森宮さんさんが投稿した築地 鮨 山治(東京/築地市場)の口コミ詳細

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森宮さんの食べ道楽

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築地 鮨 山治築地市場、築地、東銀座/寿司

1

  • 昼の点数:4.6

      • 料理・味 4.6
      • |サービス 4.6
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク -
1回目

2025/07 訪問

  • 昼の点数:4.6

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.6
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク-

コスパ最強!築地の心、鮨に込めた職人の技

春とも梅雨ともつかぬ曖昧な気候に、築地の空は鈍色を貼りつけていた。土曜の朝八時。昨晩からの雨が市場の喧騒をわずかに和らげ、静けさにも似た湿度を運んでくる。時計を見るまでもなく、この街はすでに動き始めているのだった。

築地駅と築地市場駅のちょうど中間辺りに位置する大通り沿い。人ひとりがようやく通れるほどの細い路地が、築地の喧騒の裏手にひっそりと口を開けている。ふと吸い寄せられるように足を踏み入れると、右手に「山治」と書かれた看板と、レトロな雰囲気の急階段が現れる。上へと続くその階段の先にあるのが、「築地 鮨 山治」。

豊洲市場の名門仲卸から届く鮮魚を、職人が丹念に握る江戸前鮨の隠れ家だ。赤酢と白酢を独自に調えたシャリが、静かにネタを支える。木の香漂う店内は2階が贅沢な待ち合い、鮨はさらに上の3階で供される。
カウンター席につき、以下のティーペアリングのコースをいただいた。

●山治 おすすめにぎり ¥5,500

◇自家製のガリと魚味噌

◇小鉢3種
・自家製ゴマ豆腐
・ホタルイカの沖漬け
・水茄子の浅漬け

まずは小鉢3種で静かに幕が上がる。滑らかな舌触りの自家製ゴマ豆腐は、ほのかな甘みと香ばしさが共演する序章。ホタルイカの沖漬けは、深海を思わせるような濃密な旨味が舌を包み、水茄子の浅漬けは瑞々しさの極み。塩気と青さのバランスが絶妙で、まるで一服の清涼剤。小さな器の中に、季節と技がしっかり息づいている。

◇握り10貫
・雲丹
・帆立
・赤身
・クエ
・真鯛の昆布締め
・鰯の酢締め
・水蛸
・中とろ
・穴子
・干瓢山葵巻き

握り十貫。決して多すぎず、しかし、ひと通りの宇宙がそこにある。味覚を研ぎ澄ませる静謐な時間が、カウンター越しに静かに始まった。
まず、名刺代わりと供されたのは雲丹。一貫目からこれか―と、客の心を鷲掴みにするに足る濃厚さ。舌に触れた瞬間、海のクリームともいうべき滑らかさが広がり、淡い余韻を残して去る。自己紹介ではなく、いきなりの本題。そんな潔さがにくい。
続く帆立は、2日間かけてじっくりと脱水されたもの。水分が抜け、旨味だけが凝縮したその身は、ひと噛みごとに静かに甘みがにじむ。もはや“貝”というカテゴリを超え、淡白とは真逆の深いコクを纏っている。
京都・舞鶴の赤身は、瑞々しさの中にキレがある。まるで、祇園の石畳をすっと歩く芸妓のように、品格と芯をあわせ持った一貫。脂を削ぎ落とした後に残る、正統派の美学がそこにある。
旬のオススメとして登場したのは、10日間熟成されたクエ。その佇まいからすでに只者ではない。口にすれば、淡白ながらも奥行きのある旨味が舌の奥に静かに沈殿していく。さすがは「白身の王様」である。
真鯛の昆布締めは、5日間の熟成により輪郭がくっきりと立ち上がる。昆布の旨味が身の繊維の隙間にまで染みわたり、噛むたびに優しい塩味と海の記憶が呼び起こされる。静かなる名脇役。
鰯の酢締めは、強さと繊細さが交差する一貫。酢のあたりがやわらかく、脂の乗った身とバランスよく調和している。さながら短編小説のような完成度を誇る。
水蛸には塩とライム。直球勝負の潔さ。弾力と爽やかさが同居し、海と大地のミネラルが響き合う。涼風のような口当たりに、思わず姿勢を正してしまう。
中とろでようやく、脂の旨味が全面に出てくる。重さがないのは、シャリとの相性が抜群に良いためか。濃厚でありながら、まるで羽のように軽やかだ。
長崎県産の穴子は、口の中で解ける瞬間の柔らかさに驚かされる。煮詰めの甘みも抑えめで、品の良さが際立つ。気がつけば、記憶の中にふんわりと漂っている。
締めは干瓢山葵巻き。香りの強い海苔が全体を包み込み、干瓢の甘みと山葵のツンが絶妙なバランスで交差する。最後まで「抜かりなし」と言いたくなる見事な構成だ。
一貫一貫が、語りかけてくる。派手さよりも、研ぎ澄まされた静けさ。技と素材の対話が、確かにここにはある。

◇焼きたて玉子焼き
焼印の「山治」が浮かぶ玉子焼き。ふわりと香る海老のすり身が、甘さの中に海の気配を忍ばせ、余韻に品格を残す。

◇お椀
アサリの味噌汁
蓋を拒むほどのアサリが、丼の中で密やかに口を開く。ひと口啜れば、潮の香りが体を巡り、味噌の丸みに包まれながら海の記憶が静かに甦る。やはり鮨の最後はこれである。

◇ティーペアリング
・和紅茶×柚子×生姜
・嬉野玉綠茶×酢橘×桜
・加賀棒茶×コーヒー×アーモンド

和紅茶に柚子と生姜が香る一杯は、鮨の余韻にそっと寄り添い、口内を洗い清める風のよう。
嬉野玉緑茶に酢橘と桜の気配を溶かし込んだものは、白身や光り物との相性が良い。
加賀棒茶とコーヒー、アーモンドのブレンドは異文化の邂逅。香ばしさとほろ苦さが鮨の輪郭を引き立て、ペアリングの可能性を一段引き上げていた。

素晴らしいの一言であった。ここまでコスパの良いカウンター鮨は中々無いと思う。
是非また伺わせていただきます。
ご馳走様でした。

2025/08/05 更新

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