2回
2025/11 訪問
「希いろ」開店、心よりおめでとうございます。
むかんでの日々を知る者として、そして一杯のラーメンを通して心を動かされた一人の客として、この瞬間を心から祝福します。あの限られた厨房の中で、何千という湯気を浴び、何百というスープを味見し、納得がいくまで寸胴を覗き込んでいたあなたの背中。その姿を思い出すだけで、この開店の報せには胸が熱くなります。
むかんの味を支えていた日々。スープの香り、麺の張り、丼に落とす一滴の油。そのどれひとつも妥協せず、ひたすら“旨い”を追求していた姿勢は、職人としての信念そのものでした。そして今、「希いろ」という名を掲げ、自らの旗を立てたその決意に、ただただ敬意しかありません。
初めて「希いろ」の一杯を口にした瞬間、衝撃が走りました。
あのむかん仕込みの骨太なスープの輪郭を残しながら、明らかに違う。香りの立ち上がりが柔らかく、口に入れた瞬間の旨味の広がりがまるで音楽のように層を成して押し寄せてくる。動物系と魚介のバランスが奇跡的で、深みがありながら軽やか。飲み干しても重たくない。まさに“最高に美味しい”という言葉が、これほど自然に口をついて出る一杯はそうそうありません。
麺をすする度に、研ぎ澄まされた職人の感覚が伝わってくるようです。
湯切りの音、チャーシューを置く手の動き、ネギを散らす瞬間。すべての所作に無駄がなく、そこに積み上げてきた年月の重みが感じられる。けれど、決して気取ってはいない。ラーメンはあくまで日常の食べ物であり、でも最高に美味しい瞬間を届けることができる――その信念が丼からあふれ出ていました。
「むかん」という名店の魂を受け継ぎながら、「希いろ」として自分の色を加える。その難しさを、きっと誰よりも理解していたはずです。師匠の背中を追いながらも、自分の道を見つけなければならない。その葛藤と努力の末に生まれた一杯は、単なるラーメンではなく、“人の生き方そのもの”を感じさせる味になっていました。
店名「希いろ」に込められた想い――
“自分の色を信じ、希望を込めて歩む”。
その言葉の通り、あなたのラーメンには“まっすぐな希望”が詰まっています。見た目はどこまでも美しく、香りは優しく、味わえば確かな芯の強さを感じる。流行や派手さに流されず、愚直に「本当に美味しいもの」を追求する姿勢。その純粋さが、多くの人の心を掴んで離さないのだと思います。
そして何より嬉しいのは、「希いろ」のラーメンを食べた人が、誰もが笑顔になって店を後にしていること。スープの余韻に包まれながら、自然と「また来たい」と思わせる。そんな店が作れるのは、技術や経験だけではありません。お客さんの一杯一杯に“ありがとう”を込める気持ちがあるからこそです。
むかん仕込みの誠実さ、そして自分の色を信じ抜いた勇気。
そのすべてが、この「希いろ」の味に宿っています。
最高に美味しい一杯を作り続けることは、簡単ではありません。
でもあなたなら、きっとその“美味しさの真ん中”を一生見失わないでしょう。
これから先、どんな季節も、どんな日も、あなたの作るラーメンが誰かの心を温めていく。
その光景を思うだけで、こちらまで幸せな気持ちになります。
今日という日を迎えられたことに、心からの敬意と感謝を。
そして、これからもずっと――あなたの一杯を応援しています。
開店、本当におめでとうございます。
最高の一杯を、最高の笑顔で。
「希いろ」のこれからに、無限の希望を込めて。
2025/11/03 更新
希いろの牡蠣味噌ラーメンは、一口目から衝撃的なおいしさ。牡蠣の濃厚な旨味が味噌のコクと完璧に溶け合い、スープはまさに“飲み干したくなる一杯”。牡蠣特有のクセは一切なく、むしろ上品で奥深い余韻だけが残る。香ばしさと甘みのバランスも秀逸で、麺にしっかり絡み、箸が止まらない。具材との相性も抜群で、完成度の高さに驚かされる。季節限定と言わず、何度でも味わいたくなる名作ラーメンだ。