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ネパールカナセット(ランチ)
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ネパールカナセット(ランチ)
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ダル
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チキンカレー
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アチャール
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サーグ、タルカリ
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チャトニ、生野菜
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パパド、ライス(日本米とバスマティライスのミックス)
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ダルとライスをおかわり
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ホットチャイ
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サラダ
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メニュー
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メニュー
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メニュー
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メニュー
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外観
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一宮のネパール居酒屋”koila”を1年ぶりに訪問した。立地が不便だと思っていたが、西一宮駅から徒歩15分のようである。
勢いよくドアを開けて入店すると、ネパール人お兄さん2人と、ネパール人お姉さん1人が迎えてくださった。私はこの日奇妙なほど饒舌だったので、カウンター席に座ると同時に口を開いた。「ナマステ〜、私のこと覚えていたりしますか...?1年前に母と祖母と来てダルバートを食べました。お兄さんとお話もしました」
店主のお兄さんは私の顔を見つめたまま数秒程度記憶の糸をたどっているようだった。「あーっ、あそこの席に座っていた、あの時の!」覚えていてくださったようである。私はお兄さんのことを覚えていたし、そのフレンドリーさも印象に残っていた。私もお兄さんたちに誘われるように、営業用ではない自然な笑みを浮かべた。
ちなみに”koila”とは、ネパール語で”炭”のことらしい。このお店には焼き鳥のメニューもあり、香辛料でネパール風に仕上げてあるらしい。人も料理も雰囲気も、まさにネパール居酒屋である。
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私は前回と同じ料理を注文した。ネパール定食のダルバートである。
★ネパールカナセット 1300円
一年前よりも300円ほど値上がりしている。香辛料を含め何から何まで値上がりしているようである。辛さは中辛にしてもらった。カレーはポークを選んだ。パクチーの有無も訊かれたので、パクチーは好きだと応えた。
銀色のプレートでダルバートがやってくる。器には黄色いダル(豆のスープ)、ポークカレーが注がれている。小さなくぼみにはアチャール(漬物)、チャトニ(スパイスソース)、サーグ(ほうれん草炒め)、タルカリ(野菜炒め)、生野菜(きゅうり)が置かれている。ライス(日本米とバスマティライスのミックス)は中央に半球体に盛られており、6月の日差しをパパド(豆せんべい)で防いでいるかのように見える。
「日本人のお客さんに手で食べてみるよう勧めると、結構皆さん手で食べますよ。ダルバートだけじゃなくてビリヤニも」お兄さんがそうおっしゃった。「本当ですか?えー」私は手食に何度か挑戦したことはあるのだが、正直スプーンのほうが食べやすいと感じる。いささか迷った。結局インネパカレー男としての変な矜持が勝ったようである。「じゃあ手で食べます!」
私は器からダルをライスに少しかけた。そして右手の指を使って軽く混ぜた。予想通り「あっつ!!」と声を漏らしてしまった。お兄さんは笑顔で、「ここらへんから食べるといいですよ」とライスの端っこを指さした。私は手の平を天井に向けるように人差し指から小指に混ぜたライスをのせ、それを口元に近づけ、親指で押し出すように口に入れた。その要領で、他のおかずも混ぜながら食べ進めていった。
今こうしてレビューを書いていて、プレート上の料理一つ一つを分析的に語るほど、私は味を覚えていない。それよりも手食の動作に意識が集中していたからである。私の右手はまるで自動運転のスイッチを押された機械のように、プレート上と口を往復し続けた。その動きは全く止まらなかった。ダルとライスはおかわりできるとのことだったので、「ライスを少しください」(特に"少し"を強調して)と注文した。短距離走のスピードで追加のライスまで完食した。
とりあえず美味い。それは言える。本格的なネパールの味である。あっさりしすぎず強すぎず、中庸で調和がとれたダルバートである。炭水化物・タンパク質・脂質のバランスも優れていると思われる。人参、ジャガイモ、きゅうり、ナス、ほうれん草、というように野菜の品目も豊富である。管理栄養士からも支持を受けそうなダルバートである。
印象的なのはポークカレーだ。グレイビータイプのどろっとしたポークカレーではなく、ジョールタイプのスープ式カレーである。ダルと同様さらっとしていて、パラパラのライスによく合う。細かめに豚バラ肉が入っていて、これがカリっとしている(さすが炭火焼亭である)。ネパールスタイルのポークカレーが食べられる店は希少である。
奥で手を洗えるとお姉さんがおっしゃったので、私は洗面台に向かった。手を水で流しながら鏡で自分の顔を見ると、額にびっしり汗をかいていた。それだけ香辛料は効いていたのだろう。席に戻り、チャイの準備をしているけど、時間はある?と、お姉さんが尋ねられた。「時間は大丈夫です。ここはネパールですから」と、私は言った。
ホットチャイ(ネパール的に言えば"チヤ")の砂糖をどうするかお兄さんに訊かれたので、砂糖は好きですと私は応えた。そうしたら、後からスティックシュガーを入れるという日本的な飲み方ではなく、鍋で茶葉と一緒に砂糖を先に入れるというネパール風でチヤを作ってくださった。大きめのカップで出されたそんなチヤを飲んでみた。確かに、甘さがチヤ全体に広がっているように感じる。手食で昂った交感神経を落ち着かせ、副交感神経を優位にしてくれるような食後のチヤだった。
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他にお客さんが2組3人いらっしゃっていた。ビリヤニやダルバートを食べたり、ビールを飲んだりされていた。共通点は全員が常連だということだ。お兄さんたちやお姉さんと気さくにお話をされていた。お兄さんは本当に接客が好きなのだろう。仕事だからではなく、純粋に人が好きという気持ちが原動力であるように見える。お客さんと関係性を築けるのは才能だと思うし、居酒屋にうってつけの人柄である。
「今後どのようにお店を発展させていきたいですか?どんな未来を見ていますか?」私は質問をした。「別のところでも店を開きたいです」と、お兄さんは微笑みながらおっしゃった(他のお客さんから、次のネパールフェスティバルでは店を出してよ、と言われていた)。そんなお兄さんの表情を見上げていたら、「あなたにとってプロフェッショナルとは?」と尋ねても、流れとしては間違っていない気がした。
リピーターが多いというお兄さんの言葉に私は肯いた。厨房のもう一人のお兄さんはどちらかといえば少しシャイかもしれない。それでも店員さんたちが皆、お客さんと距離を縮め、お店を気に入ってもらおう、また来てもらおう、という姿勢を感じる。一宮という地で、他には代え難いアットホームさを全身で浴びられる。だからついつい手食までやってしまうのだ。個人的にオススメのお店である。
ダンネバード。ごちそうさまでした。