『日本酒との出会い』須藤塔士さんの日記

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塔士の食い道楽日記

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須藤塔士 (男性・東京都) 認証済

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気候変動の波が世界中で起き、欧州ではすでに東京都二つ分を焼き払う山火事が発生しているようだ。日本でも大雨が各所で降り注ぎ、甚大な被害をもたらしている。人は自然と共存し、様々な面で恩恵を受けていることは言うまでもないが、酒も自然と共存することで生み出されるものの一つだ。
ワインを例に取ると、天、地、人のバランスが重要で、特別に優れたワインはこれらがすべて揃ったときに誕生する。よくよく漢字を見ると、天は偶然の産物で人の力でどうにもできないし、地を示す土壌も人の手が加わっているとはいえ、大本は天によってもたらされたものと言える。最後の「人」になってはじめて人間の力が出てくるが、ワインを左右する力は3つのうちの一つに過ぎないという見方もできる(少々強引かもしれないが)
世界的にワインの消費量は上がり、飲む人の人数は年々増え続けているにもかかわらず、生産量は致命的な量まで減少している。これでは価格が上がるのは当然だが、もっと深刻なのは日本経済が長期間直面している低成長だ。インフレを起こしてもその分賃料が伸びればいいわけだが、それが起きてない分、購入できないというわけだ。
そこで目を向けられるのが日本酒だ。日本酒は高品質でワインと比較すれば高品質のものが手軽に手に入る。14代、新政などの一部の銘柄は除くことになるが、美味しい銘柄は他に山ほどある。
昨今の値上げブームは留まることを知らない。有名な寿司屋なんて5年前と比較しても1.5倍から2倍に跳ね上がったし、フレンチのコース料理もどんどん値上げの嵐だ。環境破壊によって自然にダメージが起きて食料不足になっている部分はあるが、それ以上に日本の景気が伸びずに買い負けしているのだ。10年後は同じ食材を手に入れるのに幾らかかるのだろう。外食はできているのだろうか。そんなことを考えていると気持ちが暗くなるから、ショパンの「別れの曲」の美しい旋律を耳にしながら食事への別れを惜しんでいる。

音楽を聴くと最近は日本酒が飲みたくなる。今も日本酒を飲んでいる。酔っぱらうなぁ。まだ目にしていない美味しい銘柄があれば教えをこいたいものである。



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