あさくさぴとさんが投稿したお食事処ぶなしずく(谷地温泉)(青森/八甲田山)の口コミ詳細

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お食事処ぶなしずく(谷地温泉)八甲田山/そば、うどん

2

  • 夜の点数:4.4

      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
  • 昼の点数:4.4

      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
2回目

2025/11 訪問

  • 昼の点数:4.4

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-

東北の食事は塩辛い。そう思い込んでいた自分が、いかに大間違いだったかを思い知らされた

翌朝、何度か温泉に浸かり、すっかり硫黄の匂いをまとったまま食事処へ向かう。
雪は夜のうちに深く積もったようで、窓の外では除雪の作業音が淡々と聞こえる。
静かで力強い、冬の朝の音。

昨晩と同じ席に腰をおろし、自分で青森県産のご飯をよそい、お茶を注いだ。
つやつやで、粒が立って、噛むほどに甘い。
湯治宿の朝は、この一杯で体が目覚めていく。

朝の主役のメインプレート
焼鮭、蜂蜜梅干し、昆布巻きの佃煮(中身はわからないけれど、旨味が強くてご飯泥棒)。
小鉢には温泉卵、とろろに青のりがかかったもの、そしてひじき煮。
味付け海苔がそっと添えられている。
味噌汁は根菜たっぷりで、体の芯がゆっくり温まる。

どれも、強く主張しない。
塩辛くも濃すぎもしない。
けれど、ご飯が止まらなくなる味ばかり。

ご飯を食べさせるための朝ごはん
日本の宿の原点にあるような、誠実で静かな食事

湯治宿はこれがいいんだよ。
贅沢は、いつか飽きる。
けれどこういう朝ごはんは飽きることがない。
体を労わるようにそっと寄り添って、無言で「今日も生きていける」と思わせてくれる。

食事を終えて席を立ち、食事処を出た瞬間だった。
どこかから猫の鳴き声が聞こえた。
昨晩はテンの親子に遭遇し、まるで山に歓迎されているように感じたが、今日は猫だ。

声の方向を探って玄関を開けると、外のほうから鳴き声が強くなる。
まるで私を呼び寄せるような声。
目を凝らすと、屋根を支える柱の上からこちらをじっと見ている猫がいた。

私が猫の鳴き真似を返すと、猫もまた返してくる。
しっかり目を合わせ、何かを感じ取ったように柱から降りて近づいてきた。
足元で伏せるように寄り添ってきて、喉の奥で小さく鳴く。
寒いだろうと、そっと頭と喉を撫でると、すっかり心を許したのか体を押しつけてくる。

「そんなことをされたら、寒くて部屋に戻れないじゃないか」と思いながらも、しばらく身じろぎもできずに立ち尽くした。
やがて気づいたように猫は起き上がり、軽やかに柱を登って屋根の上へ戻っていった。
まるで「じゃあ、行ってこい」と送り出すかのように一声だけ短く鳴いて。

2025/11/22 更新

1回目

2025/11 訪問

  • 夜の点数:4.4

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-

谷地温泉で過ごした、ある日の夕食。
身体には何度も温泉に入ったためか、硫黄の香りがまとわりついている。

まず小鉢は 網茸煮。
山の秋を閉じ込めたような濃い旨味とぬめり。
一口目からすでに「この宿は料理に手を抜かない」とわかってしまう。

続く造りは 紅サーモンと〆鯖。
青い森紅サーモンはねっとり甘く、噛むたびに脂がほどけていく。餌にりんごとニンニク、オール青森で作り上げた日本と外国のニジマスの配合に脱帽。
八戸の〆鯖は酸味控えめで旨味くっきり、どちらも主役級の一皿。

焼物は待ってましたの 岩魚の塩焼き。
大ぶりの身に薄く塩をまぶし、遠火でじっくり。
皮は香ばしく、中はふっくら、骨まで食べられるほど絶妙。

鍋物は 豚バラ鍋。
素朴なのに体の芯から温まる、山の宿らしい味。

揚げ物は 海老・鱚・野菜天。
サクッと軽く、油が重くないのが嬉しい。

洋皿の ローストビーフ はしっとり柔らかく、脂控えめで上品。
ここで料理の幅の広さに驚かされる。

そして締めの 青森県産のお米。
つやつやで粒立っていて、噛むほどに甘い。
香の物の 野沢菜漬け がそれを無限に進ませてしまう。
果物の オレンジで口の中がすっとリセットされ、満足感が静かに満ちていく。

食後は、すすめられて 岩魚の骨酒を。
香ばしく焼いた骨の旨味が熱燗にゆっくり溶け、
体の奥に染み込んでいくような深い一杯。
山の夜は静かで、ただ温かさと余韻だけが残る。

そして、事件(いい意味で)が起きた。

ふと窓の外を見た宿泊客のひとりが声を上げ、
次の瞬間、客もスタッフも一斉に窓際へ。

そこにいたのは テンの親子。
月明かりの雪面を駆け回り、じゃれ合いながら山に溶けていく。
誰もが息を呑んで見守り、会話も音も止まり、
ただ自然の時間がそのまま流れていた。

温泉も料理ももちろん素晴らしかった。
でも最後に心に残ったのは、
食べること・飲むこと・温まること・静けさ・自然
その全部がひとつにつながったあの夜の感覚。

谷地温泉の夕食は、単なる食事ではなく、山の時間そのものを味わう体験だった

2025/11/23 更新

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