありながら、しっかりと味の芯を感じさせるバランス感覚に舌を巻きました。器と台座の演出も見事で、料理だけでなく空間ごと余市の四季を表現しているかのようでした。 料理そのものが語りかけてくるような構成と、皿の上で奏でられる小さなドラマの連続。どの皿にも共通しているのは「引き算の美学」。過剰に飾らず、しかし細部には徹底的にこだわる。その信念が、この一連のコースを一貫性のある物語として成立させているのだと強く感じました。 余市という土地が持つ風土を最大限に活かし、料理という形で再構築する。SAGRAでの食体験は、ただの食事ではなく、自然と人と技術が織りなす芸術そのものでした。余市を訪れる機会があるなら、間違いなく再訪したい、心からそう思える名店です。