大岩優輝さんが投稿した鮨旬美西川(愛知/名古屋)の口コミ詳細

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似非通人食日記

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掲載保留鮨旬美西川名古屋、国際センター、名鉄名古屋/寿司

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  • 昼の点数:4.8

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2021/09 訪問

  • 昼の点数:4.8

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

ミシュラン二つ星★★名駅二丁目の『鮨旬美 西川』さん

記念すべき(?)100件目の投稿。
願ったり叶ったりと申しますか、この日は或るSNSで知り合った先生のお招きを賜り、名古屋でも屈指の予約困難店と言われる、『鮨旬美 西川』さんに伺いました。
その先生は、全国各地の名店を食べ歩いていらっしゃる食通であると同時に、お人柄や所作を拝しても、無粋の限りを尽くす自称グルマンや、下品な注文やマウンティングばかりする一部成金たちとは一線を画する、分別と謹慎、流儀と矜持のある、素晴らしいお方です。
いわゆる予約困難店に関しては、もはやアミューズメントパークとなりつつあり、パシャパシャと鳴り響くシャッター音、供された握りを放置して雑談に明け暮れる相客、過剰なパフォーマンスを行う料理人など、様々なマイナス点をあちらこちらから仄聞します。
こうした風潮は、とりわけカウンターの粋を重んずる鮨店にとっては、甚だ悪しき傾向であり、職人もお客も大いに自重するべきであろうと拝察します。更に、評論家気取りであれこれと能書きを垂れる我々自身もまた、決して倨傲に陥らず、改めて自らの立ち振る舞いを振り返り、反省と更なる精進と繰り返さねばなりません。

閑話休題、『鮨旬美 西川』さんは、西川真司親方と女将さん、お弟子さん、給仕さんで切り盛りされています。親方ご夫婦のお人柄の良さは有名ですが、このたび実際に足を運び、ご両方の醸し出す和やかな雰囲気が、その場に現れているなと、身をもって感じ入った次第です。誠心誠意、我々に真心を尽くさんとされている親方ご夫婦に相対せば、やはり野暮で無粋な言動をするお客は稀でしょう。泥酔して奇声を上げる猿は見受けられませんでしたし、姦しく啼く椋鳥の群れもおりませんでした。カウンターの奥でこちらを見つめるバカラの招き猫には、複雑な思いを抱きましたが、そんなことは忘れるほど、終始楽しく過ごすことが出来ました。

12時の一斉スタートに合わせて訪問。お昼は¥11,000のコースで、一品料理とお鮨がいただけます。コスパという言葉はあまり使いたくありませんが、このレベルのお店で、尚且つ食材や立地、親方の技術を考慮すると、かなりリーズナブルな価格設定であると思います。
西川親方は栄四丁目で『福鮨』さんで修業されたとの由。その後独立され、北区清水に店を構えていらっしゃいましたが、3年程前にこちらに移転され、オープン1年目にしてミシュラン二つ星を獲得、現在に至ります。西川さんでは、車海老の大車サイズが通年味わえ、異なる火入れで食べ比べさせることでも知られています。いわゆる予約困難店で、来年の予約はもう取っていないとのこと。従いまして、直接お電話をしてキャンセル状況を確認し、空いていればそこに…という形になります。通じなくとも後から折り返し女将さんが電話して下さるとのことからも、こちらの誠実さが窺えますね。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここから今回いただいたものを記載してまいります。
なお、酢飯には赤酢、黒酢、米酢をブレンドしているとの由。やや硬めに炊かれており、温度帯は高め。種によって調整しているようです。香りがよく、酸はやや強めか。親方は独特な握り方をされますが、タネと酢飯とのバランスは東海圏内でもトップクラスではないかと推察します。

では先ずは日本酒から。
■田酒 特別純米
スッキリとしてキレがあり、飲みやすい。

◇茶碗蒸し
具材はかつお梅のみのシンプルな茶碗蒸し。
ほっこりしますね。

◇真鯛の刺身 昆布醤油
しっかりとした弾力と上品な香り。昆布醤油は旨味たっぷり。最高級の真妻山葵は香り高く、辛さはほんのり。

◇鰯の西京漬け(大阪湾)と新いくら
焼き目の香りと西京味噌の塩味と甘味に、程よく脂が乗った身質、新いくらの滑らかな食感とマイルドな塩味が堪らない。酢飯との相性も良い。

◇鱧と菊花の煮麺 自家製の赤柚子胡椒添え
上品な旨味の出汁。鱧には梅肉ではなく、ほんのり香る赤柚子胡椒を合わせているのが好印象。梅肉は強すぎて鱧の繊細さを損なうように思う。
柔らかな食感の鱧と、重陽の節句を彷彿とさせる、小気味の良い歯切れの菊花。

◇自家製の酢生姜
甘味があり辛さは控えめの生姜。中毒性のある食感で、無限に食べられる。無くなるとすぐに新しいものを出して下さるので、ついつい食べ過ぎてしまう。

◆車海老 酢橘と塩
三河一色産。南部鉄器と思しき茶釜で、かなりレア目に茹で上げ、氷水で〆たもの。
素晴らしい弾力で上品な甘味があり、酢橘と塩でアクセントにフレッシュな味わいを強調。

◆車海老 煮切り
同じく三河一色産。こちらは蒸らしたもので、レア寄りのミディアムレア。
みっちりとした食感で、咀嚼するほどに甘味と香りが広がる。美味い。

◆甘鯛 昆布〆 柚子山葵
好物であるぐじの昆布〆。酢飯ちゃん温度高め。冴え渡る旨味。昆布〆の塩梅は強すぎることなく絶妙。特筆すべきは柚子山葵。この仕事は初めてで新鮮だったが、香りが甘鯛の邪魔をすることはなく、酢飯も含めてきちんと一体感がある。いやはや感服。

◆鰆 たたき
生姜と葱をかまして。酢飯の温度高め。皮目を炭火で燻してあるのか、香りが良い。柔らか目の身質で程良く脂が乗っており、嫋やかな京美人を彷彿とさせる。

■シン・ツチダ 純米
完全無添加醸造。なかなか濃厚でガツンとくる。
滑らかな口当たりで旨味と酸味あり。

◇おから稲荷
ここにきて雪花菜とはびっくり。具材は浅利と葱あたりか。
甘味と旨味が立っており、パサツキがなく食べやすい。
香り高い山葵がよく合う。

◇車海老のお頭 炭火焼き
先程の車海老の頭。陳腐な表現ながら実に香ばしい。
殻が硬くて口に残るということがなく、丁度良い硬さ。
咀嚼するたびに馥郁たる香りと濃厚な旨味が口腔内に広がる。

◆甘海老 共和え
ねっとりとしていて香りと甘味、余韻が堪らない。海老味噌や卵と和えられており、濃厚な味わい。

◇だし巻き玉子
甘味が立った素朴な玉子焼き。

◇酢の物
輪島の岩もずく、林檎と山芋の山かけ、黄身酢、シャインマスカットの酢の物。甘味が立っており、酸味は穏やか。
酢の物にフルーツを合わせるのは面白いが、個人的にはあまり好みではなかったかな。

◆本鮪 赤身 漬け
宮城県産。塩竈かな?即漬けで、ペーパーの上から醤油漬けにしている。
際立つ鉄の旨味。滑らかな食感。塩味と酸味もよい塩梅で美味しい。

◆本鮪 とろ 先炙り
同じく宮城県産。見事なサシ。先端を軽めに炙り、酢橘を供して塩昆布を噛ましている。
とろに塩昆布という仕事はなかなか珍しい。緑区滝ノ水の『さわ寿し』さんで見て以来か。
旨味を付加することで、脂をより立体的にし、上手く調和させているのに脱帽。

◇山葵のお吸い物
さっぱりとしていて、上品で素朴な味わい。

◆剣先烏賊&雲丹 手巻き
『鮨旬美西川』さんのスペシャリテ。小川の生雲丹を使用。
酢飯の上に細かく刻んだ烏賊を乗せ、その上に雲丹、更にその上に、無数の包丁を入れた烏賊を乗せた逸品。
撓やかな烏賊の食感に、蕩ける雲丹のさっぱりとした旨味と香りが官能的。極めつけは海苔で、パリッとした食感と程良い香りが実にバランスよく、種、酢飯とフュージョンしており、素晴らしい。

◆煮穴子
ツメも塩もなし。水と酒と白醤油、鷹の爪で炊いているとか。穴子らしい香りと蕩けるような柔らかい食感、甘味が良い。

◆稲荷鮨
高級鮨店ではかなり珍しい稲荷鮨。油揚げを裏返しにしているのがまた面白い。甘味がしっかり立ったおり、酢飯には大葉や炙った胡麻などが混ぜてあり、爽やかに香る。

◇卵の赤だし
ほっとする一杯。卵は半熟。

◇厚焼き玉子
甘味の立ったケラ玉。芝海老のおぼろを使用しているとの由。

◇焙じ茶葛プリン
濃厚なほうじ茶の風味。甘味は強すぎず上品。岐阜の水を使用しているとか。

以上、お鮨10種類、一品料理11種類、デザートに、日本酒2合を追加して、¥15,000ほど。

今回初めての訪問になりましたが、どの種にもオリジナリティーのある仕事が施されており、また種と酢飯とのバランスもよく、感動するものも少なくありませんでした。
最近のトレンドである熟成にも固執せず、ど真ん中な江戸前ではないにせよ、独自の技術とセンスが光っており、唯一無二の鮨職人さんでした。
なかなか予約が取れず伺う機会に恵まれませんが、また夜にも是非伺いたいなと思いましたね。

さて、今回お誘いいただいた先生には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。貴重なお席にお招きくださり、本当に難有う御座いました。
また、西川親方、女将さん、お弟子さん、給仕の方にも、感謝の意を伝えると共に、大満足であった旨記載し、脱稿といたします。
非常に美味しかったです。ご馳走さまでした。

2021/09/18 更新

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