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飾らず実直、素材の質感が五感に響くお店
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キャラメルのお菓子
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スュリー
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トランシュ・シャンプノワーズ
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ムース柚子
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2026/02/07 更新
日本の洋菓子界に多大な影響を与え、2023年に逝去された弓田亨氏主宰のパティスリー。書籍・ブログ・教室を通じて哲学を外へ開き続けた稀有な存在で、来店時も、昔購入したレシピ本について解説を求めに訪れている方がいた。店が“学びの場”として機能してきたことを実感する光景。
また、出身店の菓子にもイル・プルーらしさが色濃く反映されているのを見ると、単なるレシピの継承ではなく、洋菓子への考え方が体系として共有されていたのだと思う。
肝心の味わいは、着飾らない見た目からも感じ取れる通り、愚直で実直。派手さはないが素材の品質にこだわり、作りが非常にしっかりしている。そのため口に運ぶと、各パーツが“立っている”感覚がはっきりある。
甘さはきちんとある一方、仕立ては軽やかで、素材の質感が前に出る。各パーツのテクスチャ管理が良いからこそ、口どけのタイミングが整い、香りがきれいに立ち上がる。五感に語りかけてくる味わい。
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◇ キャラメルのお菓子(864円) ☆×4.3
(キャラメルクリーム/ホワイトチョコレートクリーム/生地)
キャラメルクリームは、濁りのない透き通った香ばしさで、きちんと甘いのにスッキリした味わい。合わせるのはコクと甘さが厚いホワイトチョコレートのクリーム。両方とも糖度は高いはずなのに、重さに転ばないのはクオリティ故。
これに、くるみをふんだんに使った生地で挟む構成。咀嚼の度にザクザクとリズムを作り、くるみの香りが広がる。後味のナッツの渋みをクリームの甘さが受け止め、心地よい一体感に着地。しっかり甘いのに軽やかで、今日1番好きだった。
◇ スュリー(918円) ☆×4.2
(貴腐ワインムース/いちご/パイナップル/桃/ダックワーズ)
スュリーはロワール川沿いの美しい村の名らしい。その名の通り、全体が端正にまとまった一品。
ムースは芳醇で深みのある甘さ。果物は適度な甘みと酸味を添えつつ、後に残るムースの香りを消さない塩梅が見事。ダックワーズのクオリティも高く、乾いた表面のバサッとした生地をムースと絡めて食べると、穏やかな滋味が広がる。派手ではないが、軽やかでしっかり美味しい、この店らしい一品。
◇ トランシュ・シャンプノワーズ(940円) ☆×4.1
(ダックワーズ/ジェノワーズ/シャンパンのムース/桃/フランボワーズ/マール酒のクレーム/ガナッシュ)
弓田氏の友人でこのお店の顧問を務めるドゥニ氏考案の、言わずと知れたスペシャリテ。シャンパンムースは軽やかで香り高く、桃とフランボワーズが小気味よい甘酸っぱさでリズムを付ける。底のダックワーズが秀逸で、メレンゲ感が強く、水分を吸わないサクッとした食感。アーモンド香は出過ぎず、下支えに徹しつつ食感の軸を担う。このムースと生地とのメリハリが、それぞれのパーツを立たせるこのお店らしさだと思う。
これを、バター強めの固いムースとチョコレートで締める構成。ただこちらは、本体の繊細さに対してややキャッチーに感じ、全体を飲み込んでしまっていた印象。よりクラシカルで分かりやすく万人受けするのは理解しつつ、個人的な好みからは少し外れた。
ただ、シャンパンムースを核にした土台自体はかなり優秀なので、次はビッシュ・オ・シャンパーニュなども試したい。
◇ ムース柚子(864円) ☆×3.8
ムースは口どけがよく、口に入れると温度でほどけると共に香りが立ち上がる。挟まれたジュレは舌を刺す酸味が鋭く、ほどけて水分になるに連れて爽やかさが口内を駆け巡り、ムースのコクと調和するのが心地良い。
底面はシロップが染み込んだ生地で、香ばしいアーモンドの香りが全体を締めている。一方で、柚子の香りを主役に据えた菓子としては、このナッティさがやや浮いている感覚もあり、そこだけは好みが分かれそう。
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飾らずブレず、流行ではなく本質を求める姿勢はかなり好み。一方で、しっかりと香りを立てる素材系が故に、流通が育ちつつあり素材へのアクセシビリティが高まってきた現代では当たり前のレベルが上がり、ライバルも多数現れている状況。
出身店は、その飾らない味わいを活かして、街に根付いた老若男女に愛されるお店が多い気がする。本丸であるこちらのお店は、今後どのような方向性で発展していくのだろうか。