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昼の点数:5.0
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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100個食える、と本気で思った午後
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2025/12/07 更新
最初に運ばれてきた餃子を見て、僕は「なるほど、これは危険だ」と思った。
危険といっても、社会秩序が揺らぐ類のものではなく、人が“限界という概念”を軽く忘れるタイプの危険だ。
こんがりと焼き目をつけた小ぶりの餃子が、皿の上で整列していて、そのあどけなさのような佇まいは“あとひとつだけ”という理性のブレーキを簡単に踏み抜いてくる。
ひと口かじる。
甘い。
“餃子って甘かったっけ?”と、長年の記憶が一瞬混乱するほどのやさしい甘みが、中の餡にしっかり宿っている。
それなら次の一個も、その次の一個も、ためらいなく手が伸びる。
中盤あたりで僕は本気で「100個なら、いけるんじゃないか」と思いはじめていた。
その時点で、すでに判断力は店の外に置いてきている。
チャーハンは円柱形に盛られ、まるでこの店の“小さな金塊”のように鎮座している。
スプーンを入れれば、ぱらりとほどけて、豚の旨みをたっぷり吸ったチャーシューが顔を出す。
食べるたび、米がほどよく油をまとっていて、なのにくどさがない。
「チャーシューって、主張するときはこんなに堂々とするんだな」と感心する。
餃子ばかり食べていた僕に、チャーハンは「お前、まだ世界を理解してないだろ」と教えてくれる。
最後に“形の主張がすごい”かた焼きそばがやってきた。
まず驚くのは麺だ。
この店に来る途中で道を一本曲がり間違えたら、こういう形状の麺と出会える世界線に入るのかもしれない、と思うくらい独特だ。
その上に、とろりとした餡が惜しげもなくかけられていて、店の照明を反射して揺れている。
箸を入れれば、“ザクッ”と音がして、そのあと餡がそれをふわりと包み直す。
食感のコントラストが妙に癖になる。
気づけば、餃子は皿から消え、チャーハンは影も形もなく、かた焼きそばだけが、最後の抵抗のように皿に少し残っている。
それもすぐに敗北した。
退店するとき、店の暖簾が揺れた。
風のせいかもしれないし、食べ終えた僕の満足感がそう見せたのかもしれない。
また来よう。
次は、本当に餃子100個に挑戦してみようか——そんな無謀な考えが浮かぶ。
この店は、人から慎重さを奪っていく。いい意味で。
PayPay可
禁煙