3回
2021/03 訪問
『平和寿司』さん
こちらには随分と前から通っています。
四代目の杉本親方は、津市の今はなき有名店『東京大寿司』さんで修行を積まれたのち、老舗であるご実家を継がれました。こうした高級路線に転じられたのは当代からで、今なお街場時代を彷彿とさせるアットホームな雰囲気が感じられて素敵です。
創業は大正八年。まもなくその百年以上掲げた暖簾を畳み、『江戸町すぎもと』さんとして新たなスタートを遂げられます。いやはやなかなか出来ることではないでしょう。親方の決断力に敬服いたします。因みに新店舗のオープンは当初六月予定でしたが、コロナ禍も重なり、年内に移転できるかどうかも判らない状況だとか。
閑話休題、早速例によって頂いたものとその感想をご紹介します。
先ずは『平和寿司』さんのシグニチャーな逸品、〝地蛤の酒蒸し〟。身の大きさこそ、まだこれからかなといった感じですが、流石は桑名の地蛤、噛むほどに迸る旨味が何とも官能的。そしてお出汁は滋味深い地蛤のエキスにやられます。いやはや堪りませんね。
□作 奏の智 純米吟醸
爽やかな甘味と香り。飲みやすいお酒です。
◇白魚のお造り
桑名産。白胡麻と山葵で。白魚らしい仄かな苦味と旨みに春を感じます。木曽三川の白魚は霞ヶ浦や宍道湖のものに比べ、やや小振りではあるものの、塩味がいい塩梅で好きですね。
◇松葉蟹の餡掛け茶碗蒸し
焼いた甲羅から取ったお出汁で。芽ネギと花穂紫蘇が爽やかです。解した蟹の身もたっぷりと。あったまります。お出汁がまた豊潤で素晴らしい。
◇横輪とばふん雲丹のお造り
富山産の横輪鮪(本鮪の若魚)を藁焼きにし、羅臼産のばふん雲丹と共に。横輪らしい主張しすぎない香りと脂の旨味に、藁の香りが見事にマリアージュ。雲丹も磯の香りと甘味が堪りません。勿論、ミョウバン臭など微塵もありません。
□雁木 純米無濾過生原酒 うすにごり
#酒乃店もりした さんの特別誂です。うすにごりとの由ですが、驚くほどの透明感。雑味がなく非常に飲みやすいお酒です。
◇白魚の白煮
先程の白魚をさっと炊いたもの。桑名の名物と言えば白魚の紅梅煮が有名ですが、こちらは火の通りが軽め。繊細な白魚の味わいも活きています。煮汁は味醂と醤油でしょうか、明治以前の江戸前のクラシカルな仕事を彷彿とさせます。
東京湾では、高度経済成長期に白魚漁の漁り火が消えて、今や半世紀以上。相次ぐ埋め立て開発や、工場廃水による水質汚濁により、江戸前の白魚は悉く殲ぼされてしまいました。長良川河口堰の問題然り、我々は便利さと引き換えに、とても大切なものを失ってきたように感じます。自らを自然の支配者であるかの如く錯覚し、猖獗を極めてきた人類の倨傲が大誤謬であることは、古代から見舞われたる数多の災禍により、十二分にわかっている筈なのに。故人曰く「過ちて改めざる、これを過ちという」と。大罪は偏に巨大資本にのみあらずして、全人類がこのカルマを背負っているのだと自覚し、天地自然を畏怖し、常に尊び、感謝の誠を捧げなければなりません。ゆえに僕は食事の前後には必ず一拍して「いただきます」「ご馳走さま」と一拝するようにしています。たとい外食であっても当然のことではないでしょうか。勿論、これはドグマ的な義務ではなく、自ずとなされるべきことであり、嘗ての人類はみな如何なる宗教であろうと自然に行ってきて…
…いやはや、いつものことながら蛇足が過ぎますね。汗
因みに僕は変な新興宗教とか入ってないのでご安心ください。哄笑
◇白魚と獅子唐の唐揚げ
杉本親方曰く「白魚の三段活用」と。素晴らしいですね、季節を感じることこそ日本料理の醍醐味です。時節柄、花見もなかなか難しいので尚更。ほんの一刹那の悦しみですね。
サクサクとした衣に白魚の滋味深さ。塩と檸檬でいただくことで爽やかさを演出しつつ、白魚そのものの味わいに絶妙なアクセントを与えています。
◇河豚の白子と自家製カラスミ
三河産の名残の白子。ふっくらとしてクリーミーな白子に塩味が絶妙なカラスミをかけて。
□河豚の鰭酒
相客さんに便乗して注文。河豚の旨味が存分に味わえるよう、かなり温度が高めの燗酒で。いやはやあったまります。
さて、ここから握りに移っていく訳になりますが、この日はやま幸さんの本鮪が入荷しているということで、お願い致しました。
この日は下田産、延縄の202.4kgという大物です。
砂ずり(蛇腹)、血合いぎし、天身という、何とも粋な計らいです。これを全部一緒に巻いてもらう…というような野暮な真似は勿論致しません。
◆本鮪 中とろ (やま幸/下田/延縄/202.4k) 血合いぎし
豊潤な甘みのなかに鉄の酸味が漂う。柔らかな身質。
◆〆鯖(鳥羽) 2枚付
しっかりとした脂の乗りながら、酸味と香りのバランスが良く、実に官能的。
◆皮剥(大分) 肝乗せ
肝のクリーミーさと弾力のある身質がたまらない。
◆牡丹海老(北海道増毛)
多幸感を覚える甘みとねっとりとした食感。
◇九絵(長崎/6k/2日目)の蕪蒸し 九絵の胃袋 柚子皮 九絵の骨出汁
地味溢れる出汁。胃袋のコリっとした食感と柔らかな身質。
◇出汁巻玉子
お馴染みのアツアツな出汁巻。ほっこりしますね。
◆本鮪大とろ(やま幸/下田/延縄/202.4k) 砂ずり
嫌味がなくしつこさのない上質な脂。
◆小鰭(佐賀)
大好きな種の一つでもある小鰭。相変わらず絶妙な〆具合で、咀嚼するたびに凝縮された旨味が弾ける。
◆鳥貝(大阪湾)
鳥貝はやはり宮津か三河が好き、と言いつつ十分美味しい。
じんわりとした甘みと香り、しなやかな食感。
◆細魚(三河湾/閂)
閂サイズのサヨリ!何とも嬉しい。
上品な香りと旨味。独特の食感がたまらない。
◆金目鯛(銚子/釣り) 炙り
皮目の香ばしさと溢れる脂。
◆煮蛤(桑名) 低温調理
大好きな煮蛤。レアな火入れの煮蛤であり、モダンな仕事が施されています。
お鮨に関しては、基本的に江戸前のクラシカルな仕事が好みですが、煮蛤に関してはこちらの方が好みかも知れません。
◆本鮪赤身(やま幸/下田/延縄/202.4k) 漬け 天身
酸味と香り、そして漬けにより付加された旨味。絶妙です。
◆とろたく巻き 大葉
大葉が良いアクセントに。海苔も香りと食感がよく、良質であることが窺えます。
◇味噌汁 牡丹海老の頭 玉葱 葱
この味噌汁が本当に大好きで、毎日飲みたいくらいです。
全く臭みがなく、溢れる牡丹海老の出汁が官能的。玉葱の甘みと食感もよいアクセント。
◆干瓢巻き
甘みが立ちしっかりとした食感の干瓢。山葵の香りと辛さが相俟って最高の締め。
◇バニラアイス
◇抹茶
お弟子さんが点ててくださる抹茶。これにバニラアイスを合わせると美味しいそうですが、そのままいただいてしまいました(笑)
さてさて、今回も大満足の平和寿司さんでした。
ご馳走さまでした。
2021/08/15 更新
2020/12 訪問
桑名の『平和寿司』さん
久しぶりに桑名市矢田800の『平和寿司』さんに伺いました。
益生駅から徒歩5分程の住宅街にあります。
こちらには5年ほど前から何度も通っています。
昨年、ミシュラン一つ星を獲得されてから、予約が取りづらくなったと仄聞していましたが、昨今のコロナ禍の影響もあってか、1週間ほど前にお電話して訪問が敵いました。この日も10名の団体客からキャンセルがあったとの由で、ソーシャルディスタンスを保ちながら楽しむことが出来ました。
先ずは〝ROCOCO Tokyo WHITE〟。
こちらは日本初のラグジュアリービール。一時期は超が付くレベルのファインダイニングでしか提供されていなかった高級ビールです。「寿司にビールなど邪道」という頑迷固陋なことを仰る方が偶にみえますが、ロココはヴァイツェン酵母で発酵させた上面発酵のビール。一般的なピルスナーは下面発酵で、硫黄化合物が含まれているため、魚を生臭く感じてしまいがちですが、小麦が多く含まれる上面発酵だと、この芳醇でフルーティーな香りが魚の繊細な味わいによく合うのです。
能書きはさておき、ツマミはお馴染みの〝桑名産はまぐりの酒蒸し〟から。一般的に、桑名の蛤は初夏〜晩夏(九十九里の汀線蛤は晩冬〜春先)が旬で、身が最も肥える時季だと言われていますが、酒蒸しならば冬もオススメ。何となれば、この時季は確かに夏と比べると身が痩せがちなものの、その分栄養が凝縮されており、旨味が最高である故。煮蛤の握りはツメを塗り、その豊満な身を愉しむのが個人的にはオツなのですが、如何せんこの時季はそれが存分には味わえない。今回『平和寿司』さんが握りで出されなかったのは、そういう理由もあるのではないかと勝手に愚考しています。滋味豊かな蛤の出汁を堪能することができました。
お次は〝長崎産戻り鰹の藁焼き 北海道産ばふん雲丹 大葉のソース〟。鰹の旬は年に2度あり、2〜3月頃に北上する「初鰹」はさっぱりした味わい、8〜11月頃に南下する「戻り鰹」はもっちりして脂の乗りが良い。序でに、北上する際に対馬海流に入り、日本海側で回遊するものは「迷い鰹」と呼ばれ、「戻り鰹」以上に脂が乗っているとの事。個人的には「戻り鰹」が丁度良い脂加減です。藁の香りが鼻腔を広がり、官能的な味わいでした。ばふん雲丹は野暮なのでどちらの水産業社さんの物か訊くのは差し控えましたが、美味しかったです。
続いては〝青森産鱈の白子と鱶鰭(フカヒレ)の茶碗蒸し〟。私はぷっくりした河豚の白子よりも、このくどすぎない雲子が好きです。茶碗蒸しなら尚更。芽葱と紫蘇の花穂がいい仕事しています。出汁が最高。
〝三河産虎河豚の鉄刺と鉄皮と鮟肝〟。玉葱のポン酢ジュレと合わせて食べると絶品。至高。これは鳥肌ものです。私はもともと鉄刺を万能葱に巻いて食べるのが本当に好きなのですが、これにあん肝と鉄皮、玉葱ポン酢が加わると、もはや筆舌に尽くし難い美味しさ。本日のツマミの出色です。神懸ってる。二の句が継げない。蘊蓄言ってる場合じゃない。
〝黒龍 しずく〟。限定品。日本酒に疎い私でもわかる、本当に美味しいお酒でした。フルーティーな香り。丸く柔らかな口当たり。上品で繊細な味わいの中に、深い旨みとほのかな辛さ。久しぶりに佳いお酒をいただきました。
〝鰆の西京焼きといくら〟。この辺、喋りすぎて記憶が曖昧です。カウンターに相客さんがおらず、親方を独占できていたので、ついつい他愛もない話に花を咲かせてしまいました。反省。
〝三河産虎河豚の白子の自家製カラスミと松葉蟹の餡掛け〟。河豚の白子は余り得意ではないのですが、唐墨の塩みと松葉蟹の風味が合わさり、くどさもなく、大変美味しくいただけました。
〝松葉蟹と蟹味噌〟。これは蟹味噌の深い香りと味わいを鮮烈に覚えています。
ここから握りに移ります。
先ずは〝中とろ(大間)〟から。
これはまさに官能的。驚くほど濃厚。ついこないだまで、名古屋でよく「戸井の鮪」を見かけましたが、これからの寒い時季は「大間の鮪」に限ります。
〝〆鯖(淡路島?)〟。二枚付け。旨味が最高。〆具合も酢の加減もど真ん中。身のぼそぼそした感じなど皆無。もう一貫握って貰おうかと思ったほど嵌まりました。
〝真鯛の昆布締め(鳥羽?)〟。春には桜鯛、秋には紅葉鯛と呼ばれる真鯛。こちらも最高の旨味。昆布締めの塩梅がとても良い。
〝さよりの昆布締め(産地は失念)〟。二枚付け。大型になると閂(かんぬき)とも呼ばれる。別名、腹黒美人。先ずこの見た目からして美しい。他に喩え難い絶妙な食感。繊細な味わい。
〝黒むつの炙り(富山?)〟。脂の甘みと炙りの香ばしさが絶妙。喉黒も好きですが黒むつも佳いですね。
〝鰺(三河?)〟。肉厚な鰺。爽やかな香り。飾り包丁が美しく、もっちりぷりぷりとした食感。葱をペースト状にして供したものですが、いい仕事をしています。青魚は旨味が強くて本当に好きです。
〝大とろ(大間)〟。これはいわゆる蛇腹か。至福の味わい。濃厚で奥深い甘み。最高の時季に堪能できました。個人的には鮪は赤身が至高なのですが、それはそれ、これはこれ。
〝小鰭(三河)〟。はい、来ました。大好物です。江戸前の定番。粋で凛々しい佇まい。艶やかな身色。見事な飾り包丁。噛むほどに溢れる旨み。まさに喉が鳴る小鰭です。美味い。
〝牡丹海老(北海道)〟。官能的な甘みとねっとり感が堪らない。火を通したものは車海老が至高ですが、生なら牡丹海老しか勝たん。ぷりぷり感なら甘海老ですが、私は牡丹海老も好きです。
〝牡丹海老の頭の味噌汁〟。これも堪らない。海老味噌と頭の出汁が最高です。玉葱を刻んだものが入っていましたが、シャキシャキと小気味の良い歯触りと風味が合っていて素晴らしい。
〝赤身の漬け(大間)〟。来ました真打ち。爽やかな酸味と溢れる旨み。美味いです。他に語る必要なし。
〝玉子〟。いわゆる玉(ぎょく)。平和寿司さんの玉子焼きは出汁巻きです。芝海老のおぼろや鱈の擂り身を用いたものも好きですが、私はこの素朴な玉子焼きもまたオツかと。
これは個人的な寿司観の話になるのですが、銀座や北新地の超高級店に見られるようなピリッとした雰囲気、私は正直あまり好きではありません。本来、江戸前のお寿司屋さんは立ち喰いのファーストフード。当然、美味しいお寿司屋さんは腕があり、素材も高級で、お支払いもそれなりになりますが、私はお寿司屋さんを「素封家のサロン」にはしてほしくないのです。私のような無産労働者でも、美味しいもののためならお金を貯めてでめ来たいと思うお客は存在します。最低限、お客としての品位と矜恃は持つべきですが、それは必ずしも貧富の差に比例しない。平和寿司さんは当然最高の腕と技術をお持ちですが、アットホームな雰囲気が好きです。肩肘張らず門戸を広げられている姿勢には感服させられますし、だからこそ、より通いたいと思うのです。
最近、莫大な資本と独立の甘い汁を背景に、この業界を引っ掻き回している方々がいると、あちらこちらから仄聞します。正直、気分の良いものではありませんね。
閑話休題、少し余計な話でしたね。失礼をいたしました。
〝フルーツトマト(静岡)〟。これはまずまずでした。以前何度かいただいた、加藤農園さんの「きわめ」が基準になってしまうので、どうしても。もちろん悪くはございません。
以下、追加で頼んだ種になります。
〝とろたく巻き〟。これは私が悪いですね。他人に影響されて頼むのは宜しくない。素直に赤身で巻いてもらうべきでした。いや、普通に相当美味しいものなのですが。元々とろよりも赤身が好きなのは、自分自身が分かっていたことです。反省。
〝干瓢巻き〟。お寿司屋さんでは必ずと言っていいほど頼みます。煮干瓢の甘みと山葵の辛さが最高なのです。
さて、今回の『平和寿司』さんは、かなり〝やっとかめ〟の訪問となりましたが、以前よりも更にクオリティが上がっているように感じました。先日は要らぬ話ばかりしてしまい、親方には申し訳なく思います。
ご馳走さまでした。
百拝
ROCOCO Tokyo WHITE
桑名産はまぐりの酒蒸し
長崎産戻り鰹の藁焼き 北海道産ばふん雲丹 大葉のソース
青森産鱈の白子と鱶鰭(フカヒレ)の茶碗蒸し
三河産の虎河豚の鉄刺と鉄皮と鮟肝ポン酢ジュレ
黒龍しずく
鰆の西京焼きといくら
河豚の白子の自家製カラスミと松葉蟹の餡掛け
松葉蟹と蟹味噌
中とろ(大間)
〆鯖
真鯛の昆布締め
さよりの昆布締め
黒むつの炙り
鰺
大トロ蛇腹(大間)
小鰭(三河湾)
牡丹海老(北海道)
味噌汁
赤身漬け(大間)
とろたく
玉子焼き
干瓢巻き
フルーツトマト(静岡)
2021/01/12 更新
昨年末の訪問からしか投稿していませんが、こちらに初めて伺ったのは、今から約6年ほど前。平成27(2015)年の5月頃だったと思われます。
以来、スパンが空いた時期こそあったものの、幾度となく伺ってきましたが、実はお昼に伺うのはこの日が初めてです。
今回は、敬愛申し上げる鮨通の某先生に随伴して訪問しました。因みにその先生は、鮨店では一切写真を撮らないことをポリシーとされており、スマートフォンの無音カメラと雖も欠かさず撮影をしてしまう僕としては、恐縮の極みにして汗顔の至り。端無くも先生には快諾していただいたので、今回も無粋を承知で、漬け場にレンズを向けた次第です。
さて、鮨通であると同時に、日本酒に関しても、瞠目するレベルの知識量をお持ちの先生と伺ったのですから、やはりお昼と申せど一献傾けたくなるのは必定でしょう。況してや個人的に大好きな平和寿司さんですから、飲まないという選択肢はございません。
女将さんにペアリングをお願いし、先ずは『凌駕』の10辛で乾杯。滑らかな口当たりにキレのある味わいと余韻。
こちらに合わせるのは、お約束の『桑名産蛤の酒蒸し』です。ランチコースにも必ずついてくるのは嬉しいですね。プリッとした歯触りで、咀嚼するたびにジューシーな蛤の旨味エキスが汪溢し、仰けからやられてしまいます。
ランチ訪問なので、ここからは握り。
◆本鮪 中とろ
産地を伺い損ねましたが、鮪らしい酸味と香りを感じつつ、程よい脂の乗りでした。
◆星鰈 三河湾
高級魚。底魚らしい香りとみっちりコリコリとした撓やかな食感。厚みも良い塩梅で、噛み締めるたびに上品な旨味と甘味を感じます。
◆初鰹 尾鷲/藁焼き/塩/叩き浅葱
鮮烈な香り。酸味が味わい深く、薬味の使い方も素晴らしい。
俳人・山口素堂が〝目には青葉 山ほととぎす 初鰹〟と詠んだように、春から初夏にかけて江戸の人々に親しまれた初鰹。
鮨種として鰹は当時、下魚だったようですが、やはり初物を好むのが江戸っ子の粋と見栄ですね。
◆真鯛 鳥羽/木の芽
こちらで木の芽を噛ました握りをいただくのは初かな。季節感ある香りに仄かな旨味が相俟って、爽やかな印象。
□美田 山廃にごり
芳醇な香り。まろやかなコクがあり、甘くて飲みやすいお酒でした。
◇茶碗蒸し
蛍烏賊と自家製唐墨の茶碗蒸し。蛍烏賊の肝が濃厚且つ風味豊かで、唐墨の塩味も丁度良い。佳い酒肴になりますね(笑)。
◆本鮪 大とろ
酸味は殆どないですが、拗さもなくイヤミのない脂。
□楽器正宗 中取り本醸造 無濾過無加水 REIWA02新酒 薄にごり特別仕様
旨味と甘味、酸味のバランスがよく、穏やかな香り。
◆鯵 淡路島/浅葱
沼島の釣りものでしょうか?上品な脂の乗り具合で、鯵らしい香りと旨味が際立つさっぱりとした味わい。浅葱の香りも悪目立ちせずマッチしています。
◆牡丹海老 北海道
いわゆる富山海老でしょうか?ねっとりとしていながら身厚でぷりぷりとした歯触り。咀嚼するほどに膨らむ甘味です。
◆小鰭 佐賀
絶妙な〆具合。塩味穏やかで酸味も強すぎず、旨味は鮮烈で香りもバッチリ。
◆金目鯛 千葉/炙り
皮目の香ばしさを活かしつつ、金目鯛の柔らかな身質を残し、脂の広がりも感じます。
◆本鮪 赤身/漬け
酸味が際立ち、旨味と香りが後を追う。さっぱりとした余韻。
□十四代 酒未来 純米吟醸
甘味と余韻が秀逸で美味しいお酒です。
◇味噌汁 牡丹海老の頭/小葱/玉葱
いつものやつ。牡丹海老の滋味深い出汁と玉葱のピリッとした辛さと甘みが好き。
◇出汁巻玉子
お弟子さんの焼いてくれた出汁巻。アツアツで甘味のある、お袋の味です。
(追加)
◆細魚 三河湾/昆布〆
昆布は細魚の味わいを損なわない適度な塩梅です。
◆喉黒 長崎・紅瞳/炙り
間違いない紅瞳。くどすぎない脂がgood!
◇作 雅乃智
定番。奥行きのある深い甘味と香り。
◆煮蛤 桑名/漬け込み
溢れ出る旨味と甘味。モダンな火入れで弾力のあるプリッとした食感もまた溜まりません。
◆鰯 大阪湾/叩き浅葱
鮮烈に広がる香りと脂が最高。浅葱を用いた薬味との相性も素晴らしく、官能的な味わいです。
◆ばふん雲丹 北海道/手巻き
パリッとした香りの良い海苔。坂井海苔店さんのものだったはず。雲丹は濃厚且つ磯の風味が秀逸です。
◆墨烏賊 三河湾/塩と酢橘
墨烏賊らしさを残しつつ、柔らかな食感が絶妙。塩と酢橘で甘味が引きたっています。
◆干瓢巻き
甘めでしっかりとした食感の干瓢。海苔の風味もよい。
□抹茶
お弟子さんの点ててくれた抹茶です。
さて、今回はランチにも関わらず、やはり大満足でした。
また、お会計では先生にかなりご馳走になってしまい、本当に有難いやら申し訳ないやらで。
大好きなお店、通っているお店に、経験値が高く、確かな味覚をお持ちの方と同席すると、勉強になりますし楽しいですね。
先生、有難う御座いました。
また伺います。ご馳走さまでした。