3回
2023/02 訪問
醤油ラーメン@天よし食堂
2022年の暮れ、広面(ひろおもて)の〈佐々辰酒店〉で正月用の酒を買った際、道を間違えたか何かの拍子で偶然〈天よし食堂〉の前を通ったら「営業中」とあった。確か「しばらく休みます」との貼り紙が店頭にあったはず……まさか再開しているとは思ってもいなかった。このお店は、創業当時がそのまま今に残っているような外観と店内、そして値段がもう……
このラーメン400円(税込/2023年現在)なんですよ。1度記事にしているけど、何度だって書いてもいいと思う。スープがとても良かった。ちょっとぬるいかもしれない、麺もいささか伸び気味かもしれない、でもそんなことはどうだっていい。小母さんが店を再開してくれて、再びこのラーメンを味わうことができた、それがただ嬉しい。
さて料理が来ましたよ。前回はスマホで撮影したためアウトフォーカスになってしまったが、今回は抜かりなくiPadにて撮影した。叉焼、メンマ、ネギ、ナルト、そして海苔が載っていますね。絵に描いたような昔のラーメンだけど、スープを飲んでみるとやはりおいしい。鶏ガラがよく効いている動物系がメインのスープ。
〈渡来亭〉でハヤシライスを食べた時、店主が「昔のラーメンが好き」というので天よし食堂を勧めたら「50年通っています」と。しばし〈天よし食堂〉で盛り上がったけど、店主は「あのスープの作り方を教えてもらった」とも。今のラーメンとは違うかもしれないが、個人的にはこういうほうが好みだ。末長く営業してくれるのを切に願う。
【付記】
50年、ということですから1970年代に創業したのではないかと思われます。そして当時のまま現在(2023年)まで続いているんでしょうね。
2023/02/12 更新
2021/12 訪問
醤油ラーメン@天よし食堂
とある休日、秋田市内方面に向けて車を走らせた。大衆食堂や中華料理店、蕎麦屋巡りをするのが唯一の楽しみ、ではなくて楽しみのひとつとなっている。今回は秋田市広面(ひろおもて)の〈天よし食堂〉である。余裕のある時にネットで情報を収集して訪問先を決めることが多いが、今回はもう一目惚れと言っていいほどだ。昭和感たっぷりのヴィジュアルに惚れた。
店の駐車場は2台しか停めることができないので駐車できるかどうか心配したけど、どうやら先客はないようで店前に停めることができた。入店すると……まあものすごい昭和感で、自分の年齢より年季が入っているのではないかと思われた。いったい、いつからこの状態で営業しているのだろうね。店は小母さんひとりで切り盛りしているようだ。
壁に貼られたメニューを見ると、なんとまあ安い値段で提供しているんだろうと驚かされる。かけそば/うどん300円、親子丼450円、焼きそば330円、かつ丼/天丼550円、カレーライス400円、チャーハン450円、そして今回注文する醤油ラーメンは400円である。いや、安くて大盛りの寒ドラ(寒風山ドライブイン)も真っ青になるくらいの値段設定である。
さて料理が来ましたよ。叉焼、メンマ、ネギ、ナルト、そして海苔が乗っていますね。それにしても画像のアウトフォーカスひどいなあ。3枚写したのに全部これだよ、前にもあったよな、そんなに使えないんだったら破棄するよ? しかもbluetoothでiPadに転送するのいつも失敗するよね? だからGoogleドライブにいったん保存する手間がかかるんだよ。ったくよ、ヤんなるね。
スープの色は醤油ラーメンとしては薄めかな。飲んでみると……ウソ、と思うほど鶏ガラのダシが効いており、塩分濃度は推定1.2%でじつに穏やかでまろやかな味わい。しかも秋田の醤油ラーメンにありがちな砂糖がほとんど入っておらず、高級中華料理店の清湯スープのようで思わず2口、3口と飲み進めずにはいられない。この味は鶏ガラでしっかりダシをとらないとできないよ?
それがいったいどういうわけでこの大衆食堂で出てくるのか、謎としか言いようがない。麺は昔風の中華麺でまことに素晴らしい。いささか伸び気味かもしれないが、そんなことは全くどうでもいいと思えるほどスープが素晴らしい。ああ、こういうスープにずっと出会いたかった、このスープに出会うために食堂めぐりをしているようなものだったんだ。
メンマの味付けも見事で、ここよりもっと甘辛い店はいくらだってある。叉焼も程よい味付けで見た目よりも分厚くて食べ応えがあるのが嬉しい。これよりもっと高くて貧相な叉焼もいくらだってある。海苔はシケているが、そんなことはホントどうだっていい。全体的に見事にできていて、このラーメンが400円というのはまったくもって驚く他ない。
驚くのはラーメンだけではない。しばらくすると「よかったらどうぞ」と小母さんがほうれん草の胡麻和えの小鉢を持ってきてくれた。秋田ではよくある(?)ことだけど、ラーメンに漬物(がっこ)が付いてくる。これはラーメンに合わせて食べるのではなく、単独で食べる。秋田に来た頃は困惑したが、ちょっとしたサービスと理解すればよい。
おそらく秋田で食べたどのラーメンよりおいしいと思う。ただひとつ能代の〈大須賀食堂〉を除いてね。これに近いラーメンは神戸は三宮センタープラザにある〈天賓飯店〉のラーメンだけど、今はもう閉店しているかも。食べ終わった後、幸福感に浸りながら小母さんに「本当においしかったです、ありがとう」と言ったら小母さんも笑顔になった。
もちろんこれは、私(乙山)の好みの範囲内での話でして、普遍妥当性があるわけではないのは当然です。私はこういう傾向のラーメン/中華そばが好きってだけのことなので。もし酔狂に追試する人がいたら笑ってやって下さいな。ま、そんなことをする人はいないと思うけどね。よくある「本当は教えたくない店」の典型的な例だと思った。
【付記】
広面方面に行ったら、もうここしか行かなくていいレベルですね。ただこれは好みの違いもありますので、今どきの流行ラーメンがおいしいと思う向きにはお勧めできません。他日、この味をもう一度味わおうと行ってみると「しばらくお休みします」との張り紙が。ただの「休業」であることを心から願う。またしてもひとつ、秋田の至宝が……
2022/04/06 更新
秋田市広面に用事があるので久しぶりに〈天よし〉に行ってみよう。スマホのナビ機能を使って手形トンネルを出て住宅街を抜けてすぐを右折し、案内に従ってしばらく走ると「ここで右折」と。えっでも信号ないんですけど? 〈マシンガン〉とか〈にぼすけ〉がある通りで、けっこうな交通量がある。無理ゲー感ハンパないな、とか思いながら待っているとようやく途切れができて脱出できた。
さて料理が来ましたよ。今回は「野菜ラーメン」にしてみた。キャベツ、モヤシ、ピーマン、シイタケを炒め、スープを張ったラーメンに乗せ、メンマとネギをトッピングしてある。スープは醤油ベースで飲んでみるとおそらく鶏メインのおいしい動物系。塩加減もちょうど良く、いつまでも飲んでいたくなる。ただし野菜炒めはちょっと火の通しが浅めかも。あまり気にせず食べ進めよう。
今日は麺のゆで加減がいいね。気のせいかもしれないけど、いささかゆで過ぎの時もあったように思う。スープがぬるいと感じることもあったけど、いいんだ。小母さんのワンオペ切り盛りだから、タイミングが悪いと料理が出てくるまでかなり時間がかかることもあるのでね。それもこれも含めて店を続けてくれる小母さんに感謝したい。いい野菜ラーメンだった、次は五目にしようかな。