2回
2021/12 訪問
ここは寿司の隠れ里
妻の実家に帰省した折、実家で取ってもらったのがこちらのお寿司。
以前からおいしいと評判は聞いていました。中島村の町外れにぽつんとたたずむお店ですが、今回は年末の贅沢ということで、出前をお願いしてくれたようです。
取っていただいた寿司は、ランクはわからないが握りが7貫、鉄火が3つのシンプルなもの。ただ、ネタの輝きが異様にいい。ものすごく質のいいネタを使っているのがわかります。エビはプリップリ、ホタテはプルンとして健全な色気を放っている。イカはつやつや、ウニ、いくらの輝きのなんと尊いことよ。そして極めつけは大トロ。これは大変だ。こんなになまめかしく艶っぽい大トロは、都内ではなかなかお目にかかれない。シャリのツヤも桁違い。すっげぇ戦闘力を持った寿司に出会っちまったぞ。
期待を胸に寿司をつまむ。まずは鉄火。なぜか通常のタイプと異なり、海苔が内側に巻き込んであるタイプです。うーん、おいしい。シャリとマグロ、海苔の三位一体。結構海苔の香りが豊かで、なぜかお米の粒感を強く感じる。イカ。ひたすらねっとり、クニュクニュしていやらしい食感。甘みもすごいですね。エビはぶりっぶりで弾力と歯ごたえが素晴らしい。イカを超える甘さと旨み。大トロ。脂が口の中でほろほろととろけ、シャリがほどける。夢見心地とはこういうことを言うのか。これは都内では食べられない。銀座で食べたら1貫2,000円くらいするんじゃないか。でも2つもある、やったぜ! こんなトロを食べられれば、人類は皆戦争なんてしなくなるんじゃないか。トロにノーベル平和賞をあげたい。いくらはプチプチ感がたまらず、味も濃い。普段食べてるいくらって何なんだろう。うにも素晴らしいねっとり感。甘みと苦みのバランスが素晴らしく、海苔と絡んで潮の風味をたたえた独特の旨味が舌の上に残る。いい余韻。ずっと浸っていたい。ホタテも弾力と甘みが素晴らしく、間違いなく絶品。最後にまた大トロ。もう何も言うことはありません。
田舎にあるお寿司屋さんとは思えない、素晴らしいお寿司に出会えました。1貫が大きく、食べ応えもある。精妙な技や、ひと仕事が光る都会のお寿司とはまた違った握りかもしれませんが、ネタは抜群。シャリも含めた全体のバランスもよい。細かいところに目が行き届き、妥協のない証拠です。こんな素晴らしい寿司屋がひっそりとたたずんでいるなんて、ここは寿司の隠れ里ではあるまいか。きつねかたぬきにでも化かされたんじゃないかと思うほど、とても品質の高いお寿司です。長く地元の人たちに支持されているだけの理由はある。東北本線でいうと、白河駅と矢吹駅の間にあるお店なので立ち寄りづらいかもしれませんが、機会があればぜひ味わってほしい。今度はわたしも実際にお店で堪能してみたいと思います。ごちそうさまでした!
2022/07/12 更新
以前から出前などでいただいたことはありましたが、お店にお邪魔していただくのは初めて。
この地域以外に知られていませんが、実は非常に質の高い握りを食べさせてくれる、中島村の名店です。
今回は法要の関係で、座敷にお邪魔することに。
握りの特上2400円をいただきました。特上は握り7貫のほか、茶碗蒸しに小鉢が2品、それに味噌汁が付きます。
茶碗蒸しが素晴らしい。上品なカツオだしがたっぷり使われた逸品で、なめらかかつ見事な仕上がり。椎茸がたっぷり入っているのも好印象。握りも素晴らしいですね。マグロの脂の味そのものを純粋に楽しめる大トロ、グニグニねっとりの甘さがクセになるイカ、甘み濃厚なホタテ。甘エビも暴力的なまでに問答無用のうまさ。イクラにウニはもちろんの王道のうまさ。少し大ぶりながら、シャリとネタのバランスもよく、シャリそのものの粒立ちや酢加減も絶妙。いつも出前でしかいただいたことがありませんが、極めて秀逸な握りだと改めて感心します。
ひじきの煮物に、冬瓜のきんぴらも素晴らしいですね。地味ながら、仕事が丁寧。こういう小鉢をアテに、ビールをぐっと飲るのがいいですよね。鮭のあらを使った味噌汁も抜群のうまさで、握りだけでなく、あらゆる料理に死角がない。
メニューは握りに鉄火丼やちらし、巻き寿司や刺身盛り合わせなど、かなり搾ってあるようですが、料理一品一品が高いクオリティと思います。メインの握りだけでなく、サイドメニューの小鉢やお椀も手を抜かない仕事の堅さは素晴らしいですね。質の割に値段も本当にお安いと思いますし、こういうのが地元の人々に愛される本物の鮨屋というものでしょう。これからも丁寧に味わっていきたい名店です。ごちそうさまでした。