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夜の点数:4.5
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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料理・味 4.7
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|サービス 4.6
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|雰囲気 4.7
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク 4.4
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[ 料理・味4.7
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| サービス4.6
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| 雰囲気4.7
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク4.4 ]
今日のご褒美はここに決まり
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2025/11/17 更新
昼下がり、無性に“背徳”を感じたい日がある。体が「野菜はいらない、今日は油をくれ」と訴えてくる、あの危険なタイミングだ。そんな日に偶然出会ったのが、「和牛牛脂まぜそば」。しかも、よく見たら店主はあの初代RIZINフェザー級王者・斎藤裕さん。まさかリングの上で戦っていた男が、今度は丼の中で人々の胃袋と闘っているとは。期待と空腹が一気に高まった。
注文して待つこと数分。目の前に現れたのは、見るからに重そうな丼。湯気の中から立ち上るのは、和牛の脂が醤油だれと組み合わさった、甘くも力強い香り。その香りだけで、もうKO寸前だ。
まずは混ぜる。太めの麺に、琥珀色の牛脂が絡みつき、タレと一体になっていく。箸で混ぜるたびに、「勝利への仕上げ」という言葉が頭に浮かぶ。さすが格闘家、料理にも闘志を感じる。
一口目をすすると……うまい、いや、強い。舌にパンチを食らったようなインパクト。和牛の脂がじゅわっと広がり、噛むほどに甘みと旨みが滲み出る。脂と聞くと重そうだが、意外にもキレがいい。しつこさがなく、スッと引いていく。「いい脂ってこういうことか」と、思わず心の中でガッツポーズ。
途中で卵黄を崩すと、もう世界が変わる。黄身がタレと牛脂に溶けて、まろやかさが倍増。まぜそばというより、もはや“和牛のカルボナーラ”状態。濃厚なのに不思議と飽きないのは、隠し味の酸味と、タレの塩気が見事にバランスを取っているからだろう。まるで、斎藤さんの試合運びのように、攻めと守りが絶妙。
さらに驚いたのは、脂の香りに“清潔感”があること。ギトギト系とは違い、食べ進めても重くならない。カウンター越しに見える斎藤店主の表情も、静かな集中そのもの。厨房というリングで、麺と脂の闘いを見守っている姿に、思わずリスペクトがこみ上げる。
麺を平らげたあと、底に残った牛脂とタレを見て、自然と口が動いた。「追い飯ください」。この一言が、この料理の本当のゴングだ。白飯を投入して混ぜれば、香りが再び立ち上がる。ひと口食べれば、口の中に広がる旨みのラストスパート。これが本当のフィニッシュブロー。
丼を空にして、箸を置いた瞬間の満足感といったらない。胃は満たされ、心は穏やか。脂の余韻に包まれながら、「やっぱりチャンピオンのまぜそばは違う」としみじみ思う。食後、鏡を見ると顔が少しテカっていたが、それすらも勝利の証に感じるのだから不思議だ。
和牛牛脂まぜそば——それは単なる食事ではなく、味覚の総合格闘技だった。和牛の旨み、醤油のキレ、卵黄のまろやかさ、そして斎藤裕店主のストイックな美学。そのすべてが一杯に凝縮されている。食べ終わったあと、心の中で思わずつぶやいた。「ごちそうさま。そして、いい試合でした。」