1回
2025/10 訪問
鳥さとヒトサシ飯
鳥さと
2025/11/16
このたびは、心のこもった素晴らしいご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
一文一文にお客様の丁寧な視点と温かいお気持ちが感じられ、スタッフ一同感激しながら拝読いたしました。
お料理の一つひとつに対して、香りや食感、余韻まで細やかに感じ取ってくださり、「焼き鳥」という枠を超えて私たちが大切にしている“和の一皿”としてお楽しみいただけたこと、大変嬉しく思います。
特に、焼き加減や塩・タレのバランス、そして希少部位や締めのカレー、プリンに至るまで深く味わっていただけたお言葉は、焼き師にとっても何よりの励みです。
また、空間や雰囲気についても温かく受け止めてくださり、「喧騒を忘れて食に没頭できる場所」と感じていただけたことは、私たちが目指している理想そのものです。
これからも、一串一皿に心を込め、訪れてくださるお客様に穏やかで豊かな時間をお届けできるよう精進してまいります。
またお会いできる日を、スタッフ一同心より楽しみにお待ちしております。
鳥さと スタッフ一同
2025/11/02 更新
新橋の雑居ビルの一角にある「鳥さと」は、喧騒の中にひっそりと佇む上質な焼き鳥屋だ。外観は控えめだが、暖簾をくぐると木の温もりを感じる落ち着いた空間が広がっている。照明は柔らかく、カウンター越しに焼き台が見える構成。焼き師の丁寧な手つきや、炭の香ばしい匂いが心地よく、焼き鳥好きにはたまらない雰囲気だ。客層は大人が中心で、接待やデート、一人飲みにも似合う。スタッフの所作も穏やかで、料理の説明や酒の提案も押しつけがましくない。全体的に“静かに良いものを楽しませる”という姿勢が感じられる店だった。
この日は「鳥さとコース」を注文した。最初の「季節の先附」は、かぼちゃの胡麻豆腐。ねっとりとした口当たりに胡麻の香りが広がり、かぼちゃの優しい甘みがあとを引く。そこに大根おろしが添えられ、次の串へ向けて舌を整えてくれる。序盤から繊細で、焼き鳥屋というより小料理屋の一皿のような印象だ。
続く「かしわ(タレ)」は、炭火の香りをまといながらも肉の旨味が濃く、タレの甘辛さとしっかり調和している。噛むたびに肉汁がじゅわっと広がり、舌に残る余韻が深い。「ぼんちり(塩)」は対照的に軽やかで、皮の脂が香ばしく弾ける。塩の加減が絶妙で、脂の甘さを引き出しつつ後味はすっきりしている。「鶏の西京焼き」はふっくらとした身に味噌のコクが染み込み、上品な焼き加減。焼き鳥の合間に挟むことで味の幅を広げてくれる存在だ。
野菜串の「トマト(塩)」は、焼きの技術が光る一本だった。外は軽く焦げ目がつき、中は熱々の果汁が溢れる。口に入れた瞬間に弾ける酸味と甘みの対比が見事で、コースの中で印象的なアクセントになっていた。「鶏むね肉の和風コンフィ」は低温でじっくり火を入れてあり、驚くほどしっとり。淡白なむね肉に、出汁のような旨味がしっかり染み込んでいて、ワインにも合う上品な味わいだった。
希少部位の「せんい」と「はらみ」は、焼き師の腕を感じる珠玉の二串だ。「せんい」は繊維質の弾力がありながら、噛むたびに深い旨味が滲む。「はらみ」は柔らかく、脂のノリが上品。どちらも火入れが完璧で、部位の特徴を最大限に引き出していた。さらに「焼き師おすすめ串」の「砂肝」は歯切れがよく、塩と炭香のキレが美しい。「特製手羽先」は外側がパリッと、中はジューシーで肉汁が溢れる。「せせりレモン」は香ばしさと爽やかさが共存し、次の串を呼ぶバランスの良さ。「つくね」はふわふわとした食感の中に鶏の旨味が凝縮され、タレの香りが深い。
コースの最後に「好きな串を2本選べる」という粋な趣向があり、迷わず「ちょうちん」をタレで注文した。黄身がとろりと弾け、濃厚な甘みが口いっぱいに広がる瞬間は、まさに至福。炭の香りとタレの深み、卵のまろやかさが一体となり、コース全体のハイライトだった。
食事の締めは「鳥さとカレー」。香り高いスパイスと鶏出汁の旨味が融合しており、焼き鳥屋のカレーとは思えない完成度。濃厚でありながら塩味が控えめで、疲れた舌にも優しい。デザートの「こだわり卵の濃厚プリン」は、卵のコクが際立ち、なめらかな舌触りが心地よい。ほろ苦いカラメルが全体を締めてくれる。
全体として、鳥さとは「焼き鳥を中心に、和の丁寧な一皿一皿を味わう店」だ。焼き加減、塩の振り方、タレの香ばしさ、そのすべてが計算されている。静かな空間で、一本一本に心を込めて焼かれた串を味わう時間は贅沢そのもの。派手さはないが、記憶に残る上質な体験を与えてくれる。新橋という立地にありながら、喧騒を忘れて食に没頭できる稀有な焼き鳥店だった。