烈光さんが投稿したはまんど（香川/みの）の口コミ詳細

1、①4万円を超した電気代に腰を抜かし乍ら、死ぬ程の酷暑を耐え抜いた、長い長い夏も焉に終わりを告げました。
秋が加速度的に深まり行く2024年10月24日に、「鰻」を餌にして妻と一緒に香川県へ『麺探訪』に来ています。
②仕事都合で高松市に居る息子と合流し、「朝　うどん」は加茂町の『がもう　うどん』さんで、何時もの「小　そのまま　温出汁　キツネ」を頂きました。
③昼は三豊市三野町の『はまんど』さんです。
11時の開店迄には時間があり、またうどんを消化する為の時間も必要です。
そこで、「琴弾(ことひき)公園」の「銭形砂絵」→「高屋神社(稲積山の山頂に在るので、別名「稲積神社」)本宮」の「天空の鳥居」→「父母ヶ浜」経由としました。
④(ア)「銭形砂絵」は江戸時代に流通した「寛永通宝」を浜砂で模っています。
(イ)全国にも知られた写真スポットである「天空の鳥居」への進入口が、直ぐには分らずに1度行き過ぎ路肩に一時駐車しました。
息子に検索させると、崩落の為に2024年6月より山頂への林道は全面車両通行止めとなっていました。
進入口の幅員は狭く分かり難いので、周囲の車両に配意しながら身を乗り出す様にして低速で能々に目を凝らしながら捜索すると在りました。
道際より奥まった場所に、申し訳が無さそうにひっそり閑と「全面車両通行止め」の案内板がありました。
これでは気付くのは至難かと思い乍ら、徒歩では時間が掛かり過ぎる為に通過する事としました。
(ウ)「父母ヶ浜」は「ちちぶ　が　はま」と読みます。地名は難読ですね。「母屋(おもや)」なら読み書きが出来ても、「母」を「ぶ」とは読めませんね。
「黄昏時」・「夕凪時」・「干潮時」に出現する潮溜まり映る人影を、南米ボリビアにある「ユウニ塩湖」の様に、写真に撮れるとSNSで全国的にも話題沸騰した人気スポットです。
2、①「琴弾公園」を後にして、左手に有明浜に打ち寄せる「燧灘(ひうちなだ)」の波とその先に浮かぶ「伊吹島」を愛で乍ら海岸線を北進します。
②「燧灘」は「周囲で火打石(燧石)用の石英が多く産出された」事に由来します。
北は備後灘と臨海する、島嶼と海峡が少なく潮流が安定した水深25mの遠浅の海域です。
③「伊吹島」は海岸から約10㎞先にある有人島で「伊吹いりこ」の産地で全国的に有名です。
燧灘が育んだ「カタクチイワシ」は飛び切りの上物で、其れを煮て干したのが、全国ブランドの「伊吹いりこ」です。
「讃岐うどん」は元より、『はまんど』さんでも用いられ代用品はありません。
余談ですが、「讃岐」とは、律令制度に基づいた飛鳥時代から明治初期迄の地理的区分の最小単位である令制国の1つです。
3、①午前中にも拘わらず干潮時と云うことで、「父母ヶ浜」には20人程度の人影がありました。
少しばかり時間潰しをして、いざ『はまんど』さんへ。
②駐車場を出て、「『大見』吉津仁尾」の道路標識を頼りに、当然にカーナビゲーションはオフで車を走らせます。
③香川県ではカーナビゲーションはオフです。
香川県は、全国最小面積の都道府県で、中心部から一般道路を利用しても1時間余りで越県します。
④沿道右に「手打ちうどん　喰回(くうかい)」さん(此方は、木の葉型の天麩羅で有名な「渡辺系」です)が見えました。直ぐに『はまんど』さんです。
⑤迷うこと無く駐車場へ、そして券売機の前に。
時刻は11時45分。券売機には先客は無。我ながら天才と自画自賛。
4、①(ア)宗家『はまんど』さんで修業された方々が『(朝ラーメン・讃岐ラーメン・麺屋)浜堂○○』の屋号で県内外に多数出店されています。
とは云っても、県外は主には岡山県ですが。
岡山県と香川県とは、地理・文化・人物流・交通網面で深い繋がりがあります。
(イ)『はまんど』の名称は、商標登録の届け出により、宗家のみに許された名称・屋号です。
その為に、その他の屋号は全て『(朝ラーメン・讃岐ラーメン・麺屋)浜堂○○』となります。
②(ア)うどん王国で有り乍ら、『讃岐ラーメン』の名を日本中に膾炙した『はまんど』さん。
(イ)広島市中区江波南『中華そば　陽気　本店』さんの紹介でも用いましたが、「膾炙」は「かいしゃ」と読みます。中国唐朝の「周朴詩集序」の「一遍一詠、人口(人の口の意)膾炙」に由来します。意味は「周知」と同じです。
③多くのラーメン職人を育成し、多くの店主を輩出された『森　敏彰』氏。
5、『はまんど』さんのラーメンを心行くまで堪能し賞味するには、其の足跡を理解しておく必要があると思います。
積極的にSNSも活用されています。
「ホームページを閲覧すれば態々云われなくても」と思われた方には「すみません」。
又、「ラーメを食べるのに、経歴・歩みなんかは必要は無いよ」と思われた方にも「すみません」。
読み飛ばしてください。
①「森　敏彰」氏は、1986年に居酒屋「炉端焼　盛(もり)」を開業されました。
店で提供していたラーメンが名物なり、ラーメン専門店「盛ラーメン」を出店して注目を浴びました。
然しながら、当然の如くに「うどん王国の香川」に在っては業績は伸び悩み苦戦を強いられる様に成りました。
②第二次世界大戦後の我が国のラーメンの担い手は、「中国大陸から引き揚げて来られた邦人」・「大戦後に中国から帰来された中華系の人」・「在日邦人」の方々に大別されると思います。
店舗の規模・営業スタイル・店主の垣根を超えて教えを乞いスープの研鑽と探求を積まれました。
③(ア)麺については、「讃岐うどん」に引けを取らない為には如何すれば良いのかと思案され、先ずは「讃岐うどん」の「麺」を探求され始めました。
(イ)年間に1,500食を3年余り食べ歩いて迎えた、1998年の第一回「讃岐うどん王選手権」大会で見事に優勝を果たして、初代「讃岐うどん王」の栄冠を手中に収めました。
(ウ)決勝戦での出題は「茹でられて3時間以上も経過した麺が、何処のうどん店のモノであるか」と云う超難題でした。
其の超難題に勇敢に挑んだ人達の中で、只一人だけ奇跡のパーフェクト回答を成し遂げました。
マスメディアは挙って、「神の舌」を持つ男・「煮干の魔術師」と称賛したそうです。
(エ)開発に挑み始めて4年と半年、漸く完成したのが今の『はまんど』の『平打ち　縮れ　麺』です。
④1999年には『はまんど』に屋号を改名しました。
2006年に公開の映画「UDON」にも実在のラーメン店主として出演もされました。
⑤屋号の「はまんど」は近隣の地名「浜の堂」に由来してとの事です。
6、①今回の評価は、「しょうゆ」・「しお」・「ぱいたん」では無く、ド定番の「はまんど」￥850についてです。
私だけ「味玉」1個を追加して￥980と成りました。
②此方のお店は、自身が注文をしたラーメン等の商品に限って写真撮影は許されています。
其れ以外については、個別にお店の事前許可を頂いて撮影した写真を掲載しています。
③(ア)『(朝ラーメン・讃岐ラーメン・麺屋)浜堂○○』は店毎に外観が異なっていたり、見た目は酷似していても麺・スープ・叉焼・味玉の仕上がりと最終の味付けと全体のバランスは店毎で大きく違っています。
(イ)店主さんは、其れ等のお店を親愛の情を込めて「姉妹店」と呼んでいます。
(ウ)其の一方で、「基本的な調理は教授するも、各店の独自性も尊重する」旨を表明されています。
是が、本店(宗家)で修業し免許皆伝を授けられた振幅の少ない一般的な系列ラーメン店との違い、振幅が大きく当たり外れの原因に成っているのかもしれませんね。
7、以下が、『はまんど』さんの『はまんど　ラーメン』の評価となります。
「麺」について。
①北海道産の希少な春小麦である「ハルヨコイ」が主体となっています。
「ハルヨコイ」は、アミロースの含有量がやや低くアミロペクチンの割合が高いので、モチモチで柔らか食感となる、パン用小麦であることは理解しています。
然しながら、ラーメンの麺との相関性は皆目解りません。
②半田素麺を遥かに凌ぎ幅は5mmも有ろうかの「平打ち　縮れ」麺です。
流石に是だけの幅と相応の厚みが有ると、素麺製法とは異なり植物油を使用していない為に、コシ・歯触り・喉越しは「稲庭うどん」に通じるモノがあると思います。
③「かんすい」の香りと風味はするも、一般的に想像できる「中華麺(拉麺)」のモノではありません。
※此処での「拉麵」とは、一般的な中華圏の麺料理の総称では無く、麺の意味で使用しています。
④総括すると、「中華麺(拉麺)」の範疇を超えた「麺」であり、其の評価は人により大きく分かれるかも知れません。
8、「スープ」について。
①鶏と豚の清湯に、地元業者さんから仕入れた豊富な「伊吹いりこ」から抽出した出汁が加えられています。
煮干しを用いると、芳醇かつ濃厚で野趣味の旨味とコクがある出汁が抽出できますが、臭み・苦み・えぐ味等の雑味も同時に出てきます。
旨味とコクを残し、雑味を抑制する簡便法は醤油を使用する事です。
②「鶏・豚の清湯」と「煮干しの出汁」はよくあるパターンですが、夫々が上質かつ調合も絶妙です。
「讃岐うどん」でも是程迄に上質な出汁を提供できている店は極僅かでしょう。
③醤油の調合割合と塩加減も絶妙です。
事ある毎に触れています。
上質な出汁が摂れたならば醤油と塩は全体を1つに纏め上げる脇役に徹してください。描いた分量よりも可也の少な目で丁度バランスが良く仕上がります。
雑味を抑える為に安易に醤油を加え過ぎないでください。醤油ばかりが表に出ます。
先ずは、基本的な素材・下処理・調理方法の見直しを実践すべきです。
④(ア)しっかりと旨味成分だけを抽出した優美で清廉な出汁に「豚の背油」との取り合わせが、是又に絶妙で心憎いばかりです。
(イ)備後灘を隔てた、福山市三之丸町の『尾道ラーメン　一丁』さんはお気に入りの全国レベルの「尾道ラーメン」のお店です。
「尾道ラーメン」は、云わずと知れた魚介・醤油・背油を用いた、「讃岐ラーメン」より前に全国区となったラーメンです。
此方は「背油」が売りですが、背景には濃厚な魚介出汁と濃厚な醤油ダレが鎮座しています。
9、その他について。
①「叉焼」はロース部位を低温調理していると思います。
噛み応え・風味とも肉肉しく仕上がっています。
②「味玉」は稍々淡白な仕上がりと成っています。
③「叉焼」と「味玉」共に一般的なお店より、塩味は抑えられていてラーメン全体の質を向上させ乍らも、夫々は味わい深く、主役の麺とスープを引き立てています。
④「麺とスープとのバランス」について。
麺とスープの別々では良く出来てはいるにも拘わらず、一体感が欠けているお店が散見されます。
『はまんど』さんは、絶妙と迄は言い難いも「此の麺に此のスープありき」かつ「此のスープに此の麺ありき」でバランス良く仕上がっています。
⑤全国水準の名店では、全体としての纏まりと味付けの完成度に於いてそうでは無いお店とは一線を画しています。
10、「評価点」について。
①もし麺が「平打ち　縮れ　太麺」で風味が「中華麺」に後少し寄り添っていたならば、「0.50点」アップの「4.60点」にしていました。
②中華圏ならいざ知らず、ラーメンのカテゴリーを超越した高級料理ならいざ知らず、日本国内で地産地消の庶民向けの全国区の「ラーメン」を標榜しておられるので。
11、①5年振りにお邪魔しました。
今日は妻と子供と一緒に、変わらずに美味しく食し愉しく過ごさせて頂きました。
②料理は食べる為だけには存在はし無いと思っています。
料理は食事の中に存在します。そして食事は語らいと触れ合いと共有と共にあります。
同じお店で頂く同じ料理でも時々に違った喜びと愉しみがあり、時には挫折や惜別もあります。
今日は久方振りに息子の元気な顔を見ながら冗談も愉しみました。
前半の長い観光案内部分は心情の発露の一端かも知れません。
③高松方面には何時もの順路で帰ります。
出来立てでは無いと思いますが、今日も途中で「名物　鳥坂まんじゅう」は買うと思います。
④最後に成りました。
今日も本当にお世話になりました。
感謝を申し上げます。