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海老天ばらひつまぶし。まず右手の焦がし醤油を回しかけて頂く。
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昆布と大量の枕崎本枯節で取った出汁。焙じ茶のような色がその濃厚さを表している。そのまま飲んで愉しんだ後、天ばらにかけて天茶で頂く。
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天茶。出汁を注ぎ、薬味を乗せて。
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鯛のあらのスープ。鯛のエキスたっぷりで、深い旨味に思わず唸る一品。
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長いもといくらを使った小鉢ともずく酢。
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天ばらの具材は海老と三つ葉。海老は一尾を大ぶりに切ったもので、たっぷりと入っている。具材の一つひとつが衣に包まれていて美味しさアップ。
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香の物に添えられた昆布は、先ほど出汁を取ったもの。
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天茶用の薬味。わさびはおろしたばかりで香り高い。
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右側の鍋では利尻昆布と羅臼昆布で取った出汁が温められている。この後、この大量の鰹節全量が鍋へと入れられることになる。
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枕崎本枯節の二年もの。
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鯛と包丁。鯛の捌きを最初から見られるのは、鯛茶漬けを注文した最初の客の特典だろう。
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鯛の捌き (1)
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鯛の捌き (2)
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鯛の捌き (3)
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鯛の捌き (4)
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鯛の捌き (4)
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鯛の捌き (5)
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わさび
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わさびの擦り下ろしも目の前で行われた。
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店舗外観
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店舗表札
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右手が七灯舎さん入口。二階はかつ丼専門店の “さくり” さん。両店とも日本橋のとんかつ店 “かつ好” さんが開いたお店だ。
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店頭のメニュー表。写真を見返すと『カウンター七席の料理のライブハウス』と記載されていた。
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店内は装飾が一切無く、只々料理を愉しむ空間が作られている。
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カウンターと板場はほぼ同じ高さで、間の僅かな段差と距離が仕切りの役割となっている。調理から料理への連続性が感じられる。
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ウォーキング日和の週末。二年越しとなった東京七福神巡りも、27箇所中、残すは日本橋と小石川のみ。後楽園の紅葉鑑賞を合わせる小石川プランは時期尚早、ならば日本橋を廻って人形町辺りでランチにしようということに。すると、いつもの同行者から、仕事帰りに水天宮で見つけた “七灯舎” さんに行きたいとの提案があり、翌土曜日、七福神巡りの後に訪れることにした。
久々の水天宮は建て替えられており、特に外回りがすっかり様変わりしていて驚いた。建替え完了は2018年というから随分来ていなかったことになる。以前入口だった水天宮通り側が背の高い柵で覆われてしまい、下町的風景が減ってしまったのが寂しいが、これも時代の移り変わりだろう。境内へ上がると、七五三詣りの家族連れで大変な賑わい。社殿前に参拝者が列を作る中、左手前の並びのない宝生弁財天様を拝んで七福神巡りを完了し、いざ七灯舎さんへ。
[店舗情報]
水天宮とロイヤルパークホテルで挟まれた三本の通りの真ん中、水天宮通りから30mほど入った所にあるすっきりとした2階建て。一階の七灯舎さん、二階のかつ丼専門店の “さくり” さんとも、人形町のとんかつ店 “かつ好” さんの経営である。開店時間の11:30に対し15分ほど早い到着。両店のメニューを見ながら待っていると、気持ちがかつ丼に振れそうになるので注意が必要だ。
定刻より僅かに早く、階段途中の札が “準備中” から “営業中” に返され、さくりさんが開店となった。通りで一緒に待っていた男性に自分たちは一階の利用であることを告げると、やはりかつ丼で待たれていたようで、二階へと上っていった。さくりさんを利用する場合は階段上で待つ方が紛らわしくなさそうだ。
すると時間を置かずに右手の引き戸が開けられて、どうぞの声。店内へと入ると、そこには7席のカウンターのみの清潔感に満ちた空間が広がっていた。装飾的なものが一切無い。席の後ろは十分な距離が取られ、前方は小さな凸部を挟んでカウンターから板場までが同じ高さで続いている。左右の席間にも余裕がある。奥の棚には切れ味鋭そうな包丁が3本並び、目に入るものは調理に必要な最小限の道具のみ。これらのセッティングは、料理に意識を集中出来るようにとの配慮なのだろう。
[注文品]
□海老天ばらひつまぶし (2800円)
□鯛茶漬け (枕崎) (2800円) [同行者]
□ノンアルコールビール (700円)
□グラスワイン (赤) (1820円) [同行者]
たしか鍋では最初に大きな肉厚の昆布で出汁が取られていた。少しして、目の前に大量の鰹節が入ったボウルが置かれた。鍋とボウルは同じくらいの大きさだ。しばらくすると鍋の蓋が外され、先ほど昆布で取った出汁の中に鰹節が入れられていく。どのくらい入れるものかと見ていると、瞬く間に全量が入れられた。半分を過ぎたあたりから、感動の声が自然に出ていた気がする。まさかあの量を全部使うとは考えもしなかったので、只々見惚れていることしか出来なかった。
また少しして、今度は大きな鯛と包丁が目の前の台に置かれ、料理人が一度厨房へと戻っていく。残された鯛と包丁を見て、そこで初めて気が付いた。これは食材がどのように調理されていくのかをご覧下さい、という合図なのだということを。台が同じ高さであることも、距離が近いこともそのためなのだ。勝手にそう解釈したのかも知れないが… 。そこからは鯛の捌きを見逃すまいと、食い入るように(カメラ越しに)眼差しを向けることにした。料理人には無駄な動きが微塵も無い。途中、奥に並んでいた包丁に持ち替え、あっという間に半身が柵の状態となった。残りの部位が仕舞われると、あとに残ったのは実にきれいな柵が二つだけ。あの大きな鯛が料理人の手にかかるといとも簡単にこうなるのかと感嘆した。さすがに奥の包丁は飾りだろうと思っていたが、それすらも良い意味で裏切られた。
柵は形の良い部分がきれいな刺身となって皿に放射状に並べられ、残った部分は細かく刻まれ皿の中央に盛り付けられた。食べる前にして既に堪能し、そして感動した。もっとも鯛茶漬けは同行者の注文品なので、ご相伴に預かる程度だが。
[注文品説明]
■海老天ばらひつまぶし
最初に頂いたのは “鯛のあらのスープ”。鯛のエキスたっぷりで、深い旨味に思わず唸る一品。こちらはサービス品とのことで、恐らく鯛茶漬けの副産物なのだと思われる。調理の醍醐味といい、七灯舎さんに来たら鯛茶漬けのオーダーは必須のようだ。
海老天ばらの具材は海老と三つ葉のみながら、大ぶりにカットされた海老がたっぷりと乗っている。七灯舎さんの天ばらは具材一つひとつを衣で包むもので、自分好み。ここに焦がし醤油を回しかけて頂く。煮詰められた醤油は甘みが引き出されて豊かな風味。その香ばしさが海老の旨味と三つ葉の爽やかな味わいと調和し、とても美味しい天ばらである。
薬味の皿のわさびは、たった今、目の前で擦られていたものだ。香の物に添えられた昆布は出汁を取った昆布そのもの。天茶用の出汁はもちろんその昆布と大量の鰹節で取られたものだ。メニュー表を見ると枕崎本枯節の二年もののようだ。焙じ茶のような濃い色合いだけでもその濃厚さが伝わって来るが、口に含むと奥行きのある深い旨味に魅せられた。あのお手頃なランチ価格でここまでの出汁を頂けるものかと、そういう点でも感動する。天ばら自体は鯛のような調理過程を見られなかったが、それでも温かい出汁を口に含めば鰹節を鍋に入れる情景が思い起こされ、心地よい余韻を満喫することができた。(˘⌣˘ )
[感想等]
自分は鯛の切り身を3切れほど食したに過ぎないが、鯛茶漬けは頼んで良かったとしみじみと思う。
あの大きくて立派な鯛が目の前でプロの料理人によって捌かれ、その1/4もの切り身が一人分として皿に盛り付けられ、心ゆくまで堪能できる鯛茶漬け。それがこの価格で頂けるとは… 。もはやランチで儲けを出すつもりは全く無いのであろう。出汁にしても考え方は全く同じで、一切の手抜きが無い完璧な仕事ぶりが感じられる。こうやって思い返すと、あらためて深く感じ入ってしまう。
七灯舎さんの七は席数、灯は明かりを灯すという意味かと思われる。すなわち「素材に触れ、技を感じ、料理に歓び、七つの席に明かりが灯る」、そういうステージを表す店名なのだろう。夜の水天宮に灯る七つの明かりもイメージできる素敵な名前だ。今度は夜に訪れてみたい。さらなる感動が待っているだろうから。
(*˘︶˘*).。*♡
[あとがき]
店舗前のメニューの写真を良く見返せば、『カウンター七席の料理のライブハウス』と記載されていた。
それで納得。板場というよりも、やはりステージという呼び方が合っている。魅せる料理に知らず知らずのうちに感情が高まったが、それが正しい楽しみ方だったようだ。
なお、隣の席はメニューにはないすっぽん料理のコースを予約したお客さんだった。さすがに捌きの実演は無かったが、生きたすっぽんが目の前に置かれて捌き方の説明を聞いたり、捌いた後の甲羅と骨を見たり、すっぽんの肉の刺身や卵の軍艦などを目にし、偶然ながら貴重な体験をさせていただいた。会話上手の同行者は、話しの展開よろしく、生き血のりんごジュース割りをご相伴に預かるというおまけ付きだった。(^^)