森宮さんさんが投稿したポンテ デル ピアット(東京/広尾)の口コミ詳細

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森宮さんの食べ道楽

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ポンテ デル ピアット広尾、恵比寿/イタリアン、イノベーティブ、パスタ

1

  • 夜の点数:4.6

      • 料理・味 4.6
      • |サービス 4.7
      • |雰囲気 4.7
      • |CP 4.6
      • |酒・ドリンク -
1回目

2025/08 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.7
    • | 雰囲気4.7
    • | CP4.6
    • | 酒・ドリンク-

イタリアンの先にある、想像を超えるひと皿

七月も残りわずか。日が暮れても30度を下回らない夜気のなか、広尾の歩道には冷房を求める人の流れがあった。
通りの向こうで、ジャズが微かに聞こえた。今日は、ちょっといい予感がしている。

広尾の一角にひっそり佇む「PONTE DEL PIATTO」。ミシュランガイドのセレクテッドレストランに2年連続で名を刻むその扉の先には、18席だけの静謐な舞台が広がる。
バカラのシャンデリアが天井から光をこぼし、会話は自然と囁きに変わる。
厨房に立つのは、北イタリアの名門で研鑽を積んだシェフ。旬の魚介や野菜に、日本の繊細な感性を重ね、一皿ずつ物語を綴る。選び抜かれたワインは、香りと余白で料理を引き立てる。
記憶に残るのは味だけではない。サービスの間合い、灯りの角度、空気の温度。すべてが訪れた者の心を、静かに奪う。

本日は以下のコースをいただいた。
● -Menu Stagione-

コース始めに、まるで香りを飾るスティックのように立つグリッシーニが出てきた。
噛めばチーズの塩気が静かに広がり、食欲のスイッチが上品に入る。
さらに、店名の刻印がされた、メイクイーンのもっちり感が魅力のパンも供される。アンチョビバターを添えれば、塩気と旨みが絶妙に広がる、食欲を誘う名刺代わりの一品。

◇Stuzzichino
始まりの一口料理

一口ごとに静かに広がる驚きと遊び心。鰯は柑橘で涼やかに、マカジキは和の香りで艶やかに。ゴルゴンゾーラととうもろこしの甘みが最後に優しく締めくくる、三重奏のような序章。

◇Antipasto Freddo
鯵 パンツァネッラ 新生姜

見た目は和、味は伊。鯵の旨みに新生姜の爽やかさが重なり、下に忍ばせたパンツァネッラが心地よい酸味と食感で全体を引き締める。握り鮨の姿を借りた、洒脱なイタリアンのいたずら。

◇Antipasto Caldo
鰻 茄子 赤ワイン

鰻は赤ワインのコクを纏い、まるで大人の蒲焼。香ばしさと甘やかさのバランスが絶妙だ。隣の絹かわなすはとろける食感で、アグロドルチェの酸味が一皿に鮮やかな余白を添える。和と伊の優雅な共演。

◇Verdure
リボリータ

緑の泡がふわりと覆う一皿は、まるで“野菜のエスプレッソ”。豆とパンの素朴な滋養に、皮まで生かした泡の旨味が重なり、奥行きある余韻を残す。リボリータが、モダンに再構築された瞬間だ。

◇Primo Piatto
鮎 れんこん サマートリュフ リゾット

鮎の骨出汁がリゾットに奥深い清流の香りを染み渡らせ、れんこんの軽やかな歯ざわりがリズムを刻む。仕上げはサマートリュフの芳香。土と水と風。夏の自然を一皿に凝縮したような、滋味と洒脱の共演。

◇Primo Piatto
真蛸のルチアーナ風 パッケリ

もっちりとしたパッケリに絡むのは、鳴門蛸の旨みが凝縮された濃密なラグー。そこへ梅肉で和えた赤オクラが、意表を突く和の酸味と食感で爽快なアクセント。地中海と日本が軽やかに握手する一皿。

◇Second Piatto
仔牛 カルボナーラ じゃがいも

火入れ巧みな北海道の仔牛に、カルボナーラソースのコクが寄り添い、インカのめざめが甘みを添える。水牛モッツァレラの優しい塩気が全体を包み込み、濃厚ながらも軽やか。肉料理の常識を裏切る、緻密な構成美。

◇Specialité
タヤリン

卵黄を練り込んだタヤリンは、舌の上でほぐれるようにほどけ、バターとチーズの濃厚な余韻が静かに広がる。セージの香りが一筋の風となって全体を引き締める、シンプルにして深遠なるスペシャリテ。

◇Dolce
ティラミス

まるでトリュフチョコのような佇まい。ひと口かじれば、ふわりと広がる苦味と甘み、中心はひんやりとアイス状。クラシックを遊ぶ、粋な締めくくり。

◇Dolce
マンゴー タピオカミルク フロマージュブラン

南国の果実が放つ甘酸っぱさに、タピオカミルクのやさしいまろみ。クレームダンジュとヨーグルトの泡がふわりと溶け合い、軽やかな余韻を残す。夏の夜にふさわしい一皿。

◇Caffe e Piccola Pasticceria
カフェと小菓子

紅茶に寄り添う三種の小菓子は、まるで食後の余韻を彩る三重奏。ラムレーズンの深み、ピスタチオの香ばしさ、オペラの艶やかさが、それぞれに小さな物語を奏でる。静かで贅沢なフィナーレ。

皿を重ねるごとに深まっていった静かな感動は、最後の小菓子とともに余韻へと変わる。素材と技と遊び心が織りなす物語は、訪れるたびに姿を変え、また次の一皿に誘ってくる。
季節が移ろえば、きっとまた違う扉が開くように、ここは、およそ月に1回の頻度でメニューが変わるようだ。
是非また伺わせていただきます。
ご馳走様でした。

2025/10/02 更新

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