1回
2025/10 訪問
ファームツアー体験を通じてこの土地の恵みを知り、丸ごと味わえるディナーコース
テラスの様子
お昼に収穫した野菜たち
レタス、美味しそうでした。
夜の地中図書館
夜の雰囲気も素敵です。
2025/10/24 更新
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連休を利用して、千葉県木更津市にある「クルックフィールズ」を訪問しました。
東京ドーム約6個分という広大な敷地の中に、農園と、一般客が楽しめるアート作品、図書館、ホテルなどが一体となった複合型施設です。
"循環"をコンセプトとしていて、食材の自給自足はもちろんのこと、排水や発電まで施設内でおこなっており、サステナブルな取り組みに力を入れています。
こちらはそんなクルックフィールズの中にあるレストラン。小高い丘の上で、クルックフィールズの豊かな自然を一望できる素敵なシチュエーションのお店です。
今回は夕朝食付きの宿泊プランを予約しました(共用キッチンで自炊する宿泊プランもあります)。
このプランには農園ファームツアーが付いていて、園内を案内してもらいながら、今日ディナーに使う食材を自分で収穫できる、というなんとも楽しい体験ができます。
ツアーの中で、シェフから頼まれたオクラ、ナス、ピーマン、カブ、レタスなどを収穫して、ワクワクしながら夕食を待ちました。
席はカウンターのみ、一斉スタートのコースです。
ライトには栗が、おしぼりは葉っぱの上に置いてあって、なんだか可愛らしい。
ただ、シックな雰囲気なので、少しお洒落して行くとテンションが上がると思います。
飲み物については、1杯目はスパークリングワインを、2杯目は【枇杷と金木犀のオリエンタルジンジャーエール】をいただきました。「ボタニカルノンアルコールドリンク」と称して、かなり凝ったソフトドリンクの種類が豊富なので、お酒が飲めない人やお子様でも楽しめると思います。
この日のメニューは以下のとおり。
【野菜のお出汁】
仕込みで使った野菜のクズでとった出汁。食材を余すことなく使い、ゴミを減らす取り組みの一環ですね。今日どんな野菜が出てくるのか、想像しながら飲んでください、とのこと。
野菜の甘味を強く感じました。少し青っぽい感じや、土の香りも。ほっと暖まる1杯です。
周りに添えられているローズマリーは、宿泊棟にワサワサと生えているもの。とても良い香りで、この後のお料理への期待も膨らみます。
ちなみに、ファームツアーの時に、敷地内のハーブは自由に摘んでいいと言われたので、ローズマリーやミントなどを少し摘んで、この日のお風呂に浮かべました。こういう体験ができるのもここの魅力です♡
【白い宝石】
「水牛モッツァレッラ／トマト／バジル」
お昼のファームツアーには、水牛のいる牧場の見学も含まれていました。日本では、水牛は数える程しか商業用に飼われていないらしく、国産の水牛モッツァレラチーズは大変貴重なんだとか。
しかも、今朝の4時に搾りたての牛乳をチーズにして、冷蔵せず、水の中に浮かばせたままこのお皿に出しているんだそう。言うまでもなく、日本で1番新鮮な国産水牛モッツァレラチーズかと思います。
チーズの下は、色が出ないようにトマトの水分をゆっくりと抽出したものに、バジルのオイルを加えたスープ。
モッツァレラチーズといえばカプレーゼのイメージなので、こんなビジュアルで、丸ごとひとつを独り占めできるだなんて、ドキドキです。しかも一口目はお箸で、小籠包みたいに齧ってみてください、と。
さっそく齧ってみると、想像の5倍くらいの勢いで笑、ジュワっ！！と水分が出てきました。
とてもミルキーだけど、さっぱりしてる。なにより、乳臭さみたいなものがまったく感じられなくて。食感はもちもち。噛み締める度にチーズの旨みと水分が感じられて、幸せ♡♡
二口目からはスプーンで、下のスープと一緒にいただきましたが、クリアな味わいのトマトと、バジルの香りが加わると、よりいっそう美味しいです。
普通のカプレーゼみたいに固形のトマトにするとトマトもメインになる(それはそれで美味しい)けど、味も食感も邪魔されないように、とことんチーズを主役として作っているひと皿だなと思いました。
【山のクレープ】
「鹿／矢那栗／鬼胡桃」
クレープの上に、肉味噌仕立てにした鹿、その上に矢那の栗、さらに山をイメージして葉物野菜を盛ったお料理。栗や葉っぱを食べてから、最後に肉味噌をクレープでぐるっと巻いていただきます。
びっくりしたのは、栗がめちゃくちゃ大きいんです……！！ 半分に割ってあるのにごろっとしたサイズで。ほくほくで、自然な甘みで、とても美味しい。
肉味噌はあまじょっぱい味付けで、胡桃の香ばしさと油脂感がとにかく合う。
最後はほんのり甘くてモチモチのクレープで、肉味噌と胡桃と鹿とをまるっと包んで、一気に頬張ると、もう、これは幸せの味……♡♡
【集い】
「有機野菜／農場出汁」
揚げたり焼いたり低温調理したり、薪で火入れしたり、色々な方法で調理された、採れたてのお野菜たち。味付けは基本的にしておらず、下に敷いてある刻んだ大葉の塩漬けと、スタートのお出汁に猪の生ハムを加えたスープを塩味として使ってください、とのこと。
いよいよ、ファームツアーで収穫した、カブやピーマンがお目見え。自分で採ったものだとなんだか愛着が湧きます笑
ピーマンは赤黄色緑と3色取ったのですが、全部違う調理になっていて、私は揚げたやつが特に美味しかったです♡ カブも甘くてホッコリで美味しい〜
銀杏形になっているのはじゃがいもで、初め、じゃがいもって分からなかったです。すごくもちもちしていて。これが一番美味しかったかも。
そのままでももちろん美味しいし、大葉と一緒に食べても、優しい塩気なのでお野菜の味が引き立ちます。
【柔】
「鰆／ベニバナ」
ほこほこに蒸籠で蒸された鰆。ソースは魚醤をベースに使ったもので、少し黄色味があるのはベニバナの色素。甘味をつけるためにバナナも。
赤いオイルっぽいものは、なんとザリガニを使ったアメリケーヌソースで、付け合せはじゃがいもです。
これ、個人的に1番好きでした……！！
もうね、鰆が、とろっっっっとろなんですよ……！
「ヤワラ」と「サワラ」で、駄洒落なんだそうですが笑、名前のとおりめちゃくちゃ柔らかい……！！
ソースはクリーミーでほんのりと甘く、そしてザリガニのアメリケーヌソースも併せると旨味が増して……鰆と、このソースと、ほこほこのじゃがいもを一緒にいただくと、もう……もう……美味しすぎる……！！
パンと一緒にソースまでしっかり完食しました。たまらないひと皿だったな……
【矛盾の中で】
猪／有機野菜
ここでグラスだけ持ってテラスへ移動。
虫がリーリー鳴く声と、焚き火がパチパチ弾ける音と、小さくなった丘の下の明かりとがとてもロマンチックな雰囲気です。
BGMに、bank bandの「to U」が流れていて(何を隠そう、クルックフィールズのプロデューサーは小林武史さんです！)なんだか泣きそうになりました。
メイン料理は捌きたての猪。付け合せに、
食感が残るように火入れされたレタスとナス、そしてローズマリーを練りこんだマスタードが味変で用意されています。
レタスとナスは自分で収穫してきたもので、少しほろ苦さもあってとても美味しい。
猪はまったく臭みがなく、柔らかくて、美味しい。さっきまで生きていた生き物の命をいただくありがたみを感じながら、ゆっくり味わいました。
【オクラのサラダ】
店内に戻って、パスタの前の箸休めとしていただきました。軽くフレンチドレッシングと和えただけですが、これがもう、本当に美味しくて……！
オクラは、ファームツアーで収穫したもので、その時に「このまま生で食べられますよ」と、試食で生齧りさせてもらってたんですが、それがびっくりするくらい美味しかったんです。
オクラって、塩でゴシゴシ擦って茹でてから食べるものってイメージだったんですが……パリッとシャクっとした食感で、何もつけなくても、そのままで、オクラ自体の味が濃くて、感動的でした。
私が元々オクラ好きなのもあるかもしれないですが、新鮮なオクラってこんなに違うんだ〜と思ったし、この箸休めもとても美味しかったです。(もっとモリモリ食べたいくらいでした笑)
【手打ちパスタ】
全粒粉／黒鯛／山椒／海苔
猪や、野菜や、魚から作ったコンソメをベースにした出汁に、製麺したての全粒粉の平打ちパスタ。生ハム仕立てにした黒鯛がトッピングされています。紅葉形の海苔は木更津産とのこと。
パスタマシンを使って麺ができていく様子が間近で見られて、ワクワクしました。
お箸でどうぞと勧められたのでうどんのようにツルツルといただいたのですが、このコンソメ出汁が、クリアな味わいで、とても美味しくて……塩気はそこまで強いわけではなく、鯛の生ハムで塩気を補う感じです。
麺はシコシコの食感で、とっても美味しい……！
ランチではこのパスタがメインのようで、ランチ利用の方のクチコミ評価が高いのも納得だなぁと思いました。
【夏日】
茄子 ／チョコレート/ヤマドリタケモドキ
【ブラウンスイスのキャラメルジェラート】
ミルク ／キャラメル
デザートは2種類。お野菜を使ったデザートを出すのが定番のようで、夏の終わりのこの時期にはなんとナスのデザート。
チョコレートの生地、ヤマドリタケモドキというキノコのホイップクリーム、焼いたナス、大きな葉っぱのクッキーが重なっていて、大きなスプーンで割りながら、混ぜながらいただきました。
これはなんだか不思議な感じのデザートで……美味しかったです。焼きナスのほろ苦さと、ホイップの甘さと、チョコレートのビターな甘さと、クッキーのザクザクとが合わさって、あまじょっぱい味わいになるんです。ただ、普通にナスの味はしっかり感じるから不思議！笑
そして農園で飼っているブラウンスイスのミルクで作ったキャラメルジェラート。こちらも定番でずっと出されているようで、濃厚だけどスッキリした甘さがとっても美味しかったです。
【お茶菓子】
フィナンシェ
【豆と葉】
コーヒー・ハーブティー
1口サイズの小さな可愛いフィナンシェと、コーヒーは、キャラメルジェラート専用に焙煎されたコーヒーなんだそうで、ハーブティーも選べたんですがコーヒーにしました。
コーヒーが入った硝子のカップがこれまた素敵で……！
とてもホッとする1杯でした。
以上でコースは終了。最初から最後まで、この土地の恵みを丸ごと味わえるようなコースだと思いました。
特に気に入ったのは鰆とモッツァレラチーズかなぁ。お野菜も全部美味しかったです。
お野菜が美味しいレストランはたくさんありますが、自分で収穫し、素材や土壌を実際に見て回るのは、ここでしかできない体験だなと思います。
食後はお部屋で少し休んでから、地中図書館へ向かいました。宿泊者のみ、17:00~5:00まで利用できるので、ゆっくり静かなひとときを過ごせます。
クルックフィールズは日帰りもできる施設ですが、ファームツアーの体験や、特別な夜を過ごしてこそだと思うので、私的には宿泊するのが大変オススメです。
当然、お野菜の旬ごとにメニューは変わるそうなので、また違う季節にお邪魔したいなぁと思いました。ご馳走様でした！