3回
2023/02 訪問
「シラウトっていい名前ね」
「名古屋駅の西にシラウトっていうお店が新しくできましたよ。」
昨年末私はネパール人の友人にそう話した。彼は以前名古屋のインドネパール料理屋で働いていたため、名古屋のインネパ料理屋を知りつくしている。
彼はへぇーと感心した様子を見せた。ジェスチャーを交えながらこう説明してくれた。
「シラウトっていい名前ね。スパイスをつぶしたりひいたりする2つの石のセット、あれをシラウトって言う。」
「なるほど、トラディショナルな方法ですね。」と私は言った。ネパール郷土料理を推している店だというのにも納得した。
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前回は豪勢なダルバートを食べて大満足。ネパール料理好きとして再訪問しない理由はなかった。休日の11時台に入店。
他のレビュワーの方々と同様、今回は私もこれを食べることに。
★ディドセット 1200円
ディドはそばがきによく例えられる。他の店でも食べたことがあるが、このお店には数種類のディドがあるようである。
カレーはマトンの辛口を選択した。スープをサービスしていただいた。
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20分くらいでネパール人のお兄さんがディドセットを運んできてくださった。
あんこのような色のディドである。何かが欠けていると思った。この前ダルバートの時にかけてもらったギー(インネパバターオイルのようなもの)がかかっていない。
「すいませーん!バターお願いします。」と厨房にお願いすると、お兄さんが急須のような入れ物をもってやってきた。そして、ギーをディドの上に注いでくださった。この光景がたまらない。その場が芳醇な香りに包まれた。
・ディドはもちっとお餅のような食感とざらっとした舌触り。食べきれそうなサイズだと安心したのはつかの間。終盤は苦しくなってくる。
・ダル(豆のスープ)は前回と若干作りが異なる気がする。スープ状でほどよいとろみ。ニンニクの風味がする。当然ライスにかけても美味しいだろう。
・マトンカレーのマトンの弾力がすごい。骨から懸命に噛み剥がさないといけない。肉と玉ねぎのうまみが溶け込んでいて、個人的に好きなタイプのネパールカレー。
・生野菜は人参と大根。ポリポリと食べる。
・大根、人参、豆のアチャール(漬物)。コリコリという食感。
・トマトのチャトニ(スパイスソースのようなもの)。ニンニクと唐辛子が効いているおかげで、味の主張が強くかなり辛い。
・ザーグ(青菜炒め)は塩味が濃くついているためちゃんとおかずになる。
・豆やジャガイモのタルカリ(野菜炒め)。混じっていた大きめの赤唐辛子をパクッと食べたら、顔中のあらゆる穴から一瞬火が出た。
・チュカウニはヨーグルトサラダのようなもの。ジャガイモや玉ねぎなどが入っている。味は酸味がある。
・パパド(豆せんべい)。めちゃくちゃパリッとしていた。
シラウトカナセットと同じく、欲しいおかずが一通り揃っている。ダルもカレーも一つ一つのおかずも美味しい。
ディドはなんとか完食できた。フルマラソンを完走できそうなくらいの腹持ちを得られたと思ったが、胃に入ったディドの重みで、食後の歩行動作は自然と前かがみになった。身体全体での異文化食体験となった。
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グランドメニューも見せていただいた。お酒に合いそうなネパール料理が豊富。とりわけ目を見張ったのが、モモ(ネパール風餃子)が12種類もあるということ。"ファイヤーモモ"って何それ!?非常に気になる。
店名から連想するような伝統的で本格的なネパール料理を他にも食べてみたい。
ダンネバード。ごちそうさまでした。
ディドセット 1200円(ギーをかけてもらっているところ)
ディドセット 1200円
ディド
ディド
ダル
マトンカレー
生野菜、アチャール、チャトニ
サーグ、タルカリ
チュカウニ
スープ(サービス)
メニュー
メニュー
メニュー
メニュー
メニュー
メニュー
メニュー
メニュー
2023/03/03 更新
2022/12 訪問
名駅西、+αααで豪勢なダルバート
フォローしているレビュワーの方々の高評価レビューを拝見し、居ても立っても居られず、休日のランチタイムに初訪問。場所は名駅西。オープンして日も経っていないようである。
先客は日本人客4名と外国人客2名。テーブル席が6、7席の店内を、木造の内装と優しい電球の明かりが包んでいる。普通のインドネパール料理屋よりもおしゃれに感じるインネパソングが流れている。食堂ではなく、おしゃれなレストランであり居酒屋という雰囲気に感じられる。
テーブルの上にはランチメニューが一枚。ネパール人男性店員さんに、迷わず、
★シラウトカナセット 1200円
を注文。カレーはマトンで。辛口で。
サラダとスープをサービスしてもらえた。刺激が強いとろみのあるスープ。
注文後15分ほどで、シラウトカナセット到着。見た目からして、一般的なダルバート(ネパール定食)にプラスアルファ要素があるのは明々白々。これは豪勢だ。
ダル(豆のスープ)、マトンカレー、タルカリ(野菜炒め)、サーグ(青菜炒め)、アチャール(漬物)、生野菜、ヨーグルト、パパド(豆せんべい)がついているだけでも、豪華なダルバートである。シラウトカナセットでは、それらに加え、揚げ魚とチュカウニがついている。すなわち、ライスを取り囲む品数は10品。
さらに私の心をつかんだのが、ダルバートを運んできた店員さんに、「バターいりますか?」と尋ねられたので、欲しいと答えたところ、厨房に戻ってしばらくしてから、急須のような入れ物を持ってきた。そこから、ライスの上に、"ギー"(インドネパールのオイルバター)をてらいなく美しく注いでくださった。私は思わず「すごい...」と声を出してしまった。濃厚なバターオイルの香りが広がる。
いただきます。
・ダルはウラドダルだろうか。豆はひきわりになっており、とろとろに崩れていてとろみがある。スープに対して豆の量が多く、ライスにたっぷり豆をかけられる。味は生姜が効いており、大きめの塊でも入っていた。
・マトンカレーはトマトベースの酸味がほんのりする油気の少ない味。少しとろみはあるがサラッとしているネパールスタイル。骨が豪快についている部分は、とりわけ弾力がある。
・揚げ魚がダルバートについてきたのは初めて。
・チュカウニ。黄色。念のため「これは何ですか?」と店員さんに確認したら、「ヨーグルトと野菜の漬物です。」とおっしゃった。大根、ジャガイモ、豆が具材となっている。
・"ピセコチャツネ"って何だろうかと疑問に思い帰宅後調べてみたら、おそらく"お店でひいたチャトニ"という意味だと思われる。アチャールの一種。酸味はそこまで強くない。
・ライスは日本米と現地米のミックス。舌触りが良く、ダルやカレーやおかずを混ぜると、満腹の満腹まで食べたくなる。おかわりもできた。「少なめで」と伝えるのを忘れてしまったが、そそられた食欲を超えて最終的に胃にすべて収められた。
後から家族連れやネパール人のお客さんも訪れてきた。常にテーブル4、5席は埋まっている状態。
ランチメニューを見ると、品数少なめのダルバートで「ネパールカナセット700円」もある。気軽に満足できそうである。裏面はナン・カレーのセットだが、「日替わりランチセット750円」が、ナンおかわり可能で、チキンティッカまでついてくるのはおトクに違いない。
ネパール人男性店員さんが会計後、ドアのところまで見送ってくださる。それに応えて私も、「デレイデレイダンネバード」(とてもとてもありがとうございました)と伝えた。
この通りには、"ナマステ"、"カトマンズキッチン"、"ゴルカ"というネパール料理屋があるが、それに"シラウト"も加わり、"名駅西3大ネパール料理屋+1”と言われる日もやってくるのかもしれない。
ダンネバード。ごちそうさまでした。
シラウトカナセット 1200円
シラウトカナセット 1200円
ダル
マトンカレー
ギーをかけてくださったライス。日本米と現地米のミックス。
揚げ魚
チュカウニ
ライスおかわり
サラダとスープがサービス。
ランチメニュー
ランチメニュー
外観
2022/12/04 更新
名古屋駅付近は群雄割拠の如くネパール料理屋が多数存在している。その中の"シラウト"を私は1年半前の冬に2度訪れている。1度目は豪勢なダルバートに目を見開き、2度目は珍しめのディドでネパール郷土料理の味を舌とお腹で感じた。
このネパール料理屋のキーワードは"オーセンティック"である(看板かどこかにこの単語が書いてある)。すなわち、まがいものではない正真正銘本物のネパール料理を提供します、と宣言しているのである。2024年5月時点で25件のレビューに対して評点3.35となっており、ネパール料理好きは魅力を感じやすいのかもしれない。
ちゃちゃっと食事を済ませるつもりで、久々に店のドアを開けた。内装の木の優しさが私を落ち着かせる。ランチタイムだったのだが、意外にもお客さんは日本人の方が2名いらっしゃっただけだった。
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おぉ、昨年2月とセットの値段が変わっていない。
★ネパールカナセット 700円
初訪問時よりも簡易的なダルバート(=カナ=ネパール定食)を注文する。タルカリ(おかず)はチキンも選べるが、野菜を選んでみた。10分も経たぬうちに銀色のプレートとダル(豆のスープ)の器がやってきた。タルカリ、ミックスアチャール(漬物)、サーグ(ほうれん草炒め)、ソース状のアチャール、というように、プレート上の品目が期待以上に多い。簡易的と呼ぶのは語弊があった。
ダルを一口スプーンですすってみる。スープ状のネパールタイプである。それゆえさらっとしている。さらっとしているのだが、なかなかニンニクが効いている。豆の絶妙な崩れ具合と合わさり、ジャガイモのようなホクホク感が現れているように感じる。
野菜のタルカリは、私がネパールで初めて食べたダルバートの野菜カレーにそっくりである。カリフラワーやジャガイモ、数種類の豆などが、軽くスープカレーになったようなイメージである。野菜の食感を顎で味わい、野菜そのままの風味を舌で味わえる。
アチャールは漬物と名のれる漬物らしさを発揮している。ミックスアチャールは細かめの人参、きゅうり、ジャガイモ、大根から成っている。赤いソース状のアチャール(このタイプはチャトニとも呼ぶ)は、トマトベースで唐辛子が和えてあるのだと思われる。これらのアチャールの酸味や辛味もライスの強力なおかずとなる。
うむ、どこを切り取っても美味いダルバートである。ネパール本場の味と作りをレストラン風に仕上げてある。まさにオーセンティックだ。油っけが少ないため、胃もたれもなくヘルシーである。なんだけど、香辛料が丁度良く効いており食欲を押し進める。700円というお手頃価格で国民(ネパール人も含めて)の味方でもある。
ライスが日本米とバスマティライスのミックスなのも嬉しい。ダルをかけて混ぜて口に運び、野菜のおかずも混ぜては口に運ぶ。スプーンの動きを静止しようとするものは何もない。最後は一切合切混ぜて完食する。目をつぶって開けたら、いつの間にかプレート状が空になっていたような感覚である。
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「すみません、10000円しかなくて...」40歳くらいに見えるネパール人男性の方に、私は一万円札を手渡した。彼はレジから9300円をおつりとして私に手渡した。その時の彼の笑顔と眼差しは、カメラを向けられた純真無垢な子供のように輝いていた。飾り気のないオーセンティックな表情だった。ネパールの通りを出歩けば、同じような笑顔や眼差しに沢山出会えるような気がする。
ダンネバード。ごちそうさまでした。