『男と女のレストラン』須藤塔士さんの日記

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塔士の食い道楽日記

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須藤塔士 (男性・東京都) 認証済

日記詳細

 人類は生まれながらにして競争社会で生活している。狩猟採集民族の時代では、獲得した獲物の多寡が、そのまま個人の能力として評価されただろうし、現代では能力の判断基準が多様化しただけで、詰まるところ、富を得ることが、競争の優位性を得ることに繋がると、いう事実に疑問を抱く人はあまりいないだろう。
 男女の恋愛は、こうした競争社会の中で育まれてきたと言える。生物学的に男女の違いがあるので、それぞれの性の中での競争戦略は異なるが、男は、社会のヒエラルキーの階段を登っていくことが競争優位を得ることに繋がるのだろうし、女性は、外見的美しさ、そして集まる男を「正しく」選択することが、人生のアドバンテージになろう。それぞれの戦略の違いは、性差のコストの違いから来ていることに他ならないが、男はセックスに対するコストがほとんどゼロで、女は子供を産み、どんな相手と育てるか、によってコストが異なる。
 レストランは、男女それぞれの優位性を示す場所として十分に機能していると言えるかもしれない。銀座六丁目あたりの鮨屋に行けば、親子ほども年の離れたカップルを見かける機会は多い。男は、「こんな有名なレストランにつれていけるんだ」という富を証明し、女は周囲の男と比較する判断材料にしているかもしれない。
 ひょっとすると、女性は家に帰ってから、レストランの食べログレビューを参考にして判断しているかもしれないし、男は次にどのレストランに連れていくかの参考にしているかもしれないと考えると、レビュワーとしては辛い(笑)
 こんなことを考えていると、実に人生がつまらなくなるが(笑)、こういう領域から離れて食事を純粋に楽しめることは実に素晴らしいことだと思う。筆者は一人レストランに足を運び、美味しい酒、食事に酔いしれる時間が幸せである。銀座を歩きながら、そんなことを思い、考え、まとまらないうちに家路についた。
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