10回
2025/10 訪問
【他では決して味わえない、“山の叡智”、山形・西川町「出羽屋」で体験する、食と文化の原点】
シャンパン
スタートのシャンパンに合わせるためにキノコフライはスタートに変更
天然舞茸とぬた(枝豆)和え
久しぶりにMieIkenoとご対面。
山菜5種盛りとの相性最高。この日1番の女将ペアリング。
左下から、ぬきうち(山の唐墨)、ブナハリタケ、ハタケシメジ、オシロイタケ、香茸。個人的にはハタケシメジが一番好みだった。
この日ワインに詳しい大先輩と『タカヒコは5年寝かせてから旨くなる』と会話をしていた。完全にフラグ回収。完全すぎる状態管理。天然舞茸の煮物と熊茶碗蒸しとペアリング。
天然舞茸の旨みがすごい。
8人分の松茸。信じられない量。
持ち込みのドイツ白ワイン。
松茸の刺身。バターのような印象もある。
奥の方には完熟したバナナのような香り。
子持ち鮎
出羽屋で知りとても好きになったÁ PIED。個人的には出羽屋を象徴するかのようなワイン。
アケビ焼きとホンシメジ。ホンシメジの美味しさに感動。シメジの概念が変わる。
最大級の松茸を塩で。軸と傘で合わせるワインを変えたい。女将もペアリングに悩んでた理由がわかる。
焼き松茸
焼き松茸
焼き松茸を味噌の上澄で味変
熊茶碗蒸しに使われる10種類超のキノコ。これから出た出汁がおいしくないわけがない。
BAROLO。熊茶碗蒸しと共に。とても良かったが、タカヒコのBlanc de Noirが全てを持っていってしまった。
出羽屋のシグネイチャー料理ともいえる熊茶碗蒸し。信じられないくらいキノコの出汁が濃縮している。秋の山の味の濃縮。
17時に採れた白松露
卵の卵黄だけで作ったお粥に白松露。調味料は使っていないのに出汁の味がする不思議。出羽屋らしい料理。
熊の手とクマの脛のカツ。出羽屋といえば熊料理だ。
とびたけ混ぜご飯。数ある出羽屋さんの土鍋シリーズでは、実はこれが一番好き。
なめこ味噌汁も最高に美味しい。
締めは松茸ご飯。開けた瞬間の香りがすごい!!
キノコを使ったチーズケーキ。なんのキノコかは行ってからのお楽しみで...笑
朝食。担当は大将の弟さん。とても丁寧に作られているのがわかる。
2025/10/13 更新
2025/06 訪問
【──“おもてなし”という言葉に宿るすべて】
山形県・西川町。月山の麓。
その宿は、いつだって静かにそこにある。
「山菜料理 出羽屋」
看板に掲げられたその言葉にすべてが詰まっているようで、実は何一つ語られていない。
【料理を通じて、季節と土地に触れる】
ここで供されるのは、ただの“山菜料理”ではない。
採れる時期は限られ、仕込みには手間がかかり、山との対話なしには成り立たない。
それらが一皿ごとに丁寧に編まれ、「季節の気配」として姿を現す。
苦味もえぐみも、むしろ“余白”として楽しむべきもの。
山菜の皿は、舌よりも感性に働きかけてくる。
だからこそ、食後は身体というより“心が澄んでいく”ような感覚が残る。
【空間・所作・器、すべてに込められた美意識】
料理とともにある空間は、五感を使ってこそ味わえる「静かな舞台装置」。
器もまた、料理の一部として機能している。
空間の隅々まで“気が通っている”ことが、居心地のよさの正体だと気づく。
【おもてなし=人の存在】
出羽屋の核にいるのは、佐藤治樹さんと女将・悠美さん。
大将は歴史と伝統を背負いながらも、決して「守る」だけでなく、今の時代に“届ける”意志をもっている。
女将の美意識は、装飾ではなく所作そのもの。
背筋の通った「もてなし」が、ふとした瞬間に心に触れてくる。
【“出羽屋エコノミー”】
何度も通う中で、出羽屋に魅せられた人がふるさと納税をし、宿を訪れ、Tシャツを買い、本を読み、また誰かを連れて来る。
気づけば、“出羽屋という経済圏”が静かに、でも確実に広がっていた。
自分自身も、ストーリーを上げ、レビューを書き、「出羽屋を知ってほしい」と思い続けてきた。
その連鎖が、目に見えないところで確かに波紋を描いている。
これはもう、地方創生という言葉を使うまでもなく、すでに起きている現象だ。
【だから、何度でも訪れたくなる】
山菜の皿は変わっても、“出羽屋で過ごす時間”の質は変わらない。
誰と来るかでその夜の景色は変わるけれど、
「帰り道に静かに幸せになれる場所」であることはいつも同じ。
誰かに伝えたくなる。けれど、独り占めしたくもなる。
それは、宿としての完成ではなく、“関係性としての完成形”なのかもしれない。
出羽屋の魅力を言葉で伝えるのは難しい。
説明しようとするほど、薄れてしまうものがある。
だからこそ、あえてこの一語にすべてを込める。
『おもてなし』——それに尽きる。
※今回はペアリングワインの一部を私自身で持ち込んでいます
2025/06/23 更新
2025/04 訪問
【地方ガストロノミーの代名詞、出羽屋】
出羽屋という概念を知っておよそ3年ほど経過。
当時は『食事の美味しい宿がある』という評判で伺いましたが、あれよあれよと食べログの点数が上がり、いつの間にかsilver入り。良いお店が広まることは本当に素晴らしいこと。おめでとうございます。評価されるべくして、評価される店。周りの食べロガーの感想を聞いてると、再来年あたりにはゴールド入りすると思います。
全日本人にとって、食べログほど有用な飲食店検索ツールはありませんから、そこで頂点となることはどれだけの工夫と努力が必要であり、栄誉ある事か。
様々な地方のお店に伺ってきましたが、これほどに地方ガストロノミーを体現したお店は存在しないのではないでしょうか。それは食材だけではなく、仕込みや調理、使う道具など"食"という動作を通じで、至る所から感じることができます。
極度の凝り&飽きを繰り返す自分にとって、四半期に一度伺う店になるとは、当初は想定外でした...笑
今となっては自発的に予約を行く外食は2-3店舗だけ。
毎回行くたびに『何に理由に、長い時間をかけて出羽屋に行くことを、ここまで突き動かされるのか』と考えるのですが、やはり以下の要素が他の店と比べて卓越してるという結論に至ります。
・大前提、料理として満足度とペアリング込みでの完成度が非常に高い
・お金では解決できず、時間をかけてこの地に来ることでしか食べれない食材がある
・歴史や文化など学びも得ることができる
・旅館としてのホスピタリティが高い
・佐藤夫婦の創る食事の空間が素晴らしい
毎回ベタ褒めですが、本当に素晴らしいお店。
今回は春の山菜の時期。
『山菜旅館出羽屋』という名前を冠するくらいなので、山菜の時期が本領発揮ではあるのですが、個人的には玄人向け、2-3回目あたりに伺うのがちょうど良いかと思います。春の香りが非常に強い食材がたくさんあるので、かなりエッジが効いてます...
初めての方は冬がおすすめです(*´꒳`*)
【ウドと新生姜の和え物】
【前菜】
アケビの新芽、しどけ、山菜コロッケ、甘草、行者ニンニク、アジメドジョウ、あまどころ、にりんそう、かたくり、赤こごみ
【蕗の薹豆腐】
【桜鱒とヤマメのお造り】
【イワナ】
【凍み餅×鰻】
【熊鍋】
【蕗の薹ひっぱりうどん】
【天ぷら】
甘草、ウド、コゴミ、岩魚
【はらこ飯】
【苺大福】
2025/04/26 更新
2025/01 訪問
【奇跡の旅館、出羽屋】
※本投稿はシェフズテーブルでの評価です。
今となっては『焼肉幸泉』に次いで、伺っているお店。そもそもアクセスや予算帯が全く違うので、回数比較をするのはおかしい気もするのだが...笑
僕の大好きなこの二つのお店の共通解は、
『オーナーの人柄の良さが伝わってくる』だと思ってます。
どんなに美味しい料理が提供されても、気持ちよく食べることができなかったら、一気にイマイチな記憶に変わりますからね。
とにかく『味の美味しさ』だけを追求して食べ歩きを時期もありましたが、今となっては『誰と何を食べるか』を重視しています。当然この「誰」にはお店の方々も含まれるわけですから。これに気がつくと新しいお店に行く回数は減り、同じ店に行く回数が増えます。
さて今回は冬のコース。
出羽屋さんにとって冬のコースは『季節の集大成』となります。
春に採れた山菜や秋に採れた茸を塩漬けや乾物として保管を行い、冬の厳しさと飢えを凌いできた歴史を持つ出羽屋さんの技術が詰まったコースです。
全季節の食材を満遍なく味わえるため、初めての方には冬を推奨しています。そして気に入った食材の季節に再び伺うというのが綺麗な流れかつ私的オススメプラン。
また今回はタイミングが良く(新幹線は止まりましたのである意味では悪い)大雪の中伺うことになりましたので、とても風情もありました。
次回は春のコースを宿泊で。これを超える楽しみが今の所みつからないので、当日まで冬眠したいと思います。
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冬の味覚のシェフズテーブルコース
・雉羽と鶏とつみれ
・百合根饅頭/カジカ/コゴミ/ゼンマイ/野鴨のササミとあさつき/仙人の霞(木生海苔)
・安納芋天麩羅 香茸ソース
・猪のロースバラ肉
・鯉シャブ
・熊鍋
・七草粥
・香茸とマスタケのフライ
・ハツと鴨ロース
・黒豆ご飯
・大福
翌朝
・朝食
2025/01/12 更新
2024/11 訪問
【行くたびに惹き込まれて好きになる旅館『出羽屋』】
※本投稿はシェフズテーブルでの評価です。
『1番好きな空間と時を過ごせる場所はどこ?』
と聞かれたら間違いなく出羽屋さんと即答します。
食べログも6.0点つけたいくらいです。
初めて伺った時は『素敵な旅館だなー。また来れたら来よう』くらいのつもりだったんですが、いつの間にか完全に引き摺り込まれてしまい、気が付けば沼。どんどん行く頻度が上がってます(と同時に他のお店に行く頻度が減っていく...笑)
極度の凝り性かつ飽き性な僕は、一回で異常なくらい何かにハマっては、徐々に飽きていくんですが、出羽屋さんだけはどんどんハマっていきますね。ナニコレ?
なぜこんなにも好きになったのかを、ひたすら分析したところ、旅館の本質である『おもてなしの心を心から感じるため』という結論に至りました。
お出迎えや行き届いたお部屋の掃除、シェフズテーブルのコース内容、朝食、そしてお見送り。
その全てから『お客さんに喜んでもらいたい』という気持ちが根底にあることを感じます。そして僕が最も大切にする価値観である『食』にそしてそのベクトルを大きく向けている。
だからこそ行けば行くほど好きになってしまうのだろうなと。宿泊が超おすすめです!
そして本題のお料理へ。
今回のシェフズテーブルも素晴らしかった。
秋の味覚三昧、この日食べたキノコの種類は20種類超。ワクワク止まらず、刺激的。楽しすぎました。
なによりも佐藤ご夫妻の『とにかく山形の美味しいものをたらふく食べさせたいんだ!!!』という気持ちが存分に伝わってくる最高のコースでした。
どのお料理も、記憶に永久保存される連続でしたが、特に印象的だったのは以下3つ。
①出羽屋さんシグネチャーメニュー『熊鍋×タカヒコさんのピノ』
→タカヒコさんのピノの松茸香も加わって、完成する秋のお料理。ペアリングの極地。あまりの美味しさに目を瞑って食べてました。
②モクズガニの炊き込みご飯×JURAのシャルドネ
→今回圧巻のワインペアリング!女将さんのセンス抜群。2×2=4の体現?!
毎度、度肝を抜かされるペアリングが有るんですが、今回はこれ。女将さんを超えるペアリングのセンスの人にまだ会ったことがないと言っても過言じゃないです.....
③りんご
→置かれた瞬間から香りが凄まじい。全国食べ歩くグルメ仲間全員が唸った美味しさ。満場一致で過去1番のりんご。たくさん美味しい料理を出していただいたのにまさかのりんご。それだけ印象的でした。
次回は冬のコースを宿泊で。今から楽しみだなぁ。
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秋の味覚のシェフズテーブルコース
・里芋と百合根の里芋餅 月山白トリュフ
・キノコ
アミタケ/ナラタケ/ナメコ/ヤマブシタケ/ヒラタケ/舞茸/さくらしめじ/ギンタケ/ハタケシメジ /香茸
・朝採れ松茸の刺身
・アケビ焼き
・焼き松茸×2
・子持ち鮎 菊のみぞれ和え
・熊茶碗蒸し(ムキタケ/キクラゲ/舞茸/なめこ/椎茸/ショウゲンジ/ヤマブシタケ)
・モクズガニの炊き込みご飯(香茸/ヌメリスギタケ)
・マスタケと香茸のフライ
・山形牛のミスジと松茸のすき焼き
・トビタケ混ぜご飯
・松茸ご飯
・りんご(高徳)
・かぼちゃプリン(香茸ソース)
翌朝
・朝食
2024/11/11 更新
2024/04 訪問
【山菜旅館出羽屋による圧巻の"春の山菜"コース】
※本投稿はシェフズテーブルでの評価となっております。
◾️特徴
・出羽三山の素晴らしい食材を、地域伝統と先人たちの食材調理や保存法を受け継いだ四代目当主の佐藤氏の腕により、コース料理へと昇華。
・フーディーを満場一致で唸らせる創業96年の旅館
・美味しいものが食べれるだけではなく、自分の辞書にない事を知って体験ができる奇跡のお店。
◾️シチュエーション
☑︎友達と
☑︎家族で
◾️雰囲気
☑︎落ち着いた雰囲気
☑︎カウンター席
◾️予約方法
現地で事前に予約
◾️レポート
ここ近年は出羽屋さんが僕のベストレストランとなっています。
2022年ごろに初めてシェフズテーブルに伺って以来?あまりの素晴らしさ(食事の美味しさ、体験としての完成度、学びの場として、ホスピタリティ等全て)に感動の連続。
毎日出羽屋さんに行ける日を心待ちにしています。
「山菜料理」との名を冠する春の出羽屋さんは圧巻。
今回も20種類近くの山菜を楽しませて頂きました。
おまけに今回は、翌日の昼の蕎麦ランチも食べて帰りましたので、三食出羽屋満喫コースとなりました。
出羽屋さんの位置する山形県西川町のある間沢の歴史にあります。歴史的にも「貧しい」地域である間沢では、山菜の立ち位置は、飢えをしのぐための“糧物(かてもの)”でした。
一方で、山岳信仰で出羽三山を訪れる行者様のお宿として歴史が深い地域でもあることから、行者への最大のおもてなしが山菜であったと言うことです。
当然、山菜の知見は蓄積され、食べれる山菜の種類や調理の仕方や保存法などが伝承されてきました。
出羽屋さんをはじめとした、地方の素晴らしいお店に伺うと、よく通説で言われる次の評価は、少なくとも僕にとっては、全く違うことに気が付かされます。そして今回の訪問で、それは確信に変わりました。
「東京が一番食材が高く売れるから一番良い食材が集まる。だから腕のある料理人が集まる」
この通説は〝市場に〟出回る事が前提。出羽屋さんで提供されるものは例外が多いように感じます。
山菜キノコなら自らの足で取りに行かれたり、ジビエ肉なら、マタギの方が食べて終わってしまう(美味しいから自分で食べる)食材を、信頼関係を築く事で、特別にわけていただいたり、鮮度の問題など。
そして何よりも忘れてはいけないのが、佐藤親方に「この伝統や文化を、正しい形で後世にしっかり伝承していきたい」という確固たる強い信念があること。
山菜やきのこは、定期的に採取することが大切であり、それぞれの季節が巡ってきたら、正しい方法で山菜きのこを採取し、食べる事。これにすごく意味があります。この行為自体が、山の生態系を保つことに繋がります。
だからこの場所に、山菜料理出羽屋が存在するわけです。まさに奇跡の店です。アスファルト地獄の都会では絶対に成立しない。都会のお店には都会のお店の別の良さがあります。
お宿の皆様のお出迎えやお見送りの接客、おもてなしの心、佐藤親方と奥様のコース中の客あしらいも素晴らしく、自分にとっては本当に大切なお店です。山形県まで一生通いたいと思えるお宿に出会えて幸せです。
後は若女将のワインペアリングのセンスが天才的ですね。出羽屋さんに来るようになってから、よりワインが好きになって知識も増えました。これからもどんどん勉強したいです。
次回は、秋のキノコで。今から非常に楽しみです。
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春の味覚のシェフズテーブルコース
・蓬とシドケの豆腐
・山菜12種食べ比べ
コシアブラ、シドケ、ナンマイ、クワダイ、アマドコロ、ウド、アイコ、カンゾ、山人参、青コゴミ、赤コゴミ、カタクリ
・ウドと新生姜
・ヤマメとサクラマスの食べ比べ
・カジカ唐揚げ
・鴨タタキ(胡麻味噌タルタル)と行者ニンニク
・凍餅とうなぎの海苔巻き
・蕗の薹豆乳味噌の麦切り
・コゴミ,コシアブラ,タラの芽の天ぷら
・熊シャブ
・熊カツ
・オコギご飯 春の平茸味噌汁
・出来立て苺大福
翌朝
・朝食
翌昼
・山菜蕎麦
2024/05/03 更新
2024/01 訪問
【出羽屋の季節の集大成、冬のシェフズテーブル】
※本投稿はシェフズテーブルでの評価となっております。
◾️特徴
・出羽三山の素晴らしい食材を、地域伝統と先人たちの食材調理や保存法を受け継いだ四代目当主佐藤氏の腕により、コース料理へと昇華。フーディーを満場一致で唸らせる創業95年の旅館
・美味しいものが食べれるだけではなく、自分の辞書にない事を毎回知り体験ができる奇跡のお店。
◾️シチュエーション
☑︎友達と
☑︎家族で
◾️雰囲気
☑︎落ち着いた雰囲気
☑︎カウンター席
◾️予約方法
現地で事前に予約
◾️レポート
昨年春に、山菜のシェフズテーブルに伺ってあまりの素晴らしさ(食事の美味しさ、体験としての完成度、学びの場として、ホスピタリティ等全て)に感動をして帰宅。以来、また出羽屋さんに来る日を心待ちにしてました。
「山菜料理」との名を冠するくらいなので、冬は何が出てくるんだろうか...と楽しみにしてましたが、伺ってみてビックリ。ジビエばかりの予想と違って、山菜キノコジビエ等が満遍なく楽しめる季節でした。まさに1年間の季節の集大成と言える時期です。
4代目佐藤治樹親方も「僕は色々楽しめる冬が一番好きなんですよねー」と。それも納得。
出羽屋さん初めて行くなら、満遍なく楽しめる冬を私としても推奨します。
出羽屋さんの位置する山形県西川町のある間沢の歴史にあります。歴史的にも「貧しい」地域である間沢では、山菜の立ち位置は、飢えをしのぐための“糧物(かてもの)”でした。
一方で、山岳信仰で出羽三山を訪れる行者様のお宿として歴史が深い地域でもあることから、行者への最大のおもてなしが山菜であったと言うことです。
当然、山菜の知見は蓄積され、食べれる山菜の種類や調理の仕方や保存法などが伝承されてきました。
なので、季節関わらずに、山菜やきのこが冬にも楽しめるというわけです!
冬の山菜は乾燥や塩漬けにしたものが提供されます。
出羽屋さんをはじめとした、地方の素晴らしいお店に伺うと、よく通説で言われる次の評価は、少なくとも僕にとっては、全く違うことに気が付かされます。そして今回の訪問で、それは確信に変わりました。
「東京が一番食材が高く売れるから一番良い食材が集まる。だから腕のある料理人が集まる」
この通説は〝市場に〟出回る事が前提。出羽屋さんで提供されるものは例外が多いように感じます。
山菜キノコなら自らの足で取りに行かれたり、ジビエ肉なら、マタギの方が食べて終わってしまう(美味しいから自分で食べる)食材を、信頼関係を築く事で、特別にわけていただいたり、鮮度の問題など。
そして何よりも忘れてはいけないのが、佐藤親方に「この伝統や文化を、正しい形で後世にしっかり伝承していきたい」という確固たる強い信念があること。
山菜やきのこは、定期的に採取することが大切であり、それぞれの季節が巡ってきたら、正しい方法で山菜きのこを採取し、食べる事。これにすごく意味があります。この行為自体が、山の生態系を保つことに繋がります。
だからこの場所に、山菜料理出羽屋が存在するわけです。まさに奇跡の店です。アスファルト地獄の都会では絶対に成立しない。都会のお店には都会のお店の別の良さがあります。
お宿の皆様のお出迎えやお見送りの接客、おもてなしの心、佐藤親方と奥様のコース中の客あしらいも素晴らしく、自分にとっては本当に大切なお店です。山形県まで一生通いたいと思えるお宿に出会えて幸せです。
次回は、春の山菜で。今から非常に楽しみです。
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冬味覚のシェフズテーブルコース
(佐藤親方の話を聞いたり、みんなでワイワイ食べるのが非常に楽しく、2品ほどメニューを撮り忘れました)
・蕪
月山の水の美味しさを感じる事ができる一品。硬度は低め、透き通るような味わい。
・胡麻豆腐
墨に見立てた胡麻豆腐を西京味噌と。胡麻の風味と甘み。
・山人参の葉/仙人の霞(木生海苔)/香茸/こごみ
完全にワインの摘み。個人的に大好き好きなのが、仙人の霞との異名を持つ木生海苔。本当にまるで霞を食べてるような感じです。
・熊肉のしゃぶしゃぶ
人生一番の熊料理更新。熊のバター感のある脂の甘みと香りが段違い。そこに3種の茸の出汁がギュッと詰まって至高の味。
・子持ち鮎
パンパンに卵が詰まった子持ち鮎を甘めの味噌漬けにした西京焼きに。ワインとの相性が最高でした。
・百合根とたらのめ
裏漉しした天然百合根の甘さが素晴らしい。もはやスイーツ。コンテチーズとの相性も抜群。
・七草粥
正月明けでしたので時期柄。この時期にここまで山菜が食べれるのは本当に嬉しい。蕗の薹が程よいアクセント。
・さつまいも
じっくりと2時間揚げて火入れをした紅まさり。ホクホクというより、しっとりなめらか。
・雉羽のすき焼き
野生の雉羽のすき焼き。お野菜も甘い。
・真鴨
この時期の真鴨は、冬に向けてたっぷりと木の実を食べているため脂の乗り方と旨みが別格。マタギさんが仕留めた野生の肉で食べてて初めて当たり(何かは秘密です)が出ました!笑
突然鍬の形をした鉄板で焼き始めたので、何事かと思いきや、当初このあたりは貧しい地域であったことから、畑をたがした鍬でお肉を焼く文化があったので、その文化を取り入れたとのこと。
こんなことを知りながら食べれるのも出羽屋の醍醐味。
・とび茸ごはん
ササニシキで。締めのご飯まで抜かりないです。
・大福
目の前で作ってくれました。出来立ての大福の柔らかさと食感に感動。あんぽ柿とあんことマスカルポーネいり。
2024/03/17 更新
2023/05 訪問
【「山菜旅館出羽屋」の山菜シェフズテーブルコースが素晴らしすぎて感無量】
※本投稿はシェフズテーブルでの評価となっております。
結論から申し上げますと、食べログ5.0とかに収まる代物ではなく、5.5点をつけたいです。
過去色々なオーベルジュに足を運こびましたが、ダントツの1番です。
半年前に秋の味覚きのこのシェフズテーブルもすばらしくて大満足で帰りましたが、今回はその比ではありません。
季節による味覚なので、比較するものではないのは大前提ですが、
「山菜旅館出羽屋」と宿の前を冠する時期のコースの食体験としての完成度は異次元で、その素晴らしさは、是非直接伺って体験いただきたいです。
出羽屋さんの山菜コースが、圧倒的なクオリティとして確立されているのは、山形県西川町のある間沢の歴史にあります。
歴史的にも「貧しい」地域である間沢では、山菜の立ち位置は、飢えをしのぐための“糧物(かてもの)”でした。
一方で、山岳信仰で出羽三山を訪れる行者様のお宿として歴史が深い地域でもあることから、行者への最大のおもてなしが山菜であったと言うことです。
当然、山菜の知見は蓄積され、食べれる山菜の種類や調理の仕方や保存法などが伝承されていきます。
現代はインターネット社会なので、何が食べれるかなんて調べれば出てきますし、物流も発達しているので東京でも美味しい山菜を食べることはできます。
しかし、ここでの詳細説明は割愛しますが、上記理由を含めて、現地で食べれる山菜のクオリティや種類の多さは別次元です。
私が伺った日は20種類近くの山菜が出てきました。
宿の皆様の接客やおもてなし心、佐藤大将のコース中の客あしらいも素晴らしく、自分にとっては本当に大切なお店になりました。
お酒ののセレクトや料理との合わせ方も素晴らしいです。
山形県まで一生通いたいと思える宿に出会えて幸せです。
次回は雪深いジビエの時期に伺うことにしました。
まずは出羽屋さんの四季を全て体感したいと思います。
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春の味覚のシェフズテーブルコース
宿泊&朝食付き 39,800円
20種類以上の山菜と春の月の輪熊のコース料理
2023/05/06 更新
2022/09 訪問
【出羽屋さんのシェフズテーブルで秋の味覚きのこを楽しむ】
以前より知人の間でも評判の良かった「出羽屋」さんのシェフズテーブルに伺いました。
予約を取ってから半年間待っている間に、Destination Restaurants 2022に選ばれたり、食べログの点数が3.93まで爆上がりしていました。それだけ評判が良いということですね。
出羽屋さんのある間沢は、山岳信仰で出羽三山を訪れる行者様のお宿として歴史が深い地域です。
出羽屋さん自体も、三山電鉄ができたころに創業し、約90年にもわたる歴史を誇ります。
今でこそ旬の味としてもてはやされる山菜ですが、さかのぼってみると、飢えをしのぐための“糧物(かてもの)”だったという側面もあるみたいです。
秋ということで、キノコたっぷりのシェフズコースを堪能してきました。
シェフズコースは4代目料理長自らが振る舞う、1日1組4名限定のコースとなっており、江戸時代から続く蔵の中でお料理を楽しみ、そのままその場で寝て泊まることができます。
美味しい料理を食べてその場で寝る。旅館の真骨頂です。
通常の宿泊ですと弟さんのお料理コースを、お昼だと山菜そばを食べることができ、様々な顔をした出羽屋さんを楽しむことができます。
シェフズコース(宿泊込み) 37,400円 (税サ込)
ペアリング 4,400円
◎豆腐料理
◎山菜小鉢
◎松茸の椀
◎天然鮎のお造里
◎焼き松茸
◎木通の焼物
◎きのこの天ぷら
◎月ノ輪熊の鍋
◎最上鴨と季節の野菜
◎締めのご飯
◎甘味
仙人の霞と呼ばれる苔のキブノリや、幻とも呼ばれる香茸、そして天然の舞茸など、山の恵みの素晴らしさに感動の連続でした。
自分の知らない世界が広がった時ほど、楽しく感動する瞬間はありません。
とにかく、山形の秋のキノコを堪能できた料理でした。
先人たちの紡いできた山の食材と調理法、山形県の肌身に感じることのできた貴重な機会です。
次回、春の山菜の季節の予約を取ってきました。
今からとても楽しみです。
2022/09/21 更新
今となっては季節毎に通うようになった。
毎四半期この店に来ることの楽しみが僕の人生に彩りを与えてくれる。
山形・西川町の「山菜料理 出羽屋」。
何度訪れても“初めての衝撃”が更新される場所だ。
この日の献立は、秋の山そのもの。
香茸とマスタケのフライは、サクッとした衣の奥から山の香りが立つ。鶏肉のフライのような印象を受けるマスタケのフライが個人的にはとても好みだ。
天然舞茸と枝豆のずんだ(山形弁では"ぬた")和えは、優しい甘みが口いっぱいに広がる。
「ぬきうち」と呼ばれる山の唐墨は、噛むたびに深みが増す。
この日初めて知ったホンシメジの旨さ。シメジはこんなに美味しかったのか。今まで食べてきたシメジはまるで工業製品だ。
松茸も信じられないくらいの特大サイズ。都内の高級料理店ですら見かけたことはない。
熊の茶碗蒸しには十種類のきのこの細切り汁がかけられ無限の深みを放つ。タカヒコとのワインペアリングま秀逸だ。
白松露のおじやは、出汁を使わずとも昆布出汁のような旨味を放っていた。この日最も不思議な体験をした料理だった。出羽屋らしい料理とも言える。
すべての皿が、自然と対話するような静けさをまとっている。
そして何より圧巻なのは、この料理のほとんどが、都内では絶対に食べられないという事実。
山で採れる天然のきのこ、熊肉、白松露。
どれも市場に流通せず、この地に足を運ばないと出会えない“命の旬”がある。
時間も距離もコストもかかるが、それを上回る体験が待っている。
さらに特筆すべきは、女将・悠美さんによるワインペアリング。
その一杯一杯のセレクトが料理の余韻を伸ばし、皿の物語を完成させていく。
料理とワインの関係性を、ここまで豊かに感じられる店はそう多くない。
一緒に訪れた仲間たちにも感謝したい。
毎回、出羽屋の会に参加してくれる友人たちがいてこそ、この時間はより特別なものになる。
同じ料理を前に笑い合い、季節を共有できる、その積み重ねが、この店をさらに輝かせている。
※本評価はシェフズテーブルのものになります