2回
2021/10 訪問
2021.10.26(火)晴れ 気温15度前後 18:00 2名で来店
青山1丁目駅を出てチョイチョイといったところに当店はあった。
看板も煌めいているので直ぐにわかるはずだ。
エレベータに乗り2階で下りると愛想のいい女性定員さんが迎えてくれた。
入口正面には丸い液晶ディスプレイらしきものが、店名「煌」を告げている。
店内は細長い空間になっており、入口そばに完全個室があり、厨房へ向かう通路両脇にロールカーテンで仕切れ、モダンで和のテイストが漂う半個室が連なっている。さすが青山に居を構えるお店だ。料理の前から目を楽しませ、居心地よく食事へ臨む体勢を整えてくれる。
■今回注文した料理は
【いちょう並木コース】
黒毛和牛希少部位、和牛炭火焼きなど全15品 ¥9,900×2(税込))
以下、詳細
ー塩焼きー
・黒毛和牛のレアローストビーフ
・黒毛和牛のタルタル
・昆布塩のとろ牛タン
・ねぎタレのとろ牛タン
ー先付けー
・季節の野菜の取り合わせ
自家製生姜味噌マヨネーズで
・煌特製ファーマーズサラダ
ータレ焼きー
・黒毛和牛特製ハラミ
・黒毛和牛特製カイノミ
ー本日のお米ー
・新潟県産 新之助
・宮崎県宮崎牛サーロインを和牛スープでトマトと共に
・宮城県仙台牛のカタコブを特製ちりずと共に
・山形県山形牛のウチモモの低温調理
煌特製キノコソースとトリュフをふりかけて
・栃木県とちぎ和牛のイチボを備長炭直焼き 西洋わさびと共に
ー締めー
・時雨煮うどん
ーデザートー
・自家製ミルクシャーベット
時期によって箸休めデザート、和牛の部位は変わるようだ。
早速驚かせてくれたのは、大きな銀杏を模した大皿に乗ったローストビーフとタルタルミートだ。柔らかくてしっかりとした味のローストビーフ。チーズがたっぷりと降り積もり、肉の旨さに舌が蕩けそうな美味しさのタルタル。早くもノックダウンしそうな展開だ。
つづいて牛タン2種がやって来た。昆布塩とねぎタレだ。特に美味しかったのが昆布塩で、飲み込むのがもったいなくて必要以上にかみしめてしまうほどだ。しかしすぐに別れの時はやって来て、はるか遠くへ滑り落ちていってしまった…平井堅の言う通り、永遠はどこにもないことを知った瞬間だった…
そうそう、このお店は店員さんが絶妙な火加減で焼いてくれるので、美味しい瞬間を逃さず食べられるのが嬉しいことを追記しておく。
さて、別れを惜しんでいると今度はハツとレバーがやってきた。
生でも食べられそうな鮮度の素晴らしい両肉。しかし色々なしがらみでそうもいかないらしく、軽く焼いてもらい一気にパクッ⁈
柔らかく心地よい食感のあとに臭みがまったくない旨みだけがやってきた。
幸せ。
レバーが苦手な妻もパクついているくらい見事なものだった。
ハツも同様にエクセレントな味わいだ。
そういえば
出会いと別れの振り子の合間に、さりげなく箸休め的な季節の野菜のお浸し?が置かれていったことを思い出した。そいつには生姜味噌マヨが付随しており、野菜の旨みを引き立てとても相性がよかった。
次はファーマーズサラダ
黒いグレーのような色の重厚な器に鮮やかなリーフグリーンがよく映えた。
ラディッシュ?カブ?のような野菜がやさしい甘さとシャキシャキした食感を与えてくたのが印象的だった。
旨し。
ここから怒涛のラッシュ!
・新潟産の米「新之助」
・黒毛和牛のカイノミ
・同じくハラミ
ジャッジは特上で濃厚なタレ。
彼が全体を調和し上手く諌めてくれるはずだ。
ふっくら艶々と煌めきながら湯気をあげて挑発してくる新之助。
店員さんが見事な焼き加減で仕上げたカイノミも意気揚々と網から取り皿へ向けて上京⁉︎
上京後、箸の助けを得てタレの軍勢と合流しオン・ザ・ライス!
その上で幾度かバウンディングし、余剰な分のタレをライスに残した。その刹那、口内にて会戦の火蓋は切って落とされた。
が、中立であるタレの裏切りにより、戦況は一気に相手方に傾いた。
肉が柔らかくて、濃厚なタレが肉に絡んで、その後肉自体の旨みがじわりじわりと広がり、口内を圧倒的勢力で一気に制圧していく。
まさに鬼神のごとく、しかしそれは僥倖なり…
間髪入れずにハラミがたたみかけるように波状攻撃をしかけてくる。
勝負⁉︎は半日後の関ヶ原のように完全に決していた…
その後、新之助が士気の下がった反乱分子を残党狩りしていく様も酷似している。
しかしこれはヤバ旨っ!
タレの裏切りがあったとは言え、最高のコンビネーションを目の当たりにした瞬間だった…口内だから見えないけど。
旨さの余韻に呆けていると
赤い盆に乗ったサーロインと鉄瓶が登場した。
薄切りのサーロインの上に綺麗に皮が剥かれたミニトマトがのっており、鉄瓶からは3日牛肉を煮込んだという神々しいスープが注がれた。
スープの熱でほどよく色が変わったサーロインでトマトを優しく包み込み、再び口腔爆撃は開始された。
ほどよいトマトの酸味、サーローインのしっかりした牛肉らしい味、滑り込む牛スープ。
焼肉屋さんに来ていることを忘れてしまう美しい瞬間だった…
次は仙台牛のカタコブ
ちりずという、やや酸味の強い柑橘系の果汁と大根おろしだろうか?それらを巻いて食べた。
はじめにやや酸っぱく感じるが直ぐに抜けていき、その後テニスのゲームを終えたあとのような爽やかな清涼感がやってくる。
スッキリとしてうまし!
次は山形牛のウチモモ
低温調理された塊肉をさらに網の上でゴロゴロとローリングしながら火を通し、目の前でほどよい薄さに切っていただく。
追撃でトリュフをたっぷり振りかけ、塩も少々加勢する。
お好みでキノコをペースト状にした特製ソースをつけてもよい。
頬張ると赤身肉のしっかりした歯応えと共に、遥か遠くで福音を聞いた気がした。
追って鼻腔をくすぐるトリュフの香り、特製キノコソースとも絡まりとてもよく合う。
見事な仕掛けだ。
肉の殿はとちぎ和牛のイチボだ!
そいつは栗のイガイガと共に盛り付けられやってきた。
しかも焼かれた備長炭に直接乗せて焼くという、グランドフィナーレに相応しい演出だ。
炭の上で軽く炙られ、頃合いを見てテイクオフしていく姿はとても勇ましく、いつまでも私の脳内でリフレインした。
奴はお供する西洋わさびをチョコっと乗せ、笑顔で私に取り込まれていった。それはある意味切なく…とても美味しかった(笑)
この後のうどんもデザートもお世辞ぬきにめちゃめちゃ美味しかったが、この文章の文字数が既にすごいことになっており、他の媒体に転載する際に文字数オーバーで弾かれるため、一旦ここで筆を置くことにしよう。
今回は焼肉という宇宙を感じる素晴らしい経験だった。この価格、この立地、この味は本当に見事だなと感動の連続!
とても美味しくて雰囲気も良い素敵なお店。満足度の高いコース焼肉、ご馳走さまでした。
アイシャルリターン!
たいへん美味しかったです‼︎
2022/02/01 更新
外苑前駅1b出口から徒歩約3分のところに、「焼肉 煌」さんはあった。
外苑前の洗練された街並みにしっとりと溶け込むように佇むその店は、控えめなで優しい光を灯す看板が目印。初訪問のときに感じた「ここは何かが違うぞ」の予感は、2度目にして確信へと変わった。
店内は静謐な空気が流れ、青山らしいオシャレな空間が広がる。間接照明が織りなす柔らかな陰影、ミニマルで落ち着いた内装、ボックス席の仕切りの高さや距離感の絶妙さ。巧妙に設計された空間は、特別な相手との時間を静かに、深く過ごすための舞台。まさに“大人のための焼肉店”と呼ぶにふさわしい。
今回いただいた料理は
◯南青山コース
・黒毛和牛のレアローストビーフ
・黒毛和牛のタルタルミート
・特選牛タン3種食べ比べ
・国産ハツ/レバー
・煌特製ファーマーズサラダ
・長崎産花椒塩焼き 2種
・黒毛和牛のツラミ味噌ダレ
・本日のお米
・季節野菜漬物
・常陸和牛のカメノコ
・つべつ和牛のシンシンの特性漬けだれ
・大葉肉巻き京味噌焼き
・金の炙りユッケ キャビアを乗せて
・松坂牛のサーロインを2日煮込んだ和牛スープ、トマトと共に
・武州和牛のミスジ 特製ちりずと共に
・いわて牛のシャトーブリアンの二色串揚げ
・大人の牛たんスパイスカレー
・自家製夏みかんのミルクシャーベット
・黒胡麻小豆ミニ最中
・ビール
・グラスワイン
特に印象に残った料理は
「黒毛和牛のタルタルミート」。大きなレンゲの上に乗ったその姿は、まるで肉のジュエリー(笑)。パルミジャーノの濃厚な香りが立ち上り、舌に触れるととろりとした肉の甘みとチーズの塩気が混ざり合う、シルクを纏ったような口当たり。イチョウの葉を模した豪華な皿に盛り付けられ、オープニングからインパクト抜群!外苑らしさを象徴する一皿だ。
「特選牛タン3種食べ比べ」は、それぞれに異なる魅力を携えた三重奏。カマルグの塩がダイレクトに肉の力強さを伝え、柚七味はその香りが鼻腔をくすぐる。ネギだれはやさしく包み込むような役割。料理長が手際よく焼いてくれる姿は、まるで肉と対話しているかのようで、プロフェッショナルの妙技を垣間見た気がした。
そして「レバー」。厚切りながら中はとろりとレアを保ち、ネギだれの香味がアクセントに。レバーがこんなに“艶やか”だと思わされたのは初めてかもしれない。プリッと跳ね返る弾力が心地よく、じんわり広がる旨みは、レバーの新たな境地を感じた。
「黒毛和牛のツラミ味噌ダレ」もまた記憶に残る一品。噛みしめるたびに肉の旨みがじわじわとにじみ出し、味噌の甘辛さが追いかけてくる。ご飯にのせれば無敵。しかもそれが新潟県産の新之助というこだわり。漬物が口の中を整え、三位一体のハーモニーが完成する。
「大葉肉巻き京味噌焼き」は、和の粋を凝縮したような構成。大葉の清涼感と京味噌の甘み、ご飯のふっくら感が三層構造で広がる。有明産の海苔がラストを香ばしく締めてくれるあたり、細部にまで心が行き届いている。
「松坂牛のサーロインを2日煮込んだ和牛スープ」は、出汁の奥深さと脂の旨みが見事に融合。熱々のスープを注ぐと、レアだった肉がほんのり色づき、香りが一気に立ちのぼる。中央に添えられたトマトが酸味のブーストを加え、白胡麻が香ばしさをプラス。視覚、嗅覚、味覚すべてが満たされる一杯。
「いわて牛のシャトーブリアン二色串揚げ」は、小さいながらも圧倒的存在感。衣のサクサク感と中のしっとりレアな赤身のコントラスト。柚の香り、京都味噌のコク、それぞれが短くも強烈な印象を残す。まさに“一口のフルコース”(笑)。
サービスについては、文句のつけようがないほど丁寧。フルアテンドで料理長自らが焼いてくれた。その所作ひとつひとつが洗練されていた。過度にならず、それでいてぬかりない距離感での接客。料理の説明も的確かつ温かみがあり、まるで静かな料亭でそっと寄り添ってくれるような、落ち着きと信頼感のある対応だった。
総括として「焼肉 煌」さんは、焼肉という枠組みにとどまらず、料理と空間を通して静かに印象を刻んでくれる一軒。特にスープや串揚げは印象深く、焼肉の新たな魅力を再発見させてくれる内容。料理ごとに設計された薬味やプレゼンテーションにも工夫があり、ただの高級志向に終わらない柔らかさがある。華美すぎず、かといって隙もない。“また来たい”と思わせる余白を残した、上質な焼肉体験だった。