2回
2021/12 訪問
”やたべ系”の総本山で食す鶏ガラの神髄
帰省に伴う白河市のラーメン食い倒し企画第二弾として訪れたのがこちら。
同じ白河市内の手打ち中華かしまを味わった時、”やたべ系”と呼ばれる白河ラーメンの系譜を知り、それ以来いつか訪問を、と決意していた当店。大晦日の年内最終営業日に電話すると、まだスープは残っているとの回答。急いで車を飛ばし、ラーメンを味わえる僥倖に巡り会うことができました。
お店の前に到着したのは12時過ぎ。店内は満席、車中でまだ数組が待機している。雲一つない晴天の中、待っているとポツポツと車が。どうやら名前だけ書いておいて、時間にあわせて来店している人もいるみたいですね。かれこれ1時間近く待たされ、ようやく入店。
店内の小上がりに通される。わたしはチャーシュー麺980円、妻は手打中華710円を頼む。
ラーメンが到着するまで、サービスでスープ用に煮込んだ鶏ガラが提供される。醤油がぶっかけてあるだけの代物ですが、これが本当にうまい。かむと骨まで軽く砕けるくらいに柔らかく、じゅわっとあふれる滋味に心が癒やされる。かしまの時もいただきましたが、この鶏ガラサーブは素晴らしい。このサービスがやたべ系の特徴なんですよね。
そしてチャーシュー麺。いたってオーソドックス。なると、ほうれん草、のり、そしてチャーシューが6~7枚。白河ラーメンの王道的なヴィジュアル。スープには細かい脂の膜があり、少し濃い褐色です。鶏ガラの旨味が凝縮しているのが香りだけでもわかります。丹念に取られた非常によいスープだ。麺はちぢれの平麺で、持ち上げると見事なツヤがあります。稲庭うどんのような、唇や口の中に吸い付くようななめらかさがあり、スープとの絡みも抜群。弾力が強いコシのある麺とはまた異なった、とても味わいのある麺ですね。麺をたぐる箸の勢いが止まらない。チャーシューも脂を徹底的に落とし、肉だけをきちんと味わえるタイプ。10分もせずに、スープもすべて完食。最後の一滴まで味わいました。このラーメンは本当にワタクシ好み。完敗です。
こちらは力強くも品のある鶏ガラスープで、噂以上のうまさでした。元々はとら食堂から分派した系統のようですが、あくまで上品な鶏ガラのうまさを追求するとら系に対し、こちらは鶏ガラの旨味を存分に味わうようなタイプに感じました。麺もスープも素晴らしくよくまとまっていますし、名店といっていいラーメン店だと思います。機会があれば、鶏ガラをつまみにビールや酒を飲りたい。また機会があればお邪魔します。ごちそうさまでした。
2022/01/05 更新
いまは白河ラーメンの一大勢力「やたべ系」として君臨する元祖がこちら。その評判を聞きつけ、首都圏など県外からも来店する客が後を絶たないという名店です。久々にその味を確かめたいとお邪魔してみることに。
午前10時過ぎに待機名簿に名前を書き、しばし待つ。さすがに人気店だけあって、すでに名簿には5組の名前が。あまり待つことなく11時過ぎに入店することができました。
手打中華850円をオーダー。すぐに鶏ガラが提供されます。よく煮込まれた鶏ガラと醤油のカエシがよく合う。鶏ガラをいただく大事な儀式に夢中になっていると、手打中華が到着。オーソドックスでド直球の醤油ラーメン。深いマデューロのスープに、具材はチャーシュー、ほうれん草、メンマ、のり、なると。
鶏の旨味を余すことなく抽出したスープ。キレのある醤油の味とともに、鶏の旨味の奔流が口の中に広がる。手打ちの麺もすばらしいですね。プリプリでやや柔らかめ。なめらかなすすり心地。勢いよくすすると、暴れながら口元にするりと収まっていく。少しもちっとした食感なのもたまらない。もも肉のあっさりしたチャーシューも、この素朴さがかえって新鮮です。
鶏の旨味と麺のエッジが立ち、隙のない味ですね。すべては毎朝3時から打つというこの麺のために設計されている。脇目も振らず、ひたすら王道の醤油ラーメン。いま見るとシンプルすぎるヴィジュアルながら、内容はとてつもなく濃い。このレベルで醤油を作れる店が国内でどれほどあるのか。創業から25年。味は白河ラーメンの盛んな県南エリアの中でも、円熟の域に達していると思います。また食べたくなる味ですね。ごちそうさまでした。