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☆オススメポイント☆
①素材本来の旨味を「抽出」、「凝縮」した、圧巻の一品一品
②コース終了まで2時間ほどのテンポの良さ
【メニュー】
「今宵の蒼の食卓(36,300円)」
・愛媛 藤本さんより神経締め 真鯛のコンリメ
・フランス・ロワール産アスパラガスオランデーズソース
・佐渡より神経締め目近鮪お米と中国甘酒のソース
・さかな人長谷川さんより長井の赤座海老ビスクとともに
・津居山より毛蟹のリゾット
・佐渡黒鮑 北海道ジェットファームグリーンアスパラ
・泉州より 新玉葱のムース
・稲取 並木屋さんより 地金目鯛 本日の仕立て
・静岡 ハールレモネのグラニテ
・上田畜産但馬玄の炭火焼 田原さんの筍
・浜松より紅はっぺのスープ
・蒜山ジャージーミルクのアイスクリーム
・小菓子&コーヒー
【1〜2枚目】
「さかな人長谷川さんより長井の赤座海老ビスクとともに」
身の大きな赤座海老を炭火焼きにした一品で、外は火が入ってやや固めだが、中はもっちりという表現が似合うほどのレアな仕上がりで、今まで食べたことないような食感。
レアな仕上がりのためか甘みもしっかりと感じる。
そして衝撃的だったのがティーカップに入った海老のビスク。
生クリームなどは一切使わず、海老の頭や脚などを6時間煮込んで抽出した超濃厚なビスクで、嘘みたいな甘味がある。
これほどまでに濃厚な海老の香りは感じたことがない。
これを食べるために来る人もいるという理由が分かる絶品の一品だった。
【3枚目】
「愛媛 藤本さんより神経締め 真鯛のコンソメ」
最初の一品は1.6キロの真鯛を使って抽出したコンソメ。
鯛は刺身にできる鮮度の高さのものを利用しており、香りに全く臭みがない。
味わいも非常にすっきりとしたクリアなもので、雑味が一切ない。
またこの陶器で提供しているのも理由があり、ステンレスのスプーンだと味わいが変わってしまうため、直接飲んでもらうためにはどうすればいいかを考えて編み出したのだそう。
【4枚目】
「フランス・ロワール産アスパラガスオランデーズソース」
大ぶりなホワイトアスパラは柔らかな軟水で丁寧に洗っており、雑味を感じないため素材本来の甘味に集中できる。
オランデーソースはシャンパーニュと卵で作った特製のもので、ふわふわの柔らかい口当たり。
ほんのりとした酸味が印象的で、岩塩を付けて食べても美味しくいただける。
【5枚目】
「佐渡より神経締め目近鮪お米と中国甘酒のソース」
目近鮪とはクロマグロの幼魚にあたるマグロで、もちろん成長すれば本マグロになる上質なもの。
そんな目近鮪は皮と皮下も食べられるのが特徴。
かなりボリュームのある切り身だが、この大きさがあることにより、赤身の部分と脂身の乗ったトロの部分の両方を楽しめる。
赤身の部分はかなり濃厚な旨味が凝縮されており、脂身の部分は甘み十分。
特に脂身の部分は島根のわさびと合わせてもいい。
ほんのりの燻製の香りがすることと、さっぱりとしたちゅうこ甘酒のソースのお陰で、濃厚で大きい切り身でもあっという間に食べられた。
【6枚目】
「律居山より毛蟹のリゾット」
毛蟹を3杯も使った贅沢リゾット。
リゾットに使用しているご飯は殻の出汁で炊いたものだそうで、より濃厚な蟹の風味を楽しむことができる。
蟹から抽出した塩分のみで作り上げたものにも関わらずしっかりとした味付け。
また上には毛蟹の大きな身が3つも乗っており、一皿で毛蟹を隅々まで感じられるものだった。
【7枚目】
「佐渡黒鮑 北海道ジェットファームグリーンアスパラ」
低温で蒸し上げた鮑は弾力がありつつも硬くなりすぎない程度の程良い食感。
そして隣は峯村シェフが日本一美味しいと感じるというジェットファームで育てられたグリーンアスパラで、こちらも苦味がない素晴らしいアスパラガス。
浸かっているスープは鮑の出汁と自家製バターで出来ており、優しい口当たりなのに力強い深みも感じられる。
【8枚目】
「泉州より 新玉葱のムース」
新玉ねぎを紙に挟んで寝かせて辛味を飛ばした手の込んだ仕込みを経て完成するこちら。
非常に滑らかで濃厚な口当たりにも関わらず、なんと使用している生クリームはたった2滴。
なのに驚くほどの甘さもある。
中にはフルーツトマトのジュレが入っており、こちらもトマトの香りが凝縮されたもので、まるでデザートのような一品だった。
【9枚目】
「稲取 並木屋さんより 地金目鯛 本日の仕立て」
2キロを超える大きな地金目鯛のアクアパッツァ仕立て。
稲取の金目鯛は特に脂の乗りがいいそうで、カリカリの皮と、とろけるような柔らかい身に思わず笑みが溢れる。
スープはグリーンアスパラの根元の部分を使ったもので、トマトの香りも凝縮されており、とても飲みやすく、深みのあるものだった。
【10枚目】
「静岡 ハールレモネのグラニテ」
静岡の三松園さんでしか栽培されていない幻の柑橘類と言われるハールレモネ。
化学肥料は使わず、皮ごと食べられるのが特徴なのだそう。
そんなハールレモネの果汁を抽出してグラニテにしたものと果実を合わせて作ったお口直し。
嫌な酸味は一切感じない、クリアでスッキリとした味わいで、メインの肉料理の前には最適な一品。
【11枚目】
「上田畜産但馬玄の炭火焼 田原さんの筍」
神戸牛の中でもさらに上質で希少価値の高い但馬玄のヒレを2時間じっくりと炭火焼きしたメイン。
口に含んだ瞬間は赤身の旨味を感じるのだが、但馬玄は脂の融点が低いため、口内の温度で徐々に脂が溶け出し、甘味に変わっていく。
また後味は上の花山椒の香りが鼻を突き抜けていく。
付け合わせの筍はかなり大振りなものだが、味はかなり繊細で、甘みもかなり強い。
岩塩と一緒に食べても美味しい。
ソースは筍の出汁を極限まで煮詰めて作ったシロップだそうで、筍からこれほどまで甘いシロップができるのか?と驚くほど。
【12枚目】
「但馬玄カレー」
コースの〆はなんとカレー。
ただこのカレーも峯村シェフの手にかかると衝撃的な一品になる。
先程のメインにもあった但馬玄のもも肉のコンソメで炊き込んだライスと、但馬玄で煮込んだカレーで、この1杯で200g以上の但馬玄が溶け込んだ贅沢な一杯なのだとか。
今まで味わったことのないレベルのコクの深さで、唯一無二の味わい。
そしてその後にスパイスの辛さが舌を刺激する。
【13枚目】
「浜松より紅はっぺのスープ」
そのままでも十分な甘さの紅ほっぺを贅沢にスープにしたもので、余計な砂糖など使わなくても立派な甘さのデザートとして成立する。
ただ甘さだけでなく酸味も程よくあり、余計な甘さがないからこそ感じられる味わいなのだろう。
【14枚目】
「蒜山ジャージーミルクのアイスクリーム」
出来立てのアイスクリームを食べたことがあるだろうか?
今回初めての体験だったのだが、アイスクリームなのにあまり冷たさがなく、なのに固まってはいるという不思議なもの。
本来はこれをアイスクリームというのだそう。
口に含んだ瞬間に溶け出すのだが、驚きの滑らかさで、かつ濃厚なミルクの旨味が押し寄せる。
しかし後味はくどくなくスッキリと無くなってしまう。
衝撃的であり、かつ儚い一皿だった。
【15枚目】
「小菓子&コーヒー」
小菓子はコースが始まると共に寝かし始めたシュー生地に食べる直前にクリームを入れた出来立てのシュークリーム。
シュー生地はやや薄めだが、サクサクの食感を楽しめるもので、中のクリームはバニラビーンズがたっぷりと入った香り高きもの。
一緒に頼んだレモングラスのハーブティーとも相性が良かった。
【まとめ】
六本木通りを西麻布方面にすこし進んだところにある、超予約困難店の「蒼」さん。
シェフの峯村康資氏は恵比寿のフレンチレストランで料理を学び、その後はイタリアで本場のイタリアンを学んで、帰国後はビストロや会員制のレストランで腕を振るっていたそう。
そんな様々なジャンルの料理を体験した峯村シェフが、自分の料理とは?を体現するために作られたお店こそがこの「蒼」なのだそう。
峯村シェフいわく、「蒼」の料理は抽出と凝縮にこだわっているそうで、その言葉通り素材の奥底に眠る本来の味わいを最大限引き出し、感じられる形の料理ばかりで、今までの常識を覆される。
またこちらでは料理のテンポにもこだわっているそうで、13皿という多皿なため、極力料理と料理の間は時間を空けないようにしているのだとか。
そのためかフレンチのフルコースにも関わらず2時間程度で終了してしまう。
上質な時間が終わるのは悲しいが、この品数でもペロリと食べられる理由はここにあるのだろう。
また殆どの料理は素材を活かしたものなので、余計な調味料などは入っていない。
そのためか翌日も残ることなく、胃もたれなんかは当然ない。
滅多に来れない超人気店ではあるが、必ずまた来たいと思える人生の記憶に残るお店だった。