3回
2024/02 訪問
進化の一方で。
エレガントな設の中、荘厳な夜の太平洋を眼下に望みながらの食事は、何度訪れても変わることのない無上の喜びだ。
約9ヶ月ぶりに食した料理は、繊細さと複雑味が増し、感動の域。
なかでも、三十種類もの野菜を使った料理は圧巻。個性溢れる食材たちが見事に調和し、美しい交響曲を奏でているかのよう。
唯一残念なのは、ワイン。
これまでの2回は、完璧なマリアージュを楽しめたのに、今回は特に残念なグラスが3杯も。
とりわけ、ご当地ワインの2杯。味わいは平板で素晴らしい料理に寄り添う力量がない。
もう一杯は、上述の野菜料理に合わせたオレンジワイン。前回のマリアージュが素晴らしかったせいもあるが、それに比べるとインパクトがなさすぎる。料理の味が格別だっただけに、大変残念。
次回に期待したい。
2024/04/18 更新
土佐インターチェンジで高速道路を降りて20分程度、車で南へ。横浪スカイラインの途中、太平洋を東に望む、ヴィラ・サントリーニ内にある。
極めてエレガントな誂、眼下に広がる太平洋の黒い海原、海沿いの高知の澄んだ空気。そうした要素が相まって、この店はいつも特別な空間に感じられる。
そうした中で、旬の高知を最高に表現する食事と上質なワインを楽しむ。それは何事にも変え難い幸せなひとときだ。
今日は、いつもどおりに趣向を凝らしたアミューズに始まり、牡蠣、蕪、ミル貝、フォンドータと称する高知野菜、クエ、パスタ、牛、デザート2種。
冬の高知の旨味の見事なハーモニーが、新鮮な食材に飢えていた舌を漸漸と潤す。
それらの料理をソムリエールが選び抜いたワインがさらに味覚の彩りを添える。
この店のスペシャリテ、フォンドータの高知野菜は、33種もの野菜がチーズや味噌のソース、そして、バルバレスコのエレガントなワインと相まって、口の中で交響曲が奏でられているかのよう。
クエは、2週間ほど寝かしたと伺ったが、火入れとともに、最高の状態だった。
今回最も驚愕したのは、牡蠣とオレンジ。焼いたオレンジと牡蠣がこれだけ芳醇な味わいを生み出すとは想像できなかったし、フルーツトマトを使ったパスタもそうだったが、ワインとのマリアージュが完璧だった。
高知の食材を活かすため、あえて他地域の食材や酒を組み合わせ、美味さを追求している。
それこそが、高知を最も美味しく味わえる至高のマリアージュ。
感服の一言。