大岩優輝さんが投稿した鮨 すづき(愛知/上前津)の口コミ詳細

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似非通人食日記

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鮨 すづき上前津、鶴舞、東別院/寿司、日本料理、海鮮

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 4.4
      • |サービス 4.6
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.6
1回目

2024/06 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.4
    • | サービス4.6
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.6
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

名古屋で稀有な正統派の江戸前鮨店

 数日前にTableCheckからオープン翌日を予約。ある筋から「名古屋に◯◯出身の鮨職人が店を出すらしい」という情報を得て、Instagramと食べログの公式ページを確認。
暖簾の写真を見ただけで系譜がわかり、即行予約を決意した次第である。

 店主の鈴木謙次氏は、もともとイタリアンシェフという異色の経歴。鮨職人に転身したのちは、錦三丁目の某鮨店で大将を務められ、その後は日本橋の正統派江戸前鮨の店で修業された。
詳細は「ほそぼそと控えめにやっていきたい」という店主の思いから、ここでは伏せさせていただく。

 『鮨すゞき』の鮪は、何と言っても豊洲の仲卸『石司(いしじ)』から仕入れている。言わずもがな東京の名だたる名店とも取引があり、非常に良質な鮪を卸していることで有名だ。
その他の鮮魚は同じく豊洲の『佃井』、海苔は船橋の丸友海苔店と、いずれも関東では広く知られている。

 店内は潔く真一文字のカウンター7席のみ。樹齢200年の吉野檜を用いており、つけ台は樹齢400年の貴重な日光杉だそうだ。頭上にはカウンターと神聖な漬け場の間に暖簾があるが、屋台の名残りである江戸前らしいスタイルと系譜を感じる。
入口に風鈴が吊るされているのも、風流で趣深い。

 さて、今回は18時に訪問。相客さんは男女二組で、店主と給仕の女性お二人で回されているようだ。
 事前に予約しておいたのは、¥22,000のおまかせコース(つまみ5品,握り12貫,巻物,椀物,玉子焼き)。ランチのおきまり¥12,000(お通し,握り10貫,巻物,椀物,玉子焼き)もあるのは嬉しい。

 近頃は新規オープンの鮨店は名古屋でも軒並み¥20,000〜で、いわゆる鮨バブルを感じずにはいられないが、前述の仕入れの拘りなどを勘案すれば、決して高すぎることはないだろう。

以下、いただいたものの詳細とその感想を列記したい。

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・澤屋まつもと 守破離 純米大吟醸

◇朝〆の鮃
提供はつけ台に直接乗せるスタイル。おろしたての山葵とともに供され、塩か醤油でいただく。
鮃には塩を選択。力強い歯応えと底魚らしい香り、仄かな旨味と甘みが感じられる。

◇蒸し鮑
いわゆるメガイアワビ。こちらも塩と山葵で。むっちりと肉厚な食感で、絶妙な弾力を残しつつ柔らかい。
しかのみならず、香りも良く、優しい甘みと滋味がある。
肝も磯の風味が豊かで苦味は穏やか。

◇子持ちの蝦蛄
しっとりと柔らかな身質で卵もボソボソしていない。
甘みが強く甲殻類らしい香りもしっかり感じられる。

・廣戸川 特別純米(常温)

◇平貝の磯部焼き
シャクシャクとした心地よい食感で、甘いエキスがじわっと溢れ出す。海苔の風味とパリッとした歯触りも良好。

◇真鯛の酒蒸し
あたり葱とともに。ややレアっぽい火入れで大変柔らかく、雑味なく品のある味わい。

◇ガリ
三ツ判山吹に砂糖を使用。賽の目切り。
赤酢らしい旨味と主張しすぎない香り。尖った酸味はなく比較的マイルド。甘みがある。

ここから握り。
合わせ酢にはヨコ井の與兵衛と三ツ判山吹をブレンド。奥深いコクと旨味があり、熟成感のある香りもしっかり感じられる。酸味はやや強め、粒を感じる硬さで温度帯も人肌前後と、パンチのある酢飯。山形のつや姫を使用している。

◆真子鰈
別名は藻鰈、甘手鰈など。旬の走り。
生命力溢れる食感で程よい旨味があり、初夏らしい爽やかな香り。

◆本鮪 赤身
前述のように石司から。この日は石垣島の90kgと150kg台の個体だったか。
赤身はとても柔らかく(天身だろうか)、さっぱりとした鉄の香りと酸味。

・江戸開城 純米吟醸原酒 山田錦

◆本鮪 中とろ
艶やかな口当たりで夏らしく赤身感のある風味。脂はもちろんあるが、強すぎず、バランスが取れている。

◆本鮪 大とろ
奥行きのある脂の甘みが特徴的で、何とも官能的な味わい。それでいて単調な脂ではなく、香りも感じられる。

◆小鰭
柔らかすぎず、適度に噛み締める食感があり、酸味と塩味が利いた硬派なスタイルで好み。

◆鯵
鮮烈な香り。皮下脂肪の甘みが酢飯を包み込む。かなり上質な鯵であることが窺える。

◆車海老
香りと甘み、適度な繊維質の食感がしっかりと感じられる。

・白鷹 青松 上撰本醸造

◆北寄貝
炙りで。ジャクジャクとした食感と共にジューシーな甘みが広がり、香りも素晴らしい。

◆ばふん雲丹
マルタイ泰匠物産から。濃厚な雲丹でコクがあり、海苔の香りと心地よい食感も抜群。

◆煮蛤
木の芽を供して。軽めの火入れで弾力があるが、旨味は及第点程度。個人的に木の芽は蛇足だと思う。

・田中六五 糸島産山田錦 純米

◆春子
この流れでカスゴは面白い。甘酸っぱく力強い食感で香りが良い。身はもう少し柔らかい方が好みかもしれない。

◇蛤の出汁
滋味豊かで酒飲みには嬉しい。

◆干瓢巻き
濃い目で炊かれており、程良い甘辛さと柔らかさ。

◇厚焼玉子
黒糖を用いているデザート系のカステラ玉子。

・醸し人九平次 うすにごり 生酒

◆春子(追加)

◆平貝(追加)

・開運 伝 波瀬正吉 純米大吟醸

◆干瓢巻き(追加)
無理を言って一本を三つ切りに。ご修業歴は長くないので、やはり細巻きはまだまだな印象。

・磯自慢 純米吟醸

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 総評としては、全体的に好みだった。ご修業先の教えをしっかりと守り、継承しようという姿勢も感じられて好印象。給仕の女性も楽しい方だった。
まだまだ伸び代があり、名古屋で稀有な正統派の江戸前鮨店として大成するであろうから、今後の更なるブラッシュアップを期待しつつ、通わせていただきたい。

美味しかったです。ご馳走さまでした。


追伸:さすがに8合は飲みすぎた(笑)

2024/06/06 更新

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