5回
2025/04 訪問
必ず伝説となるパティスリー
京阪出町柳駅から叡山電鉄に乗り換え、一乗寺で下車。そこから徒歩5分くらいの住宅街に佇むのが、神戸時代のイデミスギノでも研鑽を積んだ山口シェフが2009年にオープンした、「パティスリータンドレス」です。
シェフの卓越した技術とセンスが、味・食感・香り・外観・温度ともに完璧なフランス菓子を構築します。その複雑さと奥深さは、一切れのケーキを芸術品たらしめ、哲学的要素さえ与えています。
今回は3種類テイクアウトしてきてもらいました。
ニュイ・ドゥ・マントゥ 870円
フレッシュミントの香りを移した白いババロアとブラックチョコレートの2色のムースです。
パリパリのチョコとなめらかなムース、ふわふわのジェノワーズ・ショコラの食感のコントラストが楽しいです。トップの透明なナパージュは涼し気な雰囲気を醸し出しています。ミントミントしすぎない、上品な清涼感のお菓子です。
ランダルー 1050円
エキゾチックフルーツ(マンゴー、パッションフルーツ、バナナ)のジュレがオレンジのムースに包まれた上段、そしてオレンジの果実がミルクチョコレートのクリームに覆われ、それがさらにフランス ディジョン地方の銘菓であるパン・デピスで包まれた下段で構成されるケーキです。オレンジのムースは酸味の少ない甘いムース(少し意外でした)。ジュレはブリン!と弾力があるタイプで、ムースとの食感の違いが際立ちます。パン・デピスのスパイスと南国のフルーツ、チョコレートが不思議なハーモニーを奏でる上等なお菓子でした。
タルトレット・シトロンヴェール・オ・ジャンジャンブル 950円
なめらかな生姜のマスカルポーネクリームにライムとフランボワーズを組み合わせたタルト。タルト生地はザクザク。ライムがいい仕事をしていて、生姜をマスカルポーネやフランボワーズと繋げて違和感なく美味しいお菓子に仕上がっています。また見つけたらぜひ味わいたい一品です。
今回の3品はいずれも清涼感溢れるアロマティックかつエキゾチックなもので、季節外れの暑さの休日にぴったりのケーキでした。
下手に扱えば「変な組み合わせ」「芳香剤みたいな香り」になりかねない素材でも、完璧な調和に仕立て上げるのが、ここタンドレスです。ラインナップが週替わりで変化していくのも楽しく、そのラインナップは季節や旬といった時間的要素の他にも、もしかすると天候や気温も予測して選ばれているのではと最近は思っています。見た目、味、食感、香り、独創性、温度管理など、日本一のパティスリーだと思っています。
ごちそうさまでした。また伺います。
2025/04/21 更新
2025/03 訪問
必ず伝説となるパティスリー
京阪出町柳駅から叡山電鉄に乗り換え、一乗寺で下車。そこから徒歩5分くらいの住宅街に佇むのが、神戸時代のイデミスギノでも研鑽を積んだ山口シェフが2009年にオープンした、「パティスリータンドレス」です。
シェフの卓越した技術とセンスが、味・食感・香り・外観ともに完璧なフランス菓子を構築します。その複雑さと奥深さは、一切れのケーキを芸術品たらしめ、哲学的要素さえ与えています。
今回は、一品イートイン、二品テイクアウトしてきました。
ピエモン 930円
上からライムのシロップ(グラサージュ)、ライムのホワイトチョコレートムース、ピスタチオのスポンジ(ビスキュイ)、フランボワーズのかくされたパッションフルーツのクリーム、ピスタチオのスポンジ、と層になっています。ライムの清涼感が際立つケーキで、ピスタチオとクリームの甘さと、パッションフルーツとフランボワーズとライムの酸っぱさのコントラストが素晴らしく美味しかったです。
ヴァルス・デ・シトロン 910円
3種類のレモンクリームとレモンのパン・ド・ジェーヌ、レモンのコンフィ、レモンのメレンゲと、6つのレモンのパーツとサブレから構成されたお菓子です。レモンコンフィのほろ苦さがアクセントになっていました。底のサブレ以外は全てレモン風味なのに食感でしっかりコントラストがついているという、いかにもタンドレスらしいお菓子です。上のメレンゲは、持ち帰りでは別添えになるようでした(今回はイートインしたので、乗った状態で運ばれてきました)。
ファンテジー 1040円
ライチとピスターシュヌガーが入ったハチミツのバタームースとフランボワーズのジュレで構成されています。フランボワーズのジュレの層が厚く、ライチもたっぷり入っていて、また生地の部分が少ないこともあり、果実感が強かったです。華やかな味わいのお菓子でした。
意外な素材の組み合わせながら完璧な調和がとれており、食感や味のコントラストもくっきりしています。
店内はいつもちょっとバタついていて落ち着かないオペレーションですが、それを補って余りある、唯一無二の素晴らしいケーキです。
ごちそうさまでした。
ヴァルス・デ・シトロン 910円
ファンテジー 1040円(左) ピエモン 930円(右)
ファンテジー 1040円(奥)ピエモン 930円(手前)
ショーケース
ショーケース
ショーケース
ショーケース
コンフィチュールと焼き菓子
2025/04/01 更新
2025/02 訪問
必ず伝説となるパティスリー
京阪出町柳駅から叡山電鉄に乗り換え、一乗寺で下車。そこから徒歩5分くらいの住宅街に佇むのが、神戸時代のイデミスギノでも研鑽を積んだ山口シェフが2009年にオープンした、「パティスリータンドレス」です。
シェフの卓越した技術とセンスが、味・食感・香り・外観ともに完璧なフランス菓子を構築します。その複雑さと奥深さは、一切れのケーキを芸術品たらしめ、哲学的要素さえ与えています。
イートインでもテイクアウトでも、まずお店の中に入ってケーキを選びます。イートインは満席であれば外に座って待ちます。時間に余裕があるときがおすすめです。
今回は一品イートイン(シナモンティーをカップで頂きました)、4品+焼き菓子をテイクアウトしました。
メルヴェイユ・デ・ジャルダン 1100円
イートイン限定のプチガトーです。運ばれてくるといちごがふわっと香ります。土台は中央がメレンゲ、その周りはマジパンをベースにした生地を絞ったものです。その上にピスターシュのムースリーヌに赤い果実がたっぷりと乗せられています。
マジパンベースのフールポッシュはネットリとヌガーのような食感で、サクサクのメレンゲと対照的です。ピスターシュのクリームは口当たりよく濃厚で、キンキンのラズベリーと完熟の冷たいいちごとよく合います。高々と積み上げられたいちごは、そのものがみずみずしくとても美味しいです。このひとつのプチガトーで、構成される要素の食感の差はもちろんのこと、温度の差も美味しさの秘訣となっています。「いちごが崩れる」「メレンゲがしっける」「構成要素の温度がすべて一緒になる」からイートイン限定なのだと思います。温度までこだわるケーキ屋さんはそうそうありません。
ヴィクトリア 890円
覚めるようなマンダリンオレンジとバニラビーンズたっぷりのホワイトチョコレートのババロア、チョコレートの水分量の多い粗なスポンジの3層のプチガトーです。端がしましま模様で可愛いです。マンダリンの酸味と濃厚なホワイトチョコレートの甘み、土台のチョコレートスポンジの苦みが調和しています。3つの生地は口の中で同時に消えていき、絶妙な後味を残します。
パッション・キャフェ 870円
パッションフルーツとコーヒーの組み合わせのプチガトーです。パッションのジュレ、コーヒー風味のババロア、パッションのスポンジ、甘く苦いコーヒーのスポンジ、パッションのババロア、さっくりとしたスポンジ、と6層になっています。意外な組み合わせですが調和がとれており、なかなかおしゃれなケーキです。
ラヴリーヌ 870円
ヘーゼルナッツ尽くしのケーキです。ヘーゼルナッツがこれでもかと入ったスポンジと、ヘーゼルナッツのプラリネのバタームースが重ねられています。タンドレスのケーキの中ではシンプルな部類に入り、家庭的な暖かみを感じます。ヘーゼルナッツのお菓子というとヘビーなイメージですがこのケーキはそうではなく、滑らかで軽いバタームースと雲のようなスポンジに驚かされました。
スリー 990円
ソーテルヌ(極甘口の貴腐ワイン)をたっぷり使用したムースに白桃、パイナップル、キイチゴが入っています。ムースのなめらかさ・やわらかさと、ダコワーズ生地との食感のコントラストが素晴らしいです。ムースはほとんど砂糖が加えられていないのか、ワインの自然な甘みと風味が楽しめます。値段は張りますが、大人のための極上のケーキです。サクサクの湿気を避ける&ムースの崩れを避けるために、本当はこれもイートインがよいのだろうと思います。
シェフの技術とこだわりに敬意をもって持ち帰り、味わうために、保冷バッグの持参がおすすめです(プチガトー4~5つまでなら、幅18*奥行き12*高さ8.5cmの箱が入れば大丈夫です。アントルメであれば、幅20cmあるようなものがよいです)。
何度でも通いたい、大好きなケーキ屋さんです。
ごちそうさまでした。
2025/02/02 更新
2024/10 訪問
かならず伝説と化すパティスリー
京阪出町柳駅から叡山電鉄に乗り換え、一乗寺で下車。そこから徒歩5分くらいの住宅街に佇むのが、神戸時代のイデミスギノでも研鑽を積んだ山口シェフが2009年にオープンした、「パティスリータンドレス」です。
シェフの卓越した技術とセンスが、味・食感・香り・外観ともに完璧なフランス菓子を構築します。その複雑さと奥深さは、一切れのケーキを芸術品たらしめ、哲学的要素さえ与えています。
かつてのイデミスギノ同様、イートイン限定のケーキもあります。また、テイクアウトのケーキには「冷蔵庫から出してすぐ」「冷蔵庫から出して5分で」といった食べ頃を記載した説明書(「本日のメニュー表」)がついているほど、美味しく食べるためのこだわりが垣間見えます。持ち帰る際につけてくださる保冷剤の数も、ほかのパティスリーではあり得ないほどの多さです。底の広めの保冷バッグを持っていくと、マダムが丁寧に詰めてくださいます。
来店の際は公式Twitterをチェック推奨です。また公式HP(https://tendresse.jp/sp/)に今週のケーキのラインナップが掲載されます。
これを読んだ皆様には、京都何位とか、点数がどうとか、百名店がどうとか、ぜひ先入観をもたずに味わって頂きたいなと思います。
心のこもった最高のケーキ屋さんです。これからも、何度でも通いたいと思います。
2024/10/14 更新
京阪出町柳駅から叡山電鉄に乗り換え、一乗寺で下車。そこから徒歩5分の住宅街に佇むのが、神戸時代のイデミスギノでも研鑽を積んだ山口シェフが2009年にオープンした、「パティスリータンドレス」です。
シェフの卓越した技術とセンスが、味・食感・香り・外観・温度ともに完璧なフランス菓子を構築します。その複雑さと奥深さは、一切れのケーキを芸術品たらしめ、哲学的要素さえ与えています。
今回は3種類テイクアウトしてきました。
洋梨とアールグレイ 930円
洋梨とアールグレイのババロアを重ねたシャルロット(ビスキュイの外枠の中に、ババロアやムース、フルーツなどを詰めたもの)です。洋梨のババロアとアールグレイのババロア、そして洋梨のジュレも入った手の込んだつくりです。梨と紅茶が暖かみのある秋の雰囲気を醸し出しています。お酒と紅茶がふわっと心地よく香り、ビスキュイとババロアのやわらかさも相まって、優しい印象のプチガトーでした。
ピエール・ブリオッシュ 1100円
トーストしたブリオッシュとビールのババロアが組み合わされたガトーで、中には洋梨が入っています。斬新な組み合わせの唯一無二のケーキで、2020年のクリスマスケーキでもありました。ビールの香りはあまり目立ちませんが、苦味と味が印象的でした。ブリオッシュはバターがよく香り、とても美味しかったです。洋梨がビールとバターを上手くつなぐ役割をしていると思いました。
レリゼ 1180円
ローストアーモンドのビスキュイ、りんごとグレープフルーツの入ったブランマンジェとマロンババロアの2種のババロア、メレンゲで構成されています。食感がとても面白いガトーで、アーモンドとマロンのつぶつぶ、リンゴのシャク感、グレープフルーツのプチ感が楽しめます。材料が多いですが不思議な均衡をもってバランスが取れている、とても美味しいケーキでした。
今回も本当においしいお菓子を頂くことができました。
賞レースには参加されない山口シェフですが、味、見た目、食感、構成する素材の組み合わせとそのバランス、香り、温度管理など、日本一のパティスリーだと思っています。
また伺います。ご馳走様でした。