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昼の点数:4.5
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~¥999 / 1人
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料理・味 3.0
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|サービス 3.5
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|雰囲気 5.0
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|CP 5.0
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|酒・ドリンク 3.0
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[ 料理・味3.0
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| サービス3.5
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| 雰囲気5.0
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| CP5.0
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| 酒・ドリンク3.0 ]
令和の世に今も残る奇跡の音楽鑑賞屋敷
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2024/01/04 更新
道玄坂を脇道に入り百軒店商店街をずっと奥に入った路地に、重厚で荘厳な雰囲気を醸し出す洋風のお屋敷。もはや屋敷という形容がぴったりで、看板が出ていなかったら個人の邸宅かとも思ってしまう。
重いドアをそーっと開けると、薄暗い店内に太く重い音楽が響き渡っている。
マスターと思しき男性が駆け寄ってきて、2階に通された。
手すりもなくギシギシいう階段に気遣いながら上がった2階。
教会のような1階に対し、こちらはロマノフ朝期のロシア宮廷を思わせるたいへんに凝ったつくり。どこかイスラミックなアーチや紺碧の地に金のモールが施され、並大抵ならぬこだわりを感じる。
バブル期にポンと出来たのではなく、木造でもっとずっと古く空襲で焼けてからすぐに復興。テーブルや椅子の塗装も剥げて使い込まれているのが分かる。
それ以前は恵比寿・並木橋にあったそうで、当時はまだまだ田舎だった渋谷を銀座や日比谷のような街にすべく西武が開発したのが百軒店。そこに誘致されるかたちで今の場所に移転してきた謂れがある。
水をもってきた女性店員に小声でホットコーヒーを注文。
誰が言うとでもなしに私語はおろか音を立てるのも憚られ、歩くのさえ気を遣う。
そして店内撮影禁止。といっても薄暗くて照度不足なので、三脚でも立てなければまともな写真は撮れないだろう。
手渡されたリーフレットの文字すら暗くてほぼ読めない。読んだところでクラシックにはあまり造詣がないので。。。
うっすらと浮かび上がる文字を辿っていくと、どうやら毎月ごとにわざわざ刷っているらしい。
コンサートと銘打ってはあるものの、生オケが演奏するのではなく "帝都随一" を誇る立体音響による鑑賞会といった向き。
昭和25年に現店舗が再建されたとき、パイオニアの技術者が出向いて設計したんだそう。毎日15時、19時に定時コンサートがあるとか。
面白いのが、喫茶店なはずなのに席がある一定の方向に向けてレイアウトされていること。
その先には巨大なスピーカーが鎮座し、野太い音を奏でている。自分はなぜだか背を向けて座ってしまったけれど、頭の後ろから音圧が来るのも悪くない。
ふと見ると客層は圧倒的に年配層が占める。
皆思い思いに音楽に身を委ね、ある者は目を閉じて微動だにせずじっと聴き入り、ある者は薄暗いなか読書に耽り、なかにはポータブル電気スタンドを持ち込んで書き物をしている者も。
他の多くの喫茶店がPC作業などの長居をよしとしないのに対し、こちらは何時間でも居座ってむしろ音楽に没入してもらいたいとの思いから、もはや喫茶店の名を借りたクラシック視聴空間になってしまっている。なので名曲喫茶。
むかしはこんな店が他にもあったそうなんだけど。。。
コーヒーはもはやおまけ程度。
順序が逆になってしまっているが、ひとりワンドリンク必須なのでこれをもって入場料と捉えてもいいのかも。
ケーキなどの生ぬるいオプションなどあるはずもない。
とにかくその雰囲気に完全に呑まれたわけで、真摯に音楽と向き合う人たちがこれだけ集まる空間が渋谷という街に現存することに驚愕。あの乱痴気騒ぎの喧噪が別世界のようだ。
ただ、トイレが和式で狭く非常に使いづらいのだけはなんとかしていただきたい。紳士はともかく、淑女はどうすればいいのやら。。。
自分はどちらかというとクラシックよりもジャズが好きなので、自室のオーディオもJBLのトールボーイを設えたくらい。
日本一のラインナップだという秋葉原ヨドバシのオーディオ視聴ルームに通い詰め、店員に付きっきりでレクチャーをしてもらいアンプとスピーカーを選んだ。
そのとき視聴させてもらったKEFだのタンノイだのBowers & Wilkinsだのといったクラシック向けに設計されたとされるスピーカー群とはまるで相性が合わなかった。たんにバカ舌だけでなく耳までもがバカだったから仕方ない。
もっと歳を重ねていずれクラシックに開眼するまで、耳を鍛えておかなければ。
もっともクラシックに目覚めれば、の話だけど。