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昼の点数:3.7
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~¥999 / 1人
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料理・味 3.7
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|サービス 3.7
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|雰囲気 3.7
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|CP 3.7
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味3.7
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| 酒・ドリンク- ]
ハヤシライス@渡来亭
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ハヤシライス
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外観
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コンソメスープ
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2022/04/10 更新
今回は秋田市桜に来ている。目的はただひとつ、ハヤシライスを食べるためである。秋田はなぜかハヤシライスを提供する店が少なく、ネットで調べた限りでも10数軒しかない(男鹿/南秋/山本/能代/秋田市内に限る)。ハヤシライスが普及しなかった原因は不明だが、カレーのほうがわかり(受け)やすく、作りやすかったこともあるかもしれない。
もうひとつ、東文化圏では概ね豚肉中心の食生活であり、別名ハッシュドビーフのハヤシは牛肉を使うということで敬遠された可能性もあると思う。いずれにせよ、圧倒的多数で普及しているカレーに比べ、ハヤシは驚くべき少数派なのが秋田の現実といえる。今日は〈渡来亭〉というわりと評判の良い店にした。大町や川反(かわばた)に比べて駐車しやすいのも理由のひとつだ。
だいたい開店時間ちょうどくらいになるよう出発し、滞りなく到着。店の駐車場に安心して車を停め、店の前まで来ると「定休日」の表示が! あれ、今日はその日じゃなかったはずだけど? 残念だな、と踵を返そうとしたら入口で物音がしてドアが開き、店主と思しき人物が「どうぞ」と言ってくれた。いま帰ろうと思っていたところなんですけど、いいですか、には「どうぞどうぞ」と。
食べるものは決めてあるのでカウンターに就くなりハヤシライスを注文した。客は私1人だけだったので店主はおもむろに(急がぬ様子で)お茶を置いてくれ、スプーンをセッティングしてから料理にかかった。注文を受けてから材料を刻み、軽く炒めてからソースで煮込むようだ。しばらくすると「スープをどうぞ」と出してくれたのはコンソメスープ。色が、綺麗ですね。
浮き身はクルトンではなくフライド・オニオン、そして乾燥パセリ。飲んでみると中々おいしい。スープを飲んでいるうちにハヤシライスが来ましたよ。具材は玉ねぎと肉、ソースの色からデミグラス主体と思われる。トマトとレタス、福神漬が添えられている。ソースは予想通りデミグラス中心で隠し味にケチャップとウスターソース、かな。店主曰く「ダブルソースになっています」とのこと。
食べてみると、うむ、おいしい。昔ながらの食堂のハヤシではなく、洋食店のハヤシだ。ソースのとろみは薄めだが、デミグラスは他の料理にも使うのでさほどとろみを付けないのだと思う。肉は牛肉で部位はハラミですね。この店は「ハラミ」とメニューにちゃんと書いてあるのがいい(ハヤシには未記載)。価格も良心的で昔ながらの実直さを通している感じ。
黙々と食べていると店主が「若い方でハヤシライスを注文するのは珍しいですね」と。いやそんなに若くないんですけど……と思いながら、秋田でハヤシライスを出す店は少ないんですよ、と応えた。そんなに若く見えるのかな、他の店でも若い人たちと一緒くたにされたし。まあいいか、店主は黙っているより話をしているほうが好きな人のように思われた。
少し話していると、ひょんなことからラーメン話になり、店主が「昔からある中華そばが食べたいですね、今のラーメンはちょっと」というので、それなら少し離れてますけど広面の天よしさん(天よし食堂)とかいいんじゃないですか、お勧めします、と言った。「へぇお若いのに天よしの良さがわかるんですか」と店主は言い、「もう50年近く通ってますよ」と。
だからそんなに若くないんですけど……と思いながら「天よし話」で盛り上がった。いやホント食堂であのスープが出てくること自体がもう奇跡、とか、麺が伸びてるとかスープがぬるいとか海苔がシケてるとか、そんなこと本当にどうだっていいって思えるくらいスープの出来がいい、と笑いながら2人とも「天よしファン」であるのを確認できた。
「あのスープの作り方、教えてもらったんですよ。そりゃ50年も通えば教えてもらえますよ」と。別れ際に「昔ながらの洋食がお好きなら〈キッチン一番〉をお勧めします」と、店主はガチの本音を教えてくれた。洋食屋の店主おすすめの店ならうまいに決まっている、他日必ず行ってみようと心に決めた。秋田で最初のハヤシライスをこの店で食べられて本当に良かった。
【他日】
このやり方は〈煉瓦亭〉なんです、昔いろんな店を渡り歩きましたから、と店主が話してくれました。人柄の良さが顔に表れていますね。他の方も書いてらっしゃるように気さくな店主の魅力も大きいかと。