5回
2024/07 訪問
焼きの上手さは群を抜く…今年も土用丑を堪能しました!!
「土用丑」、どうしても鰻が食べたくなる季節…平賀源内の術中に長らく日本中がハマっている。
私の家族も同様ですが、私自身は2月の鰻が大好きです。天然物が一番美味しい時期、それは12月から2月くらい。その時期ならば、名のある鰻で無くても天然なら旨い。
そもそも純粋な国産の天然がどれほど流通しているか? それ以外にも色々言いたいことはありますが、国産だか何だか分からないお店より、「養鰻をどれくらい美味しく食べさせることができるお店か?」、これをしっかり考える必要があるんじゃないでしょうかねぇ。
天然と言われるものは、一番美味しい時期に食べれば良いんです。日本は「旬」を大事にしてきた国なんですから…
そもそも養鰻は技術革新が目覚ましく、それこそ30年前と比較したなら飛躍的に美味しい鰻、しかも一年中安定したものを提供できるまでになりました。
だから卵から孵すという次の一歩に踏み出すまでになったと思うんです。
鰻が大好きな私としては、日本一の生産量を誇る鹿児島の養鰻業者さんに感謝してもしきれない。
鰻料理は色々食べさせていただきました…多分に珍しいのは「刺身」でしょう。鰻の血には毒があり、血抜きを手順に沿ってしっかりやらないと害があるらしい(例えば失明)んですが、一度食べたら病みつきになること間違いなし。
県内、穴子の刺身は何軒かありますけど…
色んな方が口コミされていますが、中には「ガス」であることをサゲとされているものも…正直、ウンザリしますねぇ。
「水分がしっかり抜けた炭を仕入れて」って、いくらかかるのか…「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」、「ガス台でも遠赤外線が出るものがある」なんかはご存知で?
腕のある職人なら、ガス台であろうと美味しく仕上げるんですよ。それは焼き鳥とて同じこと。「焦げ」のない、焼きムラのない仕上がりを美しいとは思わないんでしょうねぇ…
あくまでも個人的な意見ではありますが、このお店の焼きに関しては称賛されるべきレベルだと思っております。
タレの濃さもギリギリにされているのは「鰻を味わって欲しい」からだと理解してるんですけどね…
今日は土用丑ではございませんが、鰻が大好きなお義母さん、初めてこのお店に伺う息子とSちゃん、そして嫁さんの5人でお邪魔しました。
開店の20分前にきちんと合わせて…一巡目の先頭付近を外したら、店内に入っていたとて時間がかかります。
果たして目論見通り到着しましたが、2番目でした。
しばし待ちまして、店奥の6人掛けテーブルに案内されます。
入り口にメニューが置いてありましたから、予め何を注文するかは決まっておりまして…
私・せいろ蒸し(特上)4800円
嫁・蒲焼き膳(特上)4600円
義母・うな重(特上)4600円 エビスビンビール(小)600円
息子・うな重(頂上)5700円
S・せいろ蒸し(特上)
肝焼き串700円・4本
白焼(上)3600円
注文したら、しばし会話しながら待ちます。ちなみに嫁さんはもともと鰻が食べられない、嫌いな人でした。今は大好物になっていますが、肝だけは嫌いなままでして…「Sちゃん、肝、食べれると?」とか聞いています。
食べられるから注文した、とは考えない。「苦くない?」…そりゃ苦いわ! その苦味がえぇんやないかい! と心で呟く。
先に肝焼き串と白焼が到着、合わせてビールも。
あぁ、昼からの用事がないなら、あっしも日本酒行きたい! 肝に白焼、キリッと冷えたポン酒はマストやろ…バックれたろうかな。
私とお義母さん以外、実は白焼が初めて。そのまま少し食べて、わさびと醤油で食べて…「白焼って、何がいいとやろっち思いよったけど、これはパリッとしてフワフワで、甘さもあるし醤油はキリッとしとるし…旨いねぇ!」とは息子。
「甘い醤油やったらどうやろか?(義母)」
「甘いと身の甘さを感じないかもしれません…(S)」
「醤油で食べても充分美味しいねぇ…(嫁)」
話が弾んでいる時は、邪魔しません。せっかく初孫と楽しく喋っているんですから。
気がついたら満席になっていました…開店して30分経っていません。
食べ終わった頃にメインが提供されます。広々していたテーブルが狭く感じます。
今までひつまぶしばかり食べていましたから、今回はワザとせいろ蒸し。個人的な食べ比べです。
蓋を開けた瞬間、湯気がブワッと立ち昇る…この匂いがもう旨い。熱々であることが良く分かる…今は蒸してるかどうか、良く分からないお店が増えました。
とっとと写真撮って、熱々を一口…もう熱いわ旨いわ!
やはり「せいろ」ってこうでないといかんよ。焼き上げた鰻を蒸してあるんで、身側の脂のカリカリとか皮目のパリッと感は少なくなっていますが、それでもちゃんと食感は残っております。
せいろにありがちなジッとりした感じはありません。
猫舌のSちゃん、それでも熱々せいろと格闘しています。「あ〜…熱々ですけど、美味しい! 鰻の旨みがジワジワっと来ますねぇ!…タレは薄めですけど、バランスがいいです!」
あんた、分かってるねぇ…食わせ甲斐がある。
「これねぇ、ご飯もむっちゃ美味しいっちゃけど…1杯じゃ足らんごたる」
「ホント、粒がしっかり立っとるし、ツヤツヤよ…これなら特上でもいけたかもしらん」
「お義母さん、◯◯(息子)が残したら食べますからって言ったでしょう? せっかくですから、腹一杯食べてくださいよ」
「そしたら俺、頂上を喰えんやん…」
「ば〜か、特上と頂上は鰻が何枚か違うかだけよ…おんなじ鰻やけん」
はい爆笑! ╰(*´︶`*)╯♡
「脂のカリカリした感じ、皮がパリッとしとるけど身がフワッとした感じ…これはなかなか無いよね」
「こんなん食べたら、ちょっと他の店で食べられん…早く連れてきてもらやぁ良かった」
「タレを自分の好みに調整できるのもいいですねぇ」
楽しい時間はあっという間です。全員満足した様子でして…「次は「溢れ」を食べよう…」「そん時ゃ、お前の奢りやろ?」「いえいえ…ちゃんと「ご馳走様」って言うよ」
満席であっても店員さんの対応は丁寧で迅速、落ち着いた申し分ない雰囲気で満足です。
今日も大変美味しゅうございました!
至福の時間、ご馳走様でした!!
ひつまぶし(特上) 近景
肝焼き串 700円
白焼(上) 3600円
エビスビンビール(小) 600円
せいろ蒸し(特上) 4800円
せいろ蒸し(特上)
うな重(特上) 4600円
うな重(特上)
うな重(頂上) 5700円
うな重(頂上)
メニュー1
メニュー2
メニュー3
メニュー4(飲み物・持ち帰り)
2024/07/26 更新
2023/07 訪問
焼きの上手さは群を抜く…鰻を堪能したいなら行くしかない!
我が家の「土用丑の鰻」は、長らく「お弁当のヒライ」さんの鰻商品でした。
お義母さんが長い間ヒライの店長を務めていた、というのがその理由です。わざわざ自腹で私達家族の分まで支払っていただけるのですから、感謝しかありません。
そのお義母さんが退職され、今年はどうするかという話になりまして、「食べに行ってもいいんやない? 大人3人やし」と提案すると、何とお義母さんは店で食べた経験がないとのこと。
今まで一所懸命働き続け、娘3人を育て上げ、もうちょっとで後期高齢者になる、そんな御方の初体験ならば、やはり美味しい鰻を食べていただきたい。
「うなぎ仁」さんに予約を入れようと電話しましたが、「土用の丑の日と前日は予約不可、日曜と休日のランチも不可」とのご回答。頭を捻って出した答えは「丑の日」にこだわらず、日曜日に並ぼうというものでした。
ここで少し。色んな口コミを見ると、天然鰻の旬に誤解を持っている方が多数おられるようです。夏場は旬ではありません。むしろ痩せて美味しくない時期にあたります。
『江戸時代(当然養鰻などの技術がない)、痩せて美味しくないから売れないことを嘆いた鰻屋が、平賀源内に相談したところ、「土用丑の日」というキャッチコピーを考え、それから定着して飛ぶように売れた』というお話があるように、天然鰻の旬は10月末から2月頭くらいとされています。
旬の天然鰻の破壊力は言うに及びませんが、個人的には、夏場に高い金払って喰うもんじゃあないと考えております。
では養鰻は…業者さんの努力と工夫で、1年間味が安定しております。これも個人的な見解ですが、時期によっては逆転するとすら考えております。
その業者さんの努力と工夫、そして職人の技と工夫が結集しているお店、それがこちら、「うなぎ仁」さんです。
断っておきますが、お店側から宣伝などを依頼されてはおりません。このお店のポテンシャル、そんな必要は全くないでしょう。
12時少し前に到着しますが、やはり店内は混雑。4組待ちの状態で、更に待っている間に待ち客が増えていく。やはり月末にしなくて正解でした。
それでもおおよそ20分くらいで席に案内されます。席数が多いからこそでしょう。
先ずはお義母さん、色々悩まれ、先に「焼き」の話をしていたこともありまして、うな重(頂上)5000円を選択。嫁さんは大好きなせいろ蒸し(特上)4400円の一択、私はかば焼きと白焼きに惹かれつつ、結局ひつまぶし(頂上)5500円を選択。
ここで、「せっかくなら呑まれませんか? 肝焼き串も注文しましょう」と促し、エビスビール(小)550円、ノンアルビール450円と肝焼き串2本(1本650円)をお願いします。
待ち時間がありますから、時間潰しです。
先に飲み物と肝焼き串が到着、コップに注いで乾杯です。何度も食べていますが、やはりこちらの肝焼きは旨い。肝の苦味と甘味にタレが絡み、アテとしては絶品です。
普段絶対に肝には手を出さない嫁さんまで、一口食べてます。会話が弾んでいるのを眺めているのも幸せな瞬間ですねぇ。
きっちり3品、ほぼ同時に配膳されます。こういったところはありがたい。こんなお店でバラバラに食べ始めるのは最悪です。
蓋をそれぞれに開けて、「やっぱり教えて貰った通り、パリッとした照りがあるねぇ。これは初めて見た。」と言われたなら、やはり嬉しい限りです。
ここで、「タレはワザと焼き上がりを良くする為に最低限かけてあります。これで充分美味しいかとは思いますが、足りないと思ったら、このタレ(テーブル備え付け)をかけて調整して下さい。」と話しますと、「取り敢えずこのママ食べてみよう。」とおっしゃいます。
分かってますねぇ、お義母さん。さすが料理上手。
「歯触りが全然違う…パリッとして、鰻の味もしっかり。身がふっくらしているから美味しい」とのこと。喜んでいただけたら何よりです。
嫁さんも好物のせいろをニコニコしながら食べてます。良い時間です。
ひつまぶしの頂上、やはり美味しい…鰻が1尾半、しっかり入っています。これを茶碗によそうのが難しい。圧倒的に鰻が多くて贅沢です。
しかも、他所で頂くひつまぶしよりご飯は多い…それを凌駕する鰻の量と言えば、分かりやすいかと存じます。
身と皮側の火の通し方も絶妙に違う。身は表面の脂がカリッと感じる仕上がり、皮は焦がさないけどしっかり脂を落とし、パリッとした食感…いつもながら絶品です。
タレも被らせ過ぎない仕上げで、そのままで充分美味しい。
何より、鰻の味わいを堪能できる。旨味も甘味もしっかりと…タレを喰いに来た訳じゃないんです。
鰻をしっかり主役にする、こういうお店は中々ございません。
用意された山椒もピリッとしていますし、どうしてもタレが多めに欲しいとか、味の変化を楽しみたいという方は、タレを追い掛けしても良し。後は全て客の好みです。
出来るなら、折角テーブルにタレを配備している(他店では中々見かけないサービス)のですから、店員さんが予め説明するようにして欲しい。配慮しているのに勿体ない。
他の方々の口コミを見るに、伝わっていないのはいかがなものかと…
ゆっくり時間をかけて、おしゃべりしながら堪能させて頂きました。
長くなりましたが、至福の時をありがとうございます。
ご馳走様でした。
ひつまぶし(頂上)5500円
せいろ蒸し(特上)4400円
うな重(頂上)5000円
肝焼き串650円 × 2本
ひつまぶし(頂上) 近景
せいろ蒸し(特上) 近景
うな重(頂上) 近景
山椒 タレ(追加用)
ひつまぶし1杯目(そのまま)
ひつまぶし2杯目(薬味のせ)
ひつまぶし3杯目(薬味のせ、出汁かけ)
ひつまぶし4杯目(ネギかけ)
2023/07/20 更新
2022/12 訪問
やはり旨い 間違いも紛れもない
福岡で呑んだ次の日は、せっかく薬院近くに泊まるのだから「うなぎ仁」さんに行こうと心に決めており、次の日に予定の無い二人に声を掛けると「是非行きたい」とのことで、予約して開店時間にお伺い。
さすがに寒空の11時だと店内は人も疎らで、連れもゆっくりメニューを見ながら品定め。二人はうな重の頂上、私は前回ひつまぶしだったので今回はせいろ蒸しの特上、合わせて肝焼き串を2本注文します。本当はお酒も行きたいところですが、運転手以外の2名は午後に予定があるので泣く泣く…。
飲酒運転、ダメ、ゼッタイ!
先に肝焼き串が提供されましたので、私と連れの1名でいただきます(もう1名は肝が苦手)。前回同様、全く臭みが無く、甘味すらある肝に薄めのタレが絶妙です。山椒を少し振りかけたらもう幸せ。あ〜、酒が欲しい。もっと幸せが充満するだろうに…。
更に15分程待ちますと、うな重とせいろ蒸しが提供されます。うな重は身の表面がテカテカ、見ただけで脂がカリッと仕上がっているのが分かります。せいろ蒸しは写真で伝わりません(腕がありません)が、湯気立ってしっかり蒸されているのが分かります。相当熱そうです。
どちらもタレは薄めに仕上げてありますから、連れにも「一口味を確認して、用意されている掛けダレを加えてお好みに」と伝え、私はせいろを一口。いや、激アツ。もう少しで食道がやけどしてしまう程。しかしそれが旨い! こんなしっかりしたせいろ蒸し、久しぶり。ご飯に控えめに染みたタレがもちもちの食感と相まって、炊き立てのおこわと見紛うばかり。前回はひつまぶしだったので皮目と身のカリッとした食感でしたが、今回は蒸されてフワッとした食感。蒸しても皮目の臭みは全く無い。素晴らしい仕事です。
前回は山椒のみで掛けダレのお世話にならなかったので、今回は敢えて掛けてみます。確かにタレの風味が増して旨いですが、やはり少量に留めた方がバランスは良いです。あまり掛け過ぎだとうなぎ喰ってるのかタレ喰ってるのか分からなくなりますし…。そんなお店もありますが。
連れはうな重見た瞬間にそのボリュームにびっくり、一口食べて旨さにびっくりしていました。身の表面の脂がカリッとした感じは特に悦に行ったらしく、しばらく山椒やら掛けダレの存在を忘れてパクついていました。「こんな旨くて上品なものが5000円なら安い。下手に天然にこだわる必要もないし、充分どころか断然良い。」だそうです。
昨日の村崎研究所といい今日のうなぎ仁にしろ、連れてきて目の前でお世辞抜き(そういう付き合いです)に喜んでくれると嬉しいもんですね。
ボリューミーですがさっくり行けて重くない。口福、口福。ご馳走様でした。また伺います。
2022/12/29 更新
2022/08 訪問
最強の鰻屋です!
老舗だったり有名だったり、街中の鄙びたお店だったり、とにかく私が就職してからの贅沢の一つは鰻を喰うことでした。もう一つは鮨です。
鰻だけは時間がかかるものですから、一人でお邪魔して待っている時間まで噛み締めながら味わうことが大好きで、今思い出しますと、割と結婚して所帯を持っても半分くらいの割合で一人でお伺いすることが多かったことに気が付きました。嫁さんは付き合い出した時に鰻が大嫌いでしたが、ここなら入り口に大丈夫ではないかと考えた店で彼女が美味しいと言ってくれたことを今でも鮮明に覚えています。今や大好物になっているのが嬉しい限りです。
そんな私が頭を後ろから思い切り殴られる程の衝撃を受けました。それが今回お伺いした「うなぎ仁」さんです。養鰻は鹿児島が日本一なのはもちろん、そこで生産量を誇る養鰻会社の直営店が薬院に出来たと聞いて、いつかはとは思っていました。でも「養殖」というキーワードに「それなりのもの」という先入観があったことは事実です。
嫁さんが先にせいろ蒸しの上を選びましたから、悩みつつひつまぶしの頂上をお願いしました。プラス肝焼き串です。
店内は落ち着いた上品な作り(良く分かりませんが数寄屋造りでしょう)ですが、若干年齢高めのご婦人連れやら収入の高そうな壮年の男性と若いおねーさんの組み合わせばかりで、お喋りが飛び交っているので非常に残念です。
最初に肝焼き串が提供されます。苦味と甘味、タレのバランスが絶妙で、思わず「ビールが飲みたい」と口走ってしまいました。思っていたより肝の数が多くて得をした気分です。山椒を少し振ると旨味が倍増します。
食べ終わる頃にせいろ蒸しとひつまぶしが提供されます。時間配分がバッチリです。嫁さんのせいろ蒸し、錦糸卵が細く刻んで丁寧に盛ってあり、見た目が美しい。で、他店と比較しても明らかにタレが少な目です。福岡では結構黒々と掛けているのが当たり前ですので、少しびっくりしました。お好みでタレを掛けられる様にテーブルにタレが用意されている意味を理解しましたが、目新しく神々しくもあります。
私のひつまぶし、同じくタレが控えめです。ただしビジュアルは素晴らしい。写真では分かりづらいかと思いますが、表面がカリッと仕上がっている様が照り返しで良く分かります。一面びっしりではなく、三層が重なっていますから、相当うなぎの量が多めです。先ずは一切れ、そのままいただきますと、皮目はパリサク、身の表面はカリッと、そしてふっくらした歯応えを感じます。タレが薄めなんてとんでもない、絶妙なバランスです。もう五感が喜びまくり!
茶碗によそいますと、明らかにうなぎの量が多いことが良く分かります。非常に贅沢です。しかも旨すぎる! 夢中で一膳目を食し、二膳目には薬味(わさびとネギ)で堪能します。わさびの爽やかさが別の味わいを生みます。追いダレなんて野暮でしょう。
そして三膳目、出汁を投入。この出汁も逸品、決して出過ぎず、しかし味わいは深く、飽きさせることがありません。最後の四膳目、わさびとネギを乗せて出汁を投入、やはり旨い。ここでハタと気がつきます。山椒を必ず使う私が、全く使っていない。いや、必要がない。このうなぎの焼き加減、皮目に一切焦げがなく、しかも全てパリサク、全て表面がカリッと、全てふっくら。うなぎの良さを損なわない焼きの腕、感服いたしました。
嫁さんのせいろ蒸しも重たさがなく(タレが強めだと食べ進める程に重くなるものですが)、しかししっかり蒸されて別格の味わいがあります。
今度は何を頼むか? いや、いつお邪魔するか…。その前に、しばらく他の店に行けない身体になってしまったがどうするのか。しかしこんな味最強、コスパ最強の店があったのか…。黒豚のパイロット店といい、鹿児島恐るべし。
若干うるさかった店内のことはすっかり忘れて堪能しました。
口福、眼福、ご馳走様でした。
2022/08/27 更新
今年も「土用丑」の季節となりました。お義母さんはこの時期を大層楽しみにされるようになり、それは「うなぎ仁」に行くようになってからのことでございます。
稼ぎが悪いもので、年に何回もお連れすることができないんです… ( ノД`)
今年のメンバーは昨年と同じ、お義母さんと私と嫁さん、息子とSちゃんの5人です。
「○○(私)さんが仁に連れて行ってくれてから、他のお店で食べてもい~っちょん美味しいと思わんようになってね…身が薄かったりグジュっとしたり、タレが甘ったるかったりするもんやけん…」
行きの車の中、お義母さんが繰り言のように申します。
「なんかすいませんねぇ…せっかくの鰻が美味しくなくなったって」
「違うとよ、今までありがたがっとったつばってん、何でこげなもんをありがたがっとったっちゃろうかぁって」
ずっとこの調子でした。それだけ楽しみにされていたということでしょう。
ちなみに、7月はお昼の予約ができません。土用丑の日となると、更に混雑が予想されますから、その日も外しての訪店です。息子たち2人は現地集合、先に到着して順番を取っていてくれました。
お店の外でしばらく待機、お喋り相手は嫁さんと息子たちに任せます。
ようやく開店の時間、先にメニューを見て注文するものは決めていましたので、それを店員さんにお伝えします。
私:ひつまぶし(頂上・1.5尾)6000円
嫁:せいろ蒸し(上)3700円
義母:うな重(特上)4600円
息子:うな重(頂上)5700円
S:蒲焼膳(特上)4600円
あわせてシェア用のうまき1800円をお願いしまして…
「お義母さん、今日はビール飲まなくてよかったんですか?」
「あら、吞んでも良かね?」
「良いですよ~、私はノンアルでお付き合いします」
ということで、アサヒビンビール700円とノンアルビール500円を追加します。
直ぐにビールが出て来まして、1杯目をお注ぎする。我ながら出来た婿です…誰も言ってくれないので、自分で文字にしましたが、ちょっと空しい。 (;´∀`)
お義母さんと息子たちは久しぶりに会いますので、話しに花が咲いてます。おばあちゃん、初孫ですからやはり心配している模様です。
するとうまきが出てきます。取り分けしやすいように5つにカットしてありまして、断面からしっかり鰻が覗いています。
1人1切れ、皿に取り分けまして…いただきますです。優しい出汁がしっかり染みて、それでいて染み出すことはない、絶妙の加減。濃い玉子に美味しい鰻…これほど鰻がふんだんに使われているのは見たことない。ツマミにぴったりでありましょう。お義母さんもビールがぐいぐいイケてます…吞めるクチなんですよね。
そうこうするうちに、主賓の登場です。ズラズラと並んでいきまして圧巻の光景、全員の顔が綻んでます。 (≧▽≦)
基本的にタレは薄っすらなんですが、別にそれで物足りないということはございません。足りなければテーブル備え付けのタレを足せばよし、客が好みの濃さに出来るというのも配慮の一つ。他店でこんな光景、「タレの容器が備え付け」は見たことありません。
各々写真に収めまして…私はそのままの状態で混ぜ込まずに1膳目、嫁さんはせいろ蒸しの熱さと格闘しています。
そういえば…今は鰻のせいろ蒸しでしっかり蒸さないお店が増えたような気がします。そうすると旨さや醍醐味が減る気もするんです。こちらはしっかり蒸されていますので、その熱々の1口目が堪らない…それと戦っていると、「鰻のせいろ蒸し食べてんなぁ~」って気になるんです。
何度も書いてしまいますが、皮目のパリッとした食感、身の脂のカリッとした食感、これが味わえるのはこのお店しか知りません。そして甘く、ふっくらして美味しい…まさしく技の極みというものです。
「(義母)あ~、これよ…この食感がほかのお店に無いっちゃんねぇ」
「(私)やっぱ違うでしょ?」
「そうそう、だから楽しみで…ホントに」
「(嫁)次は年末でも来ようかね」
「(息子)え?俺たちも呼んでくれると?」
「(嫁)お金を出しても良いとよ ( ̄▽ ̄)」
「いやいや…それは遠慮しますよ…食べるだけで大丈夫」
皆が美味しいと感じるものを楽しく食べる、楽しいから美味しさが増す…そういう雰囲気が大好きです。まさに良店ということでしょう。
4人が食べながら、「次に来たときは何を注文するか」をテーマに話し始めています。周りのテーブルは満席になり、店内も賑やかです。新しくできた支店も繁盛していることでしょう。
幸せが充満する空間、ここで美味しいものがいただける幸せ…ありがたいことです。店員さんの接客も素晴らしい。
嫁さんが1切れの鰻にタレを足してます。それを食べながら「ふ~ん…こうして味を調整できるって凄いけど、私は最初のままで良いかなぁ…ちょどいい塩梅のごたる」などと申します。それを聞いたお義母さんや息子も同じ行動。
「(義母)他所と比べて薄味に仕上げてあるけど、タレが濃いと何を食べよるか分からんごとなるね…程々に仕上げてあるけん、鰻の味やら噛み応えやら感じることができる…やっぱ焼きが良いもんねぇ」
「(息子)かけるにしてもホント少しで良いね、ちょっとした味変ぐらいの話で」
全員が焼きの巧さを堪能しています。
薬味を添えての2膳目、出汁に浸して3膳目…最後はそのままで4膳目。量は多いんですが、全く飽きることがありません。腹はパンパンになりますけどね…鰻の旨さがないとこうは行きません。
「(嫁)せいろ蒸しはやっぱり食べた~って気になるよね…最後まで美味しかった!」
「(息子)俺、次は蒲焼と白焼膳を食べるわ…ご飯の大盛りってできるとかな?」
「(義母)私は蒲焼と白焼で日本酒にしようかな…」
まだ言ってるよ…
口福、口福…
ご馳走様でした!!