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フランス古典に宿る、孤高の矜持
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デリス ピスターシュ
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フレジェ
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ムラングシャンティ
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ノスタルジ
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2026/01/28 更新
どのケーキを頂いても、「この店は何者か」「このシェフは何を信じているか」が、はっきりと伝わってくる。そんな稀有なお店だった。
見た目は、過度に洗練され切ったモダン一辺倒ではない。ほどよくフランス古典の佇まいを残しつつ、けれど同系統のどこにも似ていない——“妙な気高さ”がある。
湖面に浮かぶ白鳥や、月夜の鹿のように。凛とした信念と、どこか切ない余韻が同居していて、口に運ぶたびに胸の奥に静かに沈んでいく。
今回は繁忙期でイートインの提供がなく、テイクアウトのみ。季節を変えて、次は店内で、時間ごと味わい直したい。
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◇デリス ピスターシュ ☆×4.3
(ピスタチオムース/フランボワーズジュレ/ダックワーズショコラ)
お店のスペシャリテ。ムースはピスタチオの香りが力強く、豆感も明確なのに、重く引きずらない。この“濃いのに消える”バランスが見事で、ピスタチオムースとして国内トップクラスでは…と思わせる完成度。
ダックワーズ生地はザクザクとした咀嚼感があり、その食感が濃厚なムースの香りをさらに立たせる。フランボワーズのジュレは、尖らず穏やかで、それ自体が完成された味わい。その静かな酸味が、全体の調和をきゅっと引き締める役割になっている。
全要素が力強く完成度が高いのに、どれも突出し過ぎない。シェフの哲学がいちばん明確に見える一品だった。
◇フレジェ ☆×4.1
(ダックワーズピスターシュ/クレーム・ムースリーヌ/苺)
粉を使っていないらしいダックワーズは、かなり粗めで、ザラっとした独特の舌触り。クリームもフレジェらしく、もったりと水分量が少ない仕立て。
だからこそ、水分が馴染みすぎず、各パーツが“独立したまま”保たれている。結果として苺の水分、瑞々しさがより際立つ構成になっていて、文字通り「苺が主役」のフレジェ。
◇ムラングシャンティ ☆×4.1
(メレンゲ/シャンティ/アーモンド)
力強い見た目通り、力強い一品。整形し過ぎていないメレンゲは空気をたっぷり抱え込み、しっかり固く強い食感があるのに、噛むほどにホロホロと崩れて口いっぱいに広がっていく。
そこに甘みのないクリームが合わさると、ほどけていったメレンゲをもう一度繋ぎ直して、洋菓子としての“構成”が完成する。メレンゲと生クリームという初歩的な二つの要素だけで、ここまで違いを出せるのかと圧倒された。
さらにアーモンドが添えられることで、香りの奥行きが一段深くなる。単なる足し算ではなく、この一品自体の世界を数段階掘り下げている感じ。
ただ個人的には、バランスとして甘みがやや立ち過ぎる瞬間もあった。強い紅茶と合わせて頂きたい。
◇ノスタルジ ☆×3.8
(ダックワーズ/ナッツとホワイトチョコレート/シトロンクリーム/シナモン風味のクリーム/シナモン)
味わいも香りも複層的に重ねた一品。箱を開けた瞬間からシナモンが立ち上がり、香りの圧がある。ひと口目は、舌を刺すような酸味のシトロンクリームがねっとりと広がり、それをダックワーズが抱き上げて、口内で調和へ引き戻していく。
ジャンドゥーヤ風に仕立てられたナッツとホワイトチョコレートは食感も存在感も強く、後半になるほどホワイトチョコの甘みとナッツの香りが前に出てくる。
個人的には、シャンティに振られたシナモンとシナモンクリームが風味としては抜けが良い分、ホワイトチョコの甘さが独立して食後感として残るのがやや気になった。とはいえ、ここはムラングシャンティ同様好みの領域。
いずれにせよ、アシェットデセールではなくテイクアウトで、ここまで風味を立たせた“攻撃的な調和”の洋菓子に出会える機会は少ない。店の矜恃が感じられて、好きな一品だった。
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また季節を変えて伺いたい。次は、店内でいただけるタイミングに合わせて、この「孤高の矜持」を、もう少しゆっくり確かめたいと思う。