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こちらはフォアグラに合わせた、同行者の2杯目。
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奥出雲の職人さんによるお箸。
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お見送りの際、シェフとご一緒にお写真も撮っていただけてとても嬉しかったです♡
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下町の商店街の一角にひっそりと佇むフレンチの名店。完全予約制で、1日3組まで、予約方法は月に1度・電話のみと、来店するにはかなり難易度の高いお店です。
シェフを務めるのは長谷川幸太郎さん。
ひらまつ系列の「サンス・エ・サヴール」で料理長を務め、2007年にはボキューズドール本戦の日本代表に選ばれ、6位入賞。
その後、「ラ・フェットひらまつ」料理長となり、2017年には再度ボキューズドール本戦の日本代表に選ばれています。
2年後の2019年に独立され、こちらの「ダウンタウンキュイジーヌ」をオープン。生まれ育った新御徒町で腕を奮っていらっしゃいます。
そんな、言わずと知れた、日本を代表するスターシェフのお料理をいただける日がとうとうやってきました……! 予約してから2ヶ月待ったので、もう前日の夜からドッキドキでした。
場所は、新御徒町駅の傍にある「佐竹商店街」の一角です。この佐竹商店街は日本で2番目に古い商店街だそうで、とってもレトロな雰囲気に溢れています。
JR御徒町駅や日比谷線の仲御徒町駅からも10分ほどで歩いて向かえます。
奥様の暖かいお出迎えを受け、まずはドリンクメニューを確認。コースのペアリングもありますが、私も同行者もそれほどお酒に強くない旨お伝えしたところ、少なめの量で、お料理に合わせて2~3杯出していただけるとのこと。
1杯目はスパークリングで乾杯をして、いよいよ、長谷川シェフの珠玉のコースの始まりです……!!
【足赤エビのソテー、ピゼリ、新玉ねぎのポタージュ】
淡路島の新玉ねぎのポタージュに、サッとソテーした和歌山の足赤エビとピゼリ(イタリアのグリンピース)を合わせたひと皿。
海老の赤にピゼリの緑、それにあしらいのアリッサム(食用花)。華やかな古伊万里の器に負けないくらい、とっても綺麗な盛り付け!
玉ねぎのポタージュは、口に入れた瞬間、じゅわっと甘みが溢れる……! なにこれ、おいっしい……!
ピゼリは一切青臭さがなく、ホックホク。
エビの火入れが魔法のよう。信じられないくらいブリブリで、そしてほんのりとした塩加減がまた、エビの旨味を抜群に引き出してます……!
この器の中に"旨みのもと"をぎゅうっと閉じ込めました、という感じのひと皿。スプーンを進めるたびに味を噛み締めて、ニマニマしてしまいました。
【バゲット、自家製ホイップバター】
升にこんもりと盛られた、ビジュアル満点のホイップバターは、フワッフワで、ミルキーで、少し塩が効いていて、この素敵な升ごと売って欲しいくらい笑、とっても美味しい。
バゲットはクラストはカリカリ、クラムはもっちり、少し酸味を感じるので発酵が長いのかな?と思いました。
聞けば、シェフは仕込みからおひとりで(!)作業されているそうで、朝から準備して、やっとディナーの時間に間に合うくらいなので、パンについては「BRIDOR」という、フランスのメーカーのパンを冷凍で輸入されているんだそう。ひらまつのレストランでも同じパンを出されていたのだと伺いました。
パンもバターも嬉しいことにお代わり自由♡
お皿のソースもバターもパンもそれぞれ美味しすぎて、2回お代わりしました笑
【蛤、帆立、鮑、春キャベツのソテー】
九十九里産の蛤、北海道産の帆立、徳島県産の鮑と、軽くソテーした春キャベツを蛤の出汁で軽く炊きあげ、そこにトマトウォーターを垂らしたひと皿。
ハマグリの出汁、春キャベツの甘み、トマトの爽やかな酸味、とそれぞれの素材の良いところが凝縮されたようなお料理。
1皿目の足赤エビもそうだったんですが、火入れと塩加減が本当に絶妙なんです……! プリっとした帆立、コリコリの鮑、そして噛むとじわぁっと旨味が溢れ出すぷわぷわの蛤……もう、悶絶する美味しさ。
この蛤の出汁がまた、優しいんだけれども力強くて、最後の一滴まで飲み干したくなる味。この優しさと力強さの共存、みたいな味わいは、コース全体を通して何度も感じられました。素材が持つ力強さなんでしょうね。
そしてこの出汁を吸った春キャベツも言わずもがな。どの素材にもしみじみ感動させられます。
【鴨のフォアグラのポワレ】
フォアグラのポワレに、フランス・ロワール産のホワイトアスパラガスのソテーとそら豆を添えたひと皿。ソースは2種類で、甘口のマデラ酒を使ったソースと、人参ベースにビネガーを加えたソースとでいただきます。
こちら、今回いただいた中で私のナンバーワン!
外は香ばしく、中はとろっと、完璧に仕上げられた濃厚なフォアグラで1hit。
ホックホクの甘いそら豆で2hit。
噛むとじゅんわりと水分が爆ぜる、柔らかく瑞々しいホワイトアスパラガスで3hit。
見事にノックアウトされました。もう、もう、あまりにも、あまりにも美味しい……!!!
マデラ酒のソースはフレンチのお肉料理では王道の味わいだと思うんですが、そこに人参ビネガーのソースも加わることで酸味が増して、野菜の甘みもより感じられるし、濃厚なフォアグラとも抜群に合います。これはもうたまらんよ……!
フォアグラのポワレって、シンプルな王道フレンチなだけに誤魔化しが効かないと思うんですけど、だからこそ長谷川シェフの技術の高さや丁寧な仕事ぶりが感じられるひと皿だったと思います。そしてそれを古伊万里のお皿に乗せるのも小憎い演出だなぁと改めて思いました。
【和歌山県産ヒラメ 、京都の実山椒を練りこんだ魚と帆立のムース】
和歌山県産のヒラメを、京都の実山椒を練りこんだ、魚と帆立のムースで包んで焼いたひと皿。付け合せは菜の花、スナップエンドウ、そしてラディッキオというイタリアの野菜。
ヒラメが、どうしてこんなにしっとり、ぷりぷりになるんだろう……!! 感動的な食感に唸ってしまいます。
周りのムースはかまぼこのような見た目なんですが、もっとフワッフワで、旨味が凝縮されていて、ヒラメと一緒に味わうともう、たまりません。
このソースが少し酸味があって、付け合せの菜の花やラディッキオのほろ苦さとも合っていて、めちゃめちゃ美味しかったのですが、なんのソースか思い出せない笑 すみません笑
ワインは【Lions de Suduiraut Blanc Sec】というボルドーの白ワインをいただきました。キリッとした辛口の中にボリューム感と芳醇さがある味わいで、いつも好んで飲む白ワインとは少し違っていたんですが、これがもうヒラメと合うのなんのって……! 野菜のほろ苦さや青さともすごく調和します。
ちなみに、カトラリーにセットされているお箸は、奥出雲の職人さんが手作りされている逸品なんだそう。先が細く、繊細な和食の盛り付けなどにも使われるようなお箸なので、ぜひ使ってみてください、と奥様からご説明があり、せっかくなのでこちらはお箸でもいただいてみました。
器だけでなくカトラリーにも和の要素を取り入れられているのも素敵だし、なによりこのお箸、あまりにも使いやすい笑 全然滑らなくて、大豆とかもひょいひょい摘めてしまいそう……! 贈りものとかに良いかもしれない(余談ですが笑)
【ニュージーランド産仔羊のロースト、マッシュルームを練りこんだ鶏のムース、縮緬キャベツ】
お魚料理と同じく、ムースで包まれていますが、こちらは鶏とマッシュルームのムースをさらに縮緬キャベツで包んだもの。
サーブされてから私の目は仔羊肉の断面に釘付けでした笑 だって、だって、見てよ、この色……!!! この鮮やかなピンク色……!! 美味しさが約束されている色ですよ……!!
付け合せは新じゃがいものローストと、イタリアのカルドンチェッリというキノコ。ソースは仔羊の出汁にマスタードを加えたもの。
お肉、あまりにも、あまりにも、柔らかい……!
しっとりでもちもち。噛むとじんわりと旨味が出てきて、感動の美味しさ。ムースに包まれてるから旨味がしっかり閉じ込められるんでしょうね……!
この周りのムースとキャベツ、それと付け合せも素晴らしいです。キャベツは少し香ばしさも感じられて。新じゃがいもは甘くてほくほく、カルドンチェッリは香りが良くて、マスタードの酸味と合う。
合わせるワインは【Gerard Bertrand Heritage Languedoc 】という南仏の赤ワイン。シラーのわりにそれほどタンニンが強くなく、渋さは控えめで、華やかな味わいだそう。
赤ワインをいただくのも久しぶりでしたが、お肉とお互いを高め合う見事なマリアージュで大満足。
そんなにお酒が飲めない私にも「良かったら少しだけでもいかがですか」と赤ワインを勧めてくださった奥様に本当に感謝です……こういうサービスがとっても嬉しい……!
【熊本県の河内晩柑 タルト仕立て】
最後にデザートです。熊本県の柑橘・河内晩柑の上に、ホワイトチョコレートのムース、軽い食感のメレンゲ、サブレ生地、アプリコットのソルベを重ねたタルト風のデザート。目にも爽やかで、天辺の蝶々も可愛らしい♡
肉厚な河内晩柑のほろ苦さ、そしてホワイトチョコレートとメレンゲの甘さ、サブレ生地の芳醇なバター感、アプリコットの酸味。すごく色々な味が重なりあって、お口の中がなんとも華やか……! 食感も、プチプチとした果肉に滑らかムース、メレンゲのザクザク感、サブレのさっくり感、柔らかくとろけるソルベ、と全然違っていて。食べていてとっても楽しいデザートです。河内晩柑を主役にしているから、とてもさっぱりとしたお口でコースを〆られました。
これまた素敵な古伊万里のティーカップでレモンミントのハーブティーをいただきつつ、余韻に浸ります。
2.5時間くらいのコースでしたが、本当に夢のような時間で、あっという間に終わってしまいました。
タイミングによってはシェフが直接サーブしてご説明してくださるお料理もあったりして、なんというか、素材も、器も、技術も、すべてが上質なんですが(そしてそういうお店は世の中にたくさんあると思うんですが)、このダウンタウンキュイジーヌには、それだけではない、人の手を通した"温かみ"みたいなものが溢れているなぁと思いました。まさしく下町の情緒というか。そしてそれが、このお店が人を惹き付けて止まない理由なんだと思います。
お料理だけでなく、奥様の接客もとても素敵でした。お水やパンのお代わりは欠かさず気付いてくださり、ワインやお料理の説明も分かりやすく丁寧で、きっと奥様もシェフのお料理が大好きなんだろうなぁと伝わってきました。
長谷川シェフ、そして奥様、本当に素敵なお時間をありがとうございました。絶対にまたお伺いしたいと思います。ご馳走様でした!
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余談:予約について
本編には無関係なので余談としますが、予約電話は本当に人生で1番頑張りました。毎月初めの営業日の9時に電話をかけ続け、リダイヤル1000回を超えても繋がらず、やっと繋がったと思えば予約終了のアナウンス。NTTが憎くなってきます(やった人は分かるはず笑)
チャレンジしてから4か月目、この日は200回目でやっと、初めて聞く機械音が流れました。震えました。残りは2枠だったそうで、奇跡的に日程も合わせられて予約が取れました。ここに辿り着くまで4か月、合計3200回かかりました。本当に頑張りました……正直、もう二度とやりたくないって思ってたんですが、また頑張って電話してみようかなと2皿目の時点で思いました笑笑 また頑張ります。