5回
2024/02 訪問
かまあげそば980円他
蕎麦前ドランカーにとって最幸になれる在処がある。石神井公園にある「蕎麦と酒処きくち」だ。ご店主は酒に精通し、肴はどれも絶品だ。生粉打ちの蕎麦は極上である。先日も気持ちよく酔わせてもらったが、最後に頂いた表題の衝撃たるや凄まじかった。
こちらの蕎麦はギリギリの水回しで繋いでるかのようで密度がある。味が濃く風味が強いのは自家製粉や産地の選定に優れているからだろう。たおやかな身のこなしと喉越しの良さは、延しに秘訣があるのだろうか。実に素晴らしい。この日は隣席の紳士から激しく勧められたこともあり、〆には「かまあげそば」を所望した。
この一杯。湯に溶け出した濃厚な香りと味が、器の中で絶品の蕎麦に戻し込まれる。恐ろしく強い一体感が現れていた。途轍もない旨さだった。初めて釜あげを汁完した。
この「かまあげそば」は既に傑作であるが、大いなる可能性を秘めてるようにも感じる。そばがきのように塩のみで調味すれば正に塩蕎麦だ。まぁ、その辺りはキモラヲタの妄想なのでご容赦を笑。それにしても凄い蕎麦職人である。この日も大変感動した。どうも有難う。
2025/02/05 更新
自家製粉。手打ち。に夢中なこの頃。きくちさんの蕎麦会へ。蕎麦前は八寸と日本酒で。お燗がどうにも止まらない。佐賀の唐津在来のそばがきからスタートだ。実を挽いた香ばしさとほんのりとした甘みある穀物感がいい。柔らかくふっくらと。蕎麦由来だろう仄かな塩味が香りと旨味を押し出して来るかのよう。正に絶品だ。蕎麦は挽き方、打ち方、茹で方が様々な六つの産地を。
一枚目のにじゆたかに始まって、喜多方在来、八尾在来と青味がかった味わいが続く。四枚目の筒川在来にさしかかると、一転して緑味が際立ってくる。初めの太く温もりある口当たりから、徐々に細身でひんやりと。緩やかな温度帯の低下と食感の強まりが食べ比べの流れを引き締める。それぞれの風土の香りが色濃く鮮明で、蕎麦の本質は香りであると改めて。五味の輪郭すら霞むほどだ。凄まじい。〆には代名詞とも言えるかまあげを。酒も泣けるほど旨かった。貴重などぶろくには心からの感謝と大きな感動を。京都の筒川在来の撮り損ねだけが惜しむらく。年末の蕎麦会も楽しみに。どうも有難う。