1回
2025/11 訪問
鰻好きにも和食好きにも刺さる、入谷「のだや」体験記
入谷鬼子母神門前のだや
2025/11/19
assassin_karma 様
この度は、ご来店を賜りまして心より御礼申し上げます。
そして『天然かすみ極み特大コース』をお召し上がり頂きまして、重ねて御礼申し上げます。
さて、改めて当店のブランドうなぎの説明をさせて頂きます。
まもなく登場します『葵兼光うなぎ』は、“イソフラボン配合飼料”を与えて飼育する“次世代型”の活鰻です。
冬でも“身も皮も小骨も柔らかく、且つ、大きく育つ”理想の活鰻でございます。
『兼光うなぎ』『和匠うなぎ』は「単年飼育の若いうなぎ」です。
ですから、一年の間、四季折々、月齢と共に味を変化させていきます。
『共水うなぎ』は❝疑似四季飼育❞と云われる二年間飼育で育てた「大人のうなぎ」です。
その特徴の一つと致しまして、一年中、安定した味を実現していると存じます。
『全蒲協未来鰻』は、餌に“乳酸菌”を入れる事により、腸の動きが活発になり栄養分の吸収が進み、
味の濃い健康な活鰻が育つ“次世代型”の活鰻です。
『児島湾天然青うなぎ』は“入荷した時だけの裏メニュー”です。
「児島湾」の汽水域に生息して、“シャコ”を主食としているので『シャコうなぎ』とも呼ばれます。
天然活鰻ならではの、“野性味が強く、旨味が強く、脂身が美味しい”のが特徴です。
『霞ヶ浦天然黄金うなぎ』は、昔から“超一級品”として有名でございます。
“腹が黄金色で背が緑色”の1㎏前後の太物うなぎで調理する逸品は、滅多に食せない稀少品です。
昨今扱い始めた『浜名湖の天然うなぎ』も「浜名湖」の汽水域に生息して、“潮の香り”のする
自然な脂乗りと野性味のある味わいが特徴で、秋になると"体色が銀色になる大物"で「将軍うなぎ」とも呼ばれます。
本年度は“終漁”しましたが『三方湖天然口細青鰻』は「三方五湖」の汽水粋に生息して、
「共水鰻」を美味しくしたような“繊細な旨味”が特徴で、昔は“皇室御用達”に重宝されたそうです。
味のお好みはお客様各々でございますが、様々な美味しさを知って頂けるようにと願っております。
ゆえに、❝ブランドうなぎ❞の❝食べ比べ❞等も、当店ではお客様にお奨めしております。
assassin_karma 様に措かれましては 是非とも末永くご愛顧頂ければ幸いです。
2025/11/19 更新
入谷の静かな通りにひっそり構える「のだや」。鰻の名店として知られているけど、夜のおまかせを食べると、ここは完全に“鰻の美味しい日本料理店”だと分かる。一皿ごとに空気が変わっていって、気づいたらコースの流れに身を預けている感じになる。
スターターの 鱈白子豆腐 美味出し からいきなり本気モード。白子のとろみだけでも十分濃厚なのに、さらに中に クリームチーズが仕込まれていて コクの層がもう一段深い。出汁はきちんと和の顔をしているのに、口に入れるとふっと洋のニュアンスが立ち上がる。最初の一皿で「今日のコースは当たりだな」と確信した。
北海天然平目カルパッチョ は、薄造りならではのしなやかな歯ざわりと、タレのごま油+塩のシンプルな組み合わせが印象的。酸味はなくて、油のコクと塩気で平目の甘さをすっと引き出してくれるタイプ。派手さはないのに、「ちゃんと美味しい」がじわっと残る。
続く 鰻肝 木の芽焼 は、この店らしさ全開。肝のほろ苦さとタレの香ばしさ、それを木の芽の爽やかな香りがふわっとまとめてくれる。ここで日本酒を合わせたら絶対に終電を諦めるやつ。
強肴の 常陸牛タリアータ は、見た目からして華やか。火入れの加減が絶妙で、肉の旨味にルッコラの辛みとパルメザンの塩気、エディブルフラワーの香りが重なって、ひと切れ口に運ぶたびに気分が一段上がる。和食コースの中にさりげなく入ってきても違和感がなくて、全体の流れのなかにちゃんと溶け込んでいる。
“しのぎ”の 宮城産牡蠣のシャンパン蒸し は、キャビアとスモークサーモンまで添えてあって、もはや小さいメイン料理。旨味のレイヤーが何段階もあって、口の中が一瞬でリッチになる。
揚物の 鰻白扇揚げ 牛蒡素揚げ 赤ワインソース エスプーマ は、和と洋のバランスが気持ちいい一皿。カリッと上がった牛蒡の香ばしさと、鰻の脂、赤ワインソースのコクがちゃんと一本の線でつながっている。
煮物の 里芋万頭 鰻そぼろ 菊花あん は、ここで一度ほっとさせてくれる存在。里芋のねっとり感に鰻そぼろの旨味、菊花の香りとおろし生姜のキレが合わさって、胃も気持ちも落ち着く。
そしてクライマックス、霞ヶ浦天然鰻重。香りの時点で期待値が振り切れているけど、実際に食べるとそれを超えてくる。脂はしっかり乗っているのにくどさがなくて、噛むほどに香りと甘みが広がる。なにより驚いたのは、小骨が一切気にならないこと。聞けば、職人さんが ピンセットで小骨を一本一本、手作業で抜いているそう。天然鰻の力強さはそのままに、口当たりだけがとろっと上品になっていて、ここまで徹底しているのかと素直に感動した。タレは強すぎず、鰻の味を引き立てる脇役に徹している。肝吸いと香の物まで含めて、理想的な締め。
最後の 石臼挽き抹茶ガトーと梨のコンポートキャラメリゼ は、重さを残さないのに満足感のあるデザート。抹茶の香りと梨の甘さでコースの余韻をきれいにまとめてくれる。
全体を通して感じたのは、「素材へのリスペクト」と「仕事の細かさ」。鰻屋としての看板を守りつつ、コース料理としての構成力も高い。特別な日にもう一度行きたくなる、ちゃんと“記憶に残る”おまかせだった。