東大方程式すえちゃんさんが投稿したオステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ(青森/中央弘前)の口コミ詳細

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連続百名店小説

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オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ中央弘前、弘高下/イタリアン

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.3
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2025/02 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.3
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

連続百名店小説『みちのく酒びたり』第2陣②【イタリアン百名店EAST 6/100】

*食べログ口コミにおいては核心部分のみの掲載となります。全文を読みたい方は以下にあるブログへのリンクをコピペし検索してお読みください。
https://todaihoteisiki-sue.com/連続百名店小説『みちのく酒びたり』第2陣オステ/

あさこ・梨乃に負けない飲みたがりコンビは意気揚々と弘前駅に繰り出しバスに乗る。しかしどの乗り場から弘前城方面へのバスが出るか、いまいち把握できない。
「すみません、このバスは弘前城方面行きますか?」
「本町というバス停で降りてください」
「わかりました」

金属団地へ行くバスに揺られ、18:53という良い時間に本町で下車。右に曲がってドーミーインの前を通過し、19時前に店に到着することができた。

「ここのワインはね、葡萄の栽培から醸造まで全部を弘前でやっているんだ」
「それって結構珍しいことなんですか?」
「珍しいよ。大きな会社でも無いのに全部を地元でやるなんて吃驚。食材だって殆ど自家製だ」
「地産地消ですね」
「弘前というテロワールを味わい尽くす絶好の機会だ。楽しむぞ!」
「は〜い」

乾杯は林檎の街弘前らしくシードルで。色々な林檎をブレンドして辛口に仕上げられている。後味に林檎のふくよかな果実味が拡がる。

アミューズが2品。独活のポタージュは大地の味の後に、オリーブオイルに付加されたオレンジの香りが来る。
茸とサワークリームのタルトは、ペペロンチーノ風味のインパクトが先ずあって、その後サワークリームの濃厚さに茸の旨味が溶けていく。

「今回はイタリアンでありつつ地の物を最大限に使っている。その土地を象徴するレストランでの食事、ガストロノームツアーの醍醐味だね」

続いては白子をじゃがいもで包み、芹のサラダを載せて。表面をカリッと焼いた芋と白子の組み合わせはどう考えても美味しい。野菜嫌いのカコニはタテルに芹をあげたが、芹の苦味が彩りとなって作品を際立たせるものである。

この日2人以外には男女2人組が1組、そして高齢の男性1人が来店していた。高齢男性はシェフや店員に対し食材やワインなどの突っ込んだ質問をしていて、まるで中尾彬のような出立ちである。

地元産蕎麦粉のガレットに自家製ブッラータチーズを載せ、仕上げにトリュフを塗した一品。チーズを四方に拡げて春巻きのように包みカットして口に運ぶ。トリュフの香りとガレットの甘みがもう最高。こうなるとチーズの存在感が薄れてしまうのが残念。

続いてフォアグラのテリーヌ。フォアグラ自体とても質の良いものであるが、アーモンドは香ばしさを加える、ピスタチオはその甘みでフォアグラの塩気を立てるという風に、理由を持って上に乗っかっている。

ここで満を辞して自家製ワインを持ってきてもらう。まずシャルドネ。バニラのような甘みが出やすい品種と今まで説明してきたが、こちらはバニラはバニラでもタヒチのバニラのように色濃い甘み重みがある。
「エグい美味い。鼻血出そうだぜ」
「タテルさんがそんな表現するなんて、よっぽど良いものなんですね」
「日本でこんな濃い葡萄育てられるとは思わなかった。日本の白ワインってもっと軽いじゃん」
「甲州ワインとかそうですよね」
「だろ。買って帰りたいくらいだ…けど予算が」
「東京帰ったらポチりましょう。ポチれるのかな?」
「オンラインストアがある」
「じゃあポチれますね」

次は魚料理である。ブイヤベースにキンキの鱗焼きを浮かべて。キンキの旨味は穏やかながらもくっきりとあり、カリカリの鱗と合わせて単体でも成立するものである。下のスープには甲殻類の出汁が凝縮されており、西洋料理の色合いが濃くなる。和と洋のコントラストを上手く表現できていて、シンプルながらも考察のし甲斐がある料理である。

続いて持ってきてもらったワインは2020年のネッビオーロ。デリケートな品種で、日本での栽培は難しいとされている。見た目は透明感があって軽やかそうだが、飲んでみると渋みもしっかり効いている不思議なワインである。

シュガープラムの冷製パスタ。冷製パスタというと味わいが軽薄になりがちだが、トマトの甘みと旨味が確と映えていて絶品。バジルの香り、そしてストラッチャテッラのコクが加わり、マルゲリータの趣もある。

続いて持ってきてもらったワインは弘前ロッソ。メルロー・サンジョヴェーゼ・シラーの3品種を使用している。こちらは最初からタンニンのアタックが効いていて、スパイシーさも覚える。

炭水化物もの2品目はあさつきと菊芋のリゾット。あさつきのクセは先述のロッソの特徴と合致する。菊芋は生姜のような味わいを出す。香味系で散り散りになる味を纏め上げるのがトリュフである。

気を良くしたタテルはワインを追加。ネッビオーロの今度は2023年ものである。やはり20年のものと比べて若々しく、タンニンが走り回る。

肉料理は馬肉の炭火焼き。赤身のイメージが強いが脂も程よく溢れ出し、その旨味が炭火焼きの香りによりブーストされる。馬といえば人参ということで、ハーブの効いたキャロットラペみたいなものが添えられている。
「赤身肉、最っ高です」
「肉となると急に笑顔になるな」
「だって美味しいんですもん」
「わかりやすい奴だ。肉食カコニには本当に肉が似合うね」
「肉も良いんですけどお芋も美味しい!こんなに甘みが詰まっているとは思いませんでした」
「氷温熟成とかしてるんだろうな。こういう芋の食べ方は日頃から真似したいね。やり方わからないけど」

最後は周りを飴細工で囲った苺のデザートで〆る。白胡麻をベースに、チーズやハーブの要素を加えている。多様な味わいを纏めつつ、それぞれの要素が個性を光らせているところが凄い。
「こんな小さな空間に多彩な味わいを効果的に配置している。これって並の料理人にはできない業だと思う」
「果物は総じて苦手だけど苺なら好きで。こうやって苺を食べることができるのは幸せの極みです」

舞い上がった2人は食後酒を所望した。既製品のコニャックやアップルブランデーも提案されるが、ここは最後まで自家製で通したいということで、樽熟成をかける前の透明なブランデーを戴く。中国の白酒を彷彿とさせるような、複雑で優雅な香り。

初心者には理解が難しい点もあるが、食材達が理由を持って皿の上に配置されていて、タテルのような食の求道者にとっては最後まで感心しきりのディナーであった。

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https://s.tabelog.com/smartphone/reviewer/014810282/review/detail/B503892644/

2025/03/28 更新

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