森宮さんさんが投稿したmeso(東京/下北沢)の口コミ詳細

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meso下北沢、東北沢、新代田/ビストロ、フレンチ、イノベーティブ

1

  • 夜の点数:4.5

      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.6
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2025/10 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5

自然派ワインとモダンオーストラリア、皿が語る物語

10月の初め、湿度の抜けた空気が街をやわらかく撫でていた。日曜の夜、下北沢は古着の香りと笑い声で満ちている。夏の喧騒がようやく過去になり、冬の気配はまだ遠い。そんな中、誰もが自分だけの夜を持ち歩くように、路地を抜けていく。心地よい風が、これから始まる何かをほのめかしていた。

下北沢・一番街の奥、喧騒の裏にひっそりと光を放つ小さな扉がある。
十五席ほどのカウンタービストロ。その空間では、火と香りと音が、まるで舞台のように繰り広げられるという。掲げるのは「モダンオーストラリア」。フレンチの精緻な技法に、発酵やスパイス、出汁の知恵が溶け合い、素材が語り始める。フルフラットのカウンター越しに、料理人の指先が一皿の物語を紡ぐ。選び抜かれたナチュラルワインが、その物語に静かに句読点を打つ。訪れた者だけが知る、下北沢の夜のもうひとつの顔である。

本日は以下のコースをいただいた。
●tasting meso(10月 深秋)
+ジャーニーペアリング(6杯ペアリング)

~amuse~
◇トラウトキャビアのひとくちタルト
ビーツのタルトがルビーの台座なら、そこに輝くトラウトキャビアは小さな宝珠。白いんげんのピューレが柔らかな余白を与え、わさび菜とマスタードの微かな刺激が味覚を起こす。ひと口にして、北欧の冷たい湖と春の畑が交差するようだ。

~appetizer~
◇ムール貝スチームの冷製 発酵トマトのヴィネグレット
白ワインと日本酒で香りづけたムール貝は、海の滋味を涼やかに閉じ込めた宝石のよう。発酵トマトの酸味が輪郭を描き、貝の出汁オイルが深みを添える。そこに忍ばせたシャインマスカットが、爽やかな甘みで全体を軽やかに跳ね上げる。

◇ポートベロマッシュルームのサラダ シェーブルチーズとリコッタのソース
生のポートベロが放つ森の香りに、シェーブルとリコッタの白が柔らかく寄り添う。乾燥ブラックオリーブの塩気が全体を引き締め、土と乳と塩が奏でる静かな三重奏。素朴でありながら、計算された美意識が光るサラダだ。

◇もどり鰹マリネのカルパッチョと柿の白ワインとカルダモン煮
炙られたもどり鰹の香ばしさに、塩麹とメープルのソースが甘やかに絡む。白ワインとカルダモンで煮た柿がふわりと香り、海と果実が出会う瞬間のような艶やかさ。秋の光をそのまま閉じ込めたような一皿だ。

◇松茸のタコス あわび茸のスパイシーサルサパテ
昆布酒に浸した松茸の香りが濃密に立ち上り、クリームが柔らかく包む。竹炭の生地が香ばしさを添え、あわび茸のスパイシーサルサパテが味覚を跳ね上げる。森の深みと刺激が小さなタコスに凝縮された一皿。

◇マコモダケのスープ
優しい甘みを帯びたマコモダケのスープは、澄んだ森の空気をすくったような透明感。ほのかな香ばしさと土の旨みが舌に広がり、静かに余韻を残す。素朴でありながら計算された、季節の息吹を閉じ込めた一杯だ。

~main~
◇お魚 甘鯛のソテー根セロリのソースと黒舞茸と生姜のオイル
鱗ごと香ばしく焼き上げた甘鯛は、パリパリの食感としなやかな身の甘みが同居する。根セロリのソースが土の温もりを添え、生姜と黒舞茸のオイルがほのかな辛みと森の旨みを重ねる。海と大地が交差する、香りと食感の層が織りなす旬の一皿。

◇お肉 京鴨ローストの鴨出汁仕上げ りんごとマデイラワインのソース
低温で丁寧にローストされた京鴨は、脂の甘みと肉の旨みがしなやかに広がる。鴨出汁で仕上げたソースが奥行きを与え、りんごとマデイラワインの甘酸っぱさが華やかに香りを立たせる。果実の軽やかさと鴨の深いコクが交錯し、一口ごとに秋の情景が思い浮かぶ、繊細で計算された作品である。

~dessert and tea~
◇栗とオリーブオイルのチーズアイス 発酵バターのマロンクリーム
栗とオリーブオイルのチーズアイスは、発酵バターのマロンクリームが濃密に寄り添う。赤ワインとシナモン煮の栗、ヨーグルトチップときび糖ソースが、甘みと酸味の交響曲を奏でる最高のデザート。

◇上州オリーブリーフ ブラウンティー
館林のオリーブを使った上州オリーブリーフティーは、ほのかな苦みと香ばしさが栗のデザートをそっと引き立てる、静かな余韻の一杯。

◆ペアリング
mesoのフルペアリングは、一皿ごとに呼吸するように変化する自然派ワインで料理の表情を引き立てた。
軽やかな白は海の滋味を澄ませ、スパイシーな皿には果実味豊かな赤が静かに輪郭を描く。料理とワインが互いに響き合い、口中で季節と土地の物語を紡ぐ、計算された流れの体験だった。

静かに扉を閉じ、余韻を胸に下北沢の夜へ足を踏み出す。街灯に浮かぶ路地の影が、今宵の味わいと混ざり合い、まるで記憶の断片がそっと呼吸するように、歩みと共に夜の空気に溶けていった。
是非また伺わせていただきます。
ご馳走様でした。

2025/11/18 更新

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