2回
2025/06 訪問
Menu Déjeunerもめちゃくちゃ旨かった!
L'ARBRE
2025/06/20
この度は、ランチをご利用いただき誠にありがとうございました。
前回ディナーでご来店いただいた際に良い印象をお持ちいただけたとのこと大変光栄です。
「ニュークラシック」に込めた想い
菊地シェフがオザミやシェラトンで培った経験、そしてソムリエ野村が
培った知見がお客様にとって最高の食体験に繋がったのであれば幸いです。
珠玉のランチコースへの詳細なご感想
今回お召し上がりいただいた「Menu Déjeuner」の各お料理について
一つ一つ丁寧にそして詩的な表現でご感想をいただき誠にありがとうございます。
お客様の感動がひしひしと伝わってまいり私どもも感激いたしました。
コンポジション・ド・グラン・クラブでは、
「静謐な海中世界のよう」という表現で冷製ジュレとムース、そして
北海道産大楚蟹の織りなす繊細な味わいと美しさを的確に伝えてくださりありがとうございます。
「皮目の香ばしさと内側のしっとりとした白身のコントラストが鮮烈」と表現していただいた
鹿児島産真羽太のローストも、シェフの火入れへのこだわりを感じ取っていただけて光栄です。
ペアリングされたPuligny-Montrachetとの「香味のリレー」も
存分にお楽しみいただけたとのこと、ソムリエも大変喜んでおります。
当店のスペシャリテであるトリプルコンソメについても、
「白磁の蓋を外すとふわりと立ち昇る濃密な香りがまず衝撃」というお言葉に
その魅力が凝縮されております。
5日間かけてじっくりと引き出すトリプルコンソメの奥深い旨みが
「体の芯にじわりと沁みる感覚」としてお客様に届いたこと大変光栄でございます。
メインディッシュの恵庭「ENIWA NERO」純血統六白黒豚骨付きロースも
「肉の断面に宿る脂の艶」から始まり、その甘みと野趣、
ザリガニソースとの調和、そしてペアリングされたNAPAのPETIT SYRAHとの相性まで
細やかにご評価いただきありがとうございます。
デザートのチュロスも、「見た目以上に香りと味が繊細に交錯するデセール」と評していただき、お客様の五感を刺激できたこと、大変嬉しく思います。
この度のご来店、誠にありがとうございました。
また季節を変えて
L'ARBREで新たな感動をお届けできる日を、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
2025/06/10 更新
2025/05 訪問
季節のおまかせコースがめちゃくちゃ旨かった!
品川駅高輪口から徒歩約6分のところに、「L'ARBRE」さんはあった。
コンクリート打ちっぱなしの外壁に、控えめで洗練されたロゴがそっと浮かぶ。主張を抑えたそのファサードは、一見してレストランとは思えないほど控えめだが、その分だけ扉の向こうに広がる世界への期待が高まる。グレーとブラックを基調とした店内は、モダンでありながら冷たさを感じさせない。木目の天井、ヘリンボーンの床が、無機質さに穏やかなぬくもりを添えている。カウンター席は料理人との距離を縮め、セミプライベートな個室では、静かに料理に集中できる空間が用意されていた。今回はグルメ仲間12名での会食。私は4人のグループで個室を利用し、他の8名はカウンターへ。互いに料理の感想を伝え合いながらも、それぞれの席でL'ARBREの時間を堪能した。
今回いただいた料理は
◯季節のおまかせコース
◇Amuse Bouches / アミューズ ブーシュ
・北海道•函館 雲丹,新玉葱,蚕豆,青豌豆
・長野・天龍活稚鮎、島根・出雲 実山椒、胡瓜
・福島・会津桜肉,鹿児島・姫甘海老
・山形牛、北海道・十勝 熟成馬鈴薯、トリュフクロケット
◇Crevettes et Caviar/クルヴェット エ キャヴィア
熊本・天草車海老,富山・氷見甘海老、富山湾白海老、フランス産キャビア
◇Pate En Croite/パテ アン クルート
秋田・比内地鶏、広島・備後仔猪、青森津軽鴨,フォアグラ
◇Poisson Amadai et Chrysantheme/ポワソン アマダイ エ クリザンテーム
山口・萩甘鯛、佐賀・有明手摘み生海苔、春菊、菊芋
◇Turbot /ターボット
島根・浜田 鮃、岩手・一関リーキ
◇Chevreuil/シュヴルイユ
北海道・稚内 蝦夷鹿
◇Granité / グラニテ
北海道・美唄 ハスカップ
◇Surlonge Shorthorned de Bouef/シュルロージュ ショーソーン ド ブッフ
秋田・鹿角短角種 “かづの牛”サーロイン
岩手・北上雪の下人参、北海道・美唄 山わさび
◇Avant Dessert / アヴァン デセール
鹿児島・喜界島 白胡麻
◇Grand Dessert / グラン デセール
チュロス、愛媛・岩城島橙
〜紅茶の香り~
◇Café au Thé / カフェ オウ テ
珈琲
◇Arrière Goût / アリエル グー
~ 残響 ~
<ペアリングワイン>
◇Standard Pairing
・Champagne Telmont Réserve Brut
・Friedrich Becker Petit Rosé 2023
・Ximénez-Spínola Exceptional Harvest 2023
・Belgvardo Vermentino Maremma Toscana DOC
・Meursault du Château 2022
・PINTIA 2017
・La Pousse d'Or Clos des 60 Ouvrées Volnay 1er Cru 2020
特に印象に残った料理は
まず「クルヴェット エ キャヴィア」。
熊本・天草の車海老を軸に、氷見の甘海老、白海老と続く三重奏。口に含むと、それぞれの海老の異なる甘みと質感が波のように押し寄せてくる。中央の車海老はぷりっとした茹で加減、生の甘海老を中に忍ばせたその構造はまるで食感のトリックアート。白海老は軽やかにソテーされ、最後にほんのりと香ばしさを加える。これらをまとめ上げるのがフランス産キャビアと、オマールなどでとったコンソメのジュレ。まるで海のエッセンスを閉じ込めた宝石のような一皿。赤ピーマンとビネガーのソースが軽やかな酸味を与え、甘みの奥にある複雑さを引き出す。
この料理に合わせて供された「Friedrich Becker Petit Rosé 2023」は、その繊細なベリー系の果実味と爽やかな酸味が、3種の海老の旨味と見事に調和していた。全体に清涼感を与え、料理の輪郭を鮮やかに際立たせてくれる。エレガントながら親しみやすく、実に秀逸なペアリング。
続いて「パテ アン クルート」。
比内地鶏、津軽鴨、備後仔猪、そこにフォアグラという贅沢な肉たちをパイ生地で包み、ピスタチオやアプリコット、ヘーゼルナッツ、パセリとともにしっとりと焼き上げられている。重厚な味わいながら、噛みしめるごとに異なる素材の風味が層を成し、まるでオーケストラの演奏のよう。上から注がれたルビーポルト入りのコンソメジュレが冷たく、しっかりとした肉の旨味を包み込み、コントラストを生み出す。付け合わせのビーツのマリネが、甘みと酸味を足して実に巧妙。
「ポワソン アマダイ エ クリザンテーム」は甘鯛の鱗焼き。
パリパリとした鱗の香ばしさと、しっとりとした身のコントラストにまず驚かされる。春菊と出汁のソースは、ほろ苦さと旨味のバランスが秀逸。付け合わせの菊芋と生海苔がさらに味のレイヤーを深めていく。とりわけこの生海苔の風味の強さには驚かされた。
そして「ターボット」。
10kg級の鮃を低温でじっくりポッシェ。火入れの加減が絶妙で、ふっくらとしながらも輪郭のある味わい。上に散らされたパン粉や炙られた鮃の卵が香ばしさを足し、濃厚なスープ・ド・ポワソンと絡み合う。ソースの深みとフェンネルの爽やかさ、ポロネギの甘さが一体となり、複雑ながら一貫性のある構成美を感じる。
「シュヴルイユ」、蝦夷鹿のローストは特筆に値する。
熟成させず、ヘッドショットで瞬時に仕留めた鹿は、雑味がなく繊細かつ力強い。フォアグラと木苺のソースが甘みとコク、酸味の三重奏で肉の魅力をさらに引き立てる。噛むほどにじわりと広がる旨味に、思わず頬がゆるむ。
また、この料理に合わせて提供された「PINTIA 2017」は、深みのあるタンニンと凝縮感たっぷりの果実味、そしてほのかなスパイスのニュアンスが印象的。余計な重たさを感じさせない洗練されたバランス、ジビエの持つ野性味を包み込むように支えながら、時折スパイシーな余韻で輪郭を与えていたのが印象的。
最後の「チュロス、愛媛・岩城島橙」。
紅茶で香りをつけたチュロスに、オレンジのカスタードクリーム。柑橘の酸味と甘さ、紅茶の香りが見事に調和して、口の中でデザートのアロマがふわりと広がる。シトラスの爽快さが、食後の余韻として記憶に刻まれるよう。
接客については、とても心地よい体験だった。シェフやソムリエが料理の背景、素材の話、なぜこの一皿になったのかを丁寧に語ってくれ、単なる「説明」を超えた「物語」を感じる。とくにシェフの熱量がすごく、産地との関係性や現地でのエピソードも交えてくれたことで、料理が一層深く感じられた。ソムリエもワインとの相性を熱意を持って伝えてくださり、ペアリングの妙が際立った。
総括としては「L’ARBRE」さんは、料理、空間、接客の三位一体で完成された大人のレストラン。素材の持ち味を最大限に活かし、クラシックな手法に現代的な感性を融合させた「ニュー・クラシック」の世界観が堪能できる。すべての皿にストーリーがあり、食べ手をその物語の一部に引き込んでくれるような不思議な没入感があった。品川という大都市にひっそりと佇む隠れ家で、こんなにも豊かな“余韻”に包まれるとは、まさに至福。贅沢で静謐な夜を求めるなら、間違いなく候補に挙がる一軒。
L'ARBRE
2025/05/03
この度は再び当店へ足を運んでいただき、またお忙しい中
心のこもったご感想をお寄せいただき誠にありがとうございます。
料理、空間、接客のすべてにおいて深く味わい感じ取っていただけたことが伝わり、
スタッフ一同大変嬉しく存じます。
店内の雰囲気から料理の細部に至るまでじっくりと味わい尽くしてくださったことは、
私たちにとって何よりの喜びです。
特に「クルヴェット エ キャヴィア」の繊細な構成や、
「パテ アン クルート」の層のある味わい、
「シュヴルイユ」の奥深さなど、一皿ごとのこだわりを感じ取っていただけたこと、
大変光栄に思います。
料理人が心血を注ぎ、産地へ赴き、最高の食材を厳選して生み出す一皿の背景まで、
物語として受け止めていただけたことは当店が目指している料理の在り方そのものです。
また、ワインペアリングについても細やかにご感想をいただきありがとうございます。
ソムリエが選び抜いたワインがそれぞれの料理と響き合い、
味わいを際立たせるという感覚を共有していただけたこと、大変嬉しく存じます。
ワインと料理が互いに高め合う瞬間を楽しんでいただけることこそ
ペアリングの真髄と考えております。
さらに、シェフやスタッフとの対話を通して
料理の背景や素材の魅力を感じ取っていただけたとのこと、
まさに当店が目指す“食の物語”に共鳴していただけたようで心から感謝申し上げます。
ただ料理を味わうのではなくその一皿に込められた情熱や工程までも
楽しんでいただけるよう、これからも精進してまいります。
今回もまた、当店でのひとときを存分に堪能していただけたこと、
そして再訪を心待ちにしてくださっていること、大変嬉しく存じます。
次回もさらに特別な時間をお届けできるようスタッフ一同心を込めてお迎えいたしますので、
ぜひまたお越しくださいませ。
改めまして、素敵なご感想をありがとうございました。
またのご来店を心より楽しみにしております。
2025/05/03 更新
品川駅高輪口から徒歩約6分のところに、「L'ARBRE」さんはある。
前回ディナーで訪れた際にとても印象的だったので、今回はランチに伺った。
◯注文した料理:
♢Menu Déjeuner
・Amuse Boushes
*長野•飯田 活 天龍稚鮎,鳥根•出雲 実山椒,胡瓜,鮎藝
*鹿児島・三ツ星カンパチ、富山・氷見 蛍烏賊、山形・藍の遊
・Composition de Grand Crabe
コンポジション
北海道•渡島 大楚蟹,岩手•北上 一牛
・Pâté En Croûte
岩手•花卷 石黑農場 木口本口烏,京都。七谷鴨
宮城・栗原 関村牧場 漢方三元豚,フォアグラ
・Filet de "Mahata", Poisson 6lanc noble du Japon
鹿児島・真羽太
~ソース・ノイリー~
・-Viande- Côte de porc noir "ENIWA NERO"
恵庭”ENIWA NERO”純血統六白黒豚骨付きロース
岩手•北上 発酵菊芋
・Churros Infusés au Parfum de Thé Noir
チュロス、愛媛・岩城島橙~紅茶の香り~
・Café au Thé au Infusion
珈琲又は紅茶又はハーブティー
・Arrière Goût
~残響~
♢Consommé triple
トリプルコンソメスープ
♢Standard Pairing
・Telmont Réserve Brut
・Girasole Vineyards Pinot Blanc
・Château de Sours La Rosée
・Puligny-Montrachet Le Trézin 2016
・STAG'S LEAP NAPA VALLEY PETIT SYRAH 2019
特に印象に残った料理は
●Composition de Grand Crabe
冷製仕立てのジュレとムースを組み合わせた前菜で、届いたばかりの北海道産ズワイ蟹の身が盛り付けられている。
ひんやりとしたジュレの口当たりが、口にした瞬間から季節の涼を感じさせる。繊細な繊維を残した北海道産大ズワイ蟹は、海の滋味をぎゅっと凝縮し、香りと旨味が静かに波紋のように広がる。そこに滑らかで甘みを帯びたリーキのムースが重なり、温度と質感の対比が妙。厚みあるガラス皿の凹凸が光を受けて煌めき、ジュレの透明感を際立たせる様はまるで静謐な海中世界のようだった(笑)
●Filet de "Mahata", Poisson Blanc noble du Japon
鹿児島産の高級魚・真羽太(マハタ)を香ばしく焼き上げ、ノイリー酒ベースのソースで仕上げた魚料理。
真羽太の切り身は、皮目の香ばしさと、内側のしっとりとした白身のコントラストが鮮烈。淡白ながらも脂の乗った身から滲み出る旨味に、ノイリー酒と生クリームをベースにしたソースが絡み、繊細さの中に華やかさを忍ばせる。ペアリングされたPuligny-Montrachetのミネラル感が余韻を引き締め、香味のリレーが美しく響き合う。
●Consommé triple
鶏・鴨・牛の出汁を重ねて引き出された、澄んだトリプルコンソメスープ。
白磁の蓋を外すと、ふわりと立ち昇る濃密な香りがまず衝撃。鶏・鴨・牛の三種が織り成すコンソメは、透明でありながら層の深さに圧倒される。口に運べばゼラチン質が舌を包み、香りと旨味が一気に咲き乱れるように広がる。香り、味、温度のすべてが一体となった、純粋無垢な一杯。体の芯にじわりと沁みる感覚。
●-Viande- Côte de porc noir "ENIWA NERO"
北海道・恵庭の純血統黒豚「ENIWA NERO」を骨付きでロースト。ザリガニのソースと共に供されるメインの肉料理。
肉の断面に宿る脂の艶にまず惹かれた。焼き上げられたロースから溢れるのは、甘みのある脂と、しっかりとした赤身の野趣。甲殻類の香ばしさとコクを携えたザリガニのソースが寄り添い、肉の旨味をさらに膨らませる。ペアリングされたPETIT SYRAHの濃密な果実味とタンニンが肉の存在感を際立たせ、香り高い余韻を残す。インカの目覚めのほっくりとした甘み、フキのリエットのしっとりした塩味とあいまって、構成の美しさに唸る。
●Churros Infusés au Parfum de Thé Noir
柑橘香るチュロスを中心に、紅茶ゼリーやカスタード、果実が美しく構成されたデセール。
見た目以上に香りと味が繊細に交錯するデセール。チュロスの表面はさくりと軽く、中から香る柑橘のフレーバーが広がる。添えられたカスタードのやわらかな甘み、紅茶の香り、果実の酸味がほどよく調和し、口の中に物語のような流れをつくる。
サービス面においては、シェフ、ソムリエ、スタッフさんの対応はすべてが心地よい。押し付けがましさのない案内は、料理の魅力を純粋に伝えてくれるものだった。
総括としては「L'ARBRE」さんは、素材の本質と向き合うことに真摯な姿勢を貫き、それを洗練された構成と演出で見事に昇華させるレストランだ。一皿ごとの完成度はもちろん、全体の流れとペアリングの設計にも明確な意図と哲学があり、食後には静かな感動が残る。料理を通じて、土地と季節と人の想いを伝えるという、フレンチの美学が息づく一軒だ。